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01 崩壊する前の日常
05 出会いはたぶん偶然
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フーベルトはエディーに連れられて、その店にやってきた。
店名、ブラッディーナイト。
血塗られた夜とは、ずいぶん仰々しい名前だと、フーベルトは思った。
あるいは、デビルとかデスとかの単語を平気で使うようなセンスの人がつけた名前かもしれない。
店は地下にある。地下とは言うが、ここはメガフロートなので、地上に設定された高さよりは低い場所、という意味だ。
西部劇に出てきそうなスイングドアを開けると、中は薄暗くて人でごった返していた。店の中央に少し高くなった台のような物があって、そこで男女が踊っているし、天井にはワヤワヤと形を変える変な照明まである。
微妙にいかがわしい。まだ昼間なのに、酒を飲んでいる者もいる。
「本当に大丈夫なんだろうな、この店」
フーベルトが聞くと、エディーはハハハと笑う。
「さっきから何を心配してるんだ? ほら、とりあえずこっちに来いよ」
店の隅のカウンター席に並んで座る。
「コーラ二つ、でいいよな」
「ああ……」
地上は昼間だ。アルコール類もあるようだったが、さすがに今は飲まない。
「そんで、おまえ。四年の間、何やってたんだよ」
「何って程じゃないさ。新しい仕事のために二年ぐらい訓練を受けて、今年一年はずっと世界を飛び回ってる」
「引っ張りだこか。凄いじゃないか」
「とんでもない。使いっ走りもいいところさ。前より給料がいいのが唯一の救いだが、使ってる暇もない」
「そんなの、引退した時の楽しみでも考えとけばいいさ」
「引退なんて、どれだけ先になることやら。……おまえはどうなんだ?」
「俺か? 面白い話は何もないな。おまえと別れた後も、整備兵の仕事を続けて三年ぐらいで班長になって、その後、出世するか島に行くか選べって言われたから島を選んだ。それが去年のことだ。あとはこの島で楽しい毎日よ」
「そういうものか」
プロトは、ここの軍隊を無能の寄せ集めみたいな言い方をしていた。
しかし、少なくともエディーは無能ではない。
フーベルトの知る限りちゃんと仕事をしていた。フーベルトが前線で戦えたのはエディーのおかげだ。
仮に、もっと有能で勤勉な軍人が陸地の危険地帯で酷使されているとか、そういう意味なら、まあ想像できなくもない。
だが、島で勤務する人間に当てこすりを言っても仕方ない。
フーベルトの考えを見抜いたわけでもなかろうが、エディーはケラケラ笑う。
「難しいことなんて考えても仕方ないさ。生きるってのは楽しむってことだからな……」
「そうだな」
「で? そろそろナンパの相手でも探そうか」
「いや、本気で言ってるのか、おまえ」
フーベルトが店内を見回した限りでは、女性の客層は未成年が多めだ。十六番街には全寮制の学園があって、エディーによると今日は外出日だと言う。どこでそんな情報を入手してくるのだか。
「店員さん、オレンジジュース四つ! あとチーズステーキとピザも」
ショートカットの少女が一人、カウンター席に注文に来た。それを見たエディーが口笛を吹く。
「よう、お嬢ちゃん。元気かい。お兄さんがおごってあげようか」
「えー、いいの? じゃあ、お言葉に甘えちゃおっかなー」
いいの? と聞きたいのはフーベルトの方だった。
本当に意味をわかってるのか。
いや、理解した上でこっちの言葉に甘えているとしたら、それも問題だと思うが。
だがエディーは料理のお金を払い、少女と談笑しながら歩いていく。
フーベルトは問題を起こさないことを祈りながらついていくしかない。
少女の行く先には、三人の少女が待っていた。
長髪の少女が、怪訝な顔でフーベルトとエディーを見る。
「ジゼラ……その人たち、誰?」
「なんかおごって貰った」
「あなたねぇ……」
長髪の少女は呆れた顔でエディーとフーベルトの顔を見た後、まあいいか、とため息をついた。
フーベルト達は、少女達と同席し、料理をつつきながら自己紹介した。話を聞くと、やはりこの四人は全寮制の学園の生徒で、休日に外出しているところだったようだ。
「そうそう。この前の話なんだけどさ……」
最初に来たショートカットの少女、ジゼラとエディーが会話して、他がそれを聞いている、という感じで場が維持された。
エディーもノリノリだが、ジゼラも楽しそうだし、他の少女三人もそれでいいと思っているようなので、フーベルトは何も言わないことにする。
フーベルトが気になったのは、隣で無言でもそもそと食事を続ける少女だ。
確か、ミーナと名乗っていた。
チーズステーキは先に食べ終え、今もピザの二切れ目に手を伸ばすところだった。
フーベルトの視線に気づいたのか、気まずそうな顔になる。
「あ……食べます?」
「いや、いいよ」
そのやり取りを見たジゼラが笑う。
「ミーナは、今朝寝坊して朝食抜きになったからねぇ……」
「あ、バラさないでよぅ」
ミーナもくすくす笑う。
ジゼラはフーベルトにもピザを勧めてくる。
「ほらほら。あなたも、野菜も取らないと」
「野菜? ピザは野菜じゃないだろ」
「えー、立派な野菜だよぅ。ちゃんとトマトペーストも入ってるみたいだし」
「あ、ああ……そうだな」
チーズステーキに挟まっている玉ねぎの方がまだ野菜っぽいと思ったが、面倒になったので議論は避けた。
ジゼラは話題が尽きたのか、一瞬、視線をさまよわせた後、天井を指さす。
「そう言えば知ってる? あのキラキラしてるの、本物の魔術らしいよ」
この店は中央にお立ち台があって、そこで男女が踊っている。天井にはミラーボールの代わりなのか、もやもやと動く変な光の塊があった。
「本当かい。そいつはすげえな」
エディーは驚いて見せるが、フーベルトは内心呆れていた。
あれはたぶん立体映像か何かだ。霧のような物を出してレーザーを当てて光らせている。魔術は必要ない。
整備士として魔術関連の知識を持つエディーがそれに気づかないわけがない。
わかったうえで、白々しく話を合わせている。
いや、そういうことを平気でできるからこそ、ナンパ男なのだろう。
フーベルトにはちょっと真似できそうにない。
「そうだ、せっかくだから、踊ろうか?」
「いいねぇ、行こう行こう」
エディーが誘って、ジゼラが乗った。ジゼラが視線を向けると、ミーナは半笑いで首を傾げる。
「あ、私は、別にいいかな?」
「そう? じゃ、行ってくるわ」
エディーとジゼラは手を組んで、店の中央の高台の方へと歩いて行った。
リアーネもミーナと小声で二言三言会話して、リーゼルと共にどこかに行ってしまう。
「……ん?」
フーベルトにはわからない仕組みで、何かが決定されたようだ。
フーベルトの勘違いでなければ、フーベルトとミーナでカップル成立らしい。というか、単に置いていかれただけのようにも思えるが。
ミーナは意に介さず、もそもそとピザを食べている。
「そんなにお腹すいてたのか?」
フーベルトが聞くと、ミーナはうつろな表情で見上げてくる。
「うーん、そうでもないんですけど、栄養は、ちゃんと取らないと体に悪いから……」
「無理して詰め込むのも体に悪いと思うが……」
ミーナは、皿に残ったピザを見る。三切れ目を食べるかどうか迷っている顔だった。
「なあ、もしかして、具合が悪いのか?」
「そういうんじゃないですよ」
「無理するなよ」
「そうします」
なんで初対面の少女とこんな関係になっているんだ、とフーベルトが自問していると、
「あのー、すんません。ここ使ってます?」
やってきた五人ぐらいの集団に声を掛けられた。店内も込み合っているし、六人座れる席を二人で占領していたら何か言われることもある。
「ああ、悪い。別の所に行くよ」
フーベルトは椅子から立った。
同じく椅子から立ち上がろうとしたミーナはよろけた。フーベルトは慌てて腕をつかむ。
「おい、大丈夫か?」
「あ、ちょっと立ち眩みが……」
やっぱり具合が悪かったんじゃないか? と言いそうになったが、控えた。
ミーナを立たせたままにしておくのはよくない気がした。だが、どこに連れて行こうかと迷う。
最善策は、スマホで友人を呼ばせることだ。それはわかっていた。
けれど、フーベルトは魔が差した。
掴んだミーナの体が、妙に柔らかかったせいかもしれない。
「どこか空いてる席を探そう」
店の端の方に、二人で座れるサイズのソファーがいくつか並んでいた。踊っている人を見物するための場所のようだ。
そこにミーナを座らせて、自分も隣に座る。
ミーナは申し訳なさそうに謝る。
「ごめんなさい。なんか迷惑かけちゃって」
「気にするな。かわいい子から掛けられる迷惑は、男にとってご褒美みたいなものさ」
「ぶっ……ご、ごめんなさい……」
笑われてしまった。謝っても笑いが消えないのか、息を止めて肩を震わせている。
「そ、そんなにおかしかったかな……」
フーベルト自身、言っていておかしいとは思った。エディーだったら真顔で言いそうなセリフなのだが。
いや、さすがに言わないだろうか? その辺りの境目がよくわからない。
慣れないことはするもんじゃないと思い、真面目に対応する。
「何かのアレルギーとかじゃないのか?」
「そういうのは、ないですけど」
「俺にも妹がいるんだ。卵がダメだった。十歳ぐらいまではなんともなかったんだけど、ある日、急に蕁麻疹が出るようになって、病院に行ったら卵アレルギーだって言われたんだ」
「前は平気だったのに、急にそうなることってあるんですか?」
「たまにあるらしい……」
医者からは、運が悪いとか言われた。
「でも、私はそういうのと違うと思いますよ。正直に言うと、昨日からちょっと具合悪くて……」
「少し大人しくしていれば、また元気が出てくるさ」
「そうですね」
ミーナは目を閉じると、フーベルトの方に体重を預けてきた。
寝落ちしかけている。
フーベルトは上着を脱いでかけてあげようかと思ったが、ホルスターに入った拳銃を隠しているのを思い出してやめた。
店名、ブラッディーナイト。
血塗られた夜とは、ずいぶん仰々しい名前だと、フーベルトは思った。
あるいは、デビルとかデスとかの単語を平気で使うようなセンスの人がつけた名前かもしれない。
店は地下にある。地下とは言うが、ここはメガフロートなので、地上に設定された高さよりは低い場所、という意味だ。
西部劇に出てきそうなスイングドアを開けると、中は薄暗くて人でごった返していた。店の中央に少し高くなった台のような物があって、そこで男女が踊っているし、天井にはワヤワヤと形を変える変な照明まである。
微妙にいかがわしい。まだ昼間なのに、酒を飲んでいる者もいる。
「本当に大丈夫なんだろうな、この店」
フーベルトが聞くと、エディーはハハハと笑う。
「さっきから何を心配してるんだ? ほら、とりあえずこっちに来いよ」
店の隅のカウンター席に並んで座る。
「コーラ二つ、でいいよな」
「ああ……」
地上は昼間だ。アルコール類もあるようだったが、さすがに今は飲まない。
「そんで、おまえ。四年の間、何やってたんだよ」
「何って程じゃないさ。新しい仕事のために二年ぐらい訓練を受けて、今年一年はずっと世界を飛び回ってる」
「引っ張りだこか。凄いじゃないか」
「とんでもない。使いっ走りもいいところさ。前より給料がいいのが唯一の救いだが、使ってる暇もない」
「そんなの、引退した時の楽しみでも考えとけばいいさ」
「引退なんて、どれだけ先になることやら。……おまえはどうなんだ?」
「俺か? 面白い話は何もないな。おまえと別れた後も、整備兵の仕事を続けて三年ぐらいで班長になって、その後、出世するか島に行くか選べって言われたから島を選んだ。それが去年のことだ。あとはこの島で楽しい毎日よ」
「そういうものか」
プロトは、ここの軍隊を無能の寄せ集めみたいな言い方をしていた。
しかし、少なくともエディーは無能ではない。
フーベルトの知る限りちゃんと仕事をしていた。フーベルトが前線で戦えたのはエディーのおかげだ。
仮に、もっと有能で勤勉な軍人が陸地の危険地帯で酷使されているとか、そういう意味なら、まあ想像できなくもない。
だが、島で勤務する人間に当てこすりを言っても仕方ない。
フーベルトの考えを見抜いたわけでもなかろうが、エディーはケラケラ笑う。
「難しいことなんて考えても仕方ないさ。生きるってのは楽しむってことだからな……」
「そうだな」
「で? そろそろナンパの相手でも探そうか」
「いや、本気で言ってるのか、おまえ」
フーベルトが店内を見回した限りでは、女性の客層は未成年が多めだ。十六番街には全寮制の学園があって、エディーによると今日は外出日だと言う。どこでそんな情報を入手してくるのだか。
「店員さん、オレンジジュース四つ! あとチーズステーキとピザも」
ショートカットの少女が一人、カウンター席に注文に来た。それを見たエディーが口笛を吹く。
「よう、お嬢ちゃん。元気かい。お兄さんがおごってあげようか」
「えー、いいの? じゃあ、お言葉に甘えちゃおっかなー」
いいの? と聞きたいのはフーベルトの方だった。
本当に意味をわかってるのか。
いや、理解した上でこっちの言葉に甘えているとしたら、それも問題だと思うが。
だがエディーは料理のお金を払い、少女と談笑しながら歩いていく。
フーベルトは問題を起こさないことを祈りながらついていくしかない。
少女の行く先には、三人の少女が待っていた。
長髪の少女が、怪訝な顔でフーベルトとエディーを見る。
「ジゼラ……その人たち、誰?」
「なんかおごって貰った」
「あなたねぇ……」
長髪の少女は呆れた顔でエディーとフーベルトの顔を見た後、まあいいか、とため息をついた。
フーベルト達は、少女達と同席し、料理をつつきながら自己紹介した。話を聞くと、やはりこの四人は全寮制の学園の生徒で、休日に外出しているところだったようだ。
「そうそう。この前の話なんだけどさ……」
最初に来たショートカットの少女、ジゼラとエディーが会話して、他がそれを聞いている、という感じで場が維持された。
エディーもノリノリだが、ジゼラも楽しそうだし、他の少女三人もそれでいいと思っているようなので、フーベルトは何も言わないことにする。
フーベルトが気になったのは、隣で無言でもそもそと食事を続ける少女だ。
確か、ミーナと名乗っていた。
チーズステーキは先に食べ終え、今もピザの二切れ目に手を伸ばすところだった。
フーベルトの視線に気づいたのか、気まずそうな顔になる。
「あ……食べます?」
「いや、いいよ」
そのやり取りを見たジゼラが笑う。
「ミーナは、今朝寝坊して朝食抜きになったからねぇ……」
「あ、バラさないでよぅ」
ミーナもくすくす笑う。
ジゼラはフーベルトにもピザを勧めてくる。
「ほらほら。あなたも、野菜も取らないと」
「野菜? ピザは野菜じゃないだろ」
「えー、立派な野菜だよぅ。ちゃんとトマトペーストも入ってるみたいだし」
「あ、ああ……そうだな」
チーズステーキに挟まっている玉ねぎの方がまだ野菜っぽいと思ったが、面倒になったので議論は避けた。
ジゼラは話題が尽きたのか、一瞬、視線をさまよわせた後、天井を指さす。
「そう言えば知ってる? あのキラキラしてるの、本物の魔術らしいよ」
この店は中央にお立ち台があって、そこで男女が踊っている。天井にはミラーボールの代わりなのか、もやもやと動く変な光の塊があった。
「本当かい。そいつはすげえな」
エディーは驚いて見せるが、フーベルトは内心呆れていた。
あれはたぶん立体映像か何かだ。霧のような物を出してレーザーを当てて光らせている。魔術は必要ない。
整備士として魔術関連の知識を持つエディーがそれに気づかないわけがない。
わかったうえで、白々しく話を合わせている。
いや、そういうことを平気でできるからこそ、ナンパ男なのだろう。
フーベルトにはちょっと真似できそうにない。
「そうだ、せっかくだから、踊ろうか?」
「いいねぇ、行こう行こう」
エディーが誘って、ジゼラが乗った。ジゼラが視線を向けると、ミーナは半笑いで首を傾げる。
「あ、私は、別にいいかな?」
「そう? じゃ、行ってくるわ」
エディーとジゼラは手を組んで、店の中央の高台の方へと歩いて行った。
リアーネもミーナと小声で二言三言会話して、リーゼルと共にどこかに行ってしまう。
「……ん?」
フーベルトにはわからない仕組みで、何かが決定されたようだ。
フーベルトの勘違いでなければ、フーベルトとミーナでカップル成立らしい。というか、単に置いていかれただけのようにも思えるが。
ミーナは意に介さず、もそもそとピザを食べている。
「そんなにお腹すいてたのか?」
フーベルトが聞くと、ミーナはうつろな表情で見上げてくる。
「うーん、そうでもないんですけど、栄養は、ちゃんと取らないと体に悪いから……」
「無理して詰め込むのも体に悪いと思うが……」
ミーナは、皿に残ったピザを見る。三切れ目を食べるかどうか迷っている顔だった。
「なあ、もしかして、具合が悪いのか?」
「そういうんじゃないですよ」
「無理するなよ」
「そうします」
なんで初対面の少女とこんな関係になっているんだ、とフーベルトが自問していると、
「あのー、すんません。ここ使ってます?」
やってきた五人ぐらいの集団に声を掛けられた。店内も込み合っているし、六人座れる席を二人で占領していたら何か言われることもある。
「ああ、悪い。別の所に行くよ」
フーベルトは椅子から立った。
同じく椅子から立ち上がろうとしたミーナはよろけた。フーベルトは慌てて腕をつかむ。
「おい、大丈夫か?」
「あ、ちょっと立ち眩みが……」
やっぱり具合が悪かったんじゃないか? と言いそうになったが、控えた。
ミーナを立たせたままにしておくのはよくない気がした。だが、どこに連れて行こうかと迷う。
最善策は、スマホで友人を呼ばせることだ。それはわかっていた。
けれど、フーベルトは魔が差した。
掴んだミーナの体が、妙に柔らかかったせいかもしれない。
「どこか空いてる席を探そう」
店の端の方に、二人で座れるサイズのソファーがいくつか並んでいた。踊っている人を見物するための場所のようだ。
そこにミーナを座らせて、自分も隣に座る。
ミーナは申し訳なさそうに謝る。
「ごめんなさい。なんか迷惑かけちゃって」
「気にするな。かわいい子から掛けられる迷惑は、男にとってご褒美みたいなものさ」
「ぶっ……ご、ごめんなさい……」
笑われてしまった。謝っても笑いが消えないのか、息を止めて肩を震わせている。
「そ、そんなにおかしかったかな……」
フーベルト自身、言っていておかしいとは思った。エディーだったら真顔で言いそうなセリフなのだが。
いや、さすがに言わないだろうか? その辺りの境目がよくわからない。
慣れないことはするもんじゃないと思い、真面目に対応する。
「何かのアレルギーとかじゃないのか?」
「そういうのは、ないですけど」
「俺にも妹がいるんだ。卵がダメだった。十歳ぐらいまではなんともなかったんだけど、ある日、急に蕁麻疹が出るようになって、病院に行ったら卵アレルギーだって言われたんだ」
「前は平気だったのに、急にそうなることってあるんですか?」
「たまにあるらしい……」
医者からは、運が悪いとか言われた。
「でも、私はそういうのと違うと思いますよ。正直に言うと、昨日からちょっと具合悪くて……」
「少し大人しくしていれば、また元気が出てくるさ」
「そうですね」
ミーナは目を閉じると、フーベルトの方に体重を預けてきた。
寝落ちしかけている。
フーベルトは上着を脱いでかけてあげようかと思ったが、ホルスターに入った拳銃を隠しているのを思い出してやめた。
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