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meishino

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1 恋人同士の熱いキス

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 彼がこの世界に帰ってきてくれた!私と一緒に。


 こんなに嬉しかったことは今までにない。私達はいつものようにサンセット通りを歩いて自宅に帰った。ジェーンがあの世界でも付けっぱなしだったウォッフォンでドアの鍵を解除した。


 リビングに戻ってくると、ジェーンがソファに過去世界から持ってきたものがたくさん詰まったバッグを置いた。あの世界、とても幻想的で、綺麗だった。実際にこの目で見られたのは、またと無い素晴らしい経験だった。


 そんなことを考えながら私は、荷物を整理しているジェーンをソファのところに残して、洗面所へと向かった。


 実はともりの雪原で濡れてしまった南国仕様の通気性抜群のブーツがまだ乾いていなくて、先に足をタオルで拭きたかったのだ。それに匂いだって、気になるし……。


 あの世界で、彼は私に交際を申し出てくれた。今となっては私はジェーンと恋人になってしまっている。そのことが嬉しくもあり、恥ずかしくもある。だってジェーンは……もう私の、か、彼氏なのだ!


 しかも人生初の恋人。


「ああああぁぁぁ……!」


 濡れたブーツをお風呂場の床に置いて、一人悶えた。今日から恋人関係が始まる、しかもあのジェーンと。


 ワクワクしているのか、興奮しているのか、私の身体の中が熱い。ソワソワして、その場でバタバタと足踏みしてしまった。


 と、取り敢えず、やることをやらなくては!そう思って、洗面所の床に座り、靴下を脱いで、シンクの下の引き出しからタオルを取り出して足を拭いていると、洗面所のドアが勢いよく開いた。


 振り返るとジェーンだった。間髪入れずに彼が私のそばにしゃがみ、私の肩を掴んでキスをしてきた。


「んんん!?」


「……んっ、キルディア、どうして私をリビングに置いて、ここにいますか?」


「ブーツが濡れてたからだよ……足を拭きたかった。」


「そうですか……。」


 彼がまた私にキスをくれた。ちゅ、ちゅ、と卑猥な音が、白くて狭い部屋に響いている。そんなセクシーな状況に慣れていない私は、少し吹き出してしまった。するとジェーンがキスをするのをやめて、少し私を睨んだ。


「ごめんジェーン、変じゃ無いんだけど、ちょっとまだ慣れてなくて……、すぐに足を拭くからソファで待っていてよ。」


「足なら、私が拭いて差し上げます。そうでしたね、灯の雪原に来た時に濡れてしまったのですね、私が早く気づいていれば良かったのですが。」


「いいのいいの、自分で拭くから向こうで待ってて。」


 しかしジェーンは私のそばに座ったまま、じっとこちらを見ている。ここで待つということなのだろうか?私は気になりつつもジェーンに背を向けて、タオルで足を拭いた。


 すると背後から抱きしめられた。私のうなじに彼の唇の感触が当たって、くすぐったくて彼を振り払うように悶えていると、ジェーンが私の動きを押さえようと肩を掴んできた。


「ちょっと!まだ、待ってってば!」


「……嫌です。実を申さずとも理解して頂けていると推測しますが、私はずっとこの瞬間を待っておりました。もう私に忍耐力は残っておりません。故に、ここで行います。」


「え!?何を!?え!」


 驚いた私は足を拭くのをやめて、振り返り、ジェーンのことを見た。すると何故かジェーンは両手で私の頭を掴み、私を前へと向けさせた。


 そして彼は私の前へと移動してきた。またもや私の肩を掴むと、私のことを床に押し倒した。


 って……本当にここでするの!?何を!?


「な、何をするの!?ジェーン!」


 ジェーンは私の上に覆いかぶさり、私の耳にキスをしながら囁いた。


「何って、とても熱くて、恋人らしいことですよ。我々は恋人ですからね、何でもありです。」


「最初から何でもありではないと思うんだけど……。でも、あの動画みたいなことをするの?いつぞや見た、あの如何いかがわしい動画みたいなこと。」


「ええ。今日がその初めての記念日となりますね、ふふ。」


 ふふ、じゃ無いよ。こっちはいいって言ってないのに。しかもこんな場所で、こんな……まだシャワーだって浴びてないのに。


 しかし彼は本当にここでするつもりらしく、私の首筋に何度もキスをしながら、片手で彼のベストのボタンを取り始めた。


 その仕草はやばい。一気に顔が熱くなった。ほ、本当にするんだ。ついに、この時が来てしまったんだ。床の感触が硬いけど、でもこれはこれで興奮する……!


 つい気になって、彼のお尻に手を置いてみた。そう言えば、これを撫でるのは初めてだった。いつだったか触って実験するって言ってたけど、別のゴタゴタで流れてしまったから……。


 左手で鷲掴みするように彼のお尻を触ると、彼のキスが止まった。しかも謎に柔らかかった。男の人のお尻も柔らかいんだ。もっと好奇心が生まれた私は更に少し揉んでみた。するとジェーンが笑いを漏らした。


「ふふっ……結構、積極的ですね。」


「そ、そうかな。うん、気になったから。」


 別にここは触られても、平気なのかな?ちょっとつまらない気もしてきた。


 ならばと思い、私は優しく撫でることにした。彼のスラックスの素材がお尻の感触と合わさって、とても気持ちいい。それと撫でるようにしてから、ジェーンが腰を揺らすようになった。


「ど、どうしたの?ジェーン。」


 彼が首から離れて私を見つめた。とても潤んだ瞳だったので私は絶句した。


「……キルディア、あまり撫でないで頂きたい。」


「どうして?」


「堪らなくなる。おかしくなりそうです。どうも思考が働かなくて、感覚に支配されています。あなたの力は決して激しいものではなく繊細で優しいものですが、どういう訳か、あなたの指先がとても強い刺激を私に与えています。特に、腰の奥の方に響くような……。」


 ピンポーン


 ……


 ……


 ピンポーン


 私はジェーンを押して体を起こしてから、言った。


「二回も鳴らしてきた。出た方がいい。」

 

 するとジェーンが頬が赤いまま眉を顰めた。


「おばか。この状態でどうして中断出来ますか!もっと私のお尻を触ってください。その先にある世界を確かめたくは無いのですか?今ならそれが実行出来る。あなたはあの激戦を、私のシースルーの先を見たいからと生き延びたのでしょう?もう我々の間には、一欠片の小石だって存在していないのですから!」


「わ、分かったよ、落ち着いて……!出ないよ、出ない。そうだよね、せっかくジェーンとこうして紆余曲折を乗り越えてさ……!」


「そうですとも、そうです。あなたは実に明瞭で正しい回答をしましたことを私が保証いたします。さあ今度は私があなたのお尻を触りますから。」


 向かい合って座ったまま、宣言通りにジェーンが私のお尻を触っている。何だか、変な感じだ。


「なんか……カーゴパンツ越しだけど、ジェーンの手が熱く感じる。」


「あなたの全ての言葉が、たまりません。」


「え、そうなの?ああ……。」


 とその時、ジェーンが私のお尻をギュッと強めに掴んだ。私は無意識に、「うあっ」と上擦った声を出してしまった。


 ジェーンが目を丸くして私を見たと同時に、私のウォッフォンからサンプル二番の電子音が鳴った。


 それは彼女からの着信を知らせるものだった。残念なことに玄関の前にいるのは、ソーライ研究所総務部のあの人みたいだ。私は苦笑いしながら、そのことをジェーンに伝えた。


「玄関にいるのはリンに違いない。一応電話には出てみるよ。その間はお願いだから何もしないでね?」


「はあ……仕方ありませんね。全く。」


 ジェーンはため息を何度も放ちつつ、片膝を立ててシンクに寄り掛かった。私は正座で座り直してから彼女の着信に出た。


『もしもし!夜分遅くにごめんね!家にはもう帰ってるよね?でも中々出ないってことはもしかしてジェーンとふふっ……ウケるんですけど!』


「酷いよリン。確かに知っている顔同士がいちゃついているのを想像するのは耐えられない所業だけどさ……クラースさんとケイト先生とか。」


『分かる!二人は相性がいいとは言いつつもさ、二人とも職場の人間だからねー、なんていうかなんだろうね!もう家族みたいだもんね!想像したく無いって感じだよねー!』


「まあそう言ったら、あんたとラブ博士もだけどね。」


『ええ!?何言ってんの!?我々は美男美女カップルなんだから、それはもう想像するのだって逆に目の保養的な癒しを与えるに違いないのに!』


 するとジェーンがいきなり私のウォッフォンをべしんと叩いて通話を消してしまった。その顔はかなりムッとしている。


「……話が長いです。相手の時間を無意味に奪うことこそ、この世の一番の罪です。大体、リンの目的は何でしょうか?私とキルディアがそういうことをしているのが耐えられないとでも、わざわざ言いに訪れたのでしょうか?そうならば何とくだらない人生でしょう。」


 私はジェーンの隣に移動して、彼の太ももをなだめるように撫でた。


「落ち着いてよジェーン。時間ならいくらでもある。きっとリンはさ、我々がこの世界に帰ってきたから安心したんだけど、でも港は人でいっぱいだったから、遠慮して我々にあまり話しかけられなくて、でもやっぱり話し足りなくて、ここまで来ちゃったんじゃないかな。もう今夜はジェーンの為に時間使うから、ね?」


「そうでしょうか?彼女は港で騒がしく絡んできたではありませんか……しかし、あなたの仰ることも分かりました。彼女はそれでも話し足りなかったのでしょうね。では先程の続きを、今度はベッドで行いましょう。」


 分かりましたって言って置きながらリンのことを流してて私は苦笑いした。


 しかしまあ別に来週にだって研究所で会えるのだし、リンには悪いけど、折角この世界を選んでくれた恋人との時間をゆっくり過ごしたい。テレパシーでリンに謝ることにした。


 私はゴクリと喉を鳴らしてから立ち上がった。ジェーンが私の手を引いて洗面所を出て行き、寝室へと入った。


 そこにあるのはいつもと変わらない黒いベッドだが、今は何だか……こう言ってはなんだが、セクシャルな雰囲気だった。


 私は隣に立っているジェーンに聞いた。


「で、やり方は知ってるの?」


 ジェーンは真顔で答えた。


「基本的には存じ上げております。それ以上のことは二人で模索していくのがいいかと結論付けましたが……動画のように激しいものが好みですか?」


「いや、いやいや!」私は首をブンブン振った。「じっくりゆっくりと二人で模索していこう。それがいい、ね。それがいいよ!」


「ふふ、では寝そべってください。」


「え?」


「視覚から攻めます。」


 お言葉に甘えて私はベッドに仰向けに寝た。すると妖美な微笑みをしたジェーンが私の太腿にまたがってきた。


 ドキドキして眩暈がした。彼のベストはもうボタンが全部開いている。そんな状態は見たことない。


 そして跨ったまま、彼は既に前が開いていたベストの奥にある、白いシャツのボタンをゆっくりと自分で取り始めた。私は体が熱くなった。


 徐々に見えていく彼の肌……。私が瞬きを忘れているとジェーンが笑った。


「ふふ、キルディア。ボタンが全て取れてしまいました。ここからは、あなたが私を脱がせてください。」


「は、はい……!」


 心臓がバクバクうるさい。私は上半身を起こして、震える手先をどうにか誤魔化しながら、ジェーンのベストをゆっくり取ってあげた。


 また目眩がした。興奮しすぎてクラクラするなんて、ドラマの世界だけの現象だと思っていた。


 彼の光沢感のある白いシャツに触れると温かかった。私はそれを掴んだ。


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