クリスマスには✖✖✖のプレゼントを♡

濃子

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ー26ー ラブラブなぼくと景君♡

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 ふたりで見つめ合ってしまったぼく達は、蓮と光のドン引きの冷たい目なんか気にしなかった。その後も、景君の買ってきたケーキを蓮達とは離れたところで食べたり、部屋の片付けもくっついてしたりして、すっかりふたりの世界に浸ってしまい……。



 ーーあ、あれ?な、なんでこうなったんだろ?

「実律……、寒くないか?」
「う、うん。景君……、狭くない?」
「もっと近づいてほしい……、パジャマも邪魔だな」
「け、景君………」
 
 頬が痛む光は、「休みたい」、って早めに部屋に引っ込んでいった。ある程度リビングの片付けが終わると、景君が蓮に、「光についててやれ」、って言ったから、蓮も部屋に行っちゃった。
 
 リビングに残ったぼくと景君は、ソファーに座ってーーー………、キッ、キスをしたんだ。あーー、夢でも妄想でもなかった景君とのキス……。ぼくの片想いが、こんなにあっさりと終わるなんて、考えたこともなかったな……。

「実律……、愛している」
「………ぼくも………、あ、愛してる……、景君だけを、本当に、好きだから……」

 きつく抱きしめられて夢心地になったぼくは、景君と一緒にお風呂にはいったときも、髪の毛を乾かしてもらってるときも、景君のカッコよさに脳内がやられてしまい、ぼ~~~~~~~っとしていた。そして、景君のベッドに横になって、隣りにいる景君と目が合ったとき、ようやく我に返ったんだ。


 ………ーーーどうしよう……。なんでこんなことに………。じゅ、準備の仕方は勉強してきたけど……、いまからしてきたほうがいいのかな……?時間、かかっちゃうよねーー……。


「ーーふふっ」
 い、息がーー、景君の息がおでこにあたって、くすぐったいよー。
「ん!?ど、ど、どうしたのーー!景君!」

「ーー何もしない……、今日は……」
「……」
 ボンッと、ぼくの顔は爆発するぐらい赤くなってるはず。うわぁ、恥ずかしい……、ぼくったら……えっちなんだからーー……。

「ーー実律が側にいるだけで、……幸せすぎて、できない……」
 景君の匂いに包まれ、ぼくはその最高の安心感の中に自分の身体を委ねきった。景君から何度もキスをされ、自分からも……した、よ……。く、唇を合わせてるだけなのに、……なんでキスってあんなに気持ちがいいのかなーー……?



 ーーでもね、……もちろん、不安だらけだ。
 景君の気が変わったらどうしよう、とか、他に好きなひとができたって言われたら、って頭の片隅でそんなことを考えてしまうーー。

 いまは幸せな気分で蓋をして考えないようにしているけど、両親達には報告するのか、って問題もある。

 ーーあれ?けど、倉内さんはぼく達のこと何も言わなかった。知ってるひとも、いるのかなーー……?



「ーーもう、25日だ」
 こんなに近くで景君の声が聞けるなんて……、ドキドキして眠れそうにないよ……。
「……うん」
 スマホを見ると、0時になったばかりの画面に、蓮と光からのライツが来た。送られてきたのは、クリスマスのスタンプだ。


ピカチュ『メリクリ~。景兄とよろしくやってんのか~!?すんげー静かだけど、景兄勃たねえの~(笑)』

イロハス『メリクリ。ーーごめん、こいつのことは無視でいいから……、じゃあ、今日を楽しんで!』


「ぷっ」
 光からの派手で、ちょっとエッチなスタンプに、吹きだしてしまったよ。
「なに?」
「ーーあーー……、これーー」
 なんでもないよ、と言いかけて、ぼくはスマホの画面を見せることにした。こういうのも、恋人としては大事なことだもん。

「まったく、光は……」
 あきれた声をだした景君が、一瞬ぼくの顔をじっと見た。
「うん?」
 男性なのに、景君の目って色っぽいんだよねーー、その細めた目は最高ですが、反則です。



「枕元……、何かあるみたいだ……」
「え?」
 景君が腕を離してくれたから、ぼくは上半身を起こして枕の側を見た。……そこには、いつの間にか小さな箱が置かれていたんだけどーー。

「……」
「サンタさん、いつの間に来たんだろうな?」
 不思議だな、ってつぶやいた景君。ーーもう、景君でしょ?

「……ふふっ、ぼくだけの、ーーサンタさん?」
「そう、実律だけのサンタだ」
 黒いベルベットの箱を開けると、中からはシルバーの指輪がでてきた。艶を消したシンプルなデザインなんだけど、ーーこれ絶対にかなりのお値段だよね?

「ーー景君……」
「まだ、右手でいい」
 そういう問題なのかな……?
「ぼく……、似合わないよ……」
「恋人の証に、似合う似合わないなんかない。気持ちだと思うけど、実律は違うのか?」
 大げさなぐらい首を振って、ぼくは景君の言葉を否定する。

「ううん。ーーすっごく……、うれしい……。うれしいよ……、でも、ーーいままでつけてないのに……、か、母さん達に聞かれるんじゃ……」
 うじうじしてしまうぼくに、景君がふっと笑った。

「それはすぐに報告するから」
 すっと身を起こして、景君がぼくのほうに顔を向ける。まっすぐな強い目にハートを射抜かれるように見つめられ、ぼくは恥ずかしくて、恥ずかしすぎて、視線をそらしてしまった。

「……」
「拒絶されるのなら、ふたりで住もう。俺はそのつもりだ」
「ーーえ!?ーーけ、景君……」
 じょ、情熱的……。景君ってこんな顔をするの?そんな真剣な目、ぼくに向けていいのーー?

「けど、実律が両親のことを大切にしたい気持ちもわかるーー。ちゃんとした話し合いをしないといけないのも」
「景君……」
「俺はもう、すべてを失う覚悟は決めている。……実律をそれに付き合わせたくはないけどーー」
 その芯のブレない言葉に、ぼくは今まで抑え込んできた愛情が、一気に景君へと溢れ出すのを感じた。

「け、景君……。景君はなんでぼくのことを……、そこまで考えてくれるのーー?」
 目がうるんできて、すっごく熱いーー。視界がぼやけてくる。

「ーーペットカメラで見てたって言っただろう?」
「うん……」
「自分のことには反論しないのに、俺のことを悪く言われたら言い返す……。惚れ直したいところだけど、危ないからやめてくれ。今日は蓮がいたからよかったけど……」

「あーー……、でも……、景君のことを悪く言われるなんて……、それはぼくにとっては、絶対に、我慢できないことだから……」
 きっぱりと言ったぼくを、景君が後ろから抱きしめ、ゆっくりと右手の薬指に指輪をはめてくれた。

「それはそれは、頼もしい」
「景君……」
 指輪をはめられた薬指が、ーードキドキしすぎて死ぬーーって言っている気がする。
「昔言ってくれただろ?ーー『景君はぼくのだから』、って」
「え!?ーーぼくが言ったの!?」
「言った」
「そ、そんな昔のことはいいよ……。絶対にその頃よりいまのほうが景君のこと好きだしーー」

「ーーそういう可愛いところも含めて、すべて好きだよ」
 
 熱い……、自分がこんなに熱くなるなんてーー、景君の言葉でぼくの身体は、本当におかしくなっちゃう。


「ーー全部、うまくいくかはわからないーー。けど、俺は実律のことを一番に考えるからーー……」
「ううん!ぼくだって、景君のためなら全部いらない!景君がいてくれるなら、なくても、ーーなくなっても大丈夫!」


 心の中に、ひょうきんな父さんと、いつと忙しそうな母さんの顔が浮かんだけど、ーーごめんね……、ぼくはあなた達への想いよりも、景君のことが大切だからーー。

 ひどい息子でごめんなさい……。一生懸命そだててくれたのに、いっぱい、いっぱい、大事にしてくれたのにーー……、ごめんなさい。本当にごめんなさい……。


 ーーぼくは、景君と一緒に生きます……。


「ーーところで、実律」
「うん?何?」
「ーーこの下着。今夜、履いてみてくれないか?」
 景君がプレゼント交換でもらった、例の下着を見ながら言った。ぼくったら、あんなものを景君の机の上に放置してーー、早く処分しないとね。

「ふふっ、景君でもそんな冗談言うんだねーー……」
 黒のレースでできたパンツを、ぼくが履く?横の部分は紐でレースの模様は蝶々の、面積のとっても少ないパンツをぼくがーー?ぼくだよ?いくらなんでも景君だって、大ウケでしょーー?

「………」

 ーーあれ?……景君。目がマジなやつ、だね………。これは、笑ってちゃマズイの……?え!?ほ、ほ、本当に本気なの?正気!景君ーーーーッ!?


 ツッコんじゃだめだと思ったぼくは、照れたまま寝てしまったけど、頭の中は天使と悪魔が戦っていた。

悪魔「クリスマスだぜ?履いちゃえよ。履いても笑いですまされるだろ?」

天使「ばかなことはおよしなさい。あなたはそんなキャラではないでしょ?」

悪魔「履いてもいいじゃん」

天使「いけません」

悪魔「まあ、好きにしろ」

天使「たしかに」

 ーー結論がでなかったよ~~~!








 ✖✖✖




蓮「よかったの?」
光「何が?」
蓮「ーーミノのこと」
光「あーー、どうせ景兄には勝てねーじゃん。やるだけムダムダ」
蓮「まあ、そうだけど……」
光「おまえはーー?」
蓮「………おれは、そうだな……。兄貴でいいと思うよ」
光「だろ?」
蓮「光だったら、我慢できなかったかも」

光「ーーやっぱりおまえもか……。オレもおまえは許せないんだよ。おまえとミノがくっついたら、オレはどうやってその中に入るんだ?って感じーー」
蓮「わかる、わかる」
光「景兄なら、平気なのにな」
蓮「兄貴ならおれ達3人の関係性が変わらないからだよ。ーーそれにしても光。今回はホントに反省しなよ」
光「……してる。ーーあ~~!それより隣りが気になる~~~!」
蓮「兄貴がおれ達がいるのに、するわけないでしょ……」
 

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