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109 ブラック・ブレット
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E306の周りには多数のFOC戦闘員がいた。雰囲気がここらだけ違う。彼らに混じってポツポツとボードンの派手な金色の防具をつけた戦闘員もいた。
もう本格的に同盟を組んだんだ。同盟というかFOCがボードンに入っただけだけど。倉庫内に顔パスで入れた我々は、バリーに会うべく倉庫内を歩いた。
錆びた赤いドラム缶が壁際で積み重なっている。鉄製のスケスケの階段を登っていくと、後ろのイオリの革靴がコツコツと音を立てた。レイヴに至っては革のブーツでガンガン足音を立てている。
階段を上り切ると事務室があった。ドアの前にはバリーの部屋の前にもいた太った護衛が二人、立っていた。
ふと下の階を見下ろすと、ドラム缶の影にダニーがいて、こちらを見てから何処かへ向かって軽く走り出した。
彼は倉庫の外へと走って行った。もしやと思い、私は屋根の方を見た。倉庫の骨組みに隠れるようにして、イーグルがスナイパーを持って待機していた。なるほど、準備は出来ているみたいだ。
バリーの護衛に「バリーに会いに来た」と伝える前に、彼らはドアを開けてくれた。私は自然に室内に入った。
バリーは黒いFOCの防弾チョッキを着て、机のところに座っていた。そしてなんと、彼の膝に座っていたのはサラだった。こんな状況で何を楽しんでるのか、彼女のオフショルダーが少しはだけていた。
高級ブランドの白い帽子とサングラスをつけたサラが私を見てから、立ち上がって、彼の隣で腕を組んだ。私の隣にはイオリとレイヴも来ている。
バリーは満足そうに笑った。
「実はな、かなり戦況はいい。イオリが言った通りにフォレスト大佐が敵の総大将だ。彼女の弱点を色々と突かせてもらって、ノアズはかなり動揺したまま戦ってるみたいだ。はっはっは……そしてここまで来てくれた。俺たちの為に、灯の雪原から颯爽と駆けつけてくれた。礼を言うよ、イオリ。」
「こちらこそ。」イオリは答えた。
「イオリ、俺はお前を誤解していたようだ。敵とばかり思っていた。でもそれは間違いだった。「一つ、質問したい。」
バリーが話し途中だったけど、イオリが割り込んだ。バリーは微笑みを消して、首を傾げた。イオリは真剣な冷たい瞳でバリーをじっと見て、聞いた。
「アリシアを撃ったことを、反省しているか?」
バリーはゴクリと喉を動かしてから答えた。
「……してると答えないと、ダメかな?」
その時だった。急に立ち上がったバリーが腰から銃を抜いて、イオリに向かって発砲しようとした。イオリも腰からマグナムを抜いたが、バリーの方が早かった。
瞬間をゆっくりと感じた。イオリがバリーに撃たれる。でも私が盾になるには間に合わない!しかしバリーは何故か急に目を見開いて、手から銃を滑らせて、落としてしまった。
イオリがバリーに言葉を放った。
「お前に、俺を撃っていい許可を与えた覚えはない。」
「……!」
ドンと片手拳銃にしては重たい銃声が響いた。それはバリーのハンドガンの音ではない、イオリの高火力のマグナムの音だった。彼の漆黒の銃弾が、バリーのおでこに命中して、バリーは目を見開いたまま後ろに倒れていった。
サラが「はああ!」と叫んで、帽子からピンクの小さいハンドガンをイオリに向けた。イオリは両手で構えたマグナムを、そのままサラに向けた。サラのピンクのハンドガンが震えている。
今の銃声を引き金に、外でも撃ち合いが始まった。ドアの外の二人は、レイヴがゼロ距離射撃をして対処してくれていたようで、静かになっていた。
「サラ、」イオリが言った。「今となっては俺だけじゃない、ダニーやイーグル、レイヴにアリシア、そして付随する部下たちも、その全てがノアズを主人としている。」
「だ、だからって、どうしてバリーを撃ったの!?ノアズなら、捕まえればいいのに!」
「バリーは重犯罪者だ。アリシアだけじゃない、彼はオリオンの為、ハロルドの為、幾多の人間を殺害してきた。強盗だって、フィール草の取引、詐欺、そして今回、彼はハロルドと手を組んで、ヴィノクールを戦地にして、ノアズを襲撃している。反逆罪は一番重い罪だ。俺の今の行為は、イルザ様が命じたことだ。」
「彼女に命じられてバリーを殺したのなら、あなたのやっていることはバリーと同じよ!イオリ!私からどれだけのものを奪えば気が済むの!?私は彼と結婚しようと思っていたのに!」
「イルザ様の為なら、ノアズの為なら、俺は穢れてもいい。サラ、お前はもう戻れない。バリーと共に、ノアズを襲っている。この計画に加担している。」
「私を撃つの?撃てるの?」
「……。」
イオリが一瞬怯んだ時だった。サラはイオリに向かって発砲した。でもそれには私が対処出来た。私は彼の前に立ち、自分の左の肩で小さな銃弾を受け止めてから、持っていたスナイパーをサラに向かって腰撃ちをした。
「ああああっ!」
私の氷の銃弾はサラの心臓に当たった。しかし私は殺傷する能力はない。それでも彼女は撃たれたと誤解したみたいで、ショックでその場で気を失ってしまった。
「すまない、アリシア……!」
「いいよ、大丈夫。」
イオリが慌てた様子で私の肩を調べている。その間に私はサラのことを見た。バリーの隣に倒れている。
イオリの気が済むと、私は彼女の方に近づいて、ちょっとだけ、爪先で頭をツンツン突いた。彼女は目を閉じたまま、寝ている。
「倉庫内が乱戦状態だ!」レイヴがドアのところで銃撃をしながら叫んだ。「このままここにいるとヤバいぞ!どうする!?」
イオリがバリーの机のところに行き、倉庫の放送用のマイクを使って、自分がバリーを撃ったこと、そしてもうノアズに属していること、更にイオリ派だった人間がノアズに寝返っていることを伝えた。
倉庫内は恐怖の叫びと歓喜の雄叫びで、この世じゃない気がするぐらいに変な空間になった。
もう本格的に同盟を組んだんだ。同盟というかFOCがボードンに入っただけだけど。倉庫内に顔パスで入れた我々は、バリーに会うべく倉庫内を歩いた。
錆びた赤いドラム缶が壁際で積み重なっている。鉄製のスケスケの階段を登っていくと、後ろのイオリの革靴がコツコツと音を立てた。レイヴに至っては革のブーツでガンガン足音を立てている。
階段を上り切ると事務室があった。ドアの前にはバリーの部屋の前にもいた太った護衛が二人、立っていた。
ふと下の階を見下ろすと、ドラム缶の影にダニーがいて、こちらを見てから何処かへ向かって軽く走り出した。
彼は倉庫の外へと走って行った。もしやと思い、私は屋根の方を見た。倉庫の骨組みに隠れるようにして、イーグルがスナイパーを持って待機していた。なるほど、準備は出来ているみたいだ。
バリーの護衛に「バリーに会いに来た」と伝える前に、彼らはドアを開けてくれた。私は自然に室内に入った。
バリーは黒いFOCの防弾チョッキを着て、机のところに座っていた。そしてなんと、彼の膝に座っていたのはサラだった。こんな状況で何を楽しんでるのか、彼女のオフショルダーが少しはだけていた。
高級ブランドの白い帽子とサングラスをつけたサラが私を見てから、立ち上がって、彼の隣で腕を組んだ。私の隣にはイオリとレイヴも来ている。
バリーは満足そうに笑った。
「実はな、かなり戦況はいい。イオリが言った通りにフォレスト大佐が敵の総大将だ。彼女の弱点を色々と突かせてもらって、ノアズはかなり動揺したまま戦ってるみたいだ。はっはっは……そしてここまで来てくれた。俺たちの為に、灯の雪原から颯爽と駆けつけてくれた。礼を言うよ、イオリ。」
「こちらこそ。」イオリは答えた。
「イオリ、俺はお前を誤解していたようだ。敵とばかり思っていた。でもそれは間違いだった。「一つ、質問したい。」
バリーが話し途中だったけど、イオリが割り込んだ。バリーは微笑みを消して、首を傾げた。イオリは真剣な冷たい瞳でバリーをじっと見て、聞いた。
「アリシアを撃ったことを、反省しているか?」
バリーはゴクリと喉を動かしてから答えた。
「……してると答えないと、ダメかな?」
その時だった。急に立ち上がったバリーが腰から銃を抜いて、イオリに向かって発砲しようとした。イオリも腰からマグナムを抜いたが、バリーの方が早かった。
瞬間をゆっくりと感じた。イオリがバリーに撃たれる。でも私が盾になるには間に合わない!しかしバリーは何故か急に目を見開いて、手から銃を滑らせて、落としてしまった。
イオリがバリーに言葉を放った。
「お前に、俺を撃っていい許可を与えた覚えはない。」
「……!」
ドンと片手拳銃にしては重たい銃声が響いた。それはバリーのハンドガンの音ではない、イオリの高火力のマグナムの音だった。彼の漆黒の銃弾が、バリーのおでこに命中して、バリーは目を見開いたまま後ろに倒れていった。
サラが「はああ!」と叫んで、帽子からピンクの小さいハンドガンをイオリに向けた。イオリは両手で構えたマグナムを、そのままサラに向けた。サラのピンクのハンドガンが震えている。
今の銃声を引き金に、外でも撃ち合いが始まった。ドアの外の二人は、レイヴがゼロ距離射撃をして対処してくれていたようで、静かになっていた。
「サラ、」イオリが言った。「今となっては俺だけじゃない、ダニーやイーグル、レイヴにアリシア、そして付随する部下たちも、その全てがノアズを主人としている。」
「だ、だからって、どうしてバリーを撃ったの!?ノアズなら、捕まえればいいのに!」
「バリーは重犯罪者だ。アリシアだけじゃない、彼はオリオンの為、ハロルドの為、幾多の人間を殺害してきた。強盗だって、フィール草の取引、詐欺、そして今回、彼はハロルドと手を組んで、ヴィノクールを戦地にして、ノアズを襲撃している。反逆罪は一番重い罪だ。俺の今の行為は、イルザ様が命じたことだ。」
「彼女に命じられてバリーを殺したのなら、あなたのやっていることはバリーと同じよ!イオリ!私からどれだけのものを奪えば気が済むの!?私は彼と結婚しようと思っていたのに!」
「イルザ様の為なら、ノアズの為なら、俺は穢れてもいい。サラ、お前はもう戻れない。バリーと共に、ノアズを襲っている。この計画に加担している。」
「私を撃つの?撃てるの?」
「……。」
イオリが一瞬怯んだ時だった。サラはイオリに向かって発砲した。でもそれには私が対処出来た。私は彼の前に立ち、自分の左の肩で小さな銃弾を受け止めてから、持っていたスナイパーをサラに向かって腰撃ちをした。
「ああああっ!」
私の氷の銃弾はサラの心臓に当たった。しかし私は殺傷する能力はない。それでも彼女は撃たれたと誤解したみたいで、ショックでその場で気を失ってしまった。
「すまない、アリシア……!」
「いいよ、大丈夫。」
イオリが慌てた様子で私の肩を調べている。その間に私はサラのことを見た。バリーの隣に倒れている。
イオリの気が済むと、私は彼女の方に近づいて、ちょっとだけ、爪先で頭をツンツン突いた。彼女は目を閉じたまま、寝ている。
「倉庫内が乱戦状態だ!」レイヴがドアのところで銃撃をしながら叫んだ。「このままここにいるとヤバいぞ!どうする!?」
イオリがバリーの机のところに行き、倉庫の放送用のマイクを使って、自分がバリーを撃ったこと、そしてもうノアズに属していること、更にイオリ派だった人間がノアズに寝返っていることを伝えた。
倉庫内は恐怖の叫びと歓喜の雄叫びで、この世じゃない気がするぐらいに変な空間になった。
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