(完結)主人公の当て馬幼なじみの俺は、出番がなくなったので自分の領地でのんびりしたいと思います。

濃子

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当て馬王子 アディオン 編

第42話 与一、婚約式が決まる。

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「ーー異常で本日の会議は終わりと致します。陛下、何かございませんか?」
 その日もいつもと変わらない朝議内容で、早々に外務大臣が会議を締めようとしてた。

 うちの国の大臣は外務大臣、内務大臣、財務大臣、法務大臣、軍務大臣ーー、まあ、そんなとこかな、テヘペロ。

 王様の親政国家だから、宰相はおかないんだってーー、うん、なんかどんな物語でも絶対にいそうだけどさ。
 その代わり王太子のリディアンが、宰相の仕事をしてる。あのひと、できるひとだからね。

「ーーうむ、今日は皆に知らせがある」
 なんかあったっけ?
 俺はリディアンのほうを見た。兄貴も俺のほうを見ていた。そして、にやりとしたんだ。


「ーー隣接大陸のラース大公から書簡がきた」

 !

 会議室が急に目が覚めたようにざわざわしだした。おいおいおまえ達、急に大きな音立てるなよ!びっくりするだろう。

「へ、陛下!ついに!!」
「一ヶ月、長かったな~」
  やい、親父。そういうのはまず俺にこっそり言うもんだろ、よりにもよって公開処刑かよ。うちの息子はやらん、とか言われたらこの場で号泣するぞ。

「は、早く。へ、陛下!!」
「さあさあ!」
 なんで大臣達や、補佐官までうずうずしてるんだ。

 まっ、最近、ネタになるような話がなかったもんなーー、みんな暇なんだろう。
 セディランの謹慎が解かれたぐらいじゃ盛りあがらないか…。

「ふむふむーー、まあ、前半は季節のご挨拶だな」
 親父、先に目を通しといてよ。

 そんでもっていらん部分は、はしょっとけ。


「陛下、焦らさないで~~~」
 財務大臣(50代の濃い顔のおじさん)、身悶えるな。
「まあまあ、よいではないか」
「いや~ん」
 ……みんなノリが良すぎだよ。

「ーー結論から言えば、不肖の息子をよろしく、とのことだ」
「!」
 えっ?向こうの親が承諾してくれたの?じゃ、じゃあ俺とキサラはマジで婚約するの?




 リンゴーン~~~♫

 ーー神様、ありがとう!俺はこうみえて尽くすほうだ。いままでは残念ながら尽くす相手が、かあちゃんと姉貴だけだったけどなーー!

 
 喜んで笑いだしそうになった俺は、すぐに現実に気づいた。


 ーーしかし、超、単身赴任か……。まあ、亭主元気で留守がいい、っていうけど……。実際、どうなんだろ……。

 

「ーーラース大公家ではお腹が家を継ぐため、息子が家を継ぐ権利はないが、その子供がアザ花種だった場合には、継承権が関わってくることを心にとめておいていただきたいーー」

 どよめきがあがる。
 家によってはいろいろだとは思うけど、向こうはアザ花種を重きに置く家っぽいもんな。

「ーーアディオン殿下にはこちらにも顔を見せにきてくれると大変喜ばしく思うーー、スタナ・アンゲルス・ド・ラースーー」

 レディガンが書簡から目を離すと、大臣達は手を叩きだし、会議室に拍手の嵐が起こる。リディアンなんかハンカチで目を押さえているけど、絶対に演技だ。

「ーー贈り物が添えられていたーー」
 高価そうな箱をレディガンが取り出す。贈り物ーー、なんだろ……。びっくり箱だったりしてなーー。

「へ、陛下!」
「はっ、はひゃーー……」 
 大臣達が絶句している。それもそのはず、でてきたのは金ピカのワイングラスが5脚だ。輝きがヤバいな。

「ーー純度が高そうな金ですな」
「なんと美しい彫刻……」
「ラース家の紋章、皇帝薔薇、というらしい」
 金が有名なだけあって、贈り物も洒落てるなーー。

「うちからは何を贈ったんですか?」
 リディアンが尋ねると、レディガンは目を泳がせた。
「さては父上、書簡だけですか?」
「いやーー、本当の話、信じてなくてな」

 ーーおい、信じてなかったのか。

「うん。今度からはうちの焼きたてパンでも贈っておこう」
「はははっ、父上カビてしまいますよーー」
 のんきなふたりだな……。いや、今度は俺が、キサラのお父様に(ん?お腹様か…)贈り物をしよう。


「ーーよし。リディアン、アルカヌム大司祭に連絡を」
「婚約誓約書ですね。ナオル」
 リディアンがイキイキした顔で自分の侍従長を振り返るんだけど、
「ふぁ~い」
 チリチリの頭をかくな。陛下の御前なんだから、せめて髪ぐらい整えてくれよ。第一、兄貴、大事なことはそいつに任せないでくれーー。

「……父上、本人が不在では婚約誓約書など受理されないのでは?」
  不安になった俺がおずおずと声を出す。

「それもそうだが早くしないと、みんなおまえの妄想癖を案じ、そろそろ医者に見せろと言うしーー」
 俺は大臣達をぎろりと睨んだ。

 内務、財務、軍務ーー、おまえらもか!下向いたからすぐにわかったぞ!!しかも軍務大臣て、どうせそれケレイブ達が言ってんだな?

 むっとした俺にリディアンが笑う。
「代役をお義腹様につとめてもらおう。何、誓約書に名前を書けばいいだけだから。書いてもらったものを、複製してあちこちに貼れば、おまえへの見合い話がなくなるからね」

 あー、そうか……。
 お父様、お兄様、お気遣いありがとうございます。ぼくはとっても幸せの王子様ですね…。

 しかし、お腹様、って。他にいいネーミングないのかね……。母上じゃだめなのかな……。俺にもし子供ができたら、かあちゃん、て呼ばそうかな~~~。

















「ーーそんな大事なことを私が代筆していいのですか?」
 体調も順調に回復してきているサキナが、話を聞いて目を丸くした。
「申し訳ない。せっかちな親でーー」 
 ほんとにねーー、困りますよねーー、てへっ。
 
 俺は謝罪の気持ちも込めて、お菓子をたくさん持参してきた。マルスの淹れてくれた紅茶で、サキナにはティータイムに付き合ってもらっている。

 彼の隣りではかわいらしい青年がリンゼをあやしていた。従者のレインというそうだ。よそのひとがいると、言葉に気をつけなきゃならないんで、ちょっと窮屈なんだけどね。

「それは構いませんがーー。……お父様もお元気そうでよかったです……」
「ーーどちらも父と申し上げるのか?」
 俺の質問の意図に気がついたのか、サキナが目を瞬かせた。カップの中の琥珀色の液体をじっと見ながら、言いづらそうに言葉をだす。

「ーーラース家ではお腹様のほうが力が強いですし、私も自分の父親とは会ったことがないのですよ…」
「え?」
「なんでも、子供ができなくて、手当たり次第に手をだしてできたのが私だそうですーー」
「あー、、、それではーー」

「ふふっ。私を身籠ったときに、『このひとだ』、とわかったそうで、キサラもマキラもタキナも父親が一緒です」
「ーープレッシャーが、大変だったのだな……」
「アザ花種は、できてあたりまえ、ですからねーー……」



 コンコンコンッ、ガチャッ……。

「ーー坊ちゃま、ティータイムのところ失礼致します。準備が整ったので、陛下が呼んでますよ」
「ーーいまからなのか?」
 朝頼んで夕方前とはーー、神官庁も忙しいだろうに、ゴリ押ししていないだろうな?

「用意がありますので、私は先に行きます」
「わかった。申し訳ない、サキナ殿ーー」
 もう、仕事終わりだろーー、明日にしたらいいのに……。


 ーーそうそう、ニホン人からしたら、ウッソーなんだろうけど、ここの国のひと、仕事は3時までよ。王都の飲食店とか夜の店は別だけど、貴族は夜の付き合いがあるからね。
 そっちに重きを置くひとが多いのは確かだなーー。

 もちろん、お城の使用人と兵士さん達は、24時間で時間区切った交代制だけどね。

「いえいえ、緊張しますね…。レインーー」
「はい。お子様方のことはまかせてください」
 はきはきと答える姿に好意がもてる。子守りにも慣れてそうだよな(4人いればあたりまえか……)。

「ーーサキナ様、ゆっくり歩いてくださいよ」
「ありがとうーー」
 主を心から慕ってるのが、気遣うような表情でわかる。忠義心のかたまりみたいなひとだな。


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