45 / 57
45.助かる
しおりを挟む……あれ?
ーー腕が動かない、何でだよ!まさか、これも薬の影響なのかーーーッ!?冗談じゃない!砂が、もう砂が残り少ないーー、身体が異常に熱くなってきた……、喉が乾く!ヤバい!ヤバい!ヤバいーーー!
「……たす、けて……、ーーー……」
頭の中がぐるぐるとまわって、俺の身体がほしいものを探してるみたいだ。ーー嫌なのに……、止めたいのに、俺のアレが俺の意思とは関係なくふくらんでくる……。
ーーサージのヤツが見てるのに……。
「な、なんだ……?」
涙で視界がにじむーー、そんな状態の俺の耳に、サージの何かに驚いた声がはいってきた。だけど、そんなことを気にしてる余裕なんかない、ーー身体が熱くなってくる……、インフルとかじゃない、変な熱さだ……。
「っん……ん……」
口から勝手にでた声に、俺はショックを受けた。なんで?俺はこんなの望んでないーー、あんなヤツに身体を好き放題されるの?ーー嫌だ、嫌だよーー……、
「ルイリ………ッ」
俺は、おまえに会えない人間になっちまうのかなーー……。汚くて目を背けたくなるようなーー……、そんなの、嫌だなぁ……。
「ーー苦しいのか?」
身体が宙に浮いた。あまりにも突然すぎて、俺は目をパタパタと瞬いたまま何も言えない。
「熱いな」
抱きあげられたから、顔がすごく近いーー。吐く息を感じる距離に彼がいるなんて、普通に考えればありえないことだけどーー。
もしかして、これは夢なんじゃないのか?俺は恐怖のあまり、自分に都合のいい夢をみているのかもしれない……。
そう思ったら、素直に甘えにいってしまって、全体重を預けるみたいに俺の身体から力が抜けた。あーー、夢にしては質感や匂いがリアルだよ。
「……」
彼の肩に頭を乗せた俺の口に、見惚れるぐらい形のいい唇が近づいてくる。そしたら、「あっ」と思う間もなく彼が俺の唇にキスをした。
「ーー質の悪い薬だ。いまは凍らすことしかできないが我慢しろ」
「ん……」
唇が離れたときには俺の身体は軽くなってた。凍らす……、身体の中にある魔法薬を凍らせてくれたんだ……。だから、身体からだるさが消えて……、ーーーえ?さ、寒いーーー……。
熱をもった身体じゃ気がつかなかったけど、まわりは寒いし、景色がすっかり氷景色だよ。部屋の全てが硬質な氷で蓋をしたみたいになっていて、鉄格子まで凍ってる。その中、青ざめたサージは自分を強く抱きしめ、ぶるぶると震えていた。ーーあいつはあえて氷にしてないのかなーー?
「ーールイリ……」
名前を呼んだだけで、俺の胸がときめく。なんだ、これ……、すっごく恥ずかしいんだけど……。
「どうした?」
「ーーーありがとう……」
「見事な魔法だった。城の結界内に入るなど、宮廷魔導師のすることだな」
「………」
ーーそっか……、どうやったかわからないけど、俺、無意識で魔法を使ってたのか。ーーきづいてくれて、……本当に感謝しかないよ……。
「ーーお、おい!なんだ、おまえは!どこからあらわれた!」
さっきまでの勢いはどこにいったんだろうなーー、腰の引けたサージが、鼻をすすりながら喚いている。
「誰が発言を許した」
ルイリがそう言うと、サージのまわりに氷でできた槍があらわれ、それはヤツの首に突き刺さるスレスレでとまった。
「ーーーーッ!!」
驚きに目を剥いたまま、サージが気を失ったみたいだ。横に揺れてそのまま倒れていき、ドンッと床に落ちる音がしたら、もうヤツは動かなくなったよ。
「ツキリ、ーー城に戻るぞ」
「ーーあっ……、うん」
「解毒もしなければならないからなーー、ここは潰しておく」
「えっと、悪くないひともいるんじゃ……」
薬を飲まされたひとは被害者だと思うけど。
「ーー自ら愚かなことをする人間は多い」
「え?」
「しっかりつかまれーー」
「!」
ガキンッ!ーーと大きく何かが割れる音が響いた。割れたのは、俺の目に映っていたすべてだ。目の前で凍った部屋に次々とヒビがはいり、巨大なガラス細工が壊されたようなすごい音がして、建物は粉々に崩れ落ちていったーー。
「ーーあのひと達……」
砕けた氷をかき分けるように、おじさん達がでてくる。その顔はあたりまえだけど、呆然としてて真っ青になっていた。
「ーーな、なんてことだ!」
「我がギルドがぁ~~~!」
おじさん達すごく慌ててるけど、凍ってはいない。ひとは凍らさないんだ、ーー優しいんだな……。
「ーー魔法師ギルド『ファッロ』、直に兵が来る。見苦しい真似はするな」
「な、なんだと!」
「貴様!何の権利があってそんなことを!」
「黙れ」
いや……、おじさん達、勇気あるな……。ルイリなんか見た目オーラ超バリバリで、楯突く勇気なんかもてないと思うけど、反論できるなんてーー……。
「…うっ……」
ズクンッ、と急に身体の芯が疼いた。あーー、また身体が熱くなってくる……、嫌だ、この感覚ーー。
「ーーツキリ、行くぞ」
小さく頷くと、ルイリは俺を抱えたままその場から飛んだ。
「!」
「逃げるなーーー!」
怒鳴り声が聞こえるけど、ルイリはまったく意に介さないみたいで、意識が虚ろな俺を抱えたまますごい速さで移動した。走る、とか、飛ぶ、でもなく、イメージ的には瞬間移動みたいな感じだーー、といってもあくまで俺が思ったことだし、もちろん俺は瞬間移動なんかしたことはないよ。
つまり、よくわからないけど、俺は一瞬の間に、ルイリの寝室に寝かされていたわけなんだ。
50
あなたにおすすめの小説
30歳まで独身だったので男と結婚することになった
あかべこ
BL
※未完
4年前、酒の席で学生時代からの友人のオリヴァーと「30歳まで独身だったら結婚するか?」と持ちかけた冒険者のエドウィン。そして4年後のオリヴァーの誕生日、エドウィンはその約束の履行を求められてしまう。
キラキラしくて頭いいイケメン貴族×ちょっと薄暗い過去持ち平凡冒険者
その首輪は、弟の牙でしか外せない。
ゆずまめ鯉
BL
養子ゆえに、王位継承権を持たないオメガで長男のレイン(24)は、国家騎士団として秘密裏に働き、ただ義弟たちを守るためだけに生きてきた。
第一継承権を持つアルファで次男のリオール(19)は、そんな兄に「ごく潰し」と陰口を叩く連中を許せなかった。自分を犠牲にしてまで守る価値はないと思っていた。なにかと怪我の多い国家騎士団を辞めさせたかった。
初めて訪れた発情期のとき。約束をすっぽかされたリオールが不審に思い、兄の部屋へ行くと、国家騎士団の同僚──グウェンソード(28)に押し倒されるところを目撃して激高する。
「今すぐ部屋から出ろ!」
独占欲をあらわにしたリオールは、グウェンソードを部屋から追い出し、兄であるレインを欲望のままに抱いた。
翌朝、差し出されたのは特注の首輪──外せるのはリオールのみ。
「俺以外に触らせるな」
そう囁かれたレインは、何年も首輪と弟の執着に縛られ続けてきた。
弟には婚約者がいるのに、こんな関係を続けてもいいのか。
本当にこのままでもいいのか。
ひたすら執着して独占したがる弟と、罪悪感に苛まれる兄。
その首輪は、いつか弟の牙で血に染まるのか──。
どうにかしてレインを落としたいリオールと、弟との関係に悩むレインのオメガバースです。
リオール・グランケット(19)×レイン・グランケット(24)
※この作品は2015年頃に本文を書き、2017年頃にオメガバースに改稿、さらに2026年に手直しした作品になります。読みにくいかもしれません。ご了承ください。
三人称ですが攻めだったり受けだったり視点がよくかわります。攻め視点多めです。
オッサン、エルフの森の歌姫【ディーバ】になる
クロタ
BL
召喚儀式の失敗で、現代日本から異世界に飛ばされて捨てられたオッサン(39歳)と、彼を拾って過保護に庇護するエルフ(300歳、外見年齢20代)のお話です。
【完結】お義父さんが、だいすきです
* ゆるゆ
BL
闇の髪に闇の瞳で、悪魔の子と生まれてすぐ捨てられた僕を拾ってくれたのは、月の精霊でした。
種族が違っても、僕は、おとうさんが、だいすきです。
ぜったいハッピーエンド保証な本編、おまけのお話、完結しました!
おまけのお話を時々更新しています。
ご感想欄 、うれしくてすぐ承認を押してしまい(笑)ネタバレ 配慮できないので、ご覧になる時は、お気をつけください!
トェルとリィフェルの動画つくりました!
インスタ @yuruyu0 絵もあがります
Youtube @BL小説動画
プロフのWebサイトから、どちらにも飛べるので、もしよかったら!
名前が * ゆるゆ になりました。
これからもどうぞよろしくお願い致します!
表紙や動画はAIを使用していますが、文章にはAIを一切使用しておりません。校正も自力です!(笑)
悪役令嬢と呼ばれた侯爵家三男は、隣国皇子に愛される
木月月
BL
貴族学園に通う主人公、シリル。ある日、ローズピンクな髪が特徴的な令嬢にいきなりぶつかられ「悪役令嬢」と指を指されたが、シリルはれっきとした男。令嬢ではないため無視していたら、学園のエントランスの踊り場の階段から突き落とされる。骨折や打撲を覚悟してたシリルを抱き抱え助けたのは、隣国からの留学生で同じクラスに居る第2皇子殿下、ルシアン。シリルの家の侯爵家にホームステイしている友人でもある。シリルを突き落とした令嬢は「その人、悪役令嬢です!離れて殿下!」と叫び、ルシアンはシリルを「護るべきものだから、守った」といい始めーー
※この話は小説家になろうにも掲載しています。
不遇聖女様(男)は、国を捨てて闇落ちする覚悟を決めました!
ミクリ21
BL
聖女様(男)は、理不尽な不遇を受けていました。
その不遇は、聖女になった7歳から始まり、現在の15歳まで続きました。
しかし、聖女ラウロはとうとう国を捨てるようです。
何故なら、この世界の成人年齢は15歳だから。
聖女ラウロは、これからは闇落ちをして自由に生きるのだ!!(闇落ちは自称)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる