LOZ:彼は無感情で理性的だけど不器用な愛をくれる

meishino

文字の大きさ
200 / 253
迷いとミニキルディア編

200 緊急放送

しおりを挟む
 帰還した翌日、私はLOZの訓練施設にいた。ヴァルガはもうかなり回復したようで、私と戦闘訓練をしてくれることになった。LOZの兵達が我々の手合わせの観戦をしていて、結構盛り上がっている。

「どうしたギルバート!その程度か!」

 木刀と木刀がバチンバチン音を立ててぶつかっている。ヴァルガはあの戦いで、魔力を出すことが出来なくなった。プレーンが、かなり傷ついていて、いつ暴走してもおかしくないから、という医師の判断だった。

 だが、あの炎の長剣が無くても、彼は強い。私は必死に彼の速さについていくばかりだ。だが今は、私がヴァルガの隙をついた。彼の太ももを木刀で叩いた。

「どうだ!」

「くそ!やるな!」

 戦いはもう既に何十分も続いていて、お互い汗だくだ。それでも何故か、我々の間には笑顔がある。まっすぐとした、清々しい感情で、こんなに熱く戦えるのは、久しぶりだった。

 訓練場に、クーラーボックスを担いだリンや、他の隊員が入って来るのが見えた。丁度よかった、喉がとても乾いていたのだ。リンは大きな声を出した。

「よっすー!やってるねえ!ほーらドリンクを持って来たよ~!」

「おっ!やったぁ!」

 ボコっと音がした。私はヴァルガの一撃を、わざと背中に喰らった後に、リンからドリンクを受け取ってゴクゴクと飲んだ。兵達から笑いが漏れ、ヴァルガは頭を掻きながら言った。

「お前……いくら早く切り上げたいからと言って、わざと攻撃を喰らうなよ。結構痛かっただろう?」

「まあ、ちょっと痛かったけど、飲みたかったから。ヴァルガも飲もうよ。皆も、水分補給しましょう!」

 兵達に続いて、ヴァルガもリンからドリンクを受け取ると、ゴクゴクと喉を鳴らしながら、豪快に飲んだ。何やらリンが、ヴァルガの頭部をじっと見ているのが気になった私は、彼女に聞いた。

「どうしたの?リン。」

「ヴァルガさんとジェーンって、どっちの方が、背が高いんだろうと思った。」

 私も考えた。

「うーん、ジェーンは確か、百九十一センチだと、服屋で言っていた気がする。だから彼に合うサイズは、中々見つからなかった。ヴァルガは?」

「……ぷはっ」と、ヴァルガが、ボトルから口を離した。「俺は百九十ジャストだ。なんだ、あの軍師さんの方が、俺より若干高いのか。」

 そうだったんだ。やっぱり騎士の防具をつけていると、身長が高くなりがちだ。ヴァルガは二メートルを軽く超えているのだと思っていた。ドリンクを飲み干したヴァルガは瓶を見つめている。彼に対して、リンが質問をした。

「ヴァルガさんって、シルヴァさんがお母さんだったんだよね?」

 なんて質問だ……リンよ。

「ああ、そうだ。」

 その時、私はあることに気付いた。

「あれ?ヴァルガって確か、姓がエレンゲイだったよね?」

「間違いない。」

 ヴァルガは汗で濡れた顔を、白いタオルで拭きながら、何度も頷いた。

「私の記憶では、確かネビリス皇帝もエレンゲイだったような。」

「そうだ、陛下は確かに、俺の父だ。」

「えっ!」

 私は驚愕した。リンも驚愕した顔で、私を見ている。なんと、ネビリス皇帝はヴァルガのお父さんだったのか……更に、ネビリスとシルヴァは夫婦だったのか……そんな素振り全く見たことないし、公表していなかったから、全く気が付かなかった。現に、騎士の間で、家族関係を隠す人はたくさんいる。

「じゃあ、二人が、ご両親なのか……。」

 シルヴァが亡くなったのも、きっとすごくショックだっただろう。それに我々はネビリスと対するのに、彼の気持ちは、どうなる?一気に私は混乱した。しかし、ヴァルガは、私のことを気遣ってくれた。

「ああ、だが俺は、もう戦う準備は出来ているぞ、ギルバート。俺は騎士の家庭に生まれたんだ。親の栄光にすがりたくないから、奴らの一人息子だってことは、黙っていた。俺は騎士だ。いつ、血が繋がった家族が敵になるか、わかりゃしないさ。今の俺の主人は、お前だ、ギルバート。」

 ヴァルガの瞳が、私を真っ直ぐに見つめた。

「そうか、とても覚悟のいることだったと思う。でも、色々とありがとう。」

「ふっふふ……」と、ヴァルガが笑った。「覚悟など、それ無くして騎士団長にはなれない。お前もよく分かっているだろうに。母はあの性格、父も欲に溺れて手段を選ばない。二人が帝国の重鎮になったところで、運命は決まっていたのかもしれない。しかし、俺は俺だ。誰にもそれは変えられない。俺の人生は、俺が決めるものだ。今の俺は、お前と共にある。」

「うん……ヴァルガが来てくれて、私はよかったと思ってる。騎士の皆もだ。心強いと思ってる。」

 私が微笑むと、ヴァルガも照れた様子で、はにかんだ。暖かい空気が皆の間で流れたところで、リンが私の脇腹をツンツンと突いた。

「あんまり他の人とラブラブしてると、軍師さんが怒るよ~?」

「ラブラブしてないから、あまりジェーンにそうやって言わないでね。」

 最近は本当に、拗ねたジェーンは大変なのだ。以前にも増して、他の男性と話していると腕を引っ張ったりするし、家に帰ってから、「あの時、楽しそうでしたね」とか「私の方が会話の引き出しが豊富です」とか、煩いのだ。寧ろ私の方が男っぽいのではないかと感じる時がある。

 リンが私と手を繋ぎながら、私に聞いた。

「んで、その軍師さんは、今日もどうしたの?また午後休みを貰ってたけど。どういうことで?」

「分からない。昨日帰宅した時も、別に何もそのことについては言ってなかったし……何か、この世界で、やり残したことでもあるんでしょ。」

「ふーん、そっか。理由が分からないのは、キリーも同じだったか。」

 べ、別に聞くことでも無いし、誰にだって、秘密の時間はあるものだ。きっと時空間歪曲機のことだろうな。それぐらいしか思いつくことがない。私に言わないのは、私を傷つけたくないからだろう。なんだその優しさ、ちっとも優しくないね。

 リンがドリンクを飲む為に、ボトルを手にした時だった。ウォッフォンから緊急速報アラームが鳴った。これは皇帝が放送するときに流れるアラームだった。

 リンが急いで、肩にかけているバッグから、PCを取り出して、放送を画面に映した。ヴァルガも隣に来て、それを覗いた。画面にはネビリス皇帝が映っている。特に痩せた様子もなく、元気そうだった。

『こんばんは、帝国の皆さん。今日この放送をしているのには、重要な訳があります。我がルミネラ帝国の騎士団は、殆どがLOZという反逆レジスタンス集団に支配されてしまいました。この全て、どうして起こったのか。それは、チェイス元帥の……責任、とまでは言いませんが、彼の今までの行動から考えて頂ければ、容易いでしょう。』

「何これ……」

 私は呟いた。チェイスのせいにしようとしてるのか?

『元帥は、私の反対を押し切って、帝都民がただ苦しむだけの条例を作り上げました。税率が上がったことも、徴兵制を執行したのも、悪しき心をその内に秘めし彼のしたことです。チェイスがした悪行の中で、一番酷いものは、ボット開発です。彼はなんと、刑罰の対象となっている兵器ボットを、隠れて開発していたのです!私は知らなかったのです。彼は真面目で、聡明で、民の為に一途な、素晴らしい人間だと信じていましたが、まさか殺戮さつりく兵器を作成していたとは……!私は彼を元帥に指名するという、愚かなことをしました。もう、帝都民の皆様を苦しめたくはありません。それにLOZに囚われた兵達を、奪還しなければなりません。』

「チェイスのボットを量産して戦闘に使用していたくせに、よく言うよね。」

 リンの言葉に我々は頷いた。

『更に、彼は元帥になりたての頃に、なんと、ユークでLOZのリーダーであるキルディアとその補佐のジェーンと接触していたと、諜報部隊からの報告がありました。今まで新光騎士団が戦で思うように力を発揮出来なかったのは、チェイス元帥が情報を流していたからなのです!』

「そ、それは本当なのか!?ギルバート!」

 ヴァルガが叫んだ。兵達の間でも、どよめきが起こっている。私は皆に聞こえるように大声で言った。

「確かに、彼が任命を受けたばかりの時に、接触はした。でもそれ以来、彼とは何も連絡をとっていない。それは本当だから、信じて欲しい。チェイスと連絡取れていたなら、もっと簡単に勝ったと思うよ。私もジェーンも、皆と同じように、LOZが勝てるように真剣に頑張って来た。それは事実だ。」

「そ、そうか……」ヴァルガが顎を人差し指でボリボリ掻いた。「まあ確かに、これが嘘だと考えた方がしっくりくるか。」

 皆も、信じてくれた様子で、私は少し安心した。それにしても、チェイスが悪政をしているのは事実なのだろうか?そうだとしても、そうじゃないとしても、今後、チェイス自身が危ないかもしれない。

「帝都民は、この話を信じるのかな……?」

 リンの不安そうな声が聞こえた。ヴァルガがうーんと唸った後に、答えた。

「分からんが、実は帝都民は、その他の地域よりも、ニュースなどの情報を制限されている。ここに来て分かったことだって多い。陛下のことを信じる人の方が、多いのかもしれないな……。」

『私の信頼していたチェイス元帥は、今、伝えた悪行をしてきました。彼は到底許せません。私は帝都民、あなた方も信頼しています。あなた達はLOZに渡った、その他の地域とは違います。帝都から出れば、どんな目に遭うか。帝国の敵、私の敵となるのです。ですから、帝都を出てはなりません。一つ、新しい政策があります。これはまた、チェイス元帥の案で、私の知らぬ間に、もう可決されてしまったものです。今から撤回するには、時間が必要ですが……。』

 何だろうか、嫌な予感はしている。

『その案とは、見せしめ処刑です。我が帝国に反する意志を持つ者を、これからは城下の噴水広場にて、公開処刑を致します。これは脱走した者や、我が帝国を侮辱した発言をした者にも、適応されます。これは元帥が作ったものであり、撤回を進めるために、私は必死に争います。それをお分かり頂いて、その時間、どうか従って頂きたい。帝都の皆さん、それからLOZの下にいる皆さん、どうか、良い週末を。』

 放送はブチッと切れた。何が、良い週末をだ。私は頭を抱えた。

「……はあ、なんてことだ。」

 ヴァルガもため息をついた。

「はあ……俺の父が、こんなことを言うなんて情けない。何が見せしめ処刑だ。それで本当に、民の信頼を得ることが出来るとお考えなのか。それに、俺はチェイス元帥が考えたとは、到底思えんのだ。確かに過去に、戦闘用ボットを開発してしまったのは知っているが、チェイス元帥は民の声をよく聞いては、父に進言をしてくださっていた。怖がった様子でな。その元帥が、父を差し置いて一人、独断で新たな刑罰を作るとは思えん。俺はチェイス元帥を信じたい……俺の無茶ぶりな願いを叶える為に、必死こいて炎の長剣を開発してくれたしな。」

 ヴァルガは歯を食いしばった。いろいろな憶測があるが、私も、今の話を聞くと、チェイスを信じたくなった。リンは難しい顔をした。

「じゃあ結局、チェイス元帥っていい人なのかな……ビデオ通話の時だって、優しかったし、結局私たち捕虜は、誰一人、痛めつけられはしなかった。なんかいい人な気がしてきた。キリーもそう思う?海賊ツアーに行った時だって、手伝ってくれたんでしょ?」

 私は頷いた。ヴァルガが首を傾げた。

「海賊ツアーって何だ?」

 私は苦笑いしながら答えた。

「最初に接触した時、我々は海賊船の上だったんだ……ほら、ジェーンが七つの孤島に落とし物をして、それを回収したかったんだけど、それには海賊ツアーに参加するしかなくて、参加したらさ、チェイスも丁度そこに居て、訳を話したら、彼も協力してくれたんだ。」

「へ、へえ……海賊船で出会ったのか。元帥も、そんなとこで何してたんだ?」

「海賊が好きらしい。」

「あ、ああ、そうなのか……。」

 ヴァルガは困惑した様子だった。ちょっと面白かった。

「と、とにかく」リンが言った。「これからどうする?じゃあチェイスさんを……どうする?キリー。」

 肝心な時に、ジェーンが居ない。でも、彼は居なくなるんだ。戦いが終わる前に帰ることだって考えられる。私が一人で、力まなければいけない時だってある。私は、少し考えてから答えた。

「チェイスから連絡があれば、いいのだけれど、今の状況では出来ないかな。もう少し、考える時間を作ろう。今の段階で帝都を、っていうのはまだ早い気がする。まだ傷が癒えていない兵達もたくさんいるし、見せしめ処刑までは時間がある。もう少し様子を見て、どうすべきか判断しよう。チェイスについては、見捨てることはしないと、約束したい。」

 私の言葉に、リンとヴァルガが笑顔で頷いた。ヴァルガは真剣に頷いている兵達に号令をかけた。

「そうだな、今は時が来るのを待ち、鍛錬するのみよ!おい!お前ら!やるぞ!」

「はっ!」

 訓練がまた開始された。私も近くの兵と、手合わせを開始した。剣を振るいながら、大きな窓をふと見ると、空はもう暗くなっていた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

【完結】 異世界に転生したと思ったら公爵令息の4番目の婚約者にされてしまいました。……はあ?

はくら(仮名)
恋愛
 ある日、リーゼロッテは前世の記憶と女神によって転生させられたことを思い出す。当初は困惑していた彼女だったが、とにかく普段通りの生活と学園への登校のために外に出ると、その通学路の途中で貴族のヴォクス家の令息に見初められてしまい婚約させられてしまう。そしてヴォクス家に連れられていってしまった彼女が聞かされたのは、自分が4番目の婚約者であるという事実だった。 ※本作は別ペンネームで『小説家になろう』にも掲載しています。

偉物騎士様の裏の顔~告白を断ったらムカつく程に執着されたので、徹底的に拒絶した結果~

甘寧
恋愛
「結婚を前提にお付き合いを─」 「全力でお断りします」 主人公であるティナは、園遊会と言う公の場で色気と魅了が服を着ていると言われるユリウスに告白される。 だが、それは罰ゲームで言わされていると言うことを知っているティナは即答で断りを入れた。 …それがよくなかった。プライドを傷けられたユリウスはティナに執着するようになる。そうティナは解釈していたが、ユリウスの本心は違う様で… 一方、ユリウスに関心を持たれたティナの事を面白くないと思う令嬢がいるのも必然。 令嬢達からの嫌がらせと、ユリウスの病的までの執着から逃げる日々だったが……

異世界に落ちて、溺愛されました。

恋愛
満月の月明かりの中、自宅への帰り道に、穴に落ちた私。 落ちた先は異世界。そこで、私を番と話す人に溺愛されました。

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

【完結】番である私の旦那様

桜もふ
恋愛
異世界であるミーストの世界最強なのが黒竜族! 黒竜族の第一皇子、オパール・ブラック・オニキス(愛称:オール)の番をミースト神が異世界転移させた、それが『私』だ。 バールナ公爵の元へ養女として出向く事になるのだが、1人娘であった義妹が最後まで『自分』が黒竜族の番だと思い込み、魅了の力を使って男性を味方に付け、なにかと嫌味や嫌がらせをして来る。 オールは政務が忙しい身ではあるが、溺愛している私の送り迎えだけは必須事項みたい。 気が抜けるほど甘々なのに、義妹に邪魔されっぱなし。 でも神様からは特別なチートを貰い、世界最強の黒竜族の番に相応しい子になろうと頑張るのだが、なぜかディロ-ルの侯爵子息に学園主催の舞踏会で「お前との婚約を破棄する!」なんて訳の分からない事を言われるし、義妹は最後の最後まで頭お花畑状態で、オールを手に入れようと男の元を転々としながら、絡んで来ます!(鬱陶しいくらい来ます!) 大好きな乙女ゲームや異世界の漫画に出てくる「私がヒロインよ!」な頭の変な……じゃなかった、変わった義妹もいるし、何と言っても、この世界の料理はマズイ、不味すぎるのです! 神様から貰った、特別なスキルを使って異世界の皆と地球へ行き来したり、地球での家族と異世界へ行き来しながら、日本で得た知識や得意な家事(食事)などを、この世界でオールと一緒に自由にのんびりと生きて行こうと思います。 前半は転移する前の私生活から始まります。

【完結】家族に愛されなかった辺境伯の娘は、敵国の堅物公爵閣下に攫われ真実の愛を知る

水月音子
恋愛
辺境を守るティフマ城の城主の娘であるマリアーナは、戦の代償として隣国の敵将アルベルトにその身を差し出した。 婚約者である第四王子と、父親である城主が犯した国境侵犯という罪を、自分の命でもって償うためだ。 だが―― 「マリアーナ嬢を我が国に迎え入れ、現国王の甥である私、アルベルト・ルーベンソンの妻とする」 そう宣言されてマリアーナは隣国へと攫われる。 しかし、ルーベンソン公爵邸にて差し出された婚約契約書にある一文に疑念を覚える。 『婚約期間中あるいは婚姻後、子をもうけた場合、性別を問わず健康な子であれば、婚約もしくは結婚の継続の自由を委ねる』 さらには家庭教師から“精霊姫”の話を聞き、アルベルトの側近であるフランからも詳細を聞き出すと、自分の置かれた状況を理解する。 かつて自国が攫った“精霊姫”の血を継ぐマリアーナ。 そのマリアーナが子供を産めば、自分はもうこの国にとって必要ない存在のだ、と。 そうであれば、早く子を産んで身を引こう――。 そんなマリアーナの思いに気づかないアルベルトは、「婚約中に子を産み、自国へ戻りたい。結婚して公爵様の経歴に傷をつける必要はない」との彼女の言葉に激昂する。 アルベルトはアルベルトで、マリアーナの知らないところで実はずっと昔から、彼女を妻にすると決めていた。 ふたりは互いの立場からすれ違いつつも、少しずつ心を通わせていく。

【完結】モブのメイドが腹黒公爵様に捕まりました

ベル
恋愛
皆さまお久しぶりです。メイドAです。 名前をつけられもしなかった私が主人公になるなんて誰が思ったでしょうか。 ええ。私は今非常に困惑しております。 私はザーグ公爵家に仕えるメイド。そして奥様のソフィア様のもと、楽しく時に生温かい微笑みを浮かべながら日々仕事に励んでおり、平和な生活を送らせていただいておりました。 ...あの腹黒が現れるまでは。 『無口な旦那様は妻が可愛くて仕方ない』のサイドストーリーです。 個人的に好きだった二人を今回は主役にしてみました。

ワンチャンあるかな、って転生先で推しにアタックしてるのがこちらの令嬢です

山口三
恋愛
恋愛ゲームの世界に転生した主人公。中世異世界のアカデミーを中心に繰り広げられるゲームだが、大好きな推しを目の前にして、ついつい欲が出てしまう。「私が転生したキャラは主人公じゃなくて、たたのモブ悪役。どうせ攻略対象の相手にはフラれて婚約破棄されるんだから・・・」 ひょんな事からクラスメイトのアロイスと協力して、主人公は推し様と、アロイスはゲームの主人公である聖女様との相思相愛を目指すが・・・。

処理中です...