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しおりを挟む「いたたた……チビのくせに力は強いんだな……」
部屋から閉め出された際に思い切り尻餅をついてしまい、打ち付けた部分がジンジンする。
尻をさすりながら俺はゆっくりと立ち上がった。
「さて、どうするか……」
少女はこの屋敷を見て回るくらいなら問題無いと言っていた。
……これ以上文句を言われない為にも大人しく屋敷を見学するのが妥当かな。
少女とまた顔を合わせることがあるかはわからないけれども。
話が本当なら、暫くしたら朝がきてすぐに現実世界に戻れるだろうし。
「よし、じゃあとりあえず他の部屋に…………てか、広くね?!」
どこに行こうかと改めて周りを確認した俺だが、思わず叫んでしまった。
図書館みたいな場所から出た所は廊下のような空間だったのだが……。
長い。
行き止まりが見えないくらい長い。
そして広い。
学校の廊下(と比べていいのかは知らないけど)より横幅もかなりある。
多分俺ならこの廊下で横になって寝られる。
この屋敷が縄張りとか言ってるあの少女は一体何者なんだ?
夢魔は皆こんな感じの縄張りを持ってんのか?
「はぁーー……」
若干羨ましいと思いつつ、他の部屋に入ろうと考えていた俺は廊下の端へと目的地を変更することにした。
……
…………
「全然端に付かねぇ……」
時計が無いから正確には分からないけれど、もう30分くらい歩いた気がする。
相変わらず廊下は前へ前へと続いていて、終わりが見えない。
これ、無限回廊とかじゃないよな?!
嫌な考えが頭を横切る。
「……よし」
俺は意を決して近くのドアを開けた。
中は薄暗く、何やら高価そうな花の絵が飾ってある。
それを確認して扉を閉め、2、3回再び開けて中が変わっていないか確認してから(夢の中だから開けるたび部屋の中身が入れ替わるケースがあるかもと疑った)また閉め、深呼吸をする。
「よし、よーいドンっ!」
そこから100メートルくらい先まで全力疾走してみた。
息切れをしながらも近くにあるドアを勢いよく開いてみる。
「……おい」
開けた先は薄暗く、高価そうな花の絵が飾ってあった……。
一体なんなんだこの屋敷は。
扉の無い図書館に終わりの無い廊下に…………ん?
ゴシゴシ、と目を擦る。
前方に先程にはなかった人影があるような。
誰だ?
人影はこちらに近づいてくる。
やがてこちらに気づいたのか駆け出してきた。
タッタッタッ……と足音が響く。
近付くにつれ相手の姿が露わになる。
そして俺は悟った。
彼女が少女が関わるなと言ったやつの1人、例の黄色い髪の女の破廉恥な夢魔だと。
下着に近い服しか着ていなく、走る度に胸が揺れて…………ゴホン、正直、目のやり場に困る。
「メ~~~ア~~~~~!!!……じゃない!誰?!」
その夢魔は俺を誰かと勘違いしていたらしく、少し驚いた顔をしている。
どうやら手を広げて抱きつかんとしていたみたいだから気づいてくれて良かっ___
「違った!まいっかー」
「へぶっ?!」
ぎゅうぅぅぅぅぅぅ
夢魔は止まらずそのまま俺に抱きついてきた。
……なんでこうなった?
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