5 / 11
第一章
第五話「守るもの」
しおりを挟む
「じゃあ、お望み通り、君から先に殺してあげるよっ!」
桜を襲った少年が、今度は青年を襲おうとしていた。
長く鋭い爪が、青年に襲い掛かる。
(危ないっ!)
桜は危険を伝えようとするが、声が出ない。
しかし、鋭くとがった爪が、青年の胸元に届く前に、青年は身を翻して避けた。
「なっ!」
勢い余って地面に突っ込みそうになる少年。
大きな衝撃音を桜は予感したが、それは訪れなかった。
時が止まったかのように静かになる。
決着は一瞬だった。
「うそ……」
威勢のよかった少年は、青年が手にした刀によって身体を貫かれていた。
「──っ! そんな……まさか……じゃあ、お前が……」
少年が言葉を言い終える前に、青年は少年から刀を抜いた。
その瞬間、一気に少年は灰になって消えた。
「僕の大切な人には触れさせない」
少年は跡形もなく消え去った──
青年がゆっくりと桜のほうに近寄ってくる。
桜はプロポーズされたこと、ファーストキスを奪われたこと、そして今少年を殺したこと、様々なことが頭をよぎった。
青年は桜に目線を合わせるように少し屈むと、慈しむようにそっと頬をなでた。
「僕の前からいなくならないで。僕は君を守りたい。一生をかけて愛すから」
街灯に照らされて、青年の黒髪は美しく光り、顔がはっきりと映し出される。
はじめてはっきりとみた青年の顔を見て桜は思った。
(こんなにも綺麗な顔を私、見たことない)
切なくて甘く、そしてガラスのように繊細な印象を桜は抱いた。
目が離せず、桜は確かではなかったが、こう思った。
(一目惚れってこういうこというの?)
平気で人を殺せるという現場を見たが、桜は不思議と安心感を抱いていた。
「僕は三琴。この古墳の墓守であり、鬼を退治する者。人間ではない、墓に眠る者に作られた式神、精霊」
「鬼……式神……?」
聞き馴染みのない言葉に桜は困惑した。
「大丈夫、僕の全てをかけて君を愛するよ。そして何があっても君を守る。今はゆっくり休んで。また会いに来るよ」
桜はしばらくその場に立ち尽くしていた──
桜を襲った少年が、今度は青年を襲おうとしていた。
長く鋭い爪が、青年に襲い掛かる。
(危ないっ!)
桜は危険を伝えようとするが、声が出ない。
しかし、鋭くとがった爪が、青年の胸元に届く前に、青年は身を翻して避けた。
「なっ!」
勢い余って地面に突っ込みそうになる少年。
大きな衝撃音を桜は予感したが、それは訪れなかった。
時が止まったかのように静かになる。
決着は一瞬だった。
「うそ……」
威勢のよかった少年は、青年が手にした刀によって身体を貫かれていた。
「──っ! そんな……まさか……じゃあ、お前が……」
少年が言葉を言い終える前に、青年は少年から刀を抜いた。
その瞬間、一気に少年は灰になって消えた。
「僕の大切な人には触れさせない」
少年は跡形もなく消え去った──
青年がゆっくりと桜のほうに近寄ってくる。
桜はプロポーズされたこと、ファーストキスを奪われたこと、そして今少年を殺したこと、様々なことが頭をよぎった。
青年は桜に目線を合わせるように少し屈むと、慈しむようにそっと頬をなでた。
「僕の前からいなくならないで。僕は君を守りたい。一生をかけて愛すから」
街灯に照らされて、青年の黒髪は美しく光り、顔がはっきりと映し出される。
はじめてはっきりとみた青年の顔を見て桜は思った。
(こんなにも綺麗な顔を私、見たことない)
切なくて甘く、そしてガラスのように繊細な印象を桜は抱いた。
目が離せず、桜は確かではなかったが、こう思った。
(一目惚れってこういうこというの?)
平気で人を殺せるという現場を見たが、桜は不思議と安心感を抱いていた。
「僕は三琴。この古墳の墓守であり、鬼を退治する者。人間ではない、墓に眠る者に作られた式神、精霊」
「鬼……式神……?」
聞き馴染みのない言葉に桜は困惑した。
「大丈夫、僕の全てをかけて君を愛するよ。そして何があっても君を守る。今はゆっくり休んで。また会いに来るよ」
桜はしばらくその場に立ち尽くしていた──
0
あなたにおすすめの小説
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました
蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈
絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。
絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!!
聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ!
ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!!
+++++
・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)
リトライさせていただきます!〜死に戻り令嬢はイケメン神様とタッグを組んで人生をやり直す事にした〜
ゆずき
恋愛
公爵家の御令嬢クレハは、18歳の誕生日に何者かに殺害されてしまう。そんなクレハを救ったのは、神を自称する青年(長身イケメン)だった。
イケメン神様の力で10年前の世界に戻されてしまったクレハ。そこから運命の軌道修正を図る。犯人を返り討ちにできるくらい、強くなればいいじゃないか!! そう思ったクレハは、神様からは魔法を、クレハに一目惚れした王太子からは武術の手ほどきを受ける。クレハの強化トレーニングが始まった。
8歳の子供の姿に戻ってしまった少女と、お人好しな神様。そんな2人が主人公の異世界恋愛ファンタジー小説です。
※メインではありませんが、ストーリーにBL的要素が含まれます。少しでもそのような描写が苦手な方はご注意下さい。
【完結】退職を伝えたら、無愛想な上司に囲われました〜逃げられると思ったのが間違いでした〜
来栖れいな
恋愛
逃げたかったのは、
疲れきった日々と、叶うはずのない憧れ――のはずだった。
無愛想で冷静な上司・東條崇雅。
その背中に、ただ静かに憧れを抱きながら、
仕事の重圧と、自分の想いの行き場に限界を感じて、私は退職を申し出た。
けれど――
そこから、彼の態度は変わり始めた。
苦手な仕事から外され、
負担を減らされ、
静かに、けれど確実に囲い込まれていく私。
「辞めるのは認めない」
そんな言葉すらないのに、
無言の圧力と、不器用な優しさが、私を縛りつけていく。
これは愛?
それともただの執着?
じれじれと、甘く、不器用に。
二人の距離は、静かに、でも確かに近づいていく――。
無愛想な上司に、心ごと囲い込まれる、じれじれ溺愛・執着オフィスラブ。
※この物語はフィクションです。
登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。
少しの間、家から追い出されたら芸能界デビューしてハーレム作ってました。コスプレのせいで。
昼寝部
キャラ文芸
俺、日向真白は義妹と幼馴染の策略により、10月31日のハロウィンの日にコスプレをすることとなった。
その日、コスプレの格好をしたまま少しの間、家を追い出された俺は、仕方なく街を歩いていると読者モデルの出版社で働く人に声をかけられる。
とても困っているようだったので、俺の写真を一枚だけ『読者モデル』に掲載することを了承する。
まさか、その写真がキッカケで芸能界デビューすることになるとは思いもせず……。
これは真白が芸能活動をしながら、義妹や幼馴染、アイドル、女優etcからモテモテとなり、全国の女性たちを魅了するだけのお話し。
橘若頭と怖がり姫
真木
恋愛
八歳の希乃は、母を救うために極道・橘家の門を叩き、「大人になったら自分のすべてを差し出す」と約束する。
その言葉を受け取った橘家の若頭・司は、希乃を保護し、慈しみ、外界から遠ざけて育ててきた。
高校生になった希乃は、虚弱体質で寝込んでばかり。思いつめて、今まで養ってもらったお金を返そうと夜の街に向かうが、そこに司が現れて……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる