冷酷な皇帝陛下の妃候補(身代わり)になったんだけど、男だってバレたら殺されるらしい。

濃子

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14.話すと書くとじゃわけが違う

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 それにしても、話せないのは思っている以上に不便だ。
「なんか、声が変わる魔法とかないの?」
 いま欲しいもの、ボイスチェンジャーかね。
「はいーー。聞いたことがありませんし、陛下が何もされないということは、ないのでしょうね」

「あっ、そっか。解毒できるんだから、そこそこのことはできるよな」
「そこそこ……。陛下は突出した魔法の使い手だそうですが……」
 ふうんーー、けど、見た目攻撃系っぽいしな。じゃあ、手話はどうだろーー、あっ、そうかーー!!

「クラメン、字を教えてほしいんだけど」
「字、でございますか……。帝国語は私も簡単なものなら教えられますが、あまり難しいものはーー」
「え?文字が書けないの?」
「ニバリス語、のみですーー」
 申し訳なさそうなクラメンの顔に、俺はピンときた。

「まさか、文字が違うのか!?」
「はい。王侯貴族は帝国語が必須になりますが、私達はそこまではーー……」
「しゃべれるのにーー!?」
「書くとなると……」
「あーー、そうなんだ……」

 たしかに、英語も話せるけど書けないって多いよな。いや、自分の国の言葉以外を話せるだけでもすごいんだよ。

「じゃあ、誰かに教えてもらわないと」
「ーーセラフィナ様の言葉は、とても美しいですね」
「え?そうなの?」
「はい、帝国語でも中央のイントネーションのようです」
「ーーなんで?」
「ーーーわかりません……」

 俺、意識しないで帝国語を話してるの?そうか、天才だったんだな、俺。
「ーーう~ん。先生を探さないと……」
「そうですね……。セラフィナ様が書かれた書の文字は?」
「うん、あれが俺の母国語なんだ」
「セラフィナ様のいらした国ですね」
「うんーー。俺って、帰れないのかな……?」
「………」

「どうしたらいいんだろ……」
 俺、このままずっとここにいるのかな……。ーーなら、どっかで働かないとーー、そのためにも文字は必須だ。文字が書けなきゃ契約書も読めないし、サインもできないからね。

「セラフィナ様が帝国語を書けないのが、城のひとに知られるのもいけません」
「ん?なんで?」
「本物の姫様は、読み書きができるからです」
「そっか……。なら、独学でやるしかないか……。クラメン、簡単な書物とかないかな?」
「ーーはい……」
「ん?」
「ーーー姫様は、勉学が、………お嫌いでして……」

「…………」
 嫌いだからもってないの?セラフィナさん、徹底してるな……。まっ、嫌いなのはしょうがないよ。姫様だからって、全員が、「勉強大好き!」、なわけない。

「近くに図書室はある?」
「国政エリアに蔵書室はございますが、一般公開はされていません」
「あーー」
 学ぶ環境もないのか……。


「ーーこうなったら、最後の手段だ」
「え?」
「うまくいったら今日も殺されずにすむぞーー」
 俺は夜に向けて、準備をし始めた。


 ーーそうだ。

「クラメン、あのときの半紙って、何か仕掛けがあるの?」
「仕掛け……、魔法のことでございますか?」
「うん、それそれ」
「あれはただの紙でございます。あのときの魔法でしたら、セラフィナ様の魔力でしょうね」

「ーーなんで?」
 クラメンの断定する言葉に、俺はキョトンとするしかない。俺がなんで魔法を使えるんだ?
「魔法や魔力など、わたくしはあまり詳しくはないのですがーー、セチア様がいらっしゃったら……」
「そりゃ、鎖国が終わるまで俺達が生きてたらいいけどさ……」

 セチアさんも魔法が使えるのなら、なんでセラフィナ姫様に逃げられてんだよな。しっかり拘束しといてくれたら、俺は苦労しなくてすんだのに……。
「……」
 ーーごめん、クラメンのことは責めてないんだよ。だからそんな悲しそうな顔しないでくれーーー!


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