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救え!夜明けの炎と光編
182 ヴィノクール湖のほとり
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ユークアイランドから何日もかけて航海をし、タマラに到着し、そこからはブレイブホースを使って、水の都ヴィノクールへ赴いた。LOZの兵達は各地で次々に合流していき、ヴィノクール湖に着く頃には、大軍へと変貌を遂げた。
湖に着いた頃には、夜更けに近く、その日はそこで晩を明かすことに決めた。遠距離の移動で疲労も溜まっており、兵も、私も、まだ傷の残るキルディアも、休む必要があった。
LOZの本隊は明朝、このヴィノクール湖に繋がっている、ナディア川の上流に進み、ルミネラ山道とハウリバー山道の分岐点となる、キャンプ場に陣を置く予定だ。そこが私とマクレガーが待機する本陣になる。
そのキャンプ場から二手に分かれる山道を上がれば、途中で山道が合流する地点があり、それから上はイスレ山道に名前が変わる。そして更に、イスレ山道を登っていくと、イスレ山休憩地点の近くに、収容施設がある。狙いは其処だ。
早速今夜は、久々に目前に収めることの出来た、雄大な湖のそばで、我々はテントを張り、宿の支度を進めていた。途中からヴィノクールの民が手を貸してくれ、更にはご好意で海鮮料理をご馳走してくれた。折角用意してくれたものを、私は大きな岩に座りながら、美味しく頂いた。
食事の際、兵達は戦いを前にしているにも関わらず、楽しげな様子で語らいでいた。酒こそはやはり無いが、それだけ互いを信頼しているのだろう、いい雰囲気だ。その良い雰囲気は、士気の上昇に繋がるだろう。しかし私の心は、鬱々としていた。
原因はキルディアである。あの夜、何たる光栄な事か、私は彼女から口付けを与えられた。その後、彼女はすぐに眠ってしまい、確かに、ケイトから聞いていた事を思い出した。彼女は痛み止めを飲んでいて、その中に睡眠薬の成分も入っていたのだ。それできっと彼女は、すぐに眠ってしまった。
浮かれ気分の私は、眠る彼女に何度も口付けをした。其処でやめておけばいいものを、猛る我が身に逆らえず、何度も何度も、口づけをしているうちに、彼女の上に覆いかぶさる形になった。すると彼女は目を覚まし、私が口づけをしているのを知ると、
「過ちだと、話したはずだ。」と、言った。私は、
「あなたが、大好きです。」と、答えた。
するとキルディアは目を閉じて、「寝ている間はやめにょにょ」と、最後の方は寝ぼけながら言い、私のことを裏拳でぐいと推して、ベッドの端へと追いやり、私に背を向けて眠ってしまった。
その時の私は、ニヒルな笑みを浮かべた。そんなことを言いながらも、きっと彼女は私に、私と同じ気持ちを抱いているに違いないと、確信出来たからだ。これほど奇跡を感じる想いを得られるとは、この人生、素晴らしいものだと感じた。
しかしその翌日、朝起きると其処には彼女の姿は無く、私は彼女を探した。彼女は中庭で、素振りの鍛錬をしていた。微笑み、「おはようございます」と声を掛けると、彼女は無感情のまま「おはよう、では、診察を受けてくる。今日の予定はそれから聞かせてください。」と、他人行儀のように、よそよそしく返事したのだ。
昨晩のあの出来事は、夢であるはずがない。私は彼女の腕を掴んで、その真相を確かめようとしたが、動きを読まれてしまい、彼女に避けられてしまった。それから彼女は、私に対して、今までで一番、冷たくなった。
出航の日、私は彼女と違う船に乗せられた。エストリーの人間に聞けば、彼女の意志らしい。クラースに「何かあったのか?」と聞かれたが、私だって彼女に同じ質問をしたい。どうして私を避けるのか?
シロープ島では、一度も彼女に出会すことが出来なかった。此処にいるのに、どこにも彼女はいない。クラースもケイトも一緒に探してくれたが、彼女を見つけることは出来なかった。坂上の広場にある、展望所から、淡い灯で包まれる、空想的で甘美な夜の街並みを、私は一人でずっと眺めていた。
これほど、寂しさを感じた事はない。私の胸に、直視したくない不安要素が生まれた。それは、もしかしたら彼女は、私を嫌ったのではないか、という、仮説だった。それを検証する勇気は、私には無かった。
物悲しい夜景を胸に、私はユーク製のクルーズ船の船長室で、イスレ山の作戦を入念に考えていた。ユークを出てから、キルディアとは作戦会議や業務の会話はするものの、それ以外の、プライベートでは一切私に関わらなくなった。船がタマラに着けば、あとはブレイブホース。ならばその機械馬には彼女と一緒に乗りたかった。
やはり、それは叶わなかった。彼女は先頭を切って、私が探している間に、既に出発してしまったのだ。そうまで避けるとは、如何なものか。私は、ブレイブホースをクラースに運転させて、彼女にメールをした。「最近冷たいですね。」と、正直に伝える内容だった。
数分後送られてきた、待望の返事は「これぐらいが丁度いいのです。」という、気の重くなる内容だった。私はクラースの背中を、八つ当たりで軽く殴った。彼は「俺に当たるな」と呻いた。あの仮説が、更に現実味を帯びてきてしまった。
私はその後、クラースに何を言われても黙った。私が話をしたいのは、キルディアなのだ。どうしてクラースと話さなければならない?友人の存在は有り難いが、今、私の心の隙間を埋めてくれるのは、彼女だけだ。彼女の声が聞きたかった。もう一度、キスをしたい。
「今回の戦は、派手にやっちまいましょう!」「ジェーン様、俺らが着いていますって!何でも指示くださいね!」私に声を掛けてくれる兵達は皆、元気だ。私は彼らの気持ちを落とさないように、「ええ!頼りにしております!」と、芝居をするが、もう限界だった。
料理を食べ終わり、私は食器を持って、テントとテントの間を彷徨っていると、通りがかりの女性の兵士が、「ああジェーン様、それは私が持っていきます。」と、私の食器を持っていってくれた。私は彼女にお礼を言った。
探しても、どうせ逃げるなら、無駄足か。そうは思いつつも、私はキルディアの姿を探した。位置情報は、あの情熱的な夜の翌日から、彼女のものは確認出来なくなった。私を許可から外すとは、まあ頑張ればこちらから内緒で再接続出来るのだが、それで探し当てても、虚しいだけなので、しなかった。もう一度、彼女の手で許可を与えて欲しい。
意識を遣りながら、あたりを見回して散策していると、湖畔のテントの側、松明が立てられている箇所の傍に、黒く染まる湖を見つめて立っているクラースと、その隣には、キルディアの後ろ姿があった。
二人とも、上半身はLOZのコートを脱いで、黒いTシャツ姿で、下半身はLOZの制服だった。クラース、見つけたなら教えてくれても良かったではないか。私はひっそりと彼らに近付いた。すると、会話が聞こえた。
「キリー、明日から別行動だな。お前は援軍を迎えに行くんだろう?」
「うん、そうだね。ウォッフォン大量に持って、あの地へ行く。クラースさんも、前線で戦うんだから、気を付けてね。ふふ。」
彼女は、はにかんだような笑い方をした。今すぐにクラースの背中を突き飛ばして、湖に沈めたくなった。さすれば優秀な戦力を失うので、何とか思い止まった。
するとキルディアは、自分のTシャツをめくり、お腹を出して、その古傷をナイトアームの手で掻き始めた。人前でお腹を出すなんてと、私は飛び出しそうになったが、次にクラースまで彼のTシャツをめくって、同じ動作をし始めた。急に二人は何をしているんだと、私は首を傾げた。
「何だろうな、はは」クラースが笑った。「今日は痒いな。お前もか?」
「やっぱり?」キルディアも笑った。「私も痒いの……明日、もしかして雨なのかな?」
クラースがウォッフォンの天気予報欄を見て、言った。
「明日の予報は一応晴れだが、これも当てにならん時があるからな。しかし、こんなに痒いんだ、きっと明日は土砂降りだぞ。」
土砂降りですか。予報では明日は快晴ですが。と、私は少々苛つきながら、自身が割り込む機会を伺った。するとキルディアが天を見つめた。
「私も明日か明後日は土砂降りだと思うな……それにしても痒すぎる。軟膏塗ったほうがいいのかな。」
もう耐えられない。軟膏がどうとか、聞いておられん。私はテントの影から飛び出して、二人に近づきながら声を掛けた。
湖に着いた頃には、夜更けに近く、その日はそこで晩を明かすことに決めた。遠距離の移動で疲労も溜まっており、兵も、私も、まだ傷の残るキルディアも、休む必要があった。
LOZの本隊は明朝、このヴィノクール湖に繋がっている、ナディア川の上流に進み、ルミネラ山道とハウリバー山道の分岐点となる、キャンプ場に陣を置く予定だ。そこが私とマクレガーが待機する本陣になる。
そのキャンプ場から二手に分かれる山道を上がれば、途中で山道が合流する地点があり、それから上はイスレ山道に名前が変わる。そして更に、イスレ山道を登っていくと、イスレ山休憩地点の近くに、収容施設がある。狙いは其処だ。
早速今夜は、久々に目前に収めることの出来た、雄大な湖のそばで、我々はテントを張り、宿の支度を進めていた。途中からヴィノクールの民が手を貸してくれ、更にはご好意で海鮮料理をご馳走してくれた。折角用意してくれたものを、私は大きな岩に座りながら、美味しく頂いた。
食事の際、兵達は戦いを前にしているにも関わらず、楽しげな様子で語らいでいた。酒こそはやはり無いが、それだけ互いを信頼しているのだろう、いい雰囲気だ。その良い雰囲気は、士気の上昇に繋がるだろう。しかし私の心は、鬱々としていた。
原因はキルディアである。あの夜、何たる光栄な事か、私は彼女から口付けを与えられた。その後、彼女はすぐに眠ってしまい、確かに、ケイトから聞いていた事を思い出した。彼女は痛み止めを飲んでいて、その中に睡眠薬の成分も入っていたのだ。それできっと彼女は、すぐに眠ってしまった。
浮かれ気分の私は、眠る彼女に何度も口付けをした。其処でやめておけばいいものを、猛る我が身に逆らえず、何度も何度も、口づけをしているうちに、彼女の上に覆いかぶさる形になった。すると彼女は目を覚まし、私が口づけをしているのを知ると、
「過ちだと、話したはずだ。」と、言った。私は、
「あなたが、大好きです。」と、答えた。
するとキルディアは目を閉じて、「寝ている間はやめにょにょ」と、最後の方は寝ぼけながら言い、私のことを裏拳でぐいと推して、ベッドの端へと追いやり、私に背を向けて眠ってしまった。
その時の私は、ニヒルな笑みを浮かべた。そんなことを言いながらも、きっと彼女は私に、私と同じ気持ちを抱いているに違いないと、確信出来たからだ。これほど奇跡を感じる想いを得られるとは、この人生、素晴らしいものだと感じた。
しかしその翌日、朝起きると其処には彼女の姿は無く、私は彼女を探した。彼女は中庭で、素振りの鍛錬をしていた。微笑み、「おはようございます」と声を掛けると、彼女は無感情のまま「おはよう、では、診察を受けてくる。今日の予定はそれから聞かせてください。」と、他人行儀のように、よそよそしく返事したのだ。
昨晩のあの出来事は、夢であるはずがない。私は彼女の腕を掴んで、その真相を確かめようとしたが、動きを読まれてしまい、彼女に避けられてしまった。それから彼女は、私に対して、今までで一番、冷たくなった。
出航の日、私は彼女と違う船に乗せられた。エストリーの人間に聞けば、彼女の意志らしい。クラースに「何かあったのか?」と聞かれたが、私だって彼女に同じ質問をしたい。どうして私を避けるのか?
シロープ島では、一度も彼女に出会すことが出来なかった。此処にいるのに、どこにも彼女はいない。クラースもケイトも一緒に探してくれたが、彼女を見つけることは出来なかった。坂上の広場にある、展望所から、淡い灯で包まれる、空想的で甘美な夜の街並みを、私は一人でずっと眺めていた。
これほど、寂しさを感じた事はない。私の胸に、直視したくない不安要素が生まれた。それは、もしかしたら彼女は、私を嫌ったのではないか、という、仮説だった。それを検証する勇気は、私には無かった。
物悲しい夜景を胸に、私はユーク製のクルーズ船の船長室で、イスレ山の作戦を入念に考えていた。ユークを出てから、キルディアとは作戦会議や業務の会話はするものの、それ以外の、プライベートでは一切私に関わらなくなった。船がタマラに着けば、あとはブレイブホース。ならばその機械馬には彼女と一緒に乗りたかった。
やはり、それは叶わなかった。彼女は先頭を切って、私が探している間に、既に出発してしまったのだ。そうまで避けるとは、如何なものか。私は、ブレイブホースをクラースに運転させて、彼女にメールをした。「最近冷たいですね。」と、正直に伝える内容だった。
数分後送られてきた、待望の返事は「これぐらいが丁度いいのです。」という、気の重くなる内容だった。私はクラースの背中を、八つ当たりで軽く殴った。彼は「俺に当たるな」と呻いた。あの仮説が、更に現実味を帯びてきてしまった。
私はその後、クラースに何を言われても黙った。私が話をしたいのは、キルディアなのだ。どうしてクラースと話さなければならない?友人の存在は有り難いが、今、私の心の隙間を埋めてくれるのは、彼女だけだ。彼女の声が聞きたかった。もう一度、キスをしたい。
「今回の戦は、派手にやっちまいましょう!」「ジェーン様、俺らが着いていますって!何でも指示くださいね!」私に声を掛けてくれる兵達は皆、元気だ。私は彼らの気持ちを落とさないように、「ええ!頼りにしております!」と、芝居をするが、もう限界だった。
料理を食べ終わり、私は食器を持って、テントとテントの間を彷徨っていると、通りがかりの女性の兵士が、「ああジェーン様、それは私が持っていきます。」と、私の食器を持っていってくれた。私は彼女にお礼を言った。
探しても、どうせ逃げるなら、無駄足か。そうは思いつつも、私はキルディアの姿を探した。位置情報は、あの情熱的な夜の翌日から、彼女のものは確認出来なくなった。私を許可から外すとは、まあ頑張ればこちらから内緒で再接続出来るのだが、それで探し当てても、虚しいだけなので、しなかった。もう一度、彼女の手で許可を与えて欲しい。
意識を遣りながら、あたりを見回して散策していると、湖畔のテントの側、松明が立てられている箇所の傍に、黒く染まる湖を見つめて立っているクラースと、その隣には、キルディアの後ろ姿があった。
二人とも、上半身はLOZのコートを脱いで、黒いTシャツ姿で、下半身はLOZの制服だった。クラース、見つけたなら教えてくれても良かったではないか。私はひっそりと彼らに近付いた。すると、会話が聞こえた。
「キリー、明日から別行動だな。お前は援軍を迎えに行くんだろう?」
「うん、そうだね。ウォッフォン大量に持って、あの地へ行く。クラースさんも、前線で戦うんだから、気を付けてね。ふふ。」
彼女は、はにかんだような笑い方をした。今すぐにクラースの背中を突き飛ばして、湖に沈めたくなった。さすれば優秀な戦力を失うので、何とか思い止まった。
するとキルディアは、自分のTシャツをめくり、お腹を出して、その古傷をナイトアームの手で掻き始めた。人前でお腹を出すなんてと、私は飛び出しそうになったが、次にクラースまで彼のTシャツをめくって、同じ動作をし始めた。急に二人は何をしているんだと、私は首を傾げた。
「何だろうな、はは」クラースが笑った。「今日は痒いな。お前もか?」
「やっぱり?」キルディアも笑った。「私も痒いの……明日、もしかして雨なのかな?」
クラースがウォッフォンの天気予報欄を見て、言った。
「明日の予報は一応晴れだが、これも当てにならん時があるからな。しかし、こんなに痒いんだ、きっと明日は土砂降りだぞ。」
土砂降りですか。予報では明日は快晴ですが。と、私は少々苛つきながら、自身が割り込む機会を伺った。するとキルディアが天を見つめた。
「私も明日か明後日は土砂降りだと思うな……それにしても痒すぎる。軟膏塗ったほうがいいのかな。」
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