49 / 253
混沌たるクラースの船編
49 自己紹介
しおりを挟む
隠そうと思う程に、目が泳いでしまう。そう、私は人に名を教えたくないのだ。それも病気と称したほうがいい程に、強くそう思っている。
人に名前を教えるくらいなら、ユークタワービルの前で全裸になって、ユークアイランド伝統のポレポレダンスを踊った方がマシだ。大勢が見てる前で、ガニ股で左右に揺れながら、腕をクネクネと動かして、波を表現した方がマシなのだ……。そんな私の苦笑いを見たのか、ジェーンもにやりとした。
「ああ、なるほど。私の名はアレクセイ・ジェーン・シードロヴァです。そう言えばあなたは?」
と、ジェーンは隣に座っているアリスに手を差し出した。アリスの上司なら、フルネームぐらい知っているだろうに、ワザとらしい。
「私ですか?私の名はアリス・カイル・アドラーです。あなたは?」
そしてアリスは正面にいる、ケイト先生に手を差し出したのだった。姉妹で名前を聞いてどうする。何この流れは。
「私?私はケイト・レム・アドラーよ。そう言えばあなたは?確かにキリーって、どういう名前だったかしら。気にしたことが無かったわね。」
と、ケイト先生が私に手を差し出した。私は黙った。
「どうしましたか、キルディア。」
ジェーンの質問に答えたくない。どうにか誤魔化そうと口笛を吹こうとしたが、ヒューヒューと息が漏れるだけで、何の音色も出なかった。そう、私は口笛が吹けないのだ。しかもこの行動について、誰も何も反応してくれない。色々な意味で、悲しかった。
皆が、私の発言をじっと待っている。ああ、ここで逃げたとしても、ジェーンに追いつかれるだろうし、たとえ逃げ切っても、研究所のロビーで聞かれるだろう。そうなれば私の本名を知る人が、更に増えてしまう。それは避けたい。観念した私は、ため息をついてから、答えた。
「……キルディア……ルーカス・エリオット」
アリスが、がっかりした表情をした。
「ハァ~!?何だ、普通だし!」
「べ、別に普通だよ。」
「いつもあまり言いたそうじゃないから、反対性のミドルネームが変なのだと思ったのに~つまんないの。」
つまんないって言われても仕方ない……そして、ケイト先生がジェーンをに聞いた。
「ジェーンは反対性の名前で呼ばれることに対してこう、抵抗感は無いのかしら?」
「私はありません。アレクセイよりジェーンの方が、発音が簡単で効率的です。まあミドルネームに異性の名前を付けるようになったのは、元々男女平等を謳い、義務化されたものですから、どちらで呼ばれても私は構いません。」
「まあ」アリスがジェーンを見て、羨ましそうに口を尖らせた。「ジェーンはちょっと中性的な雰囲気の名前だし、それでもいいと思う。でも私はカイルだからな~。」
両手を後ろで組んだアリスに、私は少し笑いながら言った。
「海の上で強そうだよね。」
「何それ!ルーカスのくせに~!」
立ち上がったアリスが、テーブルを回り込んで私の方へ向かって来て、手のひらで私の体を何度も叩いてきた。笑いながら彼女の攻撃受けて、私は何度か謝った。しかしそれでも、ベシベシと叩き続けてくるので、今度は私がアリスを襲い返して、軽くベシベシを背中を叩いたら、彼女は笑った。
その日の夜、私はリビングのソファで、ジェーンの本棚から適当に抜き取ってきた、『動力学の発展』という題名の本を読んでいた。ジェーンの本は読んでいると眠くなるので、寝る前には丁度いい。
一度目を通しただけでは意味が理解出来ず、何度も同じ行を繰り返し読んでいると、それが眼球の反復運動になって、コインの催眠術をされているが如く、頭がぼーっとして眠気が襲ってくるのだ。
しかし、折角舞い降りてきた眠気は、隣にドスンと勢いよく座った、パジャマ姿のジェーンによって遮られてしまった。折角眠れそうだったのに、頭はシャキッとしてしまった。
「キルディア、一つ質問です。どうして反対性の名や、ファミリーネームを内緒にしていたのですか?それも昔から仲のいい、アリス達にも。」
本を閉じて、鼻でため息をついた。この話をするのはいつも、複雑な気持ちを伴ってしまう。思い出したくない記憶、それ程に、胸を苦しめるものは他にない。
「……小さい頃、ルーカスっていう名前で、からかわれたことがあるだけだよ。それを今でも引きずってるだけ。大した理由じゃない。」
「そうでしたか……」ジェーンの目が、一瞬見開かれた。「私は何も、変だとは思いません。この言葉が慰めになるか、分かりませんが。」
まさかあのジェーンが、私を慰めてくれるとは思っていなかった。つい嬉しくなり、私は微笑んだ。
「ありがとう、ジェーン。たまに優しいよね……そうだ、ジェーンは何処の出身なの?今日ほら、昔の話をしていたから、ふと思って。」
ジェーンは少しだけ笑みをこぼして応えた。
「灯の雪原です。」
「えっ。」
その場所は、今はもう海の底に沈んだ、雪原地帯の街だった。
「今となってはただの海です。しかし歴史というものは、そういうものです。遥か未来に、自分の故郷がそっくりそのまま残っている確率の方が、意外と低いのかもしれないと、ここに来た時はそう考えました。」
「ジェーンは……家族はいるの?その、奥さん以外に。」
「何度も言いますが、カタリーナは確かに妻ですが、政略結婚です。夫婦という間柄ではありますが、我々は別々に生活をしていますし、互いに干渉をしません。その点では家族とは言えないのかもしれません。他には妹がいます。両親は早くに亡くなりました。まあ、私も三十一ですから、色々とあります。」
「え?ちょっと待って。まずカタリーナさんは、どんな形であれ妻だし、折角だから家族ってことでいいんじゃないかなと私は思う。次に妹さんがいるんだ、へえ~ジェーンに似て美人なのかな。一番気になったのは、ジェーンの年齢なんだけど、三十一って本当なの?」
「嘘をついてどうしますか。ああ、なるほど。正確に言いますと、私は二千「そういうことじゃなくて、生まれてから純粋に三十一年なの?」
「はいそうですが。因みにあなたは?」
「……二十五。」
「なるほど、予想より年下でした。」
本当になんなんだろう、この人は。どうして何処までも私を、さらっと苦しめることが出来るのだろう。逆に私に対してリスペクトどころか、恨みでも持ち合わせているんじゃなかろうか。そうとしか思えない私は、怒りのこもった、ため息をついた。
「はぁ!……もういいよ!もう寝るから。」
「おや、どうしましたか?今の私の発言を気にしてなさるのでしょうか。いえ、いい意味ですよ。」
「そう言えば、どうにかなるって思ってるんでしょ!全く、ジェーンがお兄さんなんだから、妹さんは、さぞ大変でしょうね!」
「はっはっは!」
初めてジェーンが大声で笑ったのを見た私は、つい体をビクッとさせてしまった。わ、笑うんだ。そりゃそうか、忘れていたが、彼も人間だったのだ。人は面白いことがあったら笑うよね、そうだよね。
ハァ……と、笑いの余韻を残す彼をソファに置いて、一人でヤシの木ガラのカーテンの部屋に向かった。この奇妙な一日を終わらす為に、早々と布団に潜った。
人に名前を教えるくらいなら、ユークタワービルの前で全裸になって、ユークアイランド伝統のポレポレダンスを踊った方がマシだ。大勢が見てる前で、ガニ股で左右に揺れながら、腕をクネクネと動かして、波を表現した方がマシなのだ……。そんな私の苦笑いを見たのか、ジェーンもにやりとした。
「ああ、なるほど。私の名はアレクセイ・ジェーン・シードロヴァです。そう言えばあなたは?」
と、ジェーンは隣に座っているアリスに手を差し出した。アリスの上司なら、フルネームぐらい知っているだろうに、ワザとらしい。
「私ですか?私の名はアリス・カイル・アドラーです。あなたは?」
そしてアリスは正面にいる、ケイト先生に手を差し出したのだった。姉妹で名前を聞いてどうする。何この流れは。
「私?私はケイト・レム・アドラーよ。そう言えばあなたは?確かにキリーって、どういう名前だったかしら。気にしたことが無かったわね。」
と、ケイト先生が私に手を差し出した。私は黙った。
「どうしましたか、キルディア。」
ジェーンの質問に答えたくない。どうにか誤魔化そうと口笛を吹こうとしたが、ヒューヒューと息が漏れるだけで、何の音色も出なかった。そう、私は口笛が吹けないのだ。しかもこの行動について、誰も何も反応してくれない。色々な意味で、悲しかった。
皆が、私の発言をじっと待っている。ああ、ここで逃げたとしても、ジェーンに追いつかれるだろうし、たとえ逃げ切っても、研究所のロビーで聞かれるだろう。そうなれば私の本名を知る人が、更に増えてしまう。それは避けたい。観念した私は、ため息をついてから、答えた。
「……キルディア……ルーカス・エリオット」
アリスが、がっかりした表情をした。
「ハァ~!?何だ、普通だし!」
「べ、別に普通だよ。」
「いつもあまり言いたそうじゃないから、反対性のミドルネームが変なのだと思ったのに~つまんないの。」
つまんないって言われても仕方ない……そして、ケイト先生がジェーンをに聞いた。
「ジェーンは反対性の名前で呼ばれることに対してこう、抵抗感は無いのかしら?」
「私はありません。アレクセイよりジェーンの方が、発音が簡単で効率的です。まあミドルネームに異性の名前を付けるようになったのは、元々男女平等を謳い、義務化されたものですから、どちらで呼ばれても私は構いません。」
「まあ」アリスがジェーンを見て、羨ましそうに口を尖らせた。「ジェーンはちょっと中性的な雰囲気の名前だし、それでもいいと思う。でも私はカイルだからな~。」
両手を後ろで組んだアリスに、私は少し笑いながら言った。
「海の上で強そうだよね。」
「何それ!ルーカスのくせに~!」
立ち上がったアリスが、テーブルを回り込んで私の方へ向かって来て、手のひらで私の体を何度も叩いてきた。笑いながら彼女の攻撃受けて、私は何度か謝った。しかしそれでも、ベシベシと叩き続けてくるので、今度は私がアリスを襲い返して、軽くベシベシを背中を叩いたら、彼女は笑った。
その日の夜、私はリビングのソファで、ジェーンの本棚から適当に抜き取ってきた、『動力学の発展』という題名の本を読んでいた。ジェーンの本は読んでいると眠くなるので、寝る前には丁度いい。
一度目を通しただけでは意味が理解出来ず、何度も同じ行を繰り返し読んでいると、それが眼球の反復運動になって、コインの催眠術をされているが如く、頭がぼーっとして眠気が襲ってくるのだ。
しかし、折角舞い降りてきた眠気は、隣にドスンと勢いよく座った、パジャマ姿のジェーンによって遮られてしまった。折角眠れそうだったのに、頭はシャキッとしてしまった。
「キルディア、一つ質問です。どうして反対性の名や、ファミリーネームを内緒にしていたのですか?それも昔から仲のいい、アリス達にも。」
本を閉じて、鼻でため息をついた。この話をするのはいつも、複雑な気持ちを伴ってしまう。思い出したくない記憶、それ程に、胸を苦しめるものは他にない。
「……小さい頃、ルーカスっていう名前で、からかわれたことがあるだけだよ。それを今でも引きずってるだけ。大した理由じゃない。」
「そうでしたか……」ジェーンの目が、一瞬見開かれた。「私は何も、変だとは思いません。この言葉が慰めになるか、分かりませんが。」
まさかあのジェーンが、私を慰めてくれるとは思っていなかった。つい嬉しくなり、私は微笑んだ。
「ありがとう、ジェーン。たまに優しいよね……そうだ、ジェーンは何処の出身なの?今日ほら、昔の話をしていたから、ふと思って。」
ジェーンは少しだけ笑みをこぼして応えた。
「灯の雪原です。」
「えっ。」
その場所は、今はもう海の底に沈んだ、雪原地帯の街だった。
「今となってはただの海です。しかし歴史というものは、そういうものです。遥か未来に、自分の故郷がそっくりそのまま残っている確率の方が、意外と低いのかもしれないと、ここに来た時はそう考えました。」
「ジェーンは……家族はいるの?その、奥さん以外に。」
「何度も言いますが、カタリーナは確かに妻ですが、政略結婚です。夫婦という間柄ではありますが、我々は別々に生活をしていますし、互いに干渉をしません。その点では家族とは言えないのかもしれません。他には妹がいます。両親は早くに亡くなりました。まあ、私も三十一ですから、色々とあります。」
「え?ちょっと待って。まずカタリーナさんは、どんな形であれ妻だし、折角だから家族ってことでいいんじゃないかなと私は思う。次に妹さんがいるんだ、へえ~ジェーンに似て美人なのかな。一番気になったのは、ジェーンの年齢なんだけど、三十一って本当なの?」
「嘘をついてどうしますか。ああ、なるほど。正確に言いますと、私は二千「そういうことじゃなくて、生まれてから純粋に三十一年なの?」
「はいそうですが。因みにあなたは?」
「……二十五。」
「なるほど、予想より年下でした。」
本当になんなんだろう、この人は。どうして何処までも私を、さらっと苦しめることが出来るのだろう。逆に私に対してリスペクトどころか、恨みでも持ち合わせているんじゃなかろうか。そうとしか思えない私は、怒りのこもった、ため息をついた。
「はぁ!……もういいよ!もう寝るから。」
「おや、どうしましたか?今の私の発言を気にしてなさるのでしょうか。いえ、いい意味ですよ。」
「そう言えば、どうにかなるって思ってるんでしょ!全く、ジェーンがお兄さんなんだから、妹さんは、さぞ大変でしょうね!」
「はっはっは!」
初めてジェーンが大声で笑ったのを見た私は、つい体をビクッとさせてしまった。わ、笑うんだ。そりゃそうか、忘れていたが、彼も人間だったのだ。人は面白いことがあったら笑うよね、そうだよね。
ハァ……と、笑いの余韻を残す彼をソファに置いて、一人でヤシの木ガラのカーテンの部屋に向かった。この奇妙な一日を終わらす為に、早々と布団に潜った。
0
あなたにおすすめの小説
【完結】 異世界に転生したと思ったら公爵令息の4番目の婚約者にされてしまいました。……はあ?
はくら(仮名)
恋愛
ある日、リーゼロッテは前世の記憶と女神によって転生させられたことを思い出す。当初は困惑していた彼女だったが、とにかく普段通りの生活と学園への登校のために外に出ると、その通学路の途中で貴族のヴォクス家の令息に見初められてしまい婚約させられてしまう。そしてヴォクス家に連れられていってしまった彼女が聞かされたのは、自分が4番目の婚約者であるという事実だった。
※本作は別ペンネームで『小説家になろう』にも掲載しています。
偉物騎士様の裏の顔~告白を断ったらムカつく程に執着されたので、徹底的に拒絶した結果~
甘寧
恋愛
「結婚を前提にお付き合いを─」
「全力でお断りします」
主人公であるティナは、園遊会と言う公の場で色気と魅了が服を着ていると言われるユリウスに告白される。
だが、それは罰ゲームで言わされていると言うことを知っているティナは即答で断りを入れた。
…それがよくなかった。プライドを傷けられたユリウスはティナに執着するようになる。そうティナは解釈していたが、ユリウスの本心は違う様で…
一方、ユリウスに関心を持たれたティナの事を面白くないと思う令嬢がいるのも必然。
令嬢達からの嫌がらせと、ユリウスの病的までの執着から逃げる日々だったが……
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
【完結】番である私の旦那様
桜もふ
恋愛
異世界であるミーストの世界最強なのが黒竜族!
黒竜族の第一皇子、オパール・ブラック・オニキス(愛称:オール)の番をミースト神が異世界転移させた、それが『私』だ。
バールナ公爵の元へ養女として出向く事になるのだが、1人娘であった義妹が最後まで『自分』が黒竜族の番だと思い込み、魅了の力を使って男性を味方に付け、なにかと嫌味や嫌がらせをして来る。
オールは政務が忙しい身ではあるが、溺愛している私の送り迎えだけは必須事項みたい。
気が抜けるほど甘々なのに、義妹に邪魔されっぱなし。
でも神様からは特別なチートを貰い、世界最強の黒竜族の番に相応しい子になろうと頑張るのだが、なぜかディロ-ルの侯爵子息に学園主催の舞踏会で「お前との婚約を破棄する!」なんて訳の分からない事を言われるし、義妹は最後の最後まで頭お花畑状態で、オールを手に入れようと男の元を転々としながら、絡んで来ます!(鬱陶しいくらい来ます!)
大好きな乙女ゲームや異世界の漫画に出てくる「私がヒロインよ!」な頭の変な……じゃなかった、変わった義妹もいるし、何と言っても、この世界の料理はマズイ、不味すぎるのです!
神様から貰った、特別なスキルを使って異世界の皆と地球へ行き来したり、地球での家族と異世界へ行き来しながら、日本で得た知識や得意な家事(食事)などを、この世界でオールと一緒に自由にのんびりと生きて行こうと思います。
前半は転移する前の私生活から始まります。
【完結】家族に愛されなかった辺境伯の娘は、敵国の堅物公爵閣下に攫われ真実の愛を知る
水月音子
恋愛
辺境を守るティフマ城の城主の娘であるマリアーナは、戦の代償として隣国の敵将アルベルトにその身を差し出した。
婚約者である第四王子と、父親である城主が犯した国境侵犯という罪を、自分の命でもって償うためだ。
だが――
「マリアーナ嬢を我が国に迎え入れ、現国王の甥である私、アルベルト・ルーベンソンの妻とする」
そう宣言されてマリアーナは隣国へと攫われる。
しかし、ルーベンソン公爵邸にて差し出された婚約契約書にある一文に疑念を覚える。
『婚約期間中あるいは婚姻後、子をもうけた場合、性別を問わず健康な子であれば、婚約もしくは結婚の継続の自由を委ねる』
さらには家庭教師から“精霊姫”の話を聞き、アルベルトの側近であるフランからも詳細を聞き出すと、自分の置かれた状況を理解する。
かつて自国が攫った“精霊姫”の血を継ぐマリアーナ。
そのマリアーナが子供を産めば、自分はもうこの国にとって必要ない存在のだ、と。
そうであれば、早く子を産んで身を引こう――。
そんなマリアーナの思いに気づかないアルベルトは、「婚約中に子を産み、自国へ戻りたい。結婚して公爵様の経歴に傷をつける必要はない」との彼女の言葉に激昂する。
アルベルトはアルベルトで、マリアーナの知らないところで実はずっと昔から、彼女を妻にすると決めていた。
ふたりは互いの立場からすれ違いつつも、少しずつ心を通わせていく。
【完結】モブのメイドが腹黒公爵様に捕まりました
ベル
恋愛
皆さまお久しぶりです。メイドAです。
名前をつけられもしなかった私が主人公になるなんて誰が思ったでしょうか。
ええ。私は今非常に困惑しております。
私はザーグ公爵家に仕えるメイド。そして奥様のソフィア様のもと、楽しく時に生温かい微笑みを浮かべながら日々仕事に励んでおり、平和な生活を送らせていただいておりました。
...あの腹黒が現れるまでは。
『無口な旦那様は妻が可愛くて仕方ない』のサイドストーリーです。
個人的に好きだった二人を今回は主役にしてみました。
ワンチャンあるかな、って転生先で推しにアタックしてるのがこちらの令嬢です
山口三
恋愛
恋愛ゲームの世界に転生した主人公。中世異世界のアカデミーを中心に繰り広げられるゲームだが、大好きな推しを目の前にして、ついつい欲が出てしまう。「私が転生したキャラは主人公じゃなくて、たたのモブ悪役。どうせ攻略対象の相手にはフラれて婚約破棄されるんだから・・・」
ひょんな事からクラスメイトのアロイスと協力して、主人公は推し様と、アロイスはゲームの主人公である聖女様との相思相愛を目指すが・・・。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる