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俺の名前は朝日田 夢二。
多分、ごく普通の高校一年生だ。
今日もいつものように学校に行き、授業を受け、放課後は部活に励み、家に帰ってご飯を食べ、風呂に入って、寝た。
何もおかしい事は無かったはずだ。
なのに……目を開くと見知らぬ図書館、これはどういうことなんだ?
……
…………
呆然とし、その場に突っ立って約5分。
ずっと立ちっぱなしでも意味がない。
ひとまずここがどこか把握しなければ。
よって俺はとりあえずこの図書館内を見て回ることにした。
「……にしても凄い本の量だな……」
辺りに人の気配はなく、静まっている。
本の表紙を見ると、殆どが読めない文字のものばかりで、たまに読めそうな文字を見つけても、「○○○○理論について」とか、「*****説は正しいのか」とか、難しそうな内容のものばかりだった。
「うーーん…………」
結局ここはどこなんだ?
ぐるりと部屋を一周したところで俺は一度足を止めた。
ここがダメなら一旦外に出て……、と考えたのだ。
だが、扉がないかと探して気がついた。
……ここには出入り口が無い。
「マジかよ……!おい、誰か居ねぇのか?」
焦ってしまい、思わず叫ぶ。
すると、意外にも返事が返ってきた。
「……煩いわねぇ。少し、静かにしてくれない?」
部屋の片隅にある机。
その机の端にある椅子に、10~12歳ほどの(?)少女が腰掛けていた。
人がいないと思っていたが、端の席を見逃していたらしい。
俺は目を疑った。
綺麗な銀髪に紅の瞳。
紅のフリフリドレスを身に纏い、髪の後ろにも紅の大きなリボンをつけている。
現実ではありえない……まるで人形のような容姿だ。
「……黙ったのは褒めてあげるわ。でも、ジロジロ見られては本に集中できないのよ。さっさと私の前から消えてくれないかしら?」
分厚い本をめくりながら、俺には全く興味ない、と行った様子で毒を吐いてくる。
「……お前、見た目に反して可愛くないこと言うんだな。こっちは出たくても出られないっていうのに……」
思わず呟くと、少女は何を思ったかいきなり顔を上げた。
……もしかして可愛くないって言ったのに怒ったか?
「あ、いや……その、すまん、失礼だったか……?あの……」
慌てていると、少女がハァ、と溜息をついた。
「なんだ……貴方、人間じゃない。そうならそうと言ってもらわなきゃ分からなかったわ」
「は?」
「ここは……そう、夢の中。……仕方ないわね、目覚めるまで好き勝手してゆくがいいわ。私に迷惑をかけない程度に、ね」
多分、ごく普通の高校一年生だ。
今日もいつものように学校に行き、授業を受け、放課後は部活に励み、家に帰ってご飯を食べ、風呂に入って、寝た。
何もおかしい事は無かったはずだ。
なのに……目を開くと見知らぬ図書館、これはどういうことなんだ?
……
…………
呆然とし、その場に突っ立って約5分。
ずっと立ちっぱなしでも意味がない。
ひとまずここがどこか把握しなければ。
よって俺はとりあえずこの図書館内を見て回ることにした。
「……にしても凄い本の量だな……」
辺りに人の気配はなく、静まっている。
本の表紙を見ると、殆どが読めない文字のものばかりで、たまに読めそうな文字を見つけても、「○○○○理論について」とか、「*****説は正しいのか」とか、難しそうな内容のものばかりだった。
「うーーん…………」
結局ここはどこなんだ?
ぐるりと部屋を一周したところで俺は一度足を止めた。
ここがダメなら一旦外に出て……、と考えたのだ。
だが、扉がないかと探して気がついた。
……ここには出入り口が無い。
「マジかよ……!おい、誰か居ねぇのか?」
焦ってしまい、思わず叫ぶ。
すると、意外にも返事が返ってきた。
「……煩いわねぇ。少し、静かにしてくれない?」
部屋の片隅にある机。
その机の端にある椅子に、10~12歳ほどの(?)少女が腰掛けていた。
人がいないと思っていたが、端の席を見逃していたらしい。
俺は目を疑った。
綺麗な銀髪に紅の瞳。
紅のフリフリドレスを身に纏い、髪の後ろにも紅の大きなリボンをつけている。
現実ではありえない……まるで人形のような容姿だ。
「……黙ったのは褒めてあげるわ。でも、ジロジロ見られては本に集中できないのよ。さっさと私の前から消えてくれないかしら?」
分厚い本をめくりながら、俺には全く興味ない、と行った様子で毒を吐いてくる。
「……お前、見た目に反して可愛くないこと言うんだな。こっちは出たくても出られないっていうのに……」
思わず呟くと、少女は何を思ったかいきなり顔を上げた。
……もしかして可愛くないって言ったのに怒ったか?
「あ、いや……その、すまん、失礼だったか……?あの……」
慌てていると、少女がハァ、と溜息をついた。
「なんだ……貴方、人間じゃない。そうならそうと言ってもらわなきゃ分からなかったわ」
「は?」
「ここは……そう、夢の中。……仕方ないわね、目覚めるまで好き勝手してゆくがいいわ。私に迷惑をかけない程度に、ね」
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