21 / 62
第二章
第二十一話「閑話 ~千佐木 実桜編~」
しおりを挟む
結月は自室目の前にある小さめの庭にいた。
(やっぱりここは癒される……)
ここに来た当初からすれば、徐々に結月の軟禁状態という名の外との隔離生活も解けてきていた。
(あ……実桜さんだ)
庭を挟んで反対側のほうにうっすらと実桜の姿が見えた。
座って何かをしているように見えるがこちらからはよく見えない。
(なにしてるんだろう)
結月は近づいてみた──
近づくにつれ、実桜が何をしているのか判明してきた。
(あ、武器の手入れをしてる)
「? 結月様でしたか」
気配に気づいた実桜が話しかけた。
「あ……すみません。お邪魔でしたよね」
「いいえ。武器の手入れをしておりました。結月様は……」
「はい、少し外の空気を吸いにきました」
実桜の持った薙刀に目を移すと、通常の薙刀よりもかなり大きく柄の長さだけでも4寸か5寸はありそうだった。
それよりも刃の輝きに比較し、目立つのが柄の年季の入りようだった。かなり古いことがわかる。
「大切にされているんですね」
結月は年季の入りようから実桜が大切にしていると予想した。
「はい、これは代々千佐木家の当主に受け継がれているものですが、実際に使ったのは私の代からです」
「え……」
結月は2つのことに気づいた。一つは12年前の涼風家の悲劇から、守り人が実際に妖魔退治をおこなうことになった証の品だということ。
もう一つは、つまりそれが実桜一人の鍛錬の証での年季の入りようだということ。
結月を模擬戦で負かせただけのことはあり、その力は並大抵の努力ではなかったことを示している。
「実桜さん、稽古をしませんか?」
結月は実桜に稽古を申し込む。
手入れを終えた実桜は立ち上がり、結月に向かい合った。
「私も同じことを依頼しようとしていました」
「ふふ。やはり、『武人』同士、気が合いますね」
「はい」
二人は夕暮れになるまで稽古をおこなった──
(やっぱりここは癒される……)
ここに来た当初からすれば、徐々に結月の軟禁状態という名の外との隔離生活も解けてきていた。
(あ……実桜さんだ)
庭を挟んで反対側のほうにうっすらと実桜の姿が見えた。
座って何かをしているように見えるがこちらからはよく見えない。
(なにしてるんだろう)
結月は近づいてみた──
近づくにつれ、実桜が何をしているのか判明してきた。
(あ、武器の手入れをしてる)
「? 結月様でしたか」
気配に気づいた実桜が話しかけた。
「あ……すみません。お邪魔でしたよね」
「いいえ。武器の手入れをしておりました。結月様は……」
「はい、少し外の空気を吸いにきました」
実桜の持った薙刀に目を移すと、通常の薙刀よりもかなり大きく柄の長さだけでも4寸か5寸はありそうだった。
それよりも刃の輝きに比較し、目立つのが柄の年季の入りようだった。かなり古いことがわかる。
「大切にされているんですね」
結月は年季の入りようから実桜が大切にしていると予想した。
「はい、これは代々千佐木家の当主に受け継がれているものですが、実際に使ったのは私の代からです」
「え……」
結月は2つのことに気づいた。一つは12年前の涼風家の悲劇から、守り人が実際に妖魔退治をおこなうことになった証の品だということ。
もう一つは、つまりそれが実桜一人の鍛錬の証での年季の入りようだということ。
結月を模擬戦で負かせただけのことはあり、その力は並大抵の努力ではなかったことを示している。
「実桜さん、稽古をしませんか?」
結月は実桜に稽古を申し込む。
手入れを終えた実桜は立ち上がり、結月に向かい合った。
「私も同じことを依頼しようとしていました」
「ふふ。やはり、『武人』同士、気が合いますね」
「はい」
二人は夕暮れになるまで稽古をおこなった──
0
あなたにおすすめの小説
女性が少ない世界に転生した控えめ伯爵令嬢、なぜか五人の婚約候補に選ばれて少しずつ恋を知っていきます
ノッポ
恋愛
女性が極端に少ない異世界に転生した私は、気づけば伯爵令嬢になっていた。
前世は日本で普通に生きていたせいか、貴族令嬢らしい強気な振る舞いがどうしても苦手。
社交界デビューを迎えても、「どうして私が選ばれるの?」と戸惑うばかりだった。
けれど今年デビューする高位令嬢はわずか三人。
家同士の思惑も重なり、騎士団長家の息子、宰相子息、魔術師団長の息子、幼なじみの侯爵子息、そして英雄騎士――
五人の若きエリートとのお見合いが次々と始まってしまう。
遠慮がちで控えめな性格は、この世界では珍しく、気づけば少しずつ距離を縮めていく彼ら。
異世界での恋愛に戸惑う日々。けれど出会いを重ねるたびに、私は少しずつ変わっていく――。
女性希少世界で、自分の幸せを選べるようになるまでの逆ハーレム恋愛ファンタジー。
拾った年上侯爵が甘え上手すぎて、よしよししてたら婚約することになりました
星乃和花
恋愛
⭐︎火木土21:00更新ー本編8話・後日談8話⭐︎
王都の市場で花屋をしているリナは、ある朝――
路地裏で倒れている“美形の年上男性”を拾ってしまう。
熱で弱っているだけ……のはずが、彼はなぜか距離が近い。
「行かないで」「撫でて」「君がいると回復する」
甘えが上手すぎるうえに、褒め方までずるい。
よしよし看病してあげていたら、いつの間にか毎日市場に現れるようになり、
気づけば花屋は貴族の面会所(?)になっていて――
しかも彼の正体は、王都を支える侯爵家の当主だった!?
「君は国のために必要だ(※僕が倒れるから)」
年上当主の“甘え策略”に、花屋の心臓は今日ももたない。
ほのぼの王都日常コメディ×甘やかし捕獲ラブ、開幕です。
猫なので、もう働きません。
具なっしー
恋愛
不老不死が実現した日本。600歳まで社畜として働き続けた私、佐々木ひまり。
やっと安楽死できると思ったら――普通に苦しいし、目が覚めたら猫になっていた!?
しかもここは女性が極端に少ない世界。
イケオジ貴族に拾われ、猫幼女として溺愛される日々が始まる。
「もう頑張らない」って決めたのに、また頑張っちゃう私……。
これは、社畜上がりの猫幼女が“だらだらしながら溺愛される”物語。
※表紙はAI画像です
異世界に転移してしまった私、古民家をもらったのでカフェを始めたら大盛況。国王陛下が頻繁に来るのですが、どうしたらいいですか?
来栖とむ
ファンタジー
ブラック企業で疲れ果てた30歳の元OL・美里(みさと)が転移した先は、見渡す限りの深い森。
そこで彼女が授かったのは、魔女の称号……ではなく、一軒の**「日本の古民家」**だった!
亡き祖母が遺したその屋敷には、異世界では失われたはずの「お醤油」「お味噌」「白いお砂糖」という禁断の調味料が眠っていて――。
「えっ、唐揚げにそんなに感動しちゃうの?」
「プリン一口で、国王陛下が泣いちゃった……!?」
おにぎり、オムライス、そして肉汁溢れるハンバーグ。
現代日本の「当たり前」が、この世界では常識を覆す究極の美食に。
お掃除のプロな親子や、お忍びの王様、さらにはツンデレな宮廷料理人まで巻き込んで、
美味しい香りに包まれた、心もお腹も満たされるスローライフが今、始まります!
死に戻ったら、私だけ幼児化していた件について
えくれあ
恋愛
セラフィーナは6歳の時に王太子となるアルバートとの婚約が決まって以降、ずっと王家のために身を粉にして努力を続けてきたつもりだった。
しかしながら、いつしか悪女と呼ばれるようになり、18歳の時にアルバートから婚約解消を告げられてしまう。
その後、死を迎えたはずのセラフィーナは、目を覚ますと2年前に戻っていた。だが、周囲の人間はセラフィーナが死ぬ2年前の姿と相違ないのに、セラフィーナだけは同じ年齢だったはずのアルバートより10歳も幼い6歳の姿だった。
死を迎える前と同じこともあれば、年齢が異なるが故に違うこともある。
戸惑いを覚えながらも、死んでしまったためにできなかったことを今度こそ、とセラフィーナは心に誓うのだった。
バッドエンド予定の悪役令嬢が溺愛ルートを選んでみたら、お兄様に愛されすぎて脇役から主役になりました
美咲アリス
恋愛
目が覚めたら公爵令嬢だった!?貴族に生まれ変わったのはいいけれど、美形兄に殺されるバッドエンドの悪役令嬢なんて絶対困る!!死にたくないなら冷酷非道な兄のヴィクトルと仲良くしなきゃいけないのにヴィクトルは氷のように冷たい男で⋯⋯。「どうしたらいいの?」果たして私の運命は?
私が騎士団の司令官ってなんですか!? ~聖女じゃなかった私は得意の料理で騎士たちの心を掴んだら食堂の聖女様と呼ばれていました~
あんねーむど
恋愛
栄養士が騎士団の司令官――!?
元社員食堂の職員・白城千鳥は、ある日突然「聖女」として異世界アルゼリオン王国に召喚される。
しかし期待された聖女の力はまったく発現されず、判明したのは彼女がただの一般人だという事実。
役立たずとして放逐されるかと思いきや、千鳥は王宮食堂で料理人として働くことに。慣れない異世界生活の中でも、栄養管理や献立作りを通して騎士たちの体調を支え、静かに居場所を築いていく。
そんなある日、問題児ばかりを集めた新設部隊アルゼリオン王国騎士団戦術騎士隊【アルタイル】 が発足。なぜか千鳥が司令官に任命されてしまう。
戦えない、魔法も使えない、指揮の経験もない。
困惑する千鳥を待っていたのは、王子である身分を隠している隊長のエドガー、年下で聡明だが一途すぎるノエル、俺様で口の悪い元衛士隊のクラウディオ、外見に反してサディスティックでマッドサイエンティストのフェルナンド、癖も事情も抱えたイケメン騎士たちだった。
最初は反発され、軽んじられ、失敗も重ねる千鳥。それでも彼女は騎士一人ひとりと向き合い、少しずつ信頼を勝ち取っていく。
聖女でも悪役令嬢でもない。戦場に立つことすらできない彼女は、やがて隊員たちを導く司令官として成長していく。
★にキャラクターイメージ画像アリ〼
※料理モノの物語ではありません。
甘い匂いの人間は、極上獰猛な獣たちに奪われる 〜居場所を求めた少女の転移譚〜
具なっしー
恋愛
「誰かを、全力で愛してみたい」
居場所のない、17歳の少女・鳴宮 桃(なるみや もも)。
幼い頃に両親を亡くし、叔父の家で家政婦のような日々を送る彼女は、誰にも言えない孤独を抱えていた。そんな桃が、願いをかけた神社の光に包まれ目覚めたのは、獣人たちが支配する異世界。
そこは、男女比50:1という極端な世界。女性は複数の夫に囲われて贅沢を享受するのが常識だった。
しかし、桃は異世界の女性が持つ傲慢さとは無縁で、控えめなまま。
そして彼女の身体から放たれる**"甘いフェロモン"は、野生の獣人たちにとって極上の獲物**でしかない。
盗賊に囚われかけたところを、美形で無口なホワイトタイガー獣人・ベンに救われた桃。孤独だった少女は、その純粋さゆえに、強く、一途で、そして獰猛な獣人たちに囲われていく――。
※表紙はAIです
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる