天牙の華~政略結婚から始まる復讐は、最強の【刀】に至上の恋を教える~

八重

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第三章

第四十八話「疾走」

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 蓮人は夜の森を駆けていた。
 瀬那と結月が戦っている間、蓮人は宮廷に敵の襲来とその詳細を伝えるために戻っていた。
 
 守り人の中で一番足が速く身軽なのは蓮人である。
 このことから結月と瀬那、蓮人は瞬時に蓮人を宮廷へ戻るように判断をした。

「はぁ……はぁ……」

 療養明けのイグを使った全力疾走は蓮人の体力を削る。

 やがて、宮廷が見えてきた。
 明かりの灯る最上階、朔のいる執務室を目指す。

 蓮人は宮廷の中の廊下を走り抜け、執務室前まできた。
 すると、執務室から複数人の声がした。
 蓮人は構わずに扉を勢いよく開ける。

「朔様っ!!」

 中には朔だけではなく、凛と実桜の姿もあった。

「蓮人、状況はどうなっていますか?」

 凛が問う。おそらくもう気配から状況をある程度把握していると思われた。
 朔、実桜もその言葉の返答を待つように蓮人を見つめる。

「結月、瀬那が敵と交戦中です。敵は朔様の姿をした魔夜と名乗る妖魔。朔様の魂に傷をつけた際の成分を使った【分身体】だと言っていました」

 その言葉に凛が反応を示す。

「朔様の姿をした妖魔……やっかいですね。朔様、実桜か私のどちらかが向かおうと思いますが、いかがでしょうか?」


「────俺が行く」

 その場にいた守り人は全員驚き、また制止しようとした。

「朔様!! それはなりません、朔様だけは宮廷でいていただきます」

 朔はその返答を聞くと一蹴した。

「俺は俺の分身体を倒す」

「違います! 朔様は結月さんがご心配なのでしょう?! お気持ちはわかりますがここは宮廷で……」

 朔はその言葉を最後まで聞かずに琥珀に飛び乗ると、窓から外に出てしまった。

 出て行った朔を凛はつぶやく。

「……頑固なんだから……」
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