LOZ:彼は無感情で理性的だけど不器用な愛をくれる

meishino

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全員集合!レジスタンス編

131 あの人からの着信

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 レジスタンスとエストリー、それに我々の仲間になってくれた元新光騎士団の皆が、ユークに向かってブレイブホースで去った後、我々四人は静かになった神殿の門の前で、ブレイブホースを止めて色々と話し合った。リンが優しく微笑みかけながら、私に話しかけた。

「でも不思議なことにさ、エストリーとちょっとやり合っただけで、新光騎士団が逃げ始めたよね、本当はそんなに人数居なかったのに。」

 それに反応したのはクラースさんだった。

「ジェーンがまたフェイクニュースで、めちゃくちゃ人数を盛ったらしいな。確かに、嘘っぽい情報だと思っていたら、本当にその人数で彼らが来たなら驚くしかない。」

 ジェーンは眼鏡をハンカチで拭きながら言った。

「その通りです。実際は最初にユーク側に連絡をした際に、エストリーの方から、これしか兵を割けないと言われた人数が、呆れる程に少なかったので、半ばヤケになりフェイクニュースを作りました。まあ、エストリーの兵士にエストリーのスーツを大量に持ってくるように指示をし、それを迂回して敵を撒いた後のオーウェン隊に着せて、少数エストリーに合流させ、そのニュースがあたかも事実であったように後から活かせたのは大きかった。チェイスは彼らを見て、本当にあの人数の射撃部隊、援軍が来たのだと驚いたでしょうね。大量の援軍、更にその場に見失ったオーウェン隊まで合流する恐れがあると知れば、援軍の手配をしていない彼は、確実に逃げると思いました。まあ、手筈通りに物事が進みましたよ。」

 リンが苦笑いしながら言った。

「あ、ああそうだったんだ~。まあそれで、あのニュースを信じて逃げたんだから、良かった良かった。あとさ、新光騎士団の人達が海に飛び込む時にさ、当たり前だけどブレイブホース置いて行ったね。なんか儲かった気分!」

 ジェーンが空を見上げたので、私も空を見た。薄い青色とオレンジ色が、マーブル模様に混ざり合っている。そしてジェーンが言った。

「置き去りにした騎士団のブレイブホースには、位置探査装置が組み込まれていますから、後で改造する必要があります。さて!日が暮れない内に、この神殿にある例の物を取りに行きたいのですが……。」

 私は光の神殿を眺めた。門から内部は小高い丘のようになっていて、そのてっぺんに光の神殿と言われる建物がある。神殿はクリーム色の綺麗な石壁で作られており、遠くから見ても美しい程に、柱は彫刻が施されている。所々崩れているところもあるが、その場所には草花が生えていて、それもまた美しい。

 そして門から中を覗くと、石畳の道の脇には、古代兵器が静かに固まって立っている。刺激を与えたり、敷地内に入って近づくと動き始めるのだ。私は振り向いて、皆に言った。

「やっぱり、一人が行くべきだよ。皆で行くと、音とか気配とかでさ。」

 すると皆が私をじっと見た。どうしてもそれしかないのか?ジェーン、君なら何か思いつくだろう?私はジェーンに聞いた。

「なんで……!ねえ、ジェーン。他に方法無いかな?」

 すると何故かその質問に、クラースさんが私を指差して答えた。

「お前が行って来い。お前がジェーンのことを助けるって、最初に決めたんだから。」

「えっ!?」私はブンブン首を振った。「確かにそれは事実だけど……でも、結構自信ないよ、これ。ここで私が息絶える可能性だってあるよ。」

 するとリンが、奇妙な発言をした。

「大丈夫だよ、そしたらキリーのAIを作って、毎日キリに天気予報を聞くから寂しくない。」

 多分キリとは、私のAIの名前だろう。が、何その対処方法……もう私が死ぬことが前提になっている。しかもジェーンがハッと何か閃いた表情をしている。苦笑いの私は、彼に聞いた。

「ねえジェーン、大丈夫?」

「あ、いえ……その手があったか、と思っておりました。」

「それにさ」私がジェーンに突っ込む前に、間髪入れずにリンが私に言った。「キリー以外の私たちの誰かを代表にする方が、生存確率少ないよ?それに例え一緒に入っても、絶対に足手まといになると胸を張って言えるね。」

 と、得意げな様子で言った。そんな、得意げに言う事でもないだろうに。

 仕方ない、私は少しばかりこの建物の内部の構造を知っているのだ、私が行くのが効率的だろう。それに、仲間を危険な目に遭わせるのは、ギルバートでは無いだろう……。

 私は門を手で押して少し隙間を作り、その隙間に身体を入れて、自分だけ敷地内に入った。振り返ると、門に手を掛けたジェーンが、真顔で私に言った。

「キルディア」

「ん?」

「私の為に、頑張ってくれて、ありがとうございます。」

「いいえ~。パーツ取ってくるから、待っててね。」

「はい」と答えた彼が、目をパチパチと瞬きさせた。ジェーンの為だ、腹をくくろう「帰ったら、ゆっくりと時間をかけて、あの感情の正体を二人で探しましょ「じゃあ行ってくるからね!くれぐれもウォッフォンに連絡して来ないでね!マナーモードにしても電波でバレるからね!」

 私は皆に背を向けて、光の神殿に向かって、石畳の道を歩き始めた。ここからは本当に一人で行動する。兎に角、見つからずにパーツを発見して、それを回収するだけだ。

 私は身を屈ませて、足音を立てずにゆっくり走り始め、道の脇の古代兵器の目視の範囲内に入らないように、避けながら進んだ。すると早速、中庭に着いた。前回ギルドで来た時は、ここまでしか来ていないので、この先は未知である。古代兵器は武器を構えた状態のまま、銅像のように、あちこちで不動で立っている。

「……こわ」

 そう呟き、彼らの目に自分が映らないように、花壇の隙間を匍匐ほふく前進し始めた。よく見ると花壇にはパンジーが生えていた。古代兵器が花の世話をしているのは本当だったんだ、とちょっと感動した。暫く匍匐を続けて中庭ゾーンを通り過ぎると、神殿の入り口が目の前に見えた。

 私が立ち上がった時に、ふと肘当てが思いっきり擦れているのが気になった。それ以外にも、このライダースーツには今までの戦いで受けた傷、今の匍匐で擦れた跡、全身がボロボロだった。

 今回の戦い、ジェーンは隣で応戦していて、私のことを魔術で守ってくれた。それにあの感情の正体だって……あれはきっと我々で見つけるべきなんだ。それを共に行えるのは彼しかいない。その彼の為に、ここは頑張らねば、と静かに気合を入れて、神殿の入り口から少し中を覗いた。

 循環型の古代兵器には、まだ見つかっていない。よし、今だ。私は素早く前転して神殿内に入った。

 そこは古い建物独特の、甘いような匂い、古い土のような、そんな匂いだった。神殿内には屋根が少し壊れた箇所があり、そこから夕日が差し込んでいて、幻想的な明かりになっている。ポストカードにでもしたいくらい、とても綺麗な景色だ。こんな状況でも無ければ。

 私は通路に沿って進んだ。そういえば、この建物はジェーンの頃にもあったらしい。元々はどういう建物だったんだろうか、後で聞いてみようか。そんなことを考えながら進むと、奥の大広間の前に来たので、私は歩みを止めた。

 その場所では古代兵器が一定の間隔でずらっと並んでいた。私は寒気がした。こんなに大人数に一度に攻められたら、確実に終わる自信がある。私はキョロキョロと探した。彼らと戦わなくても、パーツさえあればいいのだ。しかしここには無さそうだった。別の場所へ移動しようと思った時だった。

 きらりと奥の方で、何かが青く光った。もしやと思い、私はくっつく君を天井に投げて、それが天井にくっついたのを確認すると、ワイヤーを短くし、自分の体を宙ぶらりんにして、大広間の奥の方へと目を凝らした。

 すると、奥には天井が崩落していて、瓦礫の山があった。その山の頂に、青く光る例の物があったのだ。

「嘘でしょ……」

 きっとあれに違いない。でもここからあそこまで行くには、地上からだとどうあがいても古代兵器に見つかるので、スパイ映画のように天井をくっつく君で移動するしかない。

 仕方ない、私は自分に付着しているくっつく君のボールを取って、ツールアームの手でワイヤーを掴んだまま、ボールを天井の、もう少し前方に投げた。それは天井にピタッとくっついたので、スイッチで反対側のくっつく君のくっつきを解除して、ぶらんとつたを渡るお猿さんのように移動した。何度も同じことを繰り返して、徐々に近づいていく。

 やっとの思いで瓦礫の山の近くまで来ることが出来た。周りには古代兵器がいないので、ワイヤーを伸ばして片方を天井、もう片方を自分の体に付けて、着地した。よっしゃ今の内だ。私は歩いて瓦礫の山を登った。

「で、でか」

 それは私の片脚くらいある。それに持ってみるとやや重い。しかしこれに違いないだろう。青いその物質は一見石のようだが、耳を当てると機械音がする。モーターのようなシャーッという音がするので、まだ生きているだろう。その青いパーツをどう運ぼうか、少し考えた。

「ふう」

 私はお腹を凹まして、自分のベルトにパーツを挟んだ。少し、いや結構きつくなったけど、これからまた両手が必要になるので仕方ない。そしてワイヤーを短くして、また天井に浮き、くっつく君で移動を開始した。つけては剥がして、つけては剥がしてを繰り返す。

 やっと大広間の真ん中辺りまで来た時だった。私は息を整えながら顔の汗を腕で拭った。少し休んでから、くっつく君をまた動かし始めようとした、その時だった。

 ピピピッ

「え!?」

 私のウォッフォンが鳴ってしまった。そうか、そう言えば、サイレントにしていなかった。それもそうだが、着信よこすなって言ったはずなのに、一体誰がどうして?私は急いでウォッフォンを操作して、止めようとしたが、操作を誤り、逆に電話を取ってしまった。

『あー俺だよオレオレ、もう俺たちの仲なんだからホログラムに表示されてる名前を見ずとも分かるよな?なあ、また戦闘があったみたいだけど大丈夫だったのか?俺は心配でさ、いやキルディアも心配だけど、やっぱ俺としてはジェーン様、うん、ジェーン様が心配でさ!だってまた最前線で戦うなんてかっこいいけど、無茶だけはしないで欲しいってっていうか、まだ聞きたいこといっぱいあるんだもん。そうそう!俺のことジェーン様が着拒にしてるか確認してほしいよ!今日だってもう朝、昼と掛けてるのに全然出な』

 プッ、と漸く切ることに成功した、が……スコピオオオオォォォ!

 ブーーーーン……という起動音と共に、足下の古代兵器の瞳の部分が、赤く光り始めている。他の古代兵器もセンサーが連動しているのか、全て起動してしまった。瞬時に私を確認すると、目からビームを撃ってきた。それも何体も同時に。

「おおおおお!?」

 私はワイヤーを伸ばしながら揺らして、思いっきり反動をつけてぶら下がり、一気にこの場を離れる作戦をとった。ビームが一発、私の頬をかすった。

 勢いをつけて広間を飛んだ私は、その入り口に着地して、すぐに廊下に出て走り始めた。行く手に古代兵器が現れ、通路を塞がれた。

 ここで死ぬわけにはいかないんじゃ!ジェーンとあの海岸沿いの自宅に帰るんじゃ!私は素早く、くっつく君で天井に飛ぶと、そのまま古代兵器を避けて、天井を伝いながら移動した。するとビームが飛んできた。

 ビームは腰に掠り、ライダースーツが溶けた。やばい、この攻撃力はまずい。私は焦って、また降りて走り始めた。なるほど彼らは素早くは無いので、ノミのようにピョンピョン跳ねれば、その高出力ビームもかわせる。

 私は神殿の建物から出た。中庭の古代兵器が、一気に私にビームを放ってきた。飛んで避ける時に、ベルトからパーツが抜け落ちそうになり、私はパーツを両手で抱きしめる体勢に変えた。

 その攻撃を避けきると、私は門に向かって全力疾走した。無我夢中で走るしかなかった。もう両手が塞がっているので、咄嗟の反撃は出来ない。

 遂に門が見えた。門の向こうではブレイブホースに乗ったクラースさんが私を手招いている。その時に私の足が熱くなった。ビームが掠っていた。

「あっつ!あっつ!」

 私はびっこを引きながらもパーツを抱きしめて走った。ドンドンと背後から鈍重な足音が聞こえて、古代兵器に追われているのが分かる。

 クラースさんが門を開けてくれていたので、私はそこから外に出て、クラースさんに青いパーツを投げ渡して、そばにあったブレイブホースに飛び乗り、すぐに発進させた。後ろをチラッと振り向いてみると、すぐそこに古代兵器の手があった。私は捕まる寸前だった。

「危なっ!」

 クラースさんと私のブレイブホースは並走して、跡地の中央通路を進んでいく。少し先に、リンがブレイブホースを運転しているのが見えた。その後ろにはジェーンが座っている。リンはあまり運転したことが無いのか、ブレイブホースの足がブレまくっている。

 後ろを見ると、古代兵器は戦闘エリアの範囲外になったのか、我々を追うことをやめて、神殿の中に帰って行った。私は安堵のため息を漏らした。リン達と合流して皆で走っている中、隣を走っているクラースさんが私に話しかけてきた。

「おい、お前が古代兵器に見つかったのか?途中から急に神殿内が慌ただしくなったから、少し焦ったぞ。」

「違うよ、途中までは完璧に任務をこなしていたのに、グレン研究所の彼から着信があった……」

「そうか……それは災難だったな。」

 クラースさんの言葉が身に染みる。本当だよ、全く!

「しかし」リンの後ろにいるジェーンが言った。「逃げ切れて本当に良かったです。あなたでなければ成し遂げられない仕事でした。ありがとうございます、キルディア。」

「うん、そう言ってくれてありがとう。」

「後で、怪我したかどうか、確認させてください。」

 労いの言葉をくれたジェーンを見ると、彼はブレるブレイブホースの上で、思いっきりリンのことを抱きしめていた。確かに彼は、ブレイブホースに乗るときは相手が誰であろうといつもそうするし、リンの運転に不安になる気持ちも分かる……しかし私は、何故かアクセルを入れて、速度を上げた。

「おい!俺たちはお前みたいにブレイブホースに慣れていないんだ!待て!」

 クラースさんの声が聞こえたので、少し速度を落とした。それでも私が一番先頭で走ることの出来るように、ずっと調節した。何故か、あの二人のことを見ていられなかったのだ。
 
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