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75 犯ティー第六話
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このホテルの一室にピザとライムゼリーとお酒が届くとテーブルはもっと豪華になった。乾杯で瓶を皆で合わせて、イオリと私はジュースを、それ以外の皆はお酒を飲んだ。
テレビの正面の三人がけの白いソファにはイオリと私とレイヴが座っていて、横の二人がけのソファにエミリとヤギさんが座ってる……けど、よく見たらヤギさんがエミリの背中に手を添えて、お酒を飲んでる。
私はついフォークの動きが止まった。するとイオリが私に聞いた。
「鉄板焼きはどうだ?あまり口に合わないか?」
「えっ!?」私はイオリに微笑んだ。「鉄板焼きはとても美味しい!バクバク食べちゃうよ。ありがと。」
「そ、そうか……。」
イオリが照れるとドキッとする。私はイオリにもっと近づきたくて、座り直した。太腿と太腿が触れてる。イオリに微笑むと、彼が私に微笑み返してくれて、それから目を逸らした。頬がちょっと赤い。
その瞬間だった。反対側の太腿に何かがくっついた。この黒いスウェットのズボン……レイヴの太腿だった。反対側を見ると、レイヴも私に近づいて座り直していた。
片手で瓶をプラプラ持ってるレイヴと目が合った。彼が私をじっとりと見つめながら言った。
「えー何でそっち座るの?寂しんだけど。俺から離れるなよ、リア。」
「……。」
イオリが私の背中をトントンと叩いた。意味を察した私は前屈みになった。すると予想通りに私の背後からチョップが飛んできて、彼の頭頂にヒットした。
「いってえ!おいイオリ!結構痛かったぞ!しかも何その以心伝心。」
「今の発言、もしや俺がここにいるのを忘れているのかと思って教えてやっただけだ!」
「別に二人が付き合ってるの知ってるよー!リアちゃんには友達として甘えてんの!お前はほっとけよ!」
「放っておく訳なかろうが……」とイオリが言った時に、犯人はティーカップの中のメインテーマがテレビから流れてきた。私はダークホースのサラダを食べつつ、テレビを見つめた。
エミリとヤギさんもサラダを食べながら見てる。前回までのあらすじが流れてて、レイヴは黙って見られない派なので「一人で行動するから犯人にやられたんだ!」とか「差し出されたジュース飲むからー!」とか騒がしい。
たまにそれにイオリが「そうだな」と反応してあげてる分、さすがお兄ちゃんだと思った。今はジュンコ夫人が屋敷の部屋で過ごしてるシーンだ。私はやはり、この人が怪しいと睨んでる。
食い入るように真剣に見ていると、左の太ももに手が置かれた。イオリの手だった。浮き出た血管がセクシーだ。それを見ていると、ふと、彼のその長い指が私をかき回すのを思い出した。
……いかんいかん。私はピザを一枚取って、頬張った。うん美味しい。16ピースのピザなので一枚一枚が細いので、スルッと口に入った。もぐもぐと食べていると、ヤギさんがエミリに聞いた。
「あれが前回やられた人の?」
「そうそう」とエミリが答えた。「義理の弟さん。」
それから二人は二人の世界で話し始めた。仲がとてもよろしいようで、そっちもそっちで気になってしまう。さっきからなんか、不思議な距離感だ。
私はソファに深く座った。既に深く座ってたレイヴと肩がぶつかった。イオリは私の太腿から手を離して、テレビを見ながら鉄板焼きを食べている。
するとレイヴが私の耳元で、かなり小さい声で囁いた。
「今のうちに、ちゅーしてみる?」
私は無言で首を振った。何を言ってるのと心の中で苦笑いした。でもレイヴは耳にキスをしてきた。彼を見ると、私を愛おしそうに見つめて、少し笑った。
「イオリ君、」突然、ヤギさんがドラマを見たまま彼に話しかけた。「レイヴ君がリアちゃんの耳にキスしてるよ?」
「は!?」
イオリは頬張ったまま振り返った。私は首をイオリ側に倒してレイヴのキスを避けるよう善処していたけど、レイヴは今、私の肩に唇を押し付けていて、「あ」って言った。彼の吐息が肩に当たった。
エミリも振り返って、嫌悪感に溢れる顔をした。
「ユウリ、お母さんの前でやめて?一緒にいるところでやめて?イオリでさえ何もしてないんだからやめて?」
「わかったよ……。」
レイヴは私から離れた。イオリは少しレイヴを睨んでから、エミリの注意で満足してるのか、また食べつつテレビに視線を戻した。
レイヴはボソッと言った。
「ヤギは地獄耳かよ……。」
するとヤギさんが答えた。
「まあね。頑張れば全員の心臓の音まで聞こえるけど。」
すげえええ。じゃあヤギさんの近くでイオリと変なことは出来ないなと思った。私は瓶をとってゴクッと飲んだ。
第六話のドラマはどんどんと誰かしらがやられた。でもジュンコ夫人は生き残っている。しかし彼女は恐怖に震えてあたかも自分が狙われる側であることを醸し出している。
刑事がそばにいるのにどんどん人がやられていくから、レイヴは刑事が無能なのか犯人がプロなのかをずっと考えていた。
皆で見るドラマはとても楽しい。一人でスコープを覗いて、誰かの家を覗いていた頃に比べると、夢みたいだ。今の私はその誰かの家の側になっているから。
イオリが好き。レイヴやエミリも好き。ヤギさんもミステリアスだけど好き。今の生活は今までで一番、幸せだった。
テレビの正面の三人がけの白いソファにはイオリと私とレイヴが座っていて、横の二人がけのソファにエミリとヤギさんが座ってる……けど、よく見たらヤギさんがエミリの背中に手を添えて、お酒を飲んでる。
私はついフォークの動きが止まった。するとイオリが私に聞いた。
「鉄板焼きはどうだ?あまり口に合わないか?」
「えっ!?」私はイオリに微笑んだ。「鉄板焼きはとても美味しい!バクバク食べちゃうよ。ありがと。」
「そ、そうか……。」
イオリが照れるとドキッとする。私はイオリにもっと近づきたくて、座り直した。太腿と太腿が触れてる。イオリに微笑むと、彼が私に微笑み返してくれて、それから目を逸らした。頬がちょっと赤い。
その瞬間だった。反対側の太腿に何かがくっついた。この黒いスウェットのズボン……レイヴの太腿だった。反対側を見ると、レイヴも私に近づいて座り直していた。
片手で瓶をプラプラ持ってるレイヴと目が合った。彼が私をじっとりと見つめながら言った。
「えー何でそっち座るの?寂しんだけど。俺から離れるなよ、リア。」
「……。」
イオリが私の背中をトントンと叩いた。意味を察した私は前屈みになった。すると予想通りに私の背後からチョップが飛んできて、彼の頭頂にヒットした。
「いってえ!おいイオリ!結構痛かったぞ!しかも何その以心伝心。」
「今の発言、もしや俺がここにいるのを忘れているのかと思って教えてやっただけだ!」
「別に二人が付き合ってるの知ってるよー!リアちゃんには友達として甘えてんの!お前はほっとけよ!」
「放っておく訳なかろうが……」とイオリが言った時に、犯人はティーカップの中のメインテーマがテレビから流れてきた。私はダークホースのサラダを食べつつ、テレビを見つめた。
エミリとヤギさんもサラダを食べながら見てる。前回までのあらすじが流れてて、レイヴは黙って見られない派なので「一人で行動するから犯人にやられたんだ!」とか「差し出されたジュース飲むからー!」とか騒がしい。
たまにそれにイオリが「そうだな」と反応してあげてる分、さすがお兄ちゃんだと思った。今はジュンコ夫人が屋敷の部屋で過ごしてるシーンだ。私はやはり、この人が怪しいと睨んでる。
食い入るように真剣に見ていると、左の太ももに手が置かれた。イオリの手だった。浮き出た血管がセクシーだ。それを見ていると、ふと、彼のその長い指が私をかき回すのを思い出した。
……いかんいかん。私はピザを一枚取って、頬張った。うん美味しい。16ピースのピザなので一枚一枚が細いので、スルッと口に入った。もぐもぐと食べていると、ヤギさんがエミリに聞いた。
「あれが前回やられた人の?」
「そうそう」とエミリが答えた。「義理の弟さん。」
それから二人は二人の世界で話し始めた。仲がとてもよろしいようで、そっちもそっちで気になってしまう。さっきからなんか、不思議な距離感だ。
私はソファに深く座った。既に深く座ってたレイヴと肩がぶつかった。イオリは私の太腿から手を離して、テレビを見ながら鉄板焼きを食べている。
するとレイヴが私の耳元で、かなり小さい声で囁いた。
「今のうちに、ちゅーしてみる?」
私は無言で首を振った。何を言ってるのと心の中で苦笑いした。でもレイヴは耳にキスをしてきた。彼を見ると、私を愛おしそうに見つめて、少し笑った。
「イオリ君、」突然、ヤギさんがドラマを見たまま彼に話しかけた。「レイヴ君がリアちゃんの耳にキスしてるよ?」
「は!?」
イオリは頬張ったまま振り返った。私は首をイオリ側に倒してレイヴのキスを避けるよう善処していたけど、レイヴは今、私の肩に唇を押し付けていて、「あ」って言った。彼の吐息が肩に当たった。
エミリも振り返って、嫌悪感に溢れる顔をした。
「ユウリ、お母さんの前でやめて?一緒にいるところでやめて?イオリでさえ何もしてないんだからやめて?」
「わかったよ……。」
レイヴは私から離れた。イオリは少しレイヴを睨んでから、エミリの注意で満足してるのか、また食べつつテレビに視線を戻した。
レイヴはボソッと言った。
「ヤギは地獄耳かよ……。」
するとヤギさんが答えた。
「まあね。頑張れば全員の心臓の音まで聞こえるけど。」
すげえええ。じゃあヤギさんの近くでイオリと変なことは出来ないなと思った。私は瓶をとってゴクッと飲んだ。
第六話のドラマはどんどんと誰かしらがやられた。でもジュンコ夫人は生き残っている。しかし彼女は恐怖に震えてあたかも自分が狙われる側であることを醸し出している。
刑事がそばにいるのにどんどん人がやられていくから、レイヴは刑事が無能なのか犯人がプロなのかをずっと考えていた。
皆で見るドラマはとても楽しい。一人でスコープを覗いて、誰かの家を覗いていた頃に比べると、夢みたいだ。今の私はその誰かの家の側になっているから。
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