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二人だけの朝練
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そして早いもので五月に入れば、球技大会が始まる。
「…へ?バスケとサッカーって…」
「サッカーもミニサッカーだからな?人数が足りないだろ」
「ドッジボールとかにすればいいのに…」
「誰もやらんくない?」
「そう?」
静かにしろよー?と時田の声と共に、まずは実行委員の選出に入っていく。
「…誰か立候補は?」
「やろっかな…」
そう言って雅は手を挙げる。
「…おー、大丈夫か?」
「センセ、何の心配よ」
「いや?別に?あと一人は?」
「……じゃぁ、僕やる」
そう言って芹沢が名乗り出る。
「OK、じゃぁこの二人でいいか?」
「はーい」
「じゃぁ、決まりな?あと頼んだ」
「へ?」
「司会進行。」
そう言って思いがけずに二人は急に仕事を振られていく。それでもそつなくこなしていく二人だった。人数の割り当てはもうすでに済まされているため、問題は無い。
「…で?バスケ班と、サッカー班に分かれてってなるんだけど、五分後に聞くんで、決めて?」
そう丸投げする芹沢だった。その間に配られた資料を手に雅は迷っている。
「…夏目どっちがいい?」
「どっちかって言ったらバスケだけど…」
「だろうな」
「へ?」
「そういうと思ってた。俺サッカーだから分かれるにもちょうどいいだろ」
「優しいなぁ、」
「惚れんなよ?」
「惚れないから安心して?」
「それもそっか」
「……へ?」
「ま、知らないって事にしといてやる」
「…ちょっと待って?ねぇ?芹沢君?」
そう話している時に、芹沢の元にサッカー部のメンバーもやってきて『芹沢!一緒にやろうぜ!』と誘われていく。そして提示した五分が経った時だ。
「じゃぁ、サッカーと、バスケと、どっちでもいいで手ぇ上げてもらうよ?」
半ば強制的にどれかを選べと言わんばかりの芹沢の言葉にクラス内で小さく笑いが起きながらもきれいに三つに分かれた。
「おっけ、じゃぁ…この今居るバスケとサッカーはそのままでいいよね?じゃぁ、残ったどっちでもいいって人で、分けるんだけど…」
そう話している芹沢の傍らで雅は板書を取っている。そして意外にも早く二チームに分かれる事が出来た。それぞれに分かれて各二チームを作ってもらう事にしてこの場を終えたHRだった。そして時田から『明日には実行委員会があるから』と伝えられた二人。
「…部活ない日だけだよね…」
「もしくは少し遅れて部活参加かな?」
「……だよね…」
「にしても夏目が立候補するとは思ってなかったけど?」
「へ?」
「だって六月の大会も控えてるだろ?」
「そりゃ、そうだけど…」
「悪い事、考えてる顔してる…」
「そんなことないよ?」
にこりと笑う雅だった。帰りに一花と会った雅は実行委員になったことを伝えると芹沢と同じことを言われていた。
「…やっぱそう思う?」
「そりゃそうでしょ、めずらし!」
「でも、朝に打てるし?」
「はい?!」
「ん、それの事も時田センセに話済み。呆れられたけど…」
「そりゃそうでしょうね…」
「でも、『お前もか』…って言われたんだけど…他に誰かいるのかな…」
「……思い当たる節は?」
「一人は思い浮かぶけど…でもそれこそストイック過ぎない?って話になるし…」
「紫音…か」
「正解…でもわかんないけどね?」
そう話しながらも帰宅し、翌日。一人で職員室に向かい、鍵をもらいに行くと、すでに貸し出されている。
「誰だろ…」
首をかしげながらも急いで道場に行くと扉こそ締まっているものの、鍵は開いている。
「…やっぱり…」
中では紫音が弓を打っていた。
「…おせぇよ」
「はい?」
「もう少し早く来るかと思ってた」
「…てかなんで?」
「なんで、じゃねぇよ。一人よりも効率上がるだろ」
「効率上がるっていうか…その…私の単独練だと思って…」
「は?」
「準備万端で来ちゃった…」
そう言えばスマホを取り出す雅。
「…まだそれでやってんのか?」
「そりゃそうでしょ…」
「逆に集中切れんだろ…」
「あ、でも紫音が嫌ならやめるけど…」
「好きにしろ」
半ば呆れた表情のままに紫音はくるっと向きを変える。そんな相手の背中を見つめながらもスマホを床に置いて音楽を流し始める雅。もちろん必要ない物。弓道は集中が必要な競技の中でガンガンに音楽をかけて打っているのだ。
「……おい…」
「何?」
「せめて選曲何とかならねぇのかよ…」
「ダメ?」
「…つぅか…よくこれで打てるな…」
「そうしたら静かすぎる事ってないだろうから?それで集中切れる事もないだろうし」
「いや、だからって…なんでボカロからなんだって…」
「えー、でもシャッフルかけてるからすぐ変わるよ。」
そう笑いながらも雅はすっと構えていく。結構な音量で流れているものの、雅の集中する先は矛先だった。じっと見つめる先は当然と言わんばかりに二十八メートル先の的に向かっていた。タン…と矢が刺さればフッと笑みが浮かぶ。
「…だいぶまともになったかな…」
「自分で言ってりゃ世話ねぇよ」
「え?そう?」
「雅そっちで打て」
「え?」
「ぁあ?」
理不尽なほどに雅の視線の前に紫音が立つ。視界に紫音の背中が入ってくるだけで少し動揺を見せた心が的を少し外していく。
「…前に人がいるかだけでぶれてたんじゃどうしようもねぇな」
「…ッ紫音が意地悪なだけでしょ?」
「俺のどこが意地悪だってんだ、もしかして大会の度に目の前に誰も居ないとかって想定してんじゃねぇだろうな?」
「それは…してないけど…」
「ならいいがな」
むぅ…と唇を尖らせて雅は負けじと紫音を前に打ち始めていったのだった。
「…へ?バスケとサッカーって…」
「サッカーもミニサッカーだからな?人数が足りないだろ」
「ドッジボールとかにすればいいのに…」
「誰もやらんくない?」
「そう?」
静かにしろよー?と時田の声と共に、まずは実行委員の選出に入っていく。
「…誰か立候補は?」
「やろっかな…」
そう言って雅は手を挙げる。
「…おー、大丈夫か?」
「センセ、何の心配よ」
「いや?別に?あと一人は?」
「……じゃぁ、僕やる」
そう言って芹沢が名乗り出る。
「OK、じゃぁこの二人でいいか?」
「はーい」
「じゃぁ、決まりな?あと頼んだ」
「へ?」
「司会進行。」
そう言って思いがけずに二人は急に仕事を振られていく。それでもそつなくこなしていく二人だった。人数の割り当てはもうすでに済まされているため、問題は無い。
「…で?バスケ班と、サッカー班に分かれてってなるんだけど、五分後に聞くんで、決めて?」
そう丸投げする芹沢だった。その間に配られた資料を手に雅は迷っている。
「…夏目どっちがいい?」
「どっちかって言ったらバスケだけど…」
「だろうな」
「へ?」
「そういうと思ってた。俺サッカーだから分かれるにもちょうどいいだろ」
「優しいなぁ、」
「惚れんなよ?」
「惚れないから安心して?」
「それもそっか」
「……へ?」
「ま、知らないって事にしといてやる」
「…ちょっと待って?ねぇ?芹沢君?」
そう話している時に、芹沢の元にサッカー部のメンバーもやってきて『芹沢!一緒にやろうぜ!』と誘われていく。そして提示した五分が経った時だ。
「じゃぁ、サッカーと、バスケと、どっちでもいいで手ぇ上げてもらうよ?」
半ば強制的にどれかを選べと言わんばかりの芹沢の言葉にクラス内で小さく笑いが起きながらもきれいに三つに分かれた。
「おっけ、じゃぁ…この今居るバスケとサッカーはそのままでいいよね?じゃぁ、残ったどっちでもいいって人で、分けるんだけど…」
そう話している芹沢の傍らで雅は板書を取っている。そして意外にも早く二チームに分かれる事が出来た。それぞれに分かれて各二チームを作ってもらう事にしてこの場を終えたHRだった。そして時田から『明日には実行委員会があるから』と伝えられた二人。
「…部活ない日だけだよね…」
「もしくは少し遅れて部活参加かな?」
「……だよね…」
「にしても夏目が立候補するとは思ってなかったけど?」
「へ?」
「だって六月の大会も控えてるだろ?」
「そりゃ、そうだけど…」
「悪い事、考えてる顔してる…」
「そんなことないよ?」
にこりと笑う雅だった。帰りに一花と会った雅は実行委員になったことを伝えると芹沢と同じことを言われていた。
「…やっぱそう思う?」
「そりゃそうでしょ、めずらし!」
「でも、朝に打てるし?」
「はい?!」
「ん、それの事も時田センセに話済み。呆れられたけど…」
「そりゃそうでしょうね…」
「でも、『お前もか』…って言われたんだけど…他に誰かいるのかな…」
「……思い当たる節は?」
「一人は思い浮かぶけど…でもそれこそストイック過ぎない?って話になるし…」
「紫音…か」
「正解…でもわかんないけどね?」
そう話しながらも帰宅し、翌日。一人で職員室に向かい、鍵をもらいに行くと、すでに貸し出されている。
「誰だろ…」
首をかしげながらも急いで道場に行くと扉こそ締まっているものの、鍵は開いている。
「…やっぱり…」
中では紫音が弓を打っていた。
「…おせぇよ」
「はい?」
「もう少し早く来るかと思ってた」
「…てかなんで?」
「なんで、じゃねぇよ。一人よりも効率上がるだろ」
「効率上がるっていうか…その…私の単独練だと思って…」
「は?」
「準備万端で来ちゃった…」
そう言えばスマホを取り出す雅。
「…まだそれでやってんのか?」
「そりゃそうでしょ…」
「逆に集中切れんだろ…」
「あ、でも紫音が嫌ならやめるけど…」
「好きにしろ」
半ば呆れた表情のままに紫音はくるっと向きを変える。そんな相手の背中を見つめながらもスマホを床に置いて音楽を流し始める雅。もちろん必要ない物。弓道は集中が必要な競技の中でガンガンに音楽をかけて打っているのだ。
「……おい…」
「何?」
「せめて選曲何とかならねぇのかよ…」
「ダメ?」
「…つぅか…よくこれで打てるな…」
「そうしたら静かすぎる事ってないだろうから?それで集中切れる事もないだろうし」
「いや、だからって…なんでボカロからなんだって…」
「えー、でもシャッフルかけてるからすぐ変わるよ。」
そう笑いながらも雅はすっと構えていく。結構な音量で流れているものの、雅の集中する先は矛先だった。じっと見つめる先は当然と言わんばかりに二十八メートル先の的に向かっていた。タン…と矢が刺さればフッと笑みが浮かぶ。
「…だいぶまともになったかな…」
「自分で言ってりゃ世話ねぇよ」
「え?そう?」
「雅そっちで打て」
「え?」
「ぁあ?」
理不尽なほどに雅の視線の前に紫音が立つ。視界に紫音の背中が入ってくるだけで少し動揺を見せた心が的を少し外していく。
「…前に人がいるかだけでぶれてたんじゃどうしようもねぇな」
「…ッ紫音が意地悪なだけでしょ?」
「俺のどこが意地悪だってんだ、もしかして大会の度に目の前に誰も居ないとかって想定してんじゃねぇだろうな?」
「それは…してないけど…」
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むぅ…と唇を尖らせて雅は負けじと紫音を前に打ち始めていったのだった。
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