裏庭が裏ダンジョンでした@完結

まっど↑きみはる

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邪神サズァン

邪神サズァン 1

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 メボシの襲撃から三日間、王都は民衆も政治も混乱を極めていた。

 復興のために動いていたが、天変地異でも起きたような惨状に、どこから手を付けて良いものか分からなかった。

 王都の外にある墓地に次々と遺体が運び込まれる。

 中では崩れ落ちた瓦礫を撤去していた。

 ムツヤはまだ目を覚まさないが、仲間達は王都で思い思いに過ごしている。

 毎度のことながらムツヤを心配そうに見ているモモ。

 ユモトはアシノに連れ出され、魔法を使うふりをして回復薬を重症者に振りかけていた。

 ルーは精霊を使い、取り残された被災者が居ないか探す手伝いをし、ヨーリィもそれを手伝う。

 三日目の晩にムツヤは不思議な夢を見た。

 邪神サズァンが悲しそうな顔でこちらを見ている 

 ムツヤは何か声を掛けようとするが、言葉が出て来ない。

 サズァンはムツヤに背を向けて光の中へと消えていく。

 追いかけようとしたが、体が動かない。




 夜に王都の外壁の上で外を監視している兵は違和感を感じた。

 それと同時に大きな地響きがなる。

 思わず目を疑った。王都から数キロ程先に何かが地面から突き上がってきた。

 それはどんどんと天高く生え上がる。歪な形の塔だった。

 そして、眺めていた兵士は気を失う。


 眠っていたものはそのまま夢で、起きているものは気を失い、皆で同じ夢を見た。

 それは王都だけではない。国中、いや、世界中の人間に同じ現象が起きる。


 目の前に褐色の肌で、紫のアイシャドウとカラーリップ。爪も同じく毒々しい同じ色で塗られた美しい女が現れた。

「我は邪神サズァン。今から七日後に世界を滅ぼすものなり」





 ハッと言って目を覚ましたアシノ。同室のルーとモモも飛び起きた。

「今の夢……」

 アシノの言葉に、ルーも驚く。

「今の、サズァン様よね?」

 モモもそれを聞いて慌てる。

「私もサズァン様の夢を見ました!」

「どういう事だ!?」

 三人は互いを見つめ合うが、アシノが「そうだ」と言ってベッドから飛び降りる。

「ムツヤに会いに行くぞ!!」

 部屋を飛び出て隣のムツヤ達の部屋を開ける。

「ムツヤ!! ムツヤ起きているか!?」

 ユモトとヨーリィがアシノ達を見た。

「アシノさん!! 今の夢は!?」

 ユモトが問いかけ、アシノは返す。

「私にもわからん。ムツヤを起こすぞ!!」

 アシノがムツヤを揺さぶろうとする直前で、ムツヤは目を覚ました。




 ムツヤは目が覚めると同時に、自分を囲む仲間達が視界に入った。

「皆さん!?」

「ムツヤ!! お前もあの夢を見たか!?」

「サズァン様の夢は見ましたけど……」

 アシノは嫌な予感に心臓が早く脈打った。

「サズァン様、世界を滅ぼすとか言っていたけど……」

 ルーが言うと、ムツヤは驚く。

「そんな事を言っていたんですか!?」

「夢の中で言っていただろう!? お前は見なかったのか!?」

 アシノに言われ、ただ事ではない空気を察しながらも、ムツヤは自分の見た夢を話す。

「俺はサズァン様がどこかに消えていく夢を見ました」

 それを聞いて、アシノはムツヤだけは別の夢を見たことに気付く。

「ともかくだ、お前のペンダントで邪神サズァンに連絡は取れないか!?」

「やってみます!!」
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