醒めない夢の中で

こひなた ひまり

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「おい……おい!離れろよ!」


「えーっなんでぇ?本当は君も嬉しいくせに~~」


「いいから離れろって!」


俺が突き放そうとすればするほど夢魔は嬉しそうに胸を押し付けてくる。

成る程、確かにコイツは関わってはいけないタイプだ。


「ほらぁ~~満更でもないような顔しちゃってぇ~♪私の縄張りテリトリーにおいでよ!楽しいことし、ま、しょ♪」


だぁぁぁぁぁ!

落ち着け、落ち着くんだ俺!

本能に負けてはいけない!


「行きてぇ……」 


俺がそう呟くと。


スコーン


「いだっ」


いきなり近くにあった扉が開き、そこから絵本が俺の頭をめがけて飛んできた。

扉はすぐに閉まったが、そこから再び隙間が空き銀髪の少女がジト目でこちらを覗いていた。


「あら、メア♪やっと見つけたわよ♪もうに、が、さ、な、い__」


「気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い!寄らないで頂戴!!」


「いやんっ!」


俺を突き放し少女の元へ駆け寄ろうとした夢魔はメアの絵本攻撃をくらいワザとらしく床に倒れる。

その倒れた姿が妙にエロっぽいといいますか……。

ていうか、あの可愛げのない少女、メアっていうのか。


「全く。サキュバスの真似事なんて馬鹿馬鹿しい」


メアは倒れた夢魔に容赦なく本を投げ落とす。

……いや、百科事典とか混じってますけど?!

色々とやばくね?!


「あぁんメア……そーゆぅところも好、き♪」


夢魔は幸せそうな顔をして気絶した……。


「えーっと……」


その場に立ち尽くしていると、メアがしっしっ、と手を払ってきた。


「コイツのことは気にせずさっさとどこかに言って頂戴。ただの変態だから」


ただの変態ってなんだよ……

とりあえず頷いておく。


「お、おう……あ、そうだメア」



「何?気安く名前で呼ばないでくれる?バカ人間」


「お前ホント可愛くないよな。……あと、俺は夢二だ。朝日田 夢二。気安く呼んでくれ」


メアは眉をひそめた。


「……言いたいことはそれだけかしら?バカ人間」


どうやら名前で呼んではくれないらしい。

……じゃない。

廊下の件を聞いとかなければ。


「ごめんごめん。……この廊下って永遠に続いてるってことは__」


「あるわね」


メアは即答した。


「だよなー……ってマジ?!」


驚く俺に、メアはハァ、とわざとらしくため息をついた。


「まだ分からないワケ?永遠に続くと思うから永遠に続いてるのよ。この廊下の長さはバカ人間、貴方の想像力次第よ」


「はぁ?!」


いや、分かるかよ。
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