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Chapter13 渦中
#83 身バレ
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「小山内さん、電話対応のほうは大丈夫なの?」
佐伯部長が問いかけると、小山内さんはすぐ仕事モードに戻って「はい」とうなずく。滅多に8階に来ないAIチームの面々は、小山内さんが佐伯部長相手に堂々と答える姿に驚いているようだった。
「お昼に佐伯部長の動画が公開されて、電話がけっこう減ったんです。テレビ放送の影響もあったのか、今は落ち着いてます」
「そう」
佐伯部長は安堵したように息を吐いた。
ニュースキャスターはDRIの説明が不十分だと断じたけれど、正午に公開した動画で、佐伯部長はかなり詳細に説明している。
まず第一に、流出した翻案データについて。不正アクセス時(5月31日午前10時17分)に非公開・公開選択猶予期間となっていたパーソナライズ長編翻案小説であること。さらに、流出したのは対象となった翻案小説からの300字以下の抜粋であること。ハヤト文体の特徴を備えた、予言元となりうる文章ということにも言及している。
次に、犯行方法について。職員『K』は対象翻案小説から抽出した20篇をUSBメモリで持ち出した。そして、共犯者にはUSBメモリを渡さず、20篇のうち1篇だけをメモに書き写す形で提供した。その後USBは物理的に破棄したため、実際に流出した文章は1篇のみ。
これらの内容は、文章に書き起こしてサイトにも掲載した。
「さっきの放送への反応、確認する必要がありそうですね。今のところ大きな反応はなさそうですが」
糸井部長は手元のスマホでPitterを開いたようだった。
「Pitterで騒いでる惣領君のファンは、NHKニュースとか見ないと思います。時間差で反応があるんじゃないですか?」
小山内さんの発言に、糸井部長は「なるほど」と納得している。佐伯部長は別のことが気になっているようだった。
「意外にDRIに好意的な内容だったから、逆にネットでは反論が起きるかもしれない。リテラ・ノヴァユーザーだというニュースキャスターの発言を、うちを擁護してるように受け止めた視聴者もいるはずよ」
「西京大の方は大丈夫なんですか?」
手をあげて発言したのは本田君。
「うちと西京大が共同研究してることと、西京大に結城先生が所属してることを変に絡めて西京大を批判してるやつとかいるみたいです。佐伯部長と合田部長は、今日、西京大に行って来られたんですよね?」
部長ふたりは顔を見合わせ、複雑な表情を浮かべた。口を開いたのは佐伯部長。
「動画公開する前にその旨を伝える電話をして、その後ですぐ西京大に向かったけど、なんとも言えない空気だったわ。データ漏洩させたのが新田君だっていうことは、共同研究から抜けたことで察してたみたい。その新田君にデータを盗むよう強要したのが、西京大の非常勤である結城先生だったわけだから、向こうとしても一方的にうちを批判するわけにもいかないし。結城先生との契約は切るつもりで検討してると言ってたわ」
「まあ、そうですよね」
本田君の返事が妙に歯切れ悪いのは、一希君のことを思い浮かべたのかもしれない。私は佐伯部長の視線を感じたが、無言のままでいた。
「合田部長、うちとの共同研究は継続でいいんですか?」
尋ねたのは蒼君。
「今後次第だとさ。あの研究は惣領がいてこそだから――」
話している途中で言葉を切り、合田部長はふと何かに気づいたように真顔になった。
「惣領、おまえ西京大から引き抜きの話が来たらどうする?
いや、その前に、これまでにそういう話を持ちかけられたことはないのか?」
「さあ、どうでしょう。冗談ぽく言われたことはありますけど」
AIチームのメンバーがざわつき、合田部長は「冗談だといいが」と苦笑している。
「じゃあ、堂坂府警はどうだ? 伊藤刑事はおまえのこと気に入ってるようだし、テレビを口実におまえを堂坂に呼び出して、今回の捜査について相談されたりしたんじゃないのか? 転職を持ちかけられたりしなかったか?」
「サイバー犯罪の専門家が、僕に何を相談するっていうんですか?
それに、警察なんて簡単に転職できるわけないでしょう。余計なことはするなって、釘を刺されただけですよ」
「まあ、そうか」
ふたりのやりとりを聞きながら、私はなんとなく蒼君の表情と口調に不自然さを覚えていた。それは言語化するのが難しいほどの、「勘」のようなものだった。
けれど、不自然さは今始まったわけではない。一昨日、駐車場とコネクト・アベニューを繋ぐ地下通路でのやりとりで蒼君との距離が縮まったように感じていたのに、テレビ収録の昨日を挟んで1日ぶりに会った彼に、なぜか少し距離を感じたのだ。
理由はよくわからないし、ただの思い過ごしのような気もするけれど、その違和感のせいで蒼君に聞けていないことがある。彼が、堂坂で匠真と面会したのかどうかだ。
テレビ視聴会は解散し、蒼君はAIチームの人たちと会議室を出ていった。いつもならひと言声をかけてくれるのにと思いながら、迷った末に、彼を追って会議室を出た。が、追いつく前にスマホが鳴って足を止める。
着信は市原からだった。
『観たよ~。惣領君、若いのに感心するわ~』
『マぁマ、だれぇ?』
『おともだち。ちょっと、お話するから待ってて』
スマホから聞こえてくる市原の母親らしい声と、舌足らずな子どもの声。強張っていた気持ちが緩んで、フッと笑いが漏れる。通話しながら、ひとまずキュレ部に戻ることにした。
『理久はまだ会社だよね?』
「うん。さっきまで会議室でNHK観てた。みんな集まってたんだけど、ちょうどお開きになったところ。小山内さんの話だと、佐伯部長の動画で電話は減ったみたいだよ。このまま落ち着いてくれるといいけど」
『そう甘くないんじゃない?
ネット民は批判の矛先を変えただけで、結城先生はめちゃくちゃ叩かれてるし……。あっ、そうだ! 新田君、身バレされちゃいそうかも』
「えっ?」
ギュッと心臓を掴まれたようだった。エレベーターの方に視線をやったが、AIチームの姿はとっくに消えている。
「市原、どういうこと?」
『会社帰りにキッズルームに行った時、その場にいた親とスタッフが私を見るなり急に喋るのやめて気まずそうにしたのよね。スルーするのも気持ち悪いし、言いたいことがあるなら言ってって笑顔で詰め寄ったの。そしたら、どうも新田君のこと話してたらしいんだよね』
「キッズルームの人が一希君を知ってたの?」
『スタッフじゃなくて、親の中に新田君の高校だか大学だかの友達の奥さんがいたらしいんだ。それほど親しいわけじゃないみたいだけど、結婚式で新田君の顔を見てて、うちの職員だってことも知ってたみたい』
「でも、それだけじゃ特定できないよね」
『暴走した想像が偶然当たっちゃったって感じかな。新田君って背が高いから、けっこう目立つじゃない? 彼、よくコモンズ・カフェ行ってたみたいだし、キッズルームのスタッフもコモンズ・カフェ行くらしいのよね。それで、最近あの背の高い人見かけないから、あの人じゃないかって。DRIの背の高い人って、もしかして~みたいな?』
市原は深刻さを消そうとしているのか軽い口調で言う。
「それで、市原はなんて答えたの?」
『うちの快くんに感謝よ。タイミングよくぐずりはじめたから、そのまま退散したわ。それで、家に帰ってからPitterチェックしてみたんだけど、新田君の大学同期っぽい人とか、西京大の人とかが「Kに心あたりある」みたいな投稿してるの』
最後の言葉に私は眉をひそめた。
「西京大の人が?」
『うん。でも、惣領君たちと共同研究してるような人じゃなくて、たぶん無関係の学生。あの研究、いろんな学部横断してやってるらしくて、大学内ではそこそこ有名なんだって』
「市原、それもPitter情報?」
『うん。まだ新田君の名前は出てないけど、経歴とかは晒されてる。で、ちょっと叩かれ始めてる。あの大学出身なら倫理感ヤバいのも納得――みたいな。佐伯部長か合田部長がまだ会社いるなら報告しといたほうがいいかもね』
「……わかった。伝えとく」
市原は『嬢ちゃん、思い詰めるなよ』と、子ども向けアニメキャラの声真似で茶化して電話を切る。私はジワジワと押し寄せる不安を振り払い、倫理法務部へと足早に向かったのだった。
佐伯部長が問いかけると、小山内さんはすぐ仕事モードに戻って「はい」とうなずく。滅多に8階に来ないAIチームの面々は、小山内さんが佐伯部長相手に堂々と答える姿に驚いているようだった。
「お昼に佐伯部長の動画が公開されて、電話がけっこう減ったんです。テレビ放送の影響もあったのか、今は落ち着いてます」
「そう」
佐伯部長は安堵したように息を吐いた。
ニュースキャスターはDRIの説明が不十分だと断じたけれど、正午に公開した動画で、佐伯部長はかなり詳細に説明している。
まず第一に、流出した翻案データについて。不正アクセス時(5月31日午前10時17分)に非公開・公開選択猶予期間となっていたパーソナライズ長編翻案小説であること。さらに、流出したのは対象となった翻案小説からの300字以下の抜粋であること。ハヤト文体の特徴を備えた、予言元となりうる文章ということにも言及している。
次に、犯行方法について。職員『K』は対象翻案小説から抽出した20篇をUSBメモリで持ち出した。そして、共犯者にはUSBメモリを渡さず、20篇のうち1篇だけをメモに書き写す形で提供した。その後USBは物理的に破棄したため、実際に流出した文章は1篇のみ。
これらの内容は、文章に書き起こしてサイトにも掲載した。
「さっきの放送への反応、確認する必要がありそうですね。今のところ大きな反応はなさそうですが」
糸井部長は手元のスマホでPitterを開いたようだった。
「Pitterで騒いでる惣領君のファンは、NHKニュースとか見ないと思います。時間差で反応があるんじゃないですか?」
小山内さんの発言に、糸井部長は「なるほど」と納得している。佐伯部長は別のことが気になっているようだった。
「意外にDRIに好意的な内容だったから、逆にネットでは反論が起きるかもしれない。リテラ・ノヴァユーザーだというニュースキャスターの発言を、うちを擁護してるように受け止めた視聴者もいるはずよ」
「西京大の方は大丈夫なんですか?」
手をあげて発言したのは本田君。
「うちと西京大が共同研究してることと、西京大に結城先生が所属してることを変に絡めて西京大を批判してるやつとかいるみたいです。佐伯部長と合田部長は、今日、西京大に行って来られたんですよね?」
部長ふたりは顔を見合わせ、複雑な表情を浮かべた。口を開いたのは佐伯部長。
「動画公開する前にその旨を伝える電話をして、その後ですぐ西京大に向かったけど、なんとも言えない空気だったわ。データ漏洩させたのが新田君だっていうことは、共同研究から抜けたことで察してたみたい。その新田君にデータを盗むよう強要したのが、西京大の非常勤である結城先生だったわけだから、向こうとしても一方的にうちを批判するわけにもいかないし。結城先生との契約は切るつもりで検討してると言ってたわ」
「まあ、そうですよね」
本田君の返事が妙に歯切れ悪いのは、一希君のことを思い浮かべたのかもしれない。私は佐伯部長の視線を感じたが、無言のままでいた。
「合田部長、うちとの共同研究は継続でいいんですか?」
尋ねたのは蒼君。
「今後次第だとさ。あの研究は惣領がいてこそだから――」
話している途中で言葉を切り、合田部長はふと何かに気づいたように真顔になった。
「惣領、おまえ西京大から引き抜きの話が来たらどうする?
いや、その前に、これまでにそういう話を持ちかけられたことはないのか?」
「さあ、どうでしょう。冗談ぽく言われたことはありますけど」
AIチームのメンバーがざわつき、合田部長は「冗談だといいが」と苦笑している。
「じゃあ、堂坂府警はどうだ? 伊藤刑事はおまえのこと気に入ってるようだし、テレビを口実におまえを堂坂に呼び出して、今回の捜査について相談されたりしたんじゃないのか? 転職を持ちかけられたりしなかったか?」
「サイバー犯罪の専門家が、僕に何を相談するっていうんですか?
それに、警察なんて簡単に転職できるわけないでしょう。余計なことはするなって、釘を刺されただけですよ」
「まあ、そうか」
ふたりのやりとりを聞きながら、私はなんとなく蒼君の表情と口調に不自然さを覚えていた。それは言語化するのが難しいほどの、「勘」のようなものだった。
けれど、不自然さは今始まったわけではない。一昨日、駐車場とコネクト・アベニューを繋ぐ地下通路でのやりとりで蒼君との距離が縮まったように感じていたのに、テレビ収録の昨日を挟んで1日ぶりに会った彼に、なぜか少し距離を感じたのだ。
理由はよくわからないし、ただの思い過ごしのような気もするけれど、その違和感のせいで蒼君に聞けていないことがある。彼が、堂坂で匠真と面会したのかどうかだ。
テレビ視聴会は解散し、蒼君はAIチームの人たちと会議室を出ていった。いつもならひと言声をかけてくれるのにと思いながら、迷った末に、彼を追って会議室を出た。が、追いつく前にスマホが鳴って足を止める。
着信は市原からだった。
『観たよ~。惣領君、若いのに感心するわ~』
『マぁマ、だれぇ?』
『おともだち。ちょっと、お話するから待ってて』
スマホから聞こえてくる市原の母親らしい声と、舌足らずな子どもの声。強張っていた気持ちが緩んで、フッと笑いが漏れる。通話しながら、ひとまずキュレ部に戻ることにした。
『理久はまだ会社だよね?』
「うん。さっきまで会議室でNHK観てた。みんな集まってたんだけど、ちょうどお開きになったところ。小山内さんの話だと、佐伯部長の動画で電話は減ったみたいだよ。このまま落ち着いてくれるといいけど」
『そう甘くないんじゃない?
ネット民は批判の矛先を変えただけで、結城先生はめちゃくちゃ叩かれてるし……。あっ、そうだ! 新田君、身バレされちゃいそうかも』
「えっ?」
ギュッと心臓を掴まれたようだった。エレベーターの方に視線をやったが、AIチームの姿はとっくに消えている。
「市原、どういうこと?」
『会社帰りにキッズルームに行った時、その場にいた親とスタッフが私を見るなり急に喋るのやめて気まずそうにしたのよね。スルーするのも気持ち悪いし、言いたいことがあるなら言ってって笑顔で詰め寄ったの。そしたら、どうも新田君のこと話してたらしいんだよね』
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『スタッフじゃなくて、親の中に新田君の高校だか大学だかの友達の奥さんがいたらしいんだ。それほど親しいわけじゃないみたいだけど、結婚式で新田君の顔を見てて、うちの職員だってことも知ってたみたい』
「でも、それだけじゃ特定できないよね」
『暴走した想像が偶然当たっちゃったって感じかな。新田君って背が高いから、けっこう目立つじゃない? 彼、よくコモンズ・カフェ行ってたみたいだし、キッズルームのスタッフもコモンズ・カフェ行くらしいのよね。それで、最近あの背の高い人見かけないから、あの人じゃないかって。DRIの背の高い人って、もしかして~みたいな?』
市原は深刻さを消そうとしているのか軽い口調で言う。
「それで、市原はなんて答えたの?」
『うちの快くんに感謝よ。タイミングよくぐずりはじめたから、そのまま退散したわ。それで、家に帰ってからPitterチェックしてみたんだけど、新田君の大学同期っぽい人とか、西京大の人とかが「Kに心あたりある」みたいな投稿してるの』
最後の言葉に私は眉をひそめた。
「西京大の人が?」
『うん。でも、惣領君たちと共同研究してるような人じゃなくて、たぶん無関係の学生。あの研究、いろんな学部横断してやってるらしくて、大学内ではそこそこ有名なんだって』
「市原、それもPitter情報?」
『うん。まだ新田君の名前は出てないけど、経歴とかは晒されてる。で、ちょっと叩かれ始めてる。あの大学出身なら倫理感ヤバいのも納得――みたいな。佐伯部長か合田部長がまだ会社いるなら報告しといたほうがいいかもね』
「……わかった。伝えとく」
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