殺人鬼との恋

しましまのしっぽ

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人を殺したであろう人物が目の前にいる。

警察に言った方が良いに決まってる

だけど体も頭も自分の思ってるように動かなくて、難しいことはなにも考えられない。

私は、落としていた傘を拾って何を思ったのか

「か、傘いる?」

なんて言ってしまった。

少し待ってみたが答えは返ってこなかった。

すでに雨に濡れてびしょびしょで傘の意味も無いから良いやと思い、傘を畳んでそーっと置いた。

そして一目散に走って家に帰る。

今見たことは記憶から消してひとまず家に帰ることだけに集中した。







口封じのために追いかけられる。いや、殺される事まで想像していたが、そんなこともなく無事に家にたどり着いた。


今までで一番速く走った自信はあるが、あの路地裏から徒歩5分の道のりはとても、とても長く感じた。


全身が濡れていることも忘れて勢いよく玄関を開ける。


「おかえり。遅かったね。ってびしょびしょじゃないか!傘はどうしたんだよ?」

咄嗟に
「ただいま。」
と言ったが、すっかり父の事を忘れていた。

人殺しのところに置いてきたと素直に言うことも出来ないので

「学校に忘れてきちゃってね!途中までは友達に入れてもらったんだけど、別れてから濡れちゃって!」

嘘をついた。

なんだか心がチクリと痛い気がする

「それよりどうしたの?あんなに電話してきて。」

「話がある。単刀直入なんだが…
仕事で海外に行くことになった。付いてきてもいいんだが、いつも通りこっちにいるだろ?」

「うん。こっちにいてるよ。と言うかいつももの事なのになんでそんなに改まっていってるの?」

こんなこと日常茶飯事だから父の改まった様子が不思議でならなかった。

「…実は、一年以上あっちに居ることになりそうなんだ。いつ日本に帰ってこれるかも未定なんだ。」

「えっ…」

いつとの事とはいえ、ここまで長くて予定が未定だったことは無かったので、流石に驚いた…。

そして、父の仕事が心配になった。どんな仕事をしているのか教えてもらったことはないが、ここまで来ると最近良くあるブラック企業とか言うやつ出はないのだろうか?


つくづく、可愛げのない娘だなぁと思いつつ

「その会社大丈夫なの?まぁ、父さんがいいなら問題無いんだけどさ。と言うか最近は一人の方が気楽で良いから別にいいよ。」

「すずがそう言うなら悩むことなく行けるよ。ありがとう。」

「あっ!生活費だけは絶対いれてね!ダメだったら父さんの貯金から出すからね!」

「わかってるよ。」

「なら、いいよ!」


行ってくると言うので行ってらっしゃいと軽く返してスマホを見ていた。





ガチャッ
と玄関が開いた音がして、玄関の方を見ると父が家から出るところだった。
それも、大きな人一人入れるくらい大きなキャリーケースを持って…

早い…
嘘だろって思って見てたら
「行ってきます!」

そう残して再び
ガチャッ
と音がして、扉が閉まっていた…








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