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当て馬王子 アディオン 編
キサラ その2
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…………。
「ーー領内捜査局ーー」
「そう、キサラならぴったりだと思って。君を部下にするなんてとんでもない話だから、僕と同等の権利ならいくらでもつかってお仕事してよ」
ダウリーは花に囲まれた生活をしたいらしく、あいつの宮の庭にはいつも色とりどりの花が咲いていた。もちろん薔薇もある。
ーーくさい……。
俺は正直花の匂いが好きになれない。
「やるとは言っていない」
「えーー。僕は君に頼まれたからサシャラを連れて帰ったんだよーー。婚約者にビンタされたのにーー」
……………。
「それに、まだ消えた従兄弟が見つからないんだろ?手がかりもないんじゃやみくもに捜索してても無駄だよ。捜査していれば思わぬところから話がふってくるかもしれないしーー」
……俺は領内捜査局の局長を引き受けた。
師匠には仕事の話をしたが、くれぐれもあいつには俺の存在は隠すように言った。別にあいつ自身に恨みがあるわけでもないーー。ただ、寄りたくない、あいつからはあの家のにおいがするからーー。
師匠はバカにするような顔をしていたな……。
ーーすまない、長々と。聞き流してくれ………。
話を戻すが、その日、城に異変は起こった。
帰国したセディランが、テレゼの誘拐に成功したのだ。見事にリディアンとテレゼの視覚を奪い、自分専用の馬車に乗せて外に連れ出した。
師匠はまだ戻っていないーー。さて、どうするかーー。
王太子が捜索の手を広げようかと思案中に、師匠は帰ってきた。テレゼがいなくなった話に激怒し、すぐに飛び出して行く。
しかし、早い対処だ。
まるで計画が漏れているような違和感があるーー。
どうもその原因は第2王子にあるらしい。あいつと一緒にいるが、彼も連れて行けば国境は楽に抜けられるし、ユドンへの心証はいいものになるだろう。
俺はサキナと王子を拉致して、馬車に乗せた。ただし、兄とは極力話したくはない。局員にもアザ花種がいることから、そいつを兄の馬車につけ、俺は王子の見張りをすることにした。
ーーとは言え、こいつはなんなのだろう……。
本当に王子か?
王子らしくはしているが、細部の所作に違和感を覚える。前に馬舎の前で見たときはそうは思わなかったのだが、何かボロがでているような気がしないでもない。
しかも、なんとなく花の匂いがする。額にアザがないことから、マキラのように後天性のアザ花種だろうか……。
だが、国境警備隊の隊長の様子を見ると、こいつが王子で間違いない、という顔だ。
ーー気のせいか……。
興味は沸いた。
仕事に支障がでるような真似はしたくないが、自然と話をしたくなった。
それに、国境兵への処罰を恐れて過呼吸まで起こすとはーー、優しい奴だ。ーーその手紙のなかに、師匠への言伝を貼り付けた。師匠は残念ながら気づかないかもしれないが、あの聡いテレゼなら見ればわかるだろう。
『エド兄へ 土竜』
それだけ書いておけば、師匠なら潜入捜査をしていることがわかるはずーー。土竜はスパイなどを意味することだから。
詳細は鷹を飛ばそうと思うが、どこにユドンの部下がいるかがわからない以上、下手な動きはしないほうがいいーー。
本当にマキラはユドンを家に呼べたのか?あの用心深い卑怯な奴をーー。
考える俺の前で、王子はどんどん警戒心をなくしていく。
とことん、変な奴だな。
懐かれても困るがーー。王子の中には好奇心が強い奴もいる、だが、そういうのでもなさそうだ……。
「……きれいな髪だなーー」
言われて驚いた。
ーーーーー俺もまだまだ未熟だ。
髪の毛を褒められたぐらいで、少し自分を認められた気になるなんてなーー。
……頼むから俺を信じるな。
この先、見たくないものをみるんだからなーー。
※※※
マキラの兄いびり演技は感嘆ものだった。
ただ、すべてが演技ではないことは、ラース家に生まれた者ならわかることだ。
普通で生まれたことで、どれほどの絶望を味わったのか、弟も思うところがあったのだろう。もちろん、そんな感情をもたれても、兄はいい迷惑だろう。
アザ花種など、うらやむものではないーー。
兄も祖父から逃げた。
それが、証拠だ。
俺は弟の隣りにいるユドンを注意深く見た。
あれが本物かーー。いままでは影武者ばかりを追いかけていたが、裏にツテがあるとこうも違うのか。
彼の目は弟のことを微塵も疑っていない。これなら疑われることなく兄を送り込めるだろう。
エド兄もいま兄のことを探している頃だ。それが、ユドンの仲間の耳にうまく入ればいい。奴らの世界でも信用がものを言う。マキラが本気で兄を競売にかけることに信憑性がつくはずだーー。
これで、ユドンの組織を潰すことができる。その背後にいる奴らも引っ張りだせれば、ーーいや、そんなにうまくはいくはずがないーー。
「……すごいですね!さすがはマキラ様!ここまで上質なアザ花種は見たことがありませんーー!しかも、その黒髪!アンガーティ王家のアザ花種!?本物ですかぁ!!こ、これは、なんという商品ですかー!」
は?
「どこの大富豪も喉から手が出るほど欲しがっている黒髪ーー。マキラ様、素晴らしいですね!!」
「……まあね」
おいーー。それはまずいだろうーー。
内心、動揺する俺を視線でとめて、マキラとユドンの会話が続いた。
「マキラ様、明日連れに参ります」
「ーーなんで?いま連れて行かないの?」
「アンガーティ王家のアザ花種ですよ。いままでのオークションの規模では取り扱いができません。元締めのガウロ様にお知らせしなくてはーー」
ガウローー!!?
アザ花種人身売買の黒幕かーー!!
ユドンがにまにまとやらしい笑顔で王子を見ている。
「楽しみにしていてくださいねーー、骨の髄まで腐った、と~っても優しいご主人様達が待ってますからねーー」
バタンッ。
ユドンが出ていくと、部屋が不思議なぐらい静かになった。
「えっ?」
王子は青ざめて呆然としている。
「ーーあなたが商品になるなら、お兄様は無事にエドアルドのところに返すよ」
「マキラ!私が行くから、殿下は帰して!」
ーーそれは、そうだ……、いくらなんでも王子を競売にだしたところで、誰が買うんだ。国が傾いたから売られたわけじゃない、正真正銘、大国の王子だぞーー。
「髪の毛をどうするの?」
「色粉でなんとかする!」
「バレたら殺されるよ、子供と一緒にーー」
「!」
悪すぎないか、あいつ……。
弟がプロすぎて引くーー。
俺が睨み続けてもマキラは演技をやめなかった。しかも、競売にだされることを王子が承諾したのだ。
なんていうおひと好しだーー。ここまでの奴は見たことがない。
……………、、、
『ーー強くなろう、強くなれば誰からも自分を守れるーー。自分を守れるなら、ひとだって守ってあげられるーー』
かつて、目指した自分がそこにいたような気がした。
「………」
その彼が俺をすがるように見た。慌てた俺はそっぽ向いてしまったが、傷つけてしまっただろうかーー。
「ーーキサラ!お願い!やめさせて!」
兄が俺の腕を掴んだ。
「私が行くから!殿下は無事に返して!!」
「ーーさわるな。おまえの匂いはあの家を思い出す」
相変わらず、嫌な匂いだ。
あの祖父と同じ、むせかえるような薔薇の匂いーー。
「ーーキサラ!」
「はいはい、お兄様、安静にしないと身体に悪いよーー。キサラ、王子様が逃げないように監視しといてね」
「ーーああ」
「マキラッ!キサラーーッ!お願い、やめてーーーッ!!」
………、
俺が部屋を出ると、薄暗い廊下にユドンがいた。壁に自分を埋め込むように、不気味な笑みをしながらーー。
「ーーふふふっ。演技ではなさそうだ……」
サキナの号泣が廊下まで聞こえる。体調が悪くならないか心配ではあるが……。
……。
やはり、用心深い……。帰ったフリをして様子を見ていたか……。
「ーーでは、明日迎えに来ますからね……。そうだ。くれぐれも商品には手をださないようにーー。お客様は皆、上客ばかりですから………」
「ーーああ」
本当にいいのか?
もしものときは、ダウリーに責任がいくーー。領外の問題になるし、あいつに迷惑はかけられない。
俺の首一つでおさめきれるだろうかーー。
ーー逃がすべきか……。
食事を用意して、王子の部屋に入った。鍵はかけられていたが、あんなものすぐに開けられる。
「ーー食事だ」
「いらない」
王子はわかりやすくへそを曲げていた。しかし、もう少し悲壮な顔をしているかと思ったが、ピンピンしている。
精神力が強い。王子、という立場よりは、何かプレッシャーがかかるものに慣れているような……。
「ーー頼みがある」
それはそうだろうな……。
「逃亡には手を貸せない」
「ーー抱いてくれ」
「は?」
いま、何を言った?
「思いっきり、ひどくしてくれーー」
「ひどく、して?」
ーー何を言い出した?
混乱しているのか、俺に頼むことじゃないだろうーー。
「変態に慣れておきたい」
ーー前向きすぎないか?大丈夫か、こいつーー。
心配なことは他にもある。
花の匂いが強くなっているーー。普通の人間ではわからないだろうが、俺は嗅覚が鋭い。身体がアザ花種に変化していってるのだろうーー。
だが、薔薇じゃない。
とても、いい匂いだ……。
「ふうん、、」
恐怖心から逃れるために、性欲に走る奴は多いが、そうなのだろうか……。王子の真意はわからないが、これは演技だから安心してくれ、と言うべきだ……。
ーーだが、なんでこんなにこいつは顔が赤いんだーー?
?
………………………………まさか、ーー俺のことを……?
「ーー領内捜査局ーー」
「そう、キサラならぴったりだと思って。君を部下にするなんてとんでもない話だから、僕と同等の権利ならいくらでもつかってお仕事してよ」
ダウリーは花に囲まれた生活をしたいらしく、あいつの宮の庭にはいつも色とりどりの花が咲いていた。もちろん薔薇もある。
ーーくさい……。
俺は正直花の匂いが好きになれない。
「やるとは言っていない」
「えーー。僕は君に頼まれたからサシャラを連れて帰ったんだよーー。婚約者にビンタされたのにーー」
……………。
「それに、まだ消えた従兄弟が見つからないんだろ?手がかりもないんじゃやみくもに捜索してても無駄だよ。捜査していれば思わぬところから話がふってくるかもしれないしーー」
……俺は領内捜査局の局長を引き受けた。
師匠には仕事の話をしたが、くれぐれもあいつには俺の存在は隠すように言った。別にあいつ自身に恨みがあるわけでもないーー。ただ、寄りたくない、あいつからはあの家のにおいがするからーー。
師匠はバカにするような顔をしていたな……。
ーーすまない、長々と。聞き流してくれ………。
話を戻すが、その日、城に異変は起こった。
帰国したセディランが、テレゼの誘拐に成功したのだ。見事にリディアンとテレゼの視覚を奪い、自分専用の馬車に乗せて外に連れ出した。
師匠はまだ戻っていないーー。さて、どうするかーー。
王太子が捜索の手を広げようかと思案中に、師匠は帰ってきた。テレゼがいなくなった話に激怒し、すぐに飛び出して行く。
しかし、早い対処だ。
まるで計画が漏れているような違和感があるーー。
どうもその原因は第2王子にあるらしい。あいつと一緒にいるが、彼も連れて行けば国境は楽に抜けられるし、ユドンへの心証はいいものになるだろう。
俺はサキナと王子を拉致して、馬車に乗せた。ただし、兄とは極力話したくはない。局員にもアザ花種がいることから、そいつを兄の馬車につけ、俺は王子の見張りをすることにした。
ーーとは言え、こいつはなんなのだろう……。
本当に王子か?
王子らしくはしているが、細部の所作に違和感を覚える。前に馬舎の前で見たときはそうは思わなかったのだが、何かボロがでているような気がしないでもない。
しかも、なんとなく花の匂いがする。額にアザがないことから、マキラのように後天性のアザ花種だろうか……。
だが、国境警備隊の隊長の様子を見ると、こいつが王子で間違いない、という顔だ。
ーー気のせいか……。
興味は沸いた。
仕事に支障がでるような真似はしたくないが、自然と話をしたくなった。
それに、国境兵への処罰を恐れて過呼吸まで起こすとはーー、優しい奴だ。ーーその手紙のなかに、師匠への言伝を貼り付けた。師匠は残念ながら気づかないかもしれないが、あの聡いテレゼなら見ればわかるだろう。
『エド兄へ 土竜』
それだけ書いておけば、師匠なら潜入捜査をしていることがわかるはずーー。土竜はスパイなどを意味することだから。
詳細は鷹を飛ばそうと思うが、どこにユドンの部下がいるかがわからない以上、下手な動きはしないほうがいいーー。
本当にマキラはユドンを家に呼べたのか?あの用心深い卑怯な奴をーー。
考える俺の前で、王子はどんどん警戒心をなくしていく。
とことん、変な奴だな。
懐かれても困るがーー。王子の中には好奇心が強い奴もいる、だが、そういうのでもなさそうだ……。
「……きれいな髪だなーー」
言われて驚いた。
ーーーーー俺もまだまだ未熟だ。
髪の毛を褒められたぐらいで、少し自分を認められた気になるなんてなーー。
……頼むから俺を信じるな。
この先、見たくないものをみるんだからなーー。
※※※
マキラの兄いびり演技は感嘆ものだった。
ただ、すべてが演技ではないことは、ラース家に生まれた者ならわかることだ。
普通で生まれたことで、どれほどの絶望を味わったのか、弟も思うところがあったのだろう。もちろん、そんな感情をもたれても、兄はいい迷惑だろう。
アザ花種など、うらやむものではないーー。
兄も祖父から逃げた。
それが、証拠だ。
俺は弟の隣りにいるユドンを注意深く見た。
あれが本物かーー。いままでは影武者ばかりを追いかけていたが、裏にツテがあるとこうも違うのか。
彼の目は弟のことを微塵も疑っていない。これなら疑われることなく兄を送り込めるだろう。
エド兄もいま兄のことを探している頃だ。それが、ユドンの仲間の耳にうまく入ればいい。奴らの世界でも信用がものを言う。マキラが本気で兄を競売にかけることに信憑性がつくはずだーー。
これで、ユドンの組織を潰すことができる。その背後にいる奴らも引っ張りだせれば、ーーいや、そんなにうまくはいくはずがないーー。
「……すごいですね!さすがはマキラ様!ここまで上質なアザ花種は見たことがありませんーー!しかも、その黒髪!アンガーティ王家のアザ花種!?本物ですかぁ!!こ、これは、なんという商品ですかー!」
は?
「どこの大富豪も喉から手が出るほど欲しがっている黒髪ーー。マキラ様、素晴らしいですね!!」
「……まあね」
おいーー。それはまずいだろうーー。
内心、動揺する俺を視線でとめて、マキラとユドンの会話が続いた。
「マキラ様、明日連れに参ります」
「ーーなんで?いま連れて行かないの?」
「アンガーティ王家のアザ花種ですよ。いままでのオークションの規模では取り扱いができません。元締めのガウロ様にお知らせしなくてはーー」
ガウローー!!?
アザ花種人身売買の黒幕かーー!!
ユドンがにまにまとやらしい笑顔で王子を見ている。
「楽しみにしていてくださいねーー、骨の髄まで腐った、と~っても優しいご主人様達が待ってますからねーー」
バタンッ。
ユドンが出ていくと、部屋が不思議なぐらい静かになった。
「えっ?」
王子は青ざめて呆然としている。
「ーーあなたが商品になるなら、お兄様は無事にエドアルドのところに返すよ」
「マキラ!私が行くから、殿下は帰して!」
ーーそれは、そうだ……、いくらなんでも王子を競売にだしたところで、誰が買うんだ。国が傾いたから売られたわけじゃない、正真正銘、大国の王子だぞーー。
「髪の毛をどうするの?」
「色粉でなんとかする!」
「バレたら殺されるよ、子供と一緒にーー」
「!」
悪すぎないか、あいつ……。
弟がプロすぎて引くーー。
俺が睨み続けてもマキラは演技をやめなかった。しかも、競売にだされることを王子が承諾したのだ。
なんていうおひと好しだーー。ここまでの奴は見たことがない。
……………、、、
『ーー強くなろう、強くなれば誰からも自分を守れるーー。自分を守れるなら、ひとだって守ってあげられるーー』
かつて、目指した自分がそこにいたような気がした。
「………」
その彼が俺をすがるように見た。慌てた俺はそっぽ向いてしまったが、傷つけてしまっただろうかーー。
「ーーキサラ!お願い!やめさせて!」
兄が俺の腕を掴んだ。
「私が行くから!殿下は無事に返して!!」
「ーーさわるな。おまえの匂いはあの家を思い出す」
相変わらず、嫌な匂いだ。
あの祖父と同じ、むせかえるような薔薇の匂いーー。
「ーーキサラ!」
「はいはい、お兄様、安静にしないと身体に悪いよーー。キサラ、王子様が逃げないように監視しといてね」
「ーーああ」
「マキラッ!キサラーーッ!お願い、やめてーーーッ!!」
………、
俺が部屋を出ると、薄暗い廊下にユドンがいた。壁に自分を埋め込むように、不気味な笑みをしながらーー。
「ーーふふふっ。演技ではなさそうだ……」
サキナの号泣が廊下まで聞こえる。体調が悪くならないか心配ではあるが……。
……。
やはり、用心深い……。帰ったフリをして様子を見ていたか……。
「ーーでは、明日迎えに来ますからね……。そうだ。くれぐれも商品には手をださないようにーー。お客様は皆、上客ばかりですから………」
「ーーああ」
本当にいいのか?
もしものときは、ダウリーに責任がいくーー。領外の問題になるし、あいつに迷惑はかけられない。
俺の首一つでおさめきれるだろうかーー。
ーー逃がすべきか……。
食事を用意して、王子の部屋に入った。鍵はかけられていたが、あんなものすぐに開けられる。
「ーー食事だ」
「いらない」
王子はわかりやすくへそを曲げていた。しかし、もう少し悲壮な顔をしているかと思ったが、ピンピンしている。
精神力が強い。王子、という立場よりは、何かプレッシャーがかかるものに慣れているような……。
「ーー頼みがある」
それはそうだろうな……。
「逃亡には手を貸せない」
「ーー抱いてくれ」
「は?」
いま、何を言った?
「思いっきり、ひどくしてくれーー」
「ひどく、して?」
ーー何を言い出した?
混乱しているのか、俺に頼むことじゃないだろうーー。
「変態に慣れておきたい」
ーー前向きすぎないか?大丈夫か、こいつーー。
心配なことは他にもある。
花の匂いが強くなっているーー。普通の人間ではわからないだろうが、俺は嗅覚が鋭い。身体がアザ花種に変化していってるのだろうーー。
だが、薔薇じゃない。
とても、いい匂いだ……。
「ふうん、、」
恐怖心から逃れるために、性欲に走る奴は多いが、そうなのだろうか……。王子の真意はわからないが、これは演技だから安心してくれ、と言うべきだ……。
ーーだが、なんでこんなにこいつは顔が赤いんだーー?
?
………………………………まさか、ーー俺のことを……?
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