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ー20ー 無神経な光の友達
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「え?この料理、ジミノ君が作ったの?」
西崎歩夢さん、きつめの金髪、ハデ男子。
「ジミノじゃないって言ってるだろ!」
「まあまあ、アユムも悪気はないよ。それに、別におかしなあだ名でもないじゃん」
脇浦郁人さん、耳に戦闘ピアス、口にもピアス、緑色の髪に金色のメッシュで、超ハデ男子。
「なんか……、光の手下って感じ~~~」
吉川マキさん、目の上がキラキラ、甘すぎる匂い、ロングの茶髪で下のほうが金色、ハデ女子。
「バカウケ~~~」
安井初香さん、化粧が濃くて香水臭い……。金髪にピンクのメッシュ……、やっぱりハデ女子。
…………はっ!いけない、いけないーー、光の友達を悪く言うなんて……。だめだね、こんなこと気にしちゃだめだよ、ぼくが地味なのは間違ってないんだから。
「じゃあ、みんな今日は盛りあがろうぜ!」
光の掛け声でクリスマス会がはじまった。ーーたぶん和やかだったんだと思う。空気も悪くないし、光の友達はつねに光の側で騒いだり、ゲームをやったりしてた。
見かけはハデだけど、中身は普通のひとっぼいんだーー、ってまた偏見だ、だめだよ、ぼく……。
「美味いよ、ジミノ君」
「イイお嫁さんになれるな!」
「オレはいらねーけど」
「はははっ!」
普通……、かな?
「おまえら、ミノに嫌なこと言うな!」
「ごっめ~ん、して~!」
「ピカ!ノリ悪いぜ」
ゲラゲラ笑うふたり組を蓮が冷めた目で見ている。蓮と光、共通の友達じゃないのかなーー?
「蓮く~ん。このパスタ超おいひいよ~~~」
「ホント!いくらでももぐれちゃう♡」
「ーーそれはよかったよ」
すん、と蓮が表情を消す。あまり彼女達に好感はもってないんだろうな……、蓮の歴代の彼女って、みんな知的な感じだったしね。ーー光は、ーーう~ん、マキさんみたいなひとが多かったかな……。
「アタシら揚げ物はねーー……」
「カロリーを気にしなきゃならないし、こんなにドンッてあると見た感じで食べられなくなるよね~~」
「わかりみーーー」
「………」
カロリー…、そっか、いままで気にしたことなかったけど、父さんも歳になってきたし、気をつけていかないとーー。
「ーーあっ、うわぁ、最悪~~」
「え?ウイカどうしたの!」
「エビフライに髪の毛がついてる~~~!気持ち悪くてもう食べられない~~~!」
「え~~~!最低!」
騒ぎだした彼女達を見て、蓮がため息をついた。
「ーーおれ、ミノと一緒に盛りつけたけど、そのときはなかったよ」
「「………」」
「自分のが落ちたんじゃない?」
「ーー違うもんね~~~!」
「蓮くん、ぴど~~い」
大げさにアピールする女性達の高い声に気づき、光が近づいてきた。
「どうしたんだよ?」
「ぴえん。揚げ物に髪の毛がついてたの~~」
「だから!」
初香さんの泣き真似に、蓮がイライラした声をあげる。でも、光はケラケラ笑いながら、初香さんの肩を軽く叩いた。
「何だよ、そんなのとればいいじゃん!」
「だって、他人のだと思うと、気持ち悪くて……」
「ウイカは神経質だな」
あきれたような顔を光がしたんだけど……、あっ、蓮がまたため息をついた。ーー蓮も優しいから……、気を使わせちゃって申し訳ないな……。
ーーぼくなんか、早く帰ったほうがいいよね……。
「アタシだったら~、もっと衛生面に気をつけるぅ~~~」
「その爪でかよ!」
マキさんのデコデコのネイルを指差して、光が爆笑した。ーーそうだね……、あれって簡単にはずれるのかな?
「やるし~」
「ひかるのためなら、がんばっちゃう♡」
「はいはい、寿司も食べろよ」
「ありがと~!優しい~、ひかるぅ~」
「ヘルシーだし、アタシら向きよね~~」
「ーーばかばか食べといて、よくそんなことが言えるよ……」
ひとりごとのようにつぶやいた蓮が、初香さんの取り皿から、髪の毛がついてたっていうエビフライをつまみ、自分の口に放り込んだ。
「ーー美味い」
「蓮……」
「ジュース持ってくるわ。あーー、初香さん、吐くならトイレでどうぞ」
「!」
蓮が立った後、女性ふたりは思いっきりぼくの顔を睨んだ。ーーわかりやすい、ひと達だよね……
。
「オリカやるぞ」
「はあい」
「やるやる!」
「蓮も来いよ!」
「……」
光に声をかけられ、女性達は飛んで行く。やれやれ、離れてくれてよかった……。
そう思ったぼくの隣りに、西崎さんと脇浦さんが腰を下ろした。ーーなんで?なんでなのーー?
「よぉ、ジミノ君」
「……、実律です」
「同期だろ?学部は違うけど、ーー福祉のやつらの中でもダントツ地味じゃね?」
「……そうですね」
ーー経営学部のひとは、みんな服装がキラキラしてるもんね…。
「まっ、幼なじみじゃなかったら、ピカも付き合わねえキャラだよな」
「だろうな」
「ジミノ君にしたら、カースト上位のピカの側に入れて、ラッキーだったろうけどさ」
カチンとくる言い方に、ぼくは思わず言い返してしまった。
「……ぼくは、光がカースト上位とか、思ったことありません……。一緒にいるのも親友だと思ってるからです」
思っていることを素直に言うと、ふたりが盛大に吹きだした。
「ぷっ、ジミノ君も冗談いうんだな!」
「親友?ただの腐れ縁のクセによ~~!超ウケる!やべー性格してんなー!」
「見た目がジミすぎるだろ!」
「オレらでイメチェンしてやろうか!」
「まずはそのクソダサいメガネをはずして、コンタクトにしなきゃな!」
あはははははっーー!
笑うふたりから目をそらし、ぼくは空いたお皿を片付ける。
「ピカ~、ビールないのか!?」
「あー!?未成年だろ!」
「かたいこと言うなって!」
「ば~か!」
ーー今帰ったら、蓮が心配する……。もうちょっと……、もうちょっとの辛抱だ…。
西崎歩夢さん、きつめの金髪、ハデ男子。
「ジミノじゃないって言ってるだろ!」
「まあまあ、アユムも悪気はないよ。それに、別におかしなあだ名でもないじゃん」
脇浦郁人さん、耳に戦闘ピアス、口にもピアス、緑色の髪に金色のメッシュで、超ハデ男子。
「なんか……、光の手下って感じ~~~」
吉川マキさん、目の上がキラキラ、甘すぎる匂い、ロングの茶髪で下のほうが金色、ハデ女子。
「バカウケ~~~」
安井初香さん、化粧が濃くて香水臭い……。金髪にピンクのメッシュ……、やっぱりハデ女子。
…………はっ!いけない、いけないーー、光の友達を悪く言うなんて……。だめだね、こんなこと気にしちゃだめだよ、ぼくが地味なのは間違ってないんだから。
「じゃあ、みんな今日は盛りあがろうぜ!」
光の掛け声でクリスマス会がはじまった。ーーたぶん和やかだったんだと思う。空気も悪くないし、光の友達はつねに光の側で騒いだり、ゲームをやったりしてた。
見かけはハデだけど、中身は普通のひとっぼいんだーー、ってまた偏見だ、だめだよ、ぼく……。
「美味いよ、ジミノ君」
「イイお嫁さんになれるな!」
「オレはいらねーけど」
「はははっ!」
普通……、かな?
「おまえら、ミノに嫌なこと言うな!」
「ごっめ~ん、して~!」
「ピカ!ノリ悪いぜ」
ゲラゲラ笑うふたり組を蓮が冷めた目で見ている。蓮と光、共通の友達じゃないのかなーー?
「蓮く~ん。このパスタ超おいひいよ~~~」
「ホント!いくらでももぐれちゃう♡」
「ーーそれはよかったよ」
すん、と蓮が表情を消す。あまり彼女達に好感はもってないんだろうな……、蓮の歴代の彼女って、みんな知的な感じだったしね。ーー光は、ーーう~ん、マキさんみたいなひとが多かったかな……。
「アタシら揚げ物はねーー……」
「カロリーを気にしなきゃならないし、こんなにドンッてあると見た感じで食べられなくなるよね~~」
「わかりみーーー」
「………」
カロリー…、そっか、いままで気にしたことなかったけど、父さんも歳になってきたし、気をつけていかないとーー。
「ーーあっ、うわぁ、最悪~~」
「え?ウイカどうしたの!」
「エビフライに髪の毛がついてる~~~!気持ち悪くてもう食べられない~~~!」
「え~~~!最低!」
騒ぎだした彼女達を見て、蓮がため息をついた。
「ーーおれ、ミノと一緒に盛りつけたけど、そのときはなかったよ」
「「………」」
「自分のが落ちたんじゃない?」
「ーー違うもんね~~~!」
「蓮くん、ぴど~~い」
大げさにアピールする女性達の高い声に気づき、光が近づいてきた。
「どうしたんだよ?」
「ぴえん。揚げ物に髪の毛がついてたの~~」
「だから!」
初香さんの泣き真似に、蓮がイライラした声をあげる。でも、光はケラケラ笑いながら、初香さんの肩を軽く叩いた。
「何だよ、そんなのとればいいじゃん!」
「だって、他人のだと思うと、気持ち悪くて……」
「ウイカは神経質だな」
あきれたような顔を光がしたんだけど……、あっ、蓮がまたため息をついた。ーー蓮も優しいから……、気を使わせちゃって申し訳ないな……。
ーーぼくなんか、早く帰ったほうがいいよね……。
「アタシだったら~、もっと衛生面に気をつけるぅ~~~」
「その爪でかよ!」
マキさんのデコデコのネイルを指差して、光が爆笑した。ーーそうだね……、あれって簡単にはずれるのかな?
「やるし~」
「ひかるのためなら、がんばっちゃう♡」
「はいはい、寿司も食べろよ」
「ありがと~!優しい~、ひかるぅ~」
「ヘルシーだし、アタシら向きよね~~」
「ーーばかばか食べといて、よくそんなことが言えるよ……」
ひとりごとのようにつぶやいた蓮が、初香さんの取り皿から、髪の毛がついてたっていうエビフライをつまみ、自分の口に放り込んだ。
「ーー美味い」
「蓮……」
「ジュース持ってくるわ。あーー、初香さん、吐くならトイレでどうぞ」
「!」
蓮が立った後、女性ふたりは思いっきりぼくの顔を睨んだ。ーーわかりやすい、ひと達だよね……
。
「オリカやるぞ」
「はあい」
「やるやる!」
「蓮も来いよ!」
「……」
光に声をかけられ、女性達は飛んで行く。やれやれ、離れてくれてよかった……。
そう思ったぼくの隣りに、西崎さんと脇浦さんが腰を下ろした。ーーなんで?なんでなのーー?
「よぉ、ジミノ君」
「……、実律です」
「同期だろ?学部は違うけど、ーー福祉のやつらの中でもダントツ地味じゃね?」
「……そうですね」
ーー経営学部のひとは、みんな服装がキラキラしてるもんね…。
「まっ、幼なじみじゃなかったら、ピカも付き合わねえキャラだよな」
「だろうな」
「ジミノ君にしたら、カースト上位のピカの側に入れて、ラッキーだったろうけどさ」
カチンとくる言い方に、ぼくは思わず言い返してしまった。
「……ぼくは、光がカースト上位とか、思ったことありません……。一緒にいるのも親友だと思ってるからです」
思っていることを素直に言うと、ふたりが盛大に吹きだした。
「ぷっ、ジミノ君も冗談いうんだな!」
「親友?ただの腐れ縁のクセによ~~!超ウケる!やべー性格してんなー!」
「見た目がジミすぎるだろ!」
「オレらでイメチェンしてやろうか!」
「まずはそのクソダサいメガネをはずして、コンタクトにしなきゃな!」
あはははははっーー!
笑うふたりから目をそらし、ぼくは空いたお皿を片付ける。
「ピカ~、ビールないのか!?」
「あー!?未成年だろ!」
「かたいこと言うなって!」
「ば~か!」
ーー今帰ったら、蓮が心配する……。もうちょっと……、もうちょっとの辛抱だ…。
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