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手厳しい新人研修
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「梅原と言います。以前にはオーワッチホテルでフロントしてました。」
「あ、そうなんですね!よろしくお願いします」
「ほとんどの事は解るんで…」
「そうは言ってもオーワッチとグラッドだと多少違う事もあると思うので教えていきますね。」
こうして以前突如牧田から言われた新人研修が始まった。桜に任された理由として日勤スタッフである事、加えて日中の社員が桜であること、それに桜になら任せてもいいだろうという牧田の自信からだった。
「…ーーー・・で、ここが、」
「はぁ、」
「メモとか取らなくても大丈夫ですか?」
「別に大丈夫ですけど?要ります?」
「…私は必要かなと思うだけ何で要らなければ問題ないですよ?」
「ならいいです」
そういう会話が初日から交わされてくる。ため息を吐きながらも何度か教えていく。その間通常的に瀬戸も入って居る為、桜は常にフォローと監視のみとなった。あとは強いて言うなれば書類の整理等々だった。
それから時間も経って昼頃になっていく。
「…えーっと、じゃぁ、梅原さんは何時ころに休憩取られますか?」
「まだ大丈夫です。」
「じゃぁ、先に行ってきますね。瀬戸さん、少しの間お願いします」
「はい」
『行ってきます』と告げて事務所に入っていく。
「…はぁ…」
その間も監視カメラが設置されているため、フロントの様子を見ていると桜が離れた途端から二人で話をしている様が見えた。
「…なるほどね…」
そのまま様子を見ていたものの、休憩上がりでフロントに戻れば二人の会話は一気になくなり、仕事をしている様子に様変わりする。
「…じゃぁ、私行ってきますね?」
「行ってらっしゃい。」
そうして瀬戸が休憩に入る。
「…解らない所ありますか?」
「特に大丈夫ですけど…」
「その割には私が休憩行く前とそれほど量が変わってないので…瀬戸さんに聞いてもよかったんですが…」
「聞かなくても優しく話してくれましたし」
「そうなんだね」
ため息しか出ないとはまさにこのことだろう。それでもなんとかせねば…と桜も解りやすいようにと資料を作り始めていったのだった。
次の日、また次の日と連勤を続けていた。
「…今日もですか?」
「はい」
「他の仕事とかないんですか?」
「これが基本となりますので。これを覚えていただきたいので」
「そう言って地味ぃな仕事しかやらせてもらえないんですか?パワハラですよ?」
「…なんでそうなるかなぁ…」
「だって、皆そう言ってます!」
「皆って誰?」
「そんな事なんで答えなきゃいけないんですか?」
「…まぁいいわ?とりあえずこの仕事をしっかりと出来る様になってから次の仕事を教える事にするから…」
そう伝えるもののうまくはかどらない梅原。椅子の上に足を組んでゆーらゆらと揺れ始めた。
「足組むのは止めてもらってもいいですか?」
「はぁ?別に誰にも迷惑かけてないし大丈夫でしょ?仕事さえできれば」
「いえ、でも今の梅原さんだと仕事出来てないですよね?」
「うっわ。上から目線の新人に対する怠慢?」
「……では、仕事出来るところを示して下さい。」
そう言って桜は報告書の作成に取り掛かる。この日、出来た事、話した事、色々な事を出来るだけ細かく、正確に牧田に伝えるために…
「仕事って、」
「はい?」
「案外単純ですよね。ホテルのって。」
「そうですね」
「…出来ましたけど?コレ」
そう言って梅原は桜に入力する書類を差し出して来た。
「…確認します。」
そう答えれば桜は梅原の手から入力できたという書類を受け取った。
「…ハァ…」
「出来てるなら出来てるって言ってくださいね?」
「…残念ながら、やり直しで」
「…はぁ?」
「はぁ?と疑問形で返されましても…」
「よく見ても無いのに何でいきなり却下な訳?」
「よく確認してくれませんか?」
「…したってのに…」
「じゃぁ、また一から教えますね?」
「うざ…いらないし」
「…ならどうするんですか?」
「…直してくれたらいいじゃん…黙ってさ」
「それじゃあなたがいつまでたっても仕事出来ないままですが?」
「教え方が悪いんだよ…」
そう言い放てばガチャリと扉が開いて瀬戸がやって来る。
「休憩ありがとうございます」
「おかえりなさい!」
「おかえりなさーい、瀬戸さん!」
甘える様に、しかしどこか泣きそうな顔をして瀬戸に何やらこそこそと話し出す。そうして休憩に向かって行く梅原だった。その背中をちらりと見つつも桜はいってらっしゃいと伝えるだけで仕事はそのまま放置していた。
「あ、これやればいいですか?」
「それは梅原さんのやりかけ何でそのままで大丈夫」
「え、でも休憩行っちゃいましたよ?」
「当日じゃないし、『終わった』って言ったけど確認したらしょっぱなから間違ってるからやり直してもらう為に置いといて?」
「あー、解りました。じゃぁ…」
そう言って瀬戸もまたそれを放置にすることにした。しかしその直後に瀬戸は『そうだ』といって桜に話しかけた。
「…あの、御門さん?」
「はい?何ですか?」
「少し新人に厳しくないですか?」
「そうでしょうか??」
「はい。特に今回のって言うか…梅原さんに対して…」
「そうでもないですよ?いつもと同じように接していますけど?」
「そうでもないんですよ。厳しいと思います。」
「んー、じゃぁ逆に聞いてもいいですか?」
「何ですか?」
「どこが厳しいって思うポイントですか?」
「それは…」
「ハァ…大丈夫です。瀬戸さんの責任にしたりしませんから。もし仮に訴えるとか言われても私だけでしょうし。」
「何でそんなに余裕なんですか?」
「え、だってパワハラとかって言われる筋合い無いもの。」
「…だからって…もしかして会長に守って貰えるとかって算段ですか?」
「えぇ?そんなことないですよ?会長も間違ってると思えば切り捨てるでしょうし。」
「ていう事は、切り捨てられないって自信ですか?」
「そんな事はないですよ。」
そう話しながらも桜は仕事をすんっと進めていく。プリントアウトすればクリアファイルに入れて会長あてのポストロッカーに入れてしまう。
「え、中条さんとかの確認は要らないんですか?」
「だって今の時間までのトレーニングって中条さんいないでしょ?それでどうやって指導貰うのよ。」
「そうかもしれませんが…まぁ、御門さんがいいって言うならいいですけど…」
そうやって桜の一つ一つに苦言を申し出る人も中にはいた。そんな指導が続いて半月が経とうとしていた時だ。
「おはようございます。」
「おはようございます…」
「御門さん?」
「あ、はい」
「ちょっといい?」
またしても牧田から呼び出されて桜は事務所に入っていく。そのまま入ればくいっと鍵を閉めろと合図される。
「…もう言いもしなくなったか…」
「何か言ったか?」
「いえ。それで…もしかしなくても梅原さんの事ですよね?」
「あぁ。」
「…それで…なにか、不備があったりとか指導方法等ですよね…」
「そんなのは別に気にしてない。」
「…はい?」
「御門さんに頼んでよかったとは思ってるけど…」
「…でも…パワハラで訴えるとか言われてるんですよ?私に問題あるかもしれないって思うんじゃ…」
「いや、だって報告書貰ってからこっちでも可能な限り監視してるし」
「はい?」
「あれ、言ってなかったっけ?新しく付けた防犯カメラ、俺のこれでも画像見れるし」
そういって牧田は自身のノートパソコンを指さした。
「…で、実際の映像を見てらしたって事ですか」
「そう。だから事実確認は取れてるって訳。」
「あー、そうだったんですか…」
「そう。だから心配しなくていい。」
「心配…とかは…」
「そう、それで御門さんに彼女の進退を決めて欲しい。」
「私が、ですか?」
「そう。」
「進退というのは、まさしく…継続か退職か…ですか?」
「それ以外に無いでしょう」
そう言われると桜の口元は緩んだ。
「すみません、私の一存では決めれませんが…それでも私の言いたい事、伝えたいのは今までの報告内容が全てなんですが…」
「『ですが』…?」
「言葉悪いかもしれませんが、このままうちのホテルに居てもらうのは得策ではないと思います。仕事が出来ないならまだしも覚える気が無いというのは問題です。覚えようと努力していても出来ないのであれば教える側の問題もあるかと思います。でも彼女の場合は以前に他のホテルで勤めていたという自信からなのか、雑用の様な仕事は出来ないと、他の仕事をもっとやりがいのある仕事をくれというばかりで基礎を覚えない。それでは先が見えません。」
いうだけ言えばハッと我に返る桜。しかし、くすくすと笑っている牧田。
「怖いな、マジで敵にしたくない。」
「えーっと…すみません…」
「謝らなくていいよ。じゃぁ退職の方向の意思でいいな?」
「私…が?」
「なんでそうなる。退職しても俺の所に来ればいいだけだけど。」
「あ、じゃぁ退職は梅原さんですね?」
「大丈夫。俺がそれとなく話しておく。御門さんを悪いようにはしない。」
「でも私が報告書あげてるのは彼女も知っているので問題ありませんが…」
そう切り出す桜。だろうと思うけど…?と牧田は続けて答えを出した。
「…とにかく試用期間中だ。切るも続けさせるも出来る。でも、意味も無く辞めさせるわけにはいかないからな。」
「で、現場の人間に…という訳ですか?」
「そりゃそうだろ。且つ、報告を得るには僕が信頼してないと正確に出来ないと思ったからね。」
「…し、んらい?」
「そういう所は聞き逃していいのに」
「…ありがとうございます…」
桜の表情もいつも通りに戻ったのを見て牧田もまた小さく笑った。
「それと…」
「はい?」
「もし本当に居心地悪くなったなら俺の所に来ればいい。」
「本社の仕事はすみません、私本当に解らないので、どちらにしても役に立たずに終わりますよ?」
「俺が教える」
「……すごい、豪華な特典付きですね」
「だろ?」
「…でも今はここでやっていきます。」
「だろうな…」
そうして少し話をすれば時期に桜はフロントに戻っていく。
「全く以て引き抜けねぇなぁ…」
そう呟く声は桜には当然届きもしていなかった。
「あ、そうなんですね!よろしくお願いします」
「ほとんどの事は解るんで…」
「そうは言ってもオーワッチとグラッドだと多少違う事もあると思うので教えていきますね。」
こうして以前突如牧田から言われた新人研修が始まった。桜に任された理由として日勤スタッフである事、加えて日中の社員が桜であること、それに桜になら任せてもいいだろうという牧田の自信からだった。
「…ーーー・・で、ここが、」
「はぁ、」
「メモとか取らなくても大丈夫ですか?」
「別に大丈夫ですけど?要ります?」
「…私は必要かなと思うだけ何で要らなければ問題ないですよ?」
「ならいいです」
そういう会話が初日から交わされてくる。ため息を吐きながらも何度か教えていく。その間通常的に瀬戸も入って居る為、桜は常にフォローと監視のみとなった。あとは強いて言うなれば書類の整理等々だった。
それから時間も経って昼頃になっていく。
「…えーっと、じゃぁ、梅原さんは何時ころに休憩取られますか?」
「まだ大丈夫です。」
「じゃぁ、先に行ってきますね。瀬戸さん、少しの間お願いします」
「はい」
『行ってきます』と告げて事務所に入っていく。
「…はぁ…」
その間も監視カメラが設置されているため、フロントの様子を見ていると桜が離れた途端から二人で話をしている様が見えた。
「…なるほどね…」
そのまま様子を見ていたものの、休憩上がりでフロントに戻れば二人の会話は一気になくなり、仕事をしている様子に様変わりする。
「…じゃぁ、私行ってきますね?」
「行ってらっしゃい。」
そうして瀬戸が休憩に入る。
「…解らない所ありますか?」
「特に大丈夫ですけど…」
「その割には私が休憩行く前とそれほど量が変わってないので…瀬戸さんに聞いてもよかったんですが…」
「聞かなくても優しく話してくれましたし」
「そうなんだね」
ため息しか出ないとはまさにこのことだろう。それでもなんとかせねば…と桜も解りやすいようにと資料を作り始めていったのだった。
次の日、また次の日と連勤を続けていた。
「…今日もですか?」
「はい」
「他の仕事とかないんですか?」
「これが基本となりますので。これを覚えていただきたいので」
「そう言って地味ぃな仕事しかやらせてもらえないんですか?パワハラですよ?」
「…なんでそうなるかなぁ…」
「だって、皆そう言ってます!」
「皆って誰?」
「そんな事なんで答えなきゃいけないんですか?」
「…まぁいいわ?とりあえずこの仕事をしっかりと出来る様になってから次の仕事を教える事にするから…」
そう伝えるもののうまくはかどらない梅原。椅子の上に足を組んでゆーらゆらと揺れ始めた。
「足組むのは止めてもらってもいいですか?」
「はぁ?別に誰にも迷惑かけてないし大丈夫でしょ?仕事さえできれば」
「いえ、でも今の梅原さんだと仕事出来てないですよね?」
「うっわ。上から目線の新人に対する怠慢?」
「……では、仕事出来るところを示して下さい。」
そう言って桜は報告書の作成に取り掛かる。この日、出来た事、話した事、色々な事を出来るだけ細かく、正確に牧田に伝えるために…
「仕事って、」
「はい?」
「案外単純ですよね。ホテルのって。」
「そうですね」
「…出来ましたけど?コレ」
そう言って梅原は桜に入力する書類を差し出して来た。
「…確認します。」
そう答えれば桜は梅原の手から入力できたという書類を受け取った。
「…ハァ…」
「出来てるなら出来てるって言ってくださいね?」
「…残念ながら、やり直しで」
「…はぁ?」
「はぁ?と疑問形で返されましても…」
「よく見ても無いのに何でいきなり却下な訳?」
「よく確認してくれませんか?」
「…したってのに…」
「じゃぁ、また一から教えますね?」
「うざ…いらないし」
「…ならどうするんですか?」
「…直してくれたらいいじゃん…黙ってさ」
「それじゃあなたがいつまでたっても仕事出来ないままですが?」
「教え方が悪いんだよ…」
そう言い放てばガチャリと扉が開いて瀬戸がやって来る。
「休憩ありがとうございます」
「おかえりなさい!」
「おかえりなさーい、瀬戸さん!」
甘える様に、しかしどこか泣きそうな顔をして瀬戸に何やらこそこそと話し出す。そうして休憩に向かって行く梅原だった。その背中をちらりと見つつも桜はいってらっしゃいと伝えるだけで仕事はそのまま放置していた。
「あ、これやればいいですか?」
「それは梅原さんのやりかけ何でそのままで大丈夫」
「え、でも休憩行っちゃいましたよ?」
「当日じゃないし、『終わった』って言ったけど確認したらしょっぱなから間違ってるからやり直してもらう為に置いといて?」
「あー、解りました。じゃぁ…」
そう言って瀬戸もまたそれを放置にすることにした。しかしその直後に瀬戸は『そうだ』といって桜に話しかけた。
「…あの、御門さん?」
「はい?何ですか?」
「少し新人に厳しくないですか?」
「そうでしょうか??」
「はい。特に今回のって言うか…梅原さんに対して…」
「そうでもないですよ?いつもと同じように接していますけど?」
「そうでもないんですよ。厳しいと思います。」
「んー、じゃぁ逆に聞いてもいいですか?」
「何ですか?」
「どこが厳しいって思うポイントですか?」
「それは…」
「ハァ…大丈夫です。瀬戸さんの責任にしたりしませんから。もし仮に訴えるとか言われても私だけでしょうし。」
「何でそんなに余裕なんですか?」
「え、だってパワハラとかって言われる筋合い無いもの。」
「…だからって…もしかして会長に守って貰えるとかって算段ですか?」
「えぇ?そんなことないですよ?会長も間違ってると思えば切り捨てるでしょうし。」
「ていう事は、切り捨てられないって自信ですか?」
「そんな事はないですよ。」
そう話しながらも桜は仕事をすんっと進めていく。プリントアウトすればクリアファイルに入れて会長あてのポストロッカーに入れてしまう。
「え、中条さんとかの確認は要らないんですか?」
「だって今の時間までのトレーニングって中条さんいないでしょ?それでどうやって指導貰うのよ。」
「そうかもしれませんが…まぁ、御門さんがいいって言うならいいですけど…」
そうやって桜の一つ一つに苦言を申し出る人も中にはいた。そんな指導が続いて半月が経とうとしていた時だ。
「おはようございます。」
「おはようございます…」
「御門さん?」
「あ、はい」
「ちょっといい?」
またしても牧田から呼び出されて桜は事務所に入っていく。そのまま入ればくいっと鍵を閉めろと合図される。
「…もう言いもしなくなったか…」
「何か言ったか?」
「いえ。それで…もしかしなくても梅原さんの事ですよね?」
「あぁ。」
「…それで…なにか、不備があったりとか指導方法等ですよね…」
「そんなのは別に気にしてない。」
「…はい?」
「御門さんに頼んでよかったとは思ってるけど…」
「…でも…パワハラで訴えるとか言われてるんですよ?私に問題あるかもしれないって思うんじゃ…」
「いや、だって報告書貰ってからこっちでも可能な限り監視してるし」
「はい?」
「あれ、言ってなかったっけ?新しく付けた防犯カメラ、俺のこれでも画像見れるし」
そういって牧田は自身のノートパソコンを指さした。
「…で、実際の映像を見てらしたって事ですか」
「そう。だから事実確認は取れてるって訳。」
「あー、そうだったんですか…」
「そう。だから心配しなくていい。」
「心配…とかは…」
「そう、それで御門さんに彼女の進退を決めて欲しい。」
「私が、ですか?」
「そう。」
「進退というのは、まさしく…継続か退職か…ですか?」
「それ以外に無いでしょう」
そう言われると桜の口元は緩んだ。
「すみません、私の一存では決めれませんが…それでも私の言いたい事、伝えたいのは今までの報告内容が全てなんですが…」
「『ですが』…?」
「言葉悪いかもしれませんが、このままうちのホテルに居てもらうのは得策ではないと思います。仕事が出来ないならまだしも覚える気が無いというのは問題です。覚えようと努力していても出来ないのであれば教える側の問題もあるかと思います。でも彼女の場合は以前に他のホテルで勤めていたという自信からなのか、雑用の様な仕事は出来ないと、他の仕事をもっとやりがいのある仕事をくれというばかりで基礎を覚えない。それでは先が見えません。」
いうだけ言えばハッと我に返る桜。しかし、くすくすと笑っている牧田。
「怖いな、マジで敵にしたくない。」
「えーっと…すみません…」
「謝らなくていいよ。じゃぁ退職の方向の意思でいいな?」
「私…が?」
「なんでそうなる。退職しても俺の所に来ればいいだけだけど。」
「あ、じゃぁ退職は梅原さんですね?」
「大丈夫。俺がそれとなく話しておく。御門さんを悪いようにはしない。」
「でも私が報告書あげてるのは彼女も知っているので問題ありませんが…」
そう切り出す桜。だろうと思うけど…?と牧田は続けて答えを出した。
「…とにかく試用期間中だ。切るも続けさせるも出来る。でも、意味も無く辞めさせるわけにはいかないからな。」
「で、現場の人間に…という訳ですか?」
「そりゃそうだろ。且つ、報告を得るには僕が信頼してないと正確に出来ないと思ったからね。」
「…し、んらい?」
「そういう所は聞き逃していいのに」
「…ありがとうございます…」
桜の表情もいつも通りに戻ったのを見て牧田もまた小さく笑った。
「それと…」
「はい?」
「もし本当に居心地悪くなったなら俺の所に来ればいい。」
「本社の仕事はすみません、私本当に解らないので、どちらにしても役に立たずに終わりますよ?」
「俺が教える」
「……すごい、豪華な特典付きですね」
「だろ?」
「…でも今はここでやっていきます。」
「だろうな…」
そうして少し話をすれば時期に桜はフロントに戻っていく。
「全く以て引き抜けねぇなぁ…」
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