異世界オークションハウス ~ハズレスキル【魔力探知】で魔道具集め!美少女たちと楽しく競売のお店をはじめます~

秋間辺

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37話

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 中庭は四方を高壁に囲まれ、観戦用の桟敷が簡易に組まれていた。
 砦の兵たちがいつの間にか集まり、ざわめきが渦巻く。
 ドランが石畳の中央に立ち、大剣を地面へ突き立てた。
 その刃は幅広く、無数の欠けと打痕が刻まれている。
 長年の激闘の証――ジェキルの剣の傷が子ども用の落書きに見えるほどだ。

「さあ遠慮はいらん。全力で来い」
「もちろんそのつもりだよ」
 ジェキルが大剣を構えた。

「よし。どちらかが膝をついた時点で終了としよう。殺し合いではない。だが真剣勝負だぞ」
 父と娘の対峙。
 ところが、ドランの視線は開幕から俺の動きを外さない。
 わざとだ――俺たち全員を一瞬で飲み込むだけの度量と余裕。
「始め!」
 バルナードが大声で告げる。

 風を斬ってジェキルが踏み込む。
 重い刃がドランの肩口へ振り下ろされた。
 ギィン! 火花が踊り、響く金属音が胸骨まで震わせる。
 ドランは左手一本で剣を受け止め、右手で柄をつかむと一気に押し返した。

「なかなかだ。しかし重さが足りん!」
「うっ!?」
 ジェキルが軽々とふっ飛ばされ、地面に手をつきそうになる。
 その刹那、アマリアが杖を突き出す。
「ライトニングボルト!」
 白光が稲妻となってドランの死角から襲いかかったが、大剣が円弧を描き、雷を切り裂いた。

「魔法も剣も、連携が単調だ」
 ドランが言い終えるより早く、俺の体は前へ飛び出していた。
 剣を抜いて縦一文字の斬撃。
「アオイ!」
 ジェキルが掛け声とともに同時攻撃を仕掛ける。
 俺の剣筋をなぞるようにジェキルの大剣が後追いで落ち、二重の軌跡が白い残像を残す。
 ドランの大剣が再び火花を散らした。
 だが今度は一瞬、ドランの大剣の柄が沈む。
 ジェキルの渾身の踏み込みが効いている。

「今だ、メルテ!」
 合図と同時、メルテの唇が微かに動いた。
「……パイロスフィア」
 赤い光点が宙に生まれ、瞬く間に膨張する。
 巨大な火球がドランを包み――爆ぜた。

 黄炎が渦巻き、熱風が観客席を揺らす。
 兵たちが思わず目を覆った。
 砂埃が晴れた時、ドランは大剣を盾のように構えて立っていた。
 あの魔力ならメルテが全力で撃っても大丈夫だとは思っていたけど……ほとんど傷を負っていない。

 かといってノーダメージでもなさそうだ。
 外套は焼け焦げ、腕には細かな裂傷はある。
「ほう……悪くないな」
 ドランは一歩踏み出し、地面に突き立てた大剣の柄を握った。
「ふはは! 面白い。俺も少しだけ本気を見せてやろう!」

 しかし、大慌てでバルナードが俺たちの間に割り込んでくる。
「待った待った! 大将、これ以上は砦の中庭が持たねえ。お前らの実力も、確かに見せてもらった。十分だ」
 周囲からどっと歓声が上がる。
 俺は剣を納めつつ、胸を撫で下ろした。
 足も腕も震えが止まらない。

 ジェキルが息を切らしながらも笑う。
「パパ相手にここまでやれたんなら、少しは認めてくれるだろ?」

「ふむ」
 ドランは焼け焦げた外套を払い、穏やかにうなずいた。
「認めよう。――バルナード、部屋を用意してやれ。こいつらは砦の客人だ」
「承知!」
 副将は豪快に笑って敬礼した。

 それを聞いたリントが両手を突き上げる。
「やったで! これで魔石は取り放題や!」
「そんなに簡単な相手には見えなかったわよ」
 アマリアがあきれ気味に釘を刺すが、口元はほころんでいる。

 メルテは燃え残る火花を見下ろしながらささやいた。
「次は“灰滅剣帝”か……」

 空が高い。
 だがその向こうには、深い闇を孕んでいる。
 俺たちの旅路はまだ、入口に立ったばかりだ――そう、胸の奥で確信した。
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