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ー24ー 光はショックを受ける
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「な、ーー何なのよ!」
「あ、あっ、アユム!イクトッ!」
マキさん達は気が動転しているのか、尻もちをついたままその場から動けない様子だった。けれど、西崎さん達は、よろよろとしながらもなんとか半身を起こし、景君をぎっと睨みつけてきたんだ。
「ーーふざけんなよ!」
「クソがぁーー!?」
「……そ、そうよ!あ、あれよ、冗談なのにねーー!」
「大げさーー!ジミノ君相手に本気であんなことしないわよーーー!」
「………」
彼らの言葉に景君のまとう空気が、殺気立っていく。こんな景君には覚えがあるーー、景君が中学生のときの、剣道の試合の決勝戦のときだ。あのときの緊張感が、この部屋に生まれたような気がしてくるよーー……。
「ーーへぇ~!じゃあ、ボクが持ってるヤッバイ店のお兄ちゃん達つれてくるから、キミ達のセクシーな写真、撮らせてくれる~?」
急にのんきな声が、ドアのほうから聞こえた。景君の殺気にもまったく動じない声の主は、楽しそうな顔でぼく達を見ている。ゴージャスな毛皮のコートを着た男性で、あーー、あれは景君のバンド仲間の倉内さんだ。
「え……?」
「あ、ーーまさか、倉内……、真吾さん……?」
「ヤッダ~、ボクって有名人?」
「ーー悪いほうにだろ」
怒りを抑えているのか景君の声は不機嫌で、眉間にしわが寄っている。
「まーまー、景ったら落ち着いて♡」
「……」
オレンジ色の髪をした華やかなイケメンは、その細腕からは信じられないぐらいのパフォーマンス力を見せるドラマーだ。景君とは中学校からの付き合いだったと思うんだけど、家がとんでもなく桁違いのお金持ちで、かなり常識からはずれているところがあったはずーー。
ドタドタドタッ!
「ーーおい!何の騒ぎだーー!って景兄!何してんだよーー!」
光の叫び声に、景君がぼくを抱いたまま顔だけをむこうにむける。ーーその瞬間、蓮が光の肩を抑えた。
「ダメだ!光!兄貴がキレてる!」
「はあ?なんでキレてるんだよ!?景兄!冗談キツイってッ!」
友達が倒れているという、信じられない光景を目の当たりにした光が、景君を責めるような言葉を発する。その様子を光の隣りで見ていた倉内さんが、残念そうにため息を吐いた。
「ーーあのね、キミのおバカな友達が、ミノ君に悪さしようとしていたからなんだよ?彼ら、死亡確定だね☆景、思いっきりやってもイイよ。ボクが知ってる病院紹介するし、コンクリに詰めたかったらイイとこ呼ぶからー」
「ーー助かる」
「はあい☆」
「ちょっと!真吾さん!何言ってんですか!こいつらだって、そこまで悪くはーー!」
景君達の会話に青くなった光が、倉内さんに詰め寄った。
そのときーー……、
「ーー光ッ!!」
ビッ、とした景君の怒鳴り声に空気が震えた。蓮は光から手を離して一歩下がる。ーーかばいきれない……、と蓮の表情がそう言っているみたいだ。
「……クソっ、イタすぎ!」
「なんだよ!ピカーー、おまえの兄貴かーー?」
「ひでぇ……、冗談なのによぉ!」
「ノリがわりぃ、兄貴だなーー!」
口々に西崎さん達が、自分達は被害者だと光に訴える。それを聞いた光が、キッと景君を睨んだ。
「景兄!こいつらに謝れよ!」
「ーーそうだ!いきなり殴りやがって!」
「慰謝料だせ!」
「ッ!」
ーー光、騙されないでよ!このひと達はーーッ!
口にだしたくもない行為を思い出し、言葉を飲み込んでしまったぼくは、それ以上何も言うことができない。ーー悔しい……、ぼくが弱虫だから、光は景君が悪いと思ってしまってーー………。
「ーーはあ……」
景君が呼吸を整えてる。落ち着こうとしているのかなーー?ごめんね、この状況をなんとかしなきゃいけないのはぼくなのに……。
「ーーはははっ!払うのはキミ達のほうだと思うよ~」
突然、笑い出した倉内さんが、西崎さん達に話しかけた。言葉が発せないぼくの代わりに、話しを進めてくれているような、そんな感じがする。
「はあ?」
「オレらが何したって言うんだよなぁ」
「殴られたんだぜーー?」
「気づいてないの?あそこにペットカメラ仕込んでたから、全部見てたよー」
カウンターキッチンのツリーを指差して、倉内さんが勝ち誇った顔をした。え?そのツリー、ペットカメラだったの?
「「!」」
その言葉に、西崎さん達の顔色がみるみる変わっていく。真っ青よりも、さらに青にだ。
「タイミング良すぎって思わなかった?ーーキミ達がわざとグラスを割ったところからあやしいな~、って思ってたんだけど……、ちょっとボクらの打ち合わせが大変なことになったから、そっちを優先しちゃったんだ……。ミノ君、ごめんねーー」
泣き止んだぼくに、倉内さんが優しく話しかけてくれた。それよりもーー、景君の様子がおかしすぎて……。
「け、景君……」
「……危ない目に合わせた。とりあえず、あの愚弟は沈めておく」
「え?」
「倉内」
「はいはい、ミノ君こっちに来て」
「えーー……?」
こちら安全圏ね、と倉内さんがおどけた口調で言って、ぼくを自分の側に引っ張った。倉内さん、細腕なのに力は強いんだ……。
ーーえっと……、これから何が起こるの?景君、大丈夫なんだよね……?
「光……」
「な、なんだよ景兄!」
「おまえは……、こいつらが先日、倉内のクラブで未成年だと身分を偽って飲酒した事実を、知っていたのか?」
「はっ?ーー何だよ、それ……」
光の目に西崎さん達への不信感が宿る。その疑惑を打ち消すように彼らを見たんだけど、西崎さん達は言い訳もせずに、光の目から顔を背けた。まるで逃げるみたいに、違うところに視線を向けた彼らを見て、光は裏切られたような傷ついた目になる。
「付き合う相手は気をつけろと、何度も言ったな?」
「いや、ーーそんなの付き合ってみないとわからないし……」
ショックを受けた顔で、光がボソリと言った。それでも、景君に逆らうようなことを言うのは、友達のことを信じていたいのかな……。
「あ、あっ、アユム!イクトッ!」
マキさん達は気が動転しているのか、尻もちをついたままその場から動けない様子だった。けれど、西崎さん達は、よろよろとしながらもなんとか半身を起こし、景君をぎっと睨みつけてきたんだ。
「ーーふざけんなよ!」
「クソがぁーー!?」
「……そ、そうよ!あ、あれよ、冗談なのにねーー!」
「大げさーー!ジミノ君相手に本気であんなことしないわよーーー!」
「………」
彼らの言葉に景君のまとう空気が、殺気立っていく。こんな景君には覚えがあるーー、景君が中学生のときの、剣道の試合の決勝戦のときだ。あのときの緊張感が、この部屋に生まれたような気がしてくるよーー……。
「ーーへぇ~!じゃあ、ボクが持ってるヤッバイ店のお兄ちゃん達つれてくるから、キミ達のセクシーな写真、撮らせてくれる~?」
急にのんきな声が、ドアのほうから聞こえた。景君の殺気にもまったく動じない声の主は、楽しそうな顔でぼく達を見ている。ゴージャスな毛皮のコートを着た男性で、あーー、あれは景君のバンド仲間の倉内さんだ。
「え……?」
「あ、ーーまさか、倉内……、真吾さん……?」
「ヤッダ~、ボクって有名人?」
「ーー悪いほうにだろ」
怒りを抑えているのか景君の声は不機嫌で、眉間にしわが寄っている。
「まーまー、景ったら落ち着いて♡」
「……」
オレンジ色の髪をした華やかなイケメンは、その細腕からは信じられないぐらいのパフォーマンス力を見せるドラマーだ。景君とは中学校からの付き合いだったと思うんだけど、家がとんでもなく桁違いのお金持ちで、かなり常識からはずれているところがあったはずーー。
ドタドタドタッ!
「ーーおい!何の騒ぎだーー!って景兄!何してんだよーー!」
光の叫び声に、景君がぼくを抱いたまま顔だけをむこうにむける。ーーその瞬間、蓮が光の肩を抑えた。
「ダメだ!光!兄貴がキレてる!」
「はあ?なんでキレてるんだよ!?景兄!冗談キツイってッ!」
友達が倒れているという、信じられない光景を目の当たりにした光が、景君を責めるような言葉を発する。その様子を光の隣りで見ていた倉内さんが、残念そうにため息を吐いた。
「ーーあのね、キミのおバカな友達が、ミノ君に悪さしようとしていたからなんだよ?彼ら、死亡確定だね☆景、思いっきりやってもイイよ。ボクが知ってる病院紹介するし、コンクリに詰めたかったらイイとこ呼ぶからー」
「ーー助かる」
「はあい☆」
「ちょっと!真吾さん!何言ってんですか!こいつらだって、そこまで悪くはーー!」
景君達の会話に青くなった光が、倉内さんに詰め寄った。
そのときーー……、
「ーー光ッ!!」
ビッ、とした景君の怒鳴り声に空気が震えた。蓮は光から手を離して一歩下がる。ーーかばいきれない……、と蓮の表情がそう言っているみたいだ。
「……クソっ、イタすぎ!」
「なんだよ!ピカーー、おまえの兄貴かーー?」
「ひでぇ……、冗談なのによぉ!」
「ノリがわりぃ、兄貴だなーー!」
口々に西崎さん達が、自分達は被害者だと光に訴える。それを聞いた光が、キッと景君を睨んだ。
「景兄!こいつらに謝れよ!」
「ーーそうだ!いきなり殴りやがって!」
「慰謝料だせ!」
「ッ!」
ーー光、騙されないでよ!このひと達はーーッ!
口にだしたくもない行為を思い出し、言葉を飲み込んでしまったぼくは、それ以上何も言うことができない。ーー悔しい……、ぼくが弱虫だから、光は景君が悪いと思ってしまってーー………。
「ーーはあ……」
景君が呼吸を整えてる。落ち着こうとしているのかなーー?ごめんね、この状況をなんとかしなきゃいけないのはぼくなのに……。
「ーーはははっ!払うのはキミ達のほうだと思うよ~」
突然、笑い出した倉内さんが、西崎さん達に話しかけた。言葉が発せないぼくの代わりに、話しを進めてくれているような、そんな感じがする。
「はあ?」
「オレらが何したって言うんだよなぁ」
「殴られたんだぜーー?」
「気づいてないの?あそこにペットカメラ仕込んでたから、全部見てたよー」
カウンターキッチンのツリーを指差して、倉内さんが勝ち誇った顔をした。え?そのツリー、ペットカメラだったの?
「「!」」
その言葉に、西崎さん達の顔色がみるみる変わっていく。真っ青よりも、さらに青にだ。
「タイミング良すぎって思わなかった?ーーキミ達がわざとグラスを割ったところからあやしいな~、って思ってたんだけど……、ちょっとボクらの打ち合わせが大変なことになったから、そっちを優先しちゃったんだ……。ミノ君、ごめんねーー」
泣き止んだぼくに、倉内さんが優しく話しかけてくれた。それよりもーー、景君の様子がおかしすぎて……。
「け、景君……」
「……危ない目に合わせた。とりあえず、あの愚弟は沈めておく」
「え?」
「倉内」
「はいはい、ミノ君こっちに来て」
「えーー……?」
こちら安全圏ね、と倉内さんがおどけた口調で言って、ぼくを自分の側に引っ張った。倉内さん、細腕なのに力は強いんだ……。
ーーえっと……、これから何が起こるの?景君、大丈夫なんだよね……?
「光……」
「な、なんだよ景兄!」
「おまえは……、こいつらが先日、倉内のクラブで未成年だと身分を偽って飲酒した事実を、知っていたのか?」
「はっ?ーー何だよ、それ……」
光の目に西崎さん達への不信感が宿る。その疑惑を打ち消すように彼らを見たんだけど、西崎さん達は言い訳もせずに、光の目から顔を背けた。まるで逃げるみたいに、違うところに視線を向けた彼らを見て、光は裏切られたような傷ついた目になる。
「付き合う相手は気をつけろと、何度も言ったな?」
「いや、ーーそんなの付き合ってみないとわからないし……」
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