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魔法とアザ花種 編
番外編 おやすみには海♡デート 前編 やや☆様
しおりを挟む海へ行こう、なんてロマンチックなお誘いだよな♡
「どこの海なんだ?前に言ってたへブリーズの海岸か?」
1回戦が終わった後、口移しで水を飲ませてもらったり、ただくっついているだけの贅沢な時間に、キサラからのお誘いだよ。
「ーーそことは、違うんだが……」
ちょっと言いにくそうなところが気になったけど、そんなの些細なことだろう。
「ん?まあ、なんでもいいよ~~~。キサラとならどこでもいいよ♡」
にゃーにゃー、と発情中のネコのように、おれはキサラにくっついてじゃれる。硬い胸に頬でスリスリしたり、舌で腹を舐めたり、エッチってわりとやることが多いというか、忙しいよな。
気がついたら、すっごい時間が経ってたりするのが不思議なんだけどさ。なんでか飽きないんだよね~~~♡
キサラが起きあがり、自分の身体の上におれを乗せ、薄く微笑んだ。
「ーーいいか?」
「もっちろんろん。いくらでもバッチコイよ!」
気合いをいれた俺を冷たい目で見てくるんだけど、なんでなんだ?
「ーーまあ、色気などないほうがいいか……」
心配が増えるしーー、とキサラがつぶやいたんだけど、何が心配なのかねーー。
「んっ」
抱きしめられて、唇を奪われる。キスに応じながら、俺は彼の首にしっかりと自分の腕を巻きつけた。
ーー海~、海~、キサラと海~~~♫
内心、とってもごきげんな俺だ。
視界すべてにはいる、雲ひとつない澄みきった空、白い砂浜、無限に広がる青い海ーー。
そして、爆イケメンな俺のキサラーー。
「じゃあ、ゆっくりしてくれ……」
「早く来い」
ーーちょいまち。ーーふたりで、キャッキャ、ウッフッ、するんじゃないのかよ!!ーーなんで、エロマスターがいるんだ!!
昨日の晩から船に乗ってワクワクしてたのに、なんでおれに構わないんだ。でっ、ここは一体どこなんだ?
「アディ!すなでボールってけれるのか?」
頭を抱えるおれの側を、ボールをもって走るお子様がいる。
「ーーできんことはないぞ……」
アイゼ、おまえもいたかーー。おれってば、ブルースティッツ家の子守り要員だな。
「ビーチサッカーがあるし。裸足でやればいい……」
チミっ子の期待にこたえて、ふたりでボールを蹴る。ランゼは涼しい日陰で絵を描いているけど、側にはマルスがいるから、危険はないだろう。
「はあーー」
うらめしく海を見る。
その清々しいほどの青い海はーー、波が荒れていた。うん、すっごい荒海ってやつ?こりゃ、手前でしか遊べないな……。
「ーー海が戻る前に剣を振れ!そうやって前に進む!」
「はいーー!」
ーーあほかぁぁぁぁ~~~!なんのスポ根やってんだよ。
浜辺ではエドアルドが剣圧で海を真っ二つに割り、あらわれた砂地を歩いて、波が戻る前に次の一振りでさらに海を割ってるよ。
あいつ、モーゼだったんだなーー。
向こうにも、奇跡というか魔法みたいな逸話が結構あるけど、案外昔のひとは魔法が使えたのかね?
いや、それよりまず、これは何のための特訓なんだ??何かの役に立つのか?
「ーーキサラと遊びたい」
ぶーぶー言いながら、砂でお城を作り出すと、ランゼが寄ってきた。
「ーーはいっていい?」
「おぅ、ウェルカムだ」
「坊っちゃま、パラソルを立てましょうか?」
「大丈夫だよ。そこまで陽射しはきつくないし、今日はエリンがいないしさ」
「わたくしでもそれぐらいできますよ」
年寄り扱いして、とマルスが不満気に眉を寄せる。いや、年だろ?こき使いたくはないよ。
「ーーアディはキサラのことばっかりだな」
「そうだな」
むくれるアイゼにおれは深く頷いた。
「ーーずっとまえにお父様が、キサラにはぼくがいい、っていってたんだ」
「え!?それは、ーーそれは、ありえない話じゃないが、キサラが完全にロリコンになるな……」
キサラ、兄貴より上だから(兄貴21歳)、18歳差だよーー……。
「ーーぼく、いやだな」
「何がだよ。キサラの正伴侶は譲れないぞ」
あいつがどうしてもアイゼを側夫にしたいなら、要相談だけどさ。
「ーーぼくら、アザばなしゅだから、こどもをうむほうだし、けっこんするひとにえらそうにされるんでしょ?」
「それは、おまえらの父親が偉そうなだけで、兄貴みたいなひとも多いぞ」
「テレゼとけっこんするじゃん」
「ーーキサラもおれと結婚しますけど?」
「アディはいいんだよ」
あれ?おれ雑魚モンスター扱いか?
「おとなになりたくないな……。からだもなよなよしてくるんでしょ?マムみたいにさ……」
悲しそうな顔をしたアイゼに、おれとマルスは顔を見合わせた。
「サキナさんは、ザッアザ花種って見本のようだもんな」
「あそこまでの方も珍しゅうございますがーー……」
うん、完全にオカマさんだ。言ったら怒られるけど、元が女性だから仕方ないーー。
「まあ、いずれおまえにも、相手のために自分を変えたいと思うひとがあらわれるさ」
「ーーいやだよ……」
「大丈夫。思ってたより悪くない」
「ふうん……」
「ーーアイゼ様、ランゼ様、休憩にアイスクリームを用意いたしましょう」
アイゼのへこみ顔に、気を使ったマルスが提案した。
「え?やった~~~!!」
「ーーアイスクリーム……。うれしい……」
飛び上がってはしゃぐアイゼに、顔を赤らめて、それでもとてもうれしそうにはにかむランゼ。同じ兄弟でも性格は真逆だなーー。
「では、手を洗ってーー、坊っちゃまは?」
砂浜の向こうの日陰にはテントが張ってあって、休憩所になっている。護衛の兵士も数人いるんだけど、こっちに来るなって言ってるから誰も来ないんだ。
「まだここにいるーー」
陰ながらキサラを応援する。なんて健気なおれだよ。
「ーーどこまで行ってんだよ」
キサラとエドアルドの姿が見えないが、沖のほうにある小さな島にでも行ったのかな。やれやれ、キサラもエロマスターの前じゃ良い子なんだから、困ってしまうぜーー。
ざぱーーーんッ!
「プッ!」
波の来ない砂浜にいるはずなのに、急に勢いよく波がきて、おれを飲み込んだ。波が引くときにおれも一緒に海へと引きずり込まれる。波の勢いが強く大きいーー。
ーーおっ、おいーー!ヤバいぞーー!!
体勢を整えようとしたおれは、身体が何かにあたり、そのままそのひと抱きしめられた。腕も肩もよく知っている、そのひとだ……。
「大丈夫かーー!」
キサラが慌てたようにおれをお姫様抱っこする。
「ぺっぺっ~~!ーー急に波が来たぞ!」
「悪い、向こうから海を割ってきたら、砂浜に波が行ってしまったーー……」
なんの謝罪だよ。
「なあ、これはなんのための修行なんだ?」
「……」
黙るキサラに、海から出たエドアルドがくすくすと笑った。
「ーーふふっ。のんきな婚約者様だな」
「………」
なんだよ、エドアルドのバカタレ~~~。
「ーー魔ドラゴンの巣を見てくる。火石があればいいがーー」
「あっ、火がでる石か」
取り扱いが難しい高度な石だ。ちょっと刺激を与えただけで火が付くから、扱いが難しいと聞いたことがある。光石とかの仲間らしいけど、魔ドラゴンの巣にあるんだ。
「なあ。えろ……、マスターはいろんなことを知ってるんだな」
「ああ。ここは若い頃エド兄が修行をした島なんだ」
「へぇ。そりゃ元から強かったわけじゃないか……」
「ーー7歳のときには、熟練の騎士より強かったそうだ」
「………」
うん。あいつは絶対に敵に回しちゃだめだな。王の座を欲しがったら素直に渡すようにパピーに言っとこう。
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いつも最後まで読んでいただきありがとうございます。
アディとキサラの夏休みです。ロンドスタットに行く前ですね😁番外編みたいな話です。
暑い毎日ですが、皆様ご自愛なさってください😌
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