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第四話
うちの夫に限って・・・
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今夜も、まだ帰ってこない。
まゆは、すっかり冷えてしまったカレーを無言で片付けた。
視界の片隅には、幸せそうに微笑む結婚式の写真が見える。数ヵ月前の結婚式の写真だ。
夫の名前は野村佳祐。小さな会社で経理をしている。真面目だけが取り柄の男で、趣味といえば盆栽いじりぐらいだ。ちなみに、佳祐はまだ二十代前半である。
(・・・まさか、ね)
最近、忙しいが口癖になってる佳祐。おまけに、帰宅する度に香る女性用の香り。
(うちの夫に限ってって、皆言うものね)
最近、まゆはふと考えるのだ。佳祐は、本当に自分を愛しているのだろうかと。大学で知り合い、大恋愛の末に結婚した。だが、その気持ちは今も変わらないのだろうか。まゆが疑心暗鬼に陥っていると玄関でガタガタと音がした。ドアを開ければ、そこには同僚らしき人に抱えられた佳祐がいた。
「佳祐っ」
どうやら、会社の飲み会だったらしい。が、唇には口紅が。ん?口紅?まゆが硬直していれば、後輩らしき男性が説明してくれた。
「今日、部長の送別会だったんすよ。それで、野村さんが女装で余興をやる事になって」
「じ、女装?」
「練習のかいあって、成功しました。な?」
男性の声に、他の同僚も頷いた。まゆは、内心ホッとした。つまり、帰りが遅いのも香水もそういう事だったのだ。
「でも・・・」
と男性が続ける。
「野村さん、すっごい色っぽくて。俺、恋しちゃいそうでした」
それはそれで、なんか心配。まゆは、愛想笑いで誤魔化した。
なんとか佳祐をベッドに寝かせると、その寝顔にまゆはフッと笑みを浮かべた。
(サラリーマンも大変なのよね)
ちょっと帰りが遅いからと愛情を疑ってしまい、申し訳なかった。と、真優が立ち上がろうとすれば佳祐が不意に口を開く。
「部長ぉ、ダメですよぉ。服を脱がさないでください」
まゆの眉がピクリと動く。
(服?)
そういえば、首のあたりになんだか赤い痣が。まゆは、恐る恐るシャツを脱がそうとして止めた。
(まさか、ね)
口紅をつけた夫は、思いの外色っぽい。浮気の心配よりも、夫の貞操の危機の方が気になるまゆだった。
まゆは、すっかり冷えてしまったカレーを無言で片付けた。
視界の片隅には、幸せそうに微笑む結婚式の写真が見える。数ヵ月前の結婚式の写真だ。
夫の名前は野村佳祐。小さな会社で経理をしている。真面目だけが取り柄の男で、趣味といえば盆栽いじりぐらいだ。ちなみに、佳祐はまだ二十代前半である。
(・・・まさか、ね)
最近、忙しいが口癖になってる佳祐。おまけに、帰宅する度に香る女性用の香り。
(うちの夫に限ってって、皆言うものね)
最近、まゆはふと考えるのだ。佳祐は、本当に自分を愛しているのだろうかと。大学で知り合い、大恋愛の末に結婚した。だが、その気持ちは今も変わらないのだろうか。まゆが疑心暗鬼に陥っていると玄関でガタガタと音がした。ドアを開ければ、そこには同僚らしき人に抱えられた佳祐がいた。
「佳祐っ」
どうやら、会社の飲み会だったらしい。が、唇には口紅が。ん?口紅?まゆが硬直していれば、後輩らしき男性が説明してくれた。
「今日、部長の送別会だったんすよ。それで、野村さんが女装で余興をやる事になって」
「じ、女装?」
「練習のかいあって、成功しました。な?」
男性の声に、他の同僚も頷いた。まゆは、内心ホッとした。つまり、帰りが遅いのも香水もそういう事だったのだ。
「でも・・・」
と男性が続ける。
「野村さん、すっごい色っぽくて。俺、恋しちゃいそうでした」
それはそれで、なんか心配。まゆは、愛想笑いで誤魔化した。
なんとか佳祐をベッドに寝かせると、その寝顔にまゆはフッと笑みを浮かべた。
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「部長ぉ、ダメですよぉ。服を脱がさないでください」
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