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25.皇帝の恋 ♡
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グラキエスはツキリの青白い顔を覗き込み、わずかに安堵するような表情を浮かべた。
「ーーさ、さむ~~~」
ツキリが呻いたからだ。
「う~~~~、さむっ~~~」
「少し待て」
「ーーーールイリ……?………なんで?~~~~さむっ」
ぶるぶると震えるツキリから服を剥ぎ、裸にする。水浸しになった服を床に落とすと、ドスッと鈍い音がしてそこから水が溢れだした。
「ーー寒かっただろう」
その身体を愛でるような目で見つめ、優しく抱きあげると、迷うことなく自身の寝室に彼を運んだ。
「……」
ベッドの上にツキリを横たえ、自分が身に纏う衣服も脱ぎ捨てる。
「~~~っ、~~~~う~~~」
そして、ツキリの凍えている身体をきつく抱きしめ、唇を重ねた。
「ッ……」
わかってはいたことだが、ツキリはキスの仕方を知らない。もちろん、その先のことも何もわかっていないーー。このぐらいの歳なら性行為に興味をもってもいいはずなのに、やり方どころか自分がそれをするという事も理解できていないようだ。
あの日ーー、はじめてともに朝を迎えたときは、情熱的に迫ってきてくれたのだが、あのときは自分のことを愛玩動物と間違えていたのだろう。ーーそうでなければ、彼にあそこまで求められる存在を、自分は許すことはできない……。
「ん……、っ……」
身体に触れられることにまったく慣れておらず、初心な反応を見せるところがとても可愛くて仕方がないーー。
「……もっ……、はんッ………」
いまも自分の唇から逃げようと、嫌々するように首を振っているのだが、それを追いつめ無理やり唇を合わせることを、潤んだ目で抗議してくる。
ーー息で中から温めているのだが、愛らしくてついからかってしまうなーー……。
遊んでいるわけではない。息吹に魔法を込めて、ツキリの身体の芯からゆっくりと温みを取り戻しているのだ。ーーただ、どうしても彼の表情の変化を楽しんでしまう自分がいるーー。
「ぅん……」
漏れる吐息の艶やかさに目を奪われ、その瞳に心を惹き込まれていくーー。ツキリを自分のものにしたい……、初めて彼を見たとき、グラキエスはそう思った。
彼が自分の初恋のひとに似ていたからだーー……。
ーーだが、こう見ると、あのひととは似ていない……。
ぬくみを取り戻してきたツキリの唇に、より一層深いくちづけをおとす。舌を突き刺し、征服するように口腔を舐め続けた。涙目になって自分を見る彼に、背中がゾクゾクと感じてきてしまう。
同性との経験はないが、こうして肌を重ねていても違和感はなく、むしろ当然のようにこの先を期待している自分がいる。
「……」
力ずくで抱いてしまいたいーー。だが、強引に事を進めれば、彼は自分から離れてしまうだろう。ーーそれだけは絶対に避けなければならないーー……。
「ーーそんな顔をするな……。ただの治療だ」
ーーいまは、だが……。
それを聞いてツキリの身体から強張りが解けていく。この警戒心のなさはどうすればいのだろう。もっと自分を男として、ーーそういう相手として認識させたい。
どうするかーー、と考えを巡らせながらグラキエスは自分に苦笑する。
ーーこんなもの、……あのとき捨てた感情なのに………。
互いの胸を重ねていると、いつもより速く脈打つ心音が自身の緊張を知らせ、気恥ずかしくもある。だが、これも彼に触れているのだから、当然のことなのだろうーー……。
自分は彼に恋をしている……。もう、自分を抑えられないほど、彼を欲しているのだーー……。
「ーー次などないと思っていた……。だが、こんなにも胸がときめくとはーー……」
「ーーさ、さむ~~~」
ツキリが呻いたからだ。
「う~~~~、さむっ~~~」
「少し待て」
「ーーーールイリ……?………なんで?~~~~さむっ」
ぶるぶると震えるツキリから服を剥ぎ、裸にする。水浸しになった服を床に落とすと、ドスッと鈍い音がしてそこから水が溢れだした。
「ーー寒かっただろう」
その身体を愛でるような目で見つめ、優しく抱きあげると、迷うことなく自身の寝室に彼を運んだ。
「……」
ベッドの上にツキリを横たえ、自分が身に纏う衣服も脱ぎ捨てる。
「~~~っ、~~~~う~~~」
そして、ツキリの凍えている身体をきつく抱きしめ、唇を重ねた。
「ッ……」
わかってはいたことだが、ツキリはキスの仕方を知らない。もちろん、その先のことも何もわかっていないーー。このぐらいの歳なら性行為に興味をもってもいいはずなのに、やり方どころか自分がそれをするという事も理解できていないようだ。
あの日ーー、はじめてともに朝を迎えたときは、情熱的に迫ってきてくれたのだが、あのときは自分のことを愛玩動物と間違えていたのだろう。ーーそうでなければ、彼にあそこまで求められる存在を、自分は許すことはできない……。
「ん……、っ……」
身体に触れられることにまったく慣れておらず、初心な反応を見せるところがとても可愛くて仕方がないーー。
「……もっ……、はんッ………」
いまも自分の唇から逃げようと、嫌々するように首を振っているのだが、それを追いつめ無理やり唇を合わせることを、潤んだ目で抗議してくる。
ーー息で中から温めているのだが、愛らしくてついからかってしまうなーー……。
遊んでいるわけではない。息吹に魔法を込めて、ツキリの身体の芯からゆっくりと温みを取り戻しているのだ。ーーただ、どうしても彼の表情の変化を楽しんでしまう自分がいるーー。
「ぅん……」
漏れる吐息の艶やかさに目を奪われ、その瞳に心を惹き込まれていくーー。ツキリを自分のものにしたい……、初めて彼を見たとき、グラキエスはそう思った。
彼が自分の初恋のひとに似ていたからだーー……。
ーーだが、こう見ると、あのひととは似ていない……。
ぬくみを取り戻してきたツキリの唇に、より一層深いくちづけをおとす。舌を突き刺し、征服するように口腔を舐め続けた。涙目になって自分を見る彼に、背中がゾクゾクと感じてきてしまう。
同性との経験はないが、こうして肌を重ねていても違和感はなく、むしろ当然のようにこの先を期待している自分がいる。
「……」
力ずくで抱いてしまいたいーー。だが、強引に事を進めれば、彼は自分から離れてしまうだろう。ーーそれだけは絶対に避けなければならないーー……。
「ーーそんな顔をするな……。ただの治療だ」
ーーいまは、だが……。
それを聞いてツキリの身体から強張りが解けていく。この警戒心のなさはどうすればいのだろう。もっと自分を男として、ーーそういう相手として認識させたい。
どうするかーー、と考えを巡らせながらグラキエスは自分に苦笑する。
ーーこんなもの、……あのとき捨てた感情なのに………。
互いの胸を重ねていると、いつもより速く脈打つ心音が自身の緊張を知らせ、気恥ずかしくもある。だが、これも彼に触れているのだから、当然のことなのだろうーー……。
自分は彼に恋をしている……。もう、自分を抑えられないほど、彼を欲しているのだーー……。
「ーー次などないと思っていた……。だが、こんなにも胸がときめくとはーー……」
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