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作戦が大事!アクロスブルー編
156 ナイトアーム改
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訓練場のシャワールームを使用した後に、私たち三人はロビーへ向かった。ジェーンの発明を見に研究室に向かっていたが、もうロビーのカウンターのところにジェーンが居た。アリスやリン、それからラブ博士もいて、何やら賑わっている。私たちも彼らの方へ向かい、私は皆に聞いた。
「ねえ、何してるの?」
私の声で、そこに居た皆がこちらを見た。アリスがリンを指差した。
「あ、キリー!ほら見て、ラブ博士がリンさんの短機関銃を改良してくれたらしいよ!」
「へえ……どれ、見せて。」
鼻をユークタワービル程に高くしたリンが、持っていたピンクの短機関銃を私に渡してくれた。持って見たところ、重さに変化は無いし、特に見た目にも目立った変化は無い。私の隣で同じく観察していたクラースさんがラブ博士に聞いた。
「見ただけでは何が変化したのか、分からないな。何の機能が追加されたんだ?」
すると私から銃を奪ったリンが答えた。
「それはですね、こう言う機能です!見た方が早いでしょ!」
リンがテンション上げながら銃のスイッチを入れると、銃身から三つのパーツが離れて飛び、リンの周りをフヨフヨと飛んでいる。だからなんだと言うのだ?私は聞いた。
「……それで?」
「じゃあさキリー、私を攻撃してみて!」
すっごく嫌な予感はする。同じだったのか、クラースさんはアリスをかばうように盾になりながら私から遠ざかり、それを見たロケインとジェーンも私から距離を取った。すっごく嫌な予感はするんだけど、気になる。私は左手で拳を作って、リンに向かって勢いよく飛ばした。
するとリンの周りをフヨフヨと浮いていたパーツから、ダダダダと水属性の銃弾が一斉に飛んできたのだ。私は咄嗟にバックステップで避けたが、パーツは私の動きを読み、的確に仕留めようとしてくる。
「何この自動射撃……ちょっと!リン止めて!」
「あ、そうだった。はーい止めまーす。」
リンが銃のボタンを押すと、私を付け狙ってフヨフヨしていたパーツが大人しくなって、ピンクのお家に帰還した。超疲れた。私は肩で息をしながら、リンに大事なことを言った。
「なるほどね、リン。前線に行こうか。」
「いやいやいや!?」リンは思いっきり首を振った。「私は後方から援護するから!これを使ってる間、結構断続的に魔力を使うから、とっても疲れるもん!無理無理無理!」
カウンターに寄りかかって立っているクラースさんが、疑わしげにリンに聞いた。
「しかしこれはすごいな。自警システムを個人に応用するとは、ありそうでなかったものだ。これを、ラブ博士が付けたのか?ラブ博士が?」
「そうそう!」リンは笑顔で答えた。「博士の得意な自警システムを応用してくれた自動援護システムなんだって!ね、博士!でもちょっとこれ作るのはお高かったらしいけど、博士が奢ってくれたの!ンフフ!」
リンに言われたラブ博士は表情一つ変えず、無言で頷いた。へえ、へええ……何だかいつの間にか、仲が良いじゃないの。どこまで仲がいいのかしら。後でリンに聞いてみようと思ったその時、カウンターの上に私のアームが置いてあるのが見えて、私はそれを指差してジェーンに聞いた。
「それでジェーン、そのアームは何か、もう改良は終わったの?」
「ああ、」ジェーンはアームを私へ持ってきてくれて、私に差し出した。「そうです、改良しました。満足のいく結果が得られましたよ。うまく作動すれば宜しいのですが、どれ、あなた付けて見てくださいませんか?」
アームを受け取り、私はペタッと自分の肩にくっつけた。しかし何も、操作性に変わった所はない。だが、手首のところに見覚えの無いカバーのような箇所がある。それを押せばいいのか?皆が私を見守る中、私はジェーンに聞いた。
「どうすればいいの?」
「もう少し、皆から離れてください。」
私は言われた通りに、皆から離れて立った。隣に来たジェーンが、私のアームの手首のカバーをスライドすると、小さな押し込み式のボタンが現れた。それを彼が押すと、アームのラインが光り始めて、ウィーンと起動音がなり、震えだした。
そして何と次の瞬間、私はアームに大剣を持つことが出来たのだ。それも刀身は光り輝く、まるでオパールで作られたかのようなマーブルの色合いで、重さは全くない。握っている感覚は、義手なので、そもそもない。だが、もう片方の手で触ってみると、剣の質感はしっかりとしていた。何この技術。一瞬で、魔力の塊で出来た大剣が現れた。
「これは……?」
「変次元装置を応用し、あなたの魔力を使用して、大剣を出現させております。この大剣は重さは無いので、まるで指先のように、いとも簡単に振れますが、切れ味は研ぎ澄まされた鋼のように確かなものです。」
そんなこと出来るのか?私はジェーンからも離れて、試しに軽く振ってみた。彼の話した通り、私の身長以上もある大きな劔は、体を力ませなくても、いとも簡単にブンと音を立てて振ることが出来た。皆がぽかんとした顔で私を見ている、私もぽかんとしている。するとクラースさんが吃りながら言った。
「こ、これは……一騎当千と言っても過言では無いくらいに、戦場で活躍しそうだな。」
アリスが私に近寄って来て、まじまじと光の大剣を観察し始めた。
「でもこれ、どうして光属性なんだろう?確かキリーは闇属性だよね、ギルバート騎士団長だし。だから、キリーの魔力を使うのなら、闇のパープル色の大剣になるんじゃないのかな?」
その問いに、ジェーンが眼鏡を中指で押し上げながら答えた。
「ええ、理論上はアリスの言ったことは正しいでしょう。しかしこのアームには特殊な細工をしました。簡単に説明すると、私のプレーンを参考にした、プレーンのフィルターを入れたのです。それが大剣の魔力の動力源ともなり、この光は私の属性が反映されています。このアームの主電力もほんの僅かですが、キルディアの魔力を使っています。それも、ここに埋め込まれたプレーンもどきが作用しているので、時々アームのラインに光の筋が通るように見えます。」
アリスの隣に来たのはラブ博士だった。彼は興味深くアームを触り、眺めながら言った。
「なるほど……ジェーンのプレーン媒体を利用して、アームが作用するのか。しかし、プレーンのコピーをすれば、その人物の身体に影響があるはずではなかったか?」
「そうですね、確かに私の方では、もう殆ど自発的に魔力を使えません。」
私は驚いてジェーンを見た。彼にはもう殆ど魔力が戻っていない!?それが意味するのは、近い将来彼は死ぬという事実しか頭に浮かばなかった。一度プレーンを埋め込まれた以上、我々は魔力がなければ体を保つことが出来ない。しかしジェーンにはもうそれが無いのだ。私は言葉を無くして首を振ったが、ジェーンは私に微笑んだ。
微笑んでる場合じゃ無いでしょうが!手首のボタンを押して大剣を消すと、私は両手でジェーンの腕を掴んだ。
「な、何を勝手な事しているの、ジェーン!そんなことをしていたなんて、そんな、身体に影響を及ぼすほど魔力を使う研究なんか、私が許可するわけないでしょう!?」
「ええ、それを知れば、あなたは私を止めたでしょう。まあお聞きください、このアームの力を最大限に発揮出来る方法、私はそれしかないと考えました。あなたはお強い。そのあなたが重さの無い大剣を手に入れれば、LOZにとって大きな力となります。このアームはあなたを、皆を、守ってくれるでしょう。私一人が細々とした魔力を抱えているよりも、このアームの中で働いてくれる方が余程、効率的なのです。」
「ジェーン、そうではない。あなたの身体はどうなる!?魔力が無いと身体が保てないでしょう?私はそれを心配しているの!」
「ああ、そちらでしたか。それも、身体を保つくらいの魔力は私の中に残っております。自分が死んでは意味がありませんからね。ですから、プレーンをコピーしたというよりは、改造した、と話した方が的確でした。」
ラブ博士が思案顔で言った。
「……なるほど。今となっては繊細な、プレーンをどうにかする技術なんて夢のまた夢、この世には存在しない。しかし、ジェーンの時代ではまだプレーン自体が……。」
ジェーンが頷いた。
「そうです。プレーンの構造が、今と比べてシンプルなものです。今の時代のプレーンを同じ技術で利用すれば、今回と同じように上手くはいかなかったでしょう。」
私はアームを眺めた。このライン、この腕の中には、彼由来の動力源がある。そんな、身を削ってまで、改造してくれるなんて、そんな事。とても苦しかった。
「……でも。」
私の心情を察したのか、ジェーンが私の肩に優しくポンと手を置いてくれた。
「いいのです。あなたは私のたった一人の掛け替えのない存在。これは私からのお土産とでも、思ってください。」
その言葉だって、この状態だって、とても胸が痛い。でも私はこのアームを持てていることを噛み締めて、頷いた。
「ありがとうジェーン、こんなに素晴らしいアームを作ってくれて。」
「いいえ。」
リンが聞いた。
「じゃあそのアームはなんて呼ぶの?ジェーンアーム?」
直球な案に、皆が苦笑いをした。私がジェーンを見ると、ジェーンはそれは考えていなかったようで、思案顔になり、少ししてからポツリと言った。
「私は……そうですね。普通にナイトアームでいいのではないでしょうか?大剣が出ますし戦闘用のアームです。それにキルディアは元々騎士でした。」
皆が納得したようで拍手をした。私は皆が見つめる中、ナイトアームをぎゅっと抱きしめた。
「ねえ、何してるの?」
私の声で、そこに居た皆がこちらを見た。アリスがリンを指差した。
「あ、キリー!ほら見て、ラブ博士がリンさんの短機関銃を改良してくれたらしいよ!」
「へえ……どれ、見せて。」
鼻をユークタワービル程に高くしたリンが、持っていたピンクの短機関銃を私に渡してくれた。持って見たところ、重さに変化は無いし、特に見た目にも目立った変化は無い。私の隣で同じく観察していたクラースさんがラブ博士に聞いた。
「見ただけでは何が変化したのか、分からないな。何の機能が追加されたんだ?」
すると私から銃を奪ったリンが答えた。
「それはですね、こう言う機能です!見た方が早いでしょ!」
リンがテンション上げながら銃のスイッチを入れると、銃身から三つのパーツが離れて飛び、リンの周りをフヨフヨと飛んでいる。だからなんだと言うのだ?私は聞いた。
「……それで?」
「じゃあさキリー、私を攻撃してみて!」
すっごく嫌な予感はする。同じだったのか、クラースさんはアリスをかばうように盾になりながら私から遠ざかり、それを見たロケインとジェーンも私から距離を取った。すっごく嫌な予感はするんだけど、気になる。私は左手で拳を作って、リンに向かって勢いよく飛ばした。
するとリンの周りをフヨフヨと浮いていたパーツから、ダダダダと水属性の銃弾が一斉に飛んできたのだ。私は咄嗟にバックステップで避けたが、パーツは私の動きを読み、的確に仕留めようとしてくる。
「何この自動射撃……ちょっと!リン止めて!」
「あ、そうだった。はーい止めまーす。」
リンが銃のボタンを押すと、私を付け狙ってフヨフヨしていたパーツが大人しくなって、ピンクのお家に帰還した。超疲れた。私は肩で息をしながら、リンに大事なことを言った。
「なるほどね、リン。前線に行こうか。」
「いやいやいや!?」リンは思いっきり首を振った。「私は後方から援護するから!これを使ってる間、結構断続的に魔力を使うから、とっても疲れるもん!無理無理無理!」
カウンターに寄りかかって立っているクラースさんが、疑わしげにリンに聞いた。
「しかしこれはすごいな。自警システムを個人に応用するとは、ありそうでなかったものだ。これを、ラブ博士が付けたのか?ラブ博士が?」
「そうそう!」リンは笑顔で答えた。「博士の得意な自警システムを応用してくれた自動援護システムなんだって!ね、博士!でもちょっとこれ作るのはお高かったらしいけど、博士が奢ってくれたの!ンフフ!」
リンに言われたラブ博士は表情一つ変えず、無言で頷いた。へえ、へええ……何だかいつの間にか、仲が良いじゃないの。どこまで仲がいいのかしら。後でリンに聞いてみようと思ったその時、カウンターの上に私のアームが置いてあるのが見えて、私はそれを指差してジェーンに聞いた。
「それでジェーン、そのアームは何か、もう改良は終わったの?」
「ああ、」ジェーンはアームを私へ持ってきてくれて、私に差し出した。「そうです、改良しました。満足のいく結果が得られましたよ。うまく作動すれば宜しいのですが、どれ、あなた付けて見てくださいませんか?」
アームを受け取り、私はペタッと自分の肩にくっつけた。しかし何も、操作性に変わった所はない。だが、手首のところに見覚えの無いカバーのような箇所がある。それを押せばいいのか?皆が私を見守る中、私はジェーンに聞いた。
「どうすればいいの?」
「もう少し、皆から離れてください。」
私は言われた通りに、皆から離れて立った。隣に来たジェーンが、私のアームの手首のカバーをスライドすると、小さな押し込み式のボタンが現れた。それを彼が押すと、アームのラインが光り始めて、ウィーンと起動音がなり、震えだした。
そして何と次の瞬間、私はアームに大剣を持つことが出来たのだ。それも刀身は光り輝く、まるでオパールで作られたかのようなマーブルの色合いで、重さは全くない。握っている感覚は、義手なので、そもそもない。だが、もう片方の手で触ってみると、剣の質感はしっかりとしていた。何この技術。一瞬で、魔力の塊で出来た大剣が現れた。
「これは……?」
「変次元装置を応用し、あなたの魔力を使用して、大剣を出現させております。この大剣は重さは無いので、まるで指先のように、いとも簡単に振れますが、切れ味は研ぎ澄まされた鋼のように確かなものです。」
そんなこと出来るのか?私はジェーンからも離れて、試しに軽く振ってみた。彼の話した通り、私の身長以上もある大きな劔は、体を力ませなくても、いとも簡単にブンと音を立てて振ることが出来た。皆がぽかんとした顔で私を見ている、私もぽかんとしている。するとクラースさんが吃りながら言った。
「こ、これは……一騎当千と言っても過言では無いくらいに、戦場で活躍しそうだな。」
アリスが私に近寄って来て、まじまじと光の大剣を観察し始めた。
「でもこれ、どうして光属性なんだろう?確かキリーは闇属性だよね、ギルバート騎士団長だし。だから、キリーの魔力を使うのなら、闇のパープル色の大剣になるんじゃないのかな?」
その問いに、ジェーンが眼鏡を中指で押し上げながら答えた。
「ええ、理論上はアリスの言ったことは正しいでしょう。しかしこのアームには特殊な細工をしました。簡単に説明すると、私のプレーンを参考にした、プレーンのフィルターを入れたのです。それが大剣の魔力の動力源ともなり、この光は私の属性が反映されています。このアームの主電力もほんの僅かですが、キルディアの魔力を使っています。それも、ここに埋め込まれたプレーンもどきが作用しているので、時々アームのラインに光の筋が通るように見えます。」
アリスの隣に来たのはラブ博士だった。彼は興味深くアームを触り、眺めながら言った。
「なるほど……ジェーンのプレーン媒体を利用して、アームが作用するのか。しかし、プレーンのコピーをすれば、その人物の身体に影響があるはずではなかったか?」
「そうですね、確かに私の方では、もう殆ど自発的に魔力を使えません。」
私は驚いてジェーンを見た。彼にはもう殆ど魔力が戻っていない!?それが意味するのは、近い将来彼は死ぬという事実しか頭に浮かばなかった。一度プレーンを埋め込まれた以上、我々は魔力がなければ体を保つことが出来ない。しかしジェーンにはもうそれが無いのだ。私は言葉を無くして首を振ったが、ジェーンは私に微笑んだ。
微笑んでる場合じゃ無いでしょうが!手首のボタンを押して大剣を消すと、私は両手でジェーンの腕を掴んだ。
「な、何を勝手な事しているの、ジェーン!そんなことをしていたなんて、そんな、身体に影響を及ぼすほど魔力を使う研究なんか、私が許可するわけないでしょう!?」
「ええ、それを知れば、あなたは私を止めたでしょう。まあお聞きください、このアームの力を最大限に発揮出来る方法、私はそれしかないと考えました。あなたはお強い。そのあなたが重さの無い大剣を手に入れれば、LOZにとって大きな力となります。このアームはあなたを、皆を、守ってくれるでしょう。私一人が細々とした魔力を抱えているよりも、このアームの中で働いてくれる方が余程、効率的なのです。」
「ジェーン、そうではない。あなたの身体はどうなる!?魔力が無いと身体が保てないでしょう?私はそれを心配しているの!」
「ああ、そちらでしたか。それも、身体を保つくらいの魔力は私の中に残っております。自分が死んでは意味がありませんからね。ですから、プレーンをコピーしたというよりは、改造した、と話した方が的確でした。」
ラブ博士が思案顔で言った。
「……なるほど。今となっては繊細な、プレーンをどうにかする技術なんて夢のまた夢、この世には存在しない。しかし、ジェーンの時代ではまだプレーン自体が……。」
ジェーンが頷いた。
「そうです。プレーンの構造が、今と比べてシンプルなものです。今の時代のプレーンを同じ技術で利用すれば、今回と同じように上手くはいかなかったでしょう。」
私はアームを眺めた。このライン、この腕の中には、彼由来の動力源がある。そんな、身を削ってまで、改造してくれるなんて、そんな事。とても苦しかった。
「……でも。」
私の心情を察したのか、ジェーンが私の肩に優しくポンと手を置いてくれた。
「いいのです。あなたは私のたった一人の掛け替えのない存在。これは私からのお土産とでも、思ってください。」
その言葉だって、この状態だって、とても胸が痛い。でも私はこのアームを持てていることを噛み締めて、頷いた。
「ありがとうジェーン、こんなに素晴らしいアームを作ってくれて。」
「いいえ。」
リンが聞いた。
「じゃあそのアームはなんて呼ぶの?ジェーンアーム?」
直球な案に、皆が苦笑いをした。私がジェーンを見ると、ジェーンはそれは考えていなかったようで、思案顔になり、少ししてからポツリと言った。
「私は……そうですね。普通にナイトアームでいいのではないでしょうか?大剣が出ますし戦闘用のアームです。それにキルディアは元々騎士でした。」
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