君と、僕と、キミたちと…

みやび

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入学式、そして新入生歓迎会…

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帰り道で雅と一花はムックに向かい、ポテトとドリンクで話をしていた。

「…明日の新歓って誰が出るんだっけ?」
「うち?青木君と芹沢君と、あと唯ちゃんと女子部員が誰だったかな…」
「クスクス…」
「何よぅ…」
「んー?青木君と一緒に立ちたかったって顔してる」
「そんな事…ない…」
「素直になったらぁ?」
「だって…今朝のも聞いたでしょ?めっちゃ煽ってくる感じ」
「そう?雅の気を引きたかっただけかもしれないよ?」
「そんな風には聞こえなか…ッッ」

ばっと顔を伏せる雅。『どうかした?』と聞き返す一花に身を小さくしながらも雅は顔を伏せたまま動けなくなっていた。

「…どうかしたの?って…あー、そういう事」
「ほらぁ…だから私…絶対無理だよ…」
「あれって…青蘭女子の制服?」
「お嬢様かつめっちゃ可愛い子揃いっていうね?」

そう、雅たちの視界に入ってきたのは制服を相変わらず着崩した仁と、その隣でかわいらしく笑っているお嬢様高校と有名な制服に包まれた女の子だった。

「ほら、あの顔…」
「結局見てるんじゃん?」
「彼女には優しいんだろうな…」
「雅にも十分優しいと思うけど?」
「どこ見たらそんな事言える?」
「…なぁんて言ってれば」

そう一花が言い終えるや否や、後ろから雅のドリンクがスイっと持っていかれた。

「…相変わらずコーラか」
「…コーラゼロです」
「ゼロってわりにポテト食ってんじゃねぇか」
「…人のを飲んでおいてよく言うわよ…」

そう、背後から現れたのは紫音だった。それから少し話をすれば別れていく三人。翌日の新入生歓迎会も楽しみな反面、自分たちはほぼ出る事が無い為、のんびりとしているのだった。

***

翌日、入学式を兼ねていたため、にぎやかだった。入学式自体はほぼ生徒の関与はないものの、式が終われば逆に生徒会に託されていく。休憩を挟んでその時になった。

「えー、それではここからは生徒会主催で新入生歓迎会を取り仕切らせていただきます。司会進行は副会長の桐生隼です。よろしくお願いいたします。」

その一言で一部からは黄色い歓声も起こってきた。『生徒会挨拶』の声で、紫音が先頭で舞台上に上がっていく。
舞台上のマイクの前に紫音が立てば、一礼してマイクを通して話し出す。

「…天連高等学校、生徒会会長を務めております、住吉紫音と言います。よろしくお願いします。生徒会メンバーの紹介をさせていただきます。僕の左から、副会長の桐生隼。書記の篠原祐樹しのはらゆうき草間芽衣くさまめい、会計の鶴田志野つるたしの田中敦たなかあつし。以上六名で執行させていただいております。…さて、」

そこまで言えば紫音はマイクをするりと取り、手に持って一歩、二歩と前に出た。

「…後悔しない一年を送れ。間違ったっていい。立ち止まってもいい。喧嘩したって、苦手な事があったってかまわねぇ。得意を伸ばすのも苦手を克服するのもいい。一年たった時に後悔するような過ごし方はするんじゃねぇ。先生たちの言う事もたまには聞け。でも違うと思ったり、そうじゃないって思ったらいくらでも話すればいい。あとはいじめだけはするんじゃねぇ。何があってもだ。俺からは以上だ。入学おめでとう。」

舞台下の体育館の脇で並んで座っている教師たちの中にはくすくす笑っている者、頭を抱える者、はぁ…とため息を吐く者。それぞれだった。

「クス…紫音相変わらず…」

そう雅は小さく笑っていた。そして部活紹介に入っていく。いろいろと話しつつも運動部からの紹介をしていった。バスケ部、バレー部、サッカー部などのよくある部活の紹介が進んでいく。そしてついに弓道部がやってきた。

「では続きまして、弓道部の皆さんです。」

そう紹介されて部長である芹沢を先頭に袴姿の仁、そして制服姿の唯が並んで出てきた。その瞬間だった。在校生からの黄色い歓声が体育館を埋め尽くした。

「…え、今年は仁君だったわけ?!」
「うそ!シャッターチャンス!」
「そうそう見れなくない?!」

そう言われている中で芹沢は話し出す。しかししっかりと声が届くわけもなく、脇の生徒会の面々も顔を見合わせていた。その時だ。

「一旦黙れ」

そう一喝したのは紫音の声だった。

「…悪いな、芹沢。止めちまって。つーか貴様が出るってなったらこうなるのは分かってただろうが。」
「ぁあ?なぁに言っちゃってんの?皆のかわいい声を俺一人が浴びてるからって悔しいってか?」
「は?舐めてんのか。」
「だって去年はこんなことにならなかったもんなぁ?紫音チャン」
「貴様、ぶっ殺すぞ」
「悔しいならこっち上がってこいっつぅの」
「あいにく俺の場所はここなんでな?」
「逃げんのね?」
「何言ってやがる…」
「紫音、」
「黙れ、隼。あいつ黙らせるだけだ。」
「そうは言っても、新歓ですよ?」
「…あー、…なんか悪いな、と言う事でこんな弓道部ですが、よろしくおねがいしまぁす」

そう言って芹沢はほら、とぐいぐい仁を押し込む様に舞台袖に向かっていく。マイクを紫音から取り上げれば隼もそのまま司会を進行していく。舞台袖では芹沢が頭を抱えていた。

「今年の新入部員は壊滅的に少ないかもな…」
「…困ります、よね」
「でも、小坂さんのせいじゃないし。あの二人に責任取ってもらうか…もし少なかったら…」

苦笑いをしつつも芹沢はぶつぶつと文句を言っている仁の元に向かえば肩をポンっと叩いて『お疲れ』と言っていた。

「…にしても…売り言葉に買い言葉過ぎるだろ、お前たち」
「すいません」
「別に怒ってねぇよ。ただ新入部員壊滅的だと、お前らの世代も困ることになるって事だな」
「あーー、そういう事っすね」
「ま、あとは今日の部活の時に時田先生からなんか言われるくらいだな」

ははっと笑いつつも芹沢は後でなっといって戻っていく。
そして放課後…誰よりも雅がわくわくしていた。しかしそれは他でもなく、弓を打てるからという理由だけだった。袴に着替え、誰よりも早くに道場に入っていく。

「ただいまぁ!道場!!」
「うるせぇよ」
「へ?……紫音」
「んぁ?」
「クスクス…今日は派手にやってたね」
「あいつが喧嘩ふっ掛けてくるからだろ。俺は悪くねぇ」
「そういう所あるよねぇ。でもあのままじゃ確かに説明、新入生の子、聞けなかったしね」
「フン…」

そう話して居ればワラワラと次第に部員たちも集まってきた。顧問の時田も集まればほぼ全員が集合して居た。

「さて、今日の新歓、お疲れ様。で、だ。あの状態だと最悪ほぼ壊滅的かもしれん。それだけ頭に入れといてくれ」
「はーい」
「それで、早速なんだが、六月にある大会の選出メンバーを選びたい。来週の水曜日、一人三本ずつの得点上位で決めるからな?」
「はい」

一気に表情がこわばるメンバーの中で雅は特に嬉しそうな顔を見せていた。
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