君と、僕と、キミたちと…

みやび

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新入部員

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朝練を終えた二人は着替えをして一緒に上がっていく。

「…お、二人そろってか?」
「一緒に朝練してただけよ」
「二人だけで?」
「なんなら芹沢君も来る?」
「雅、誘うな」
「へ?」
「芹沢も来ない方がいい」
「邪魔する気はねぇよ」

くすくすと笑いながらも芹沢は雅と一緒に教室に入っていく。そんな二人を目で追う事も無いままに一足先に教室に入っていく紫音を一花が迎えた。

「おはよ、紫音」
「あぁ、」
「クス…三年目でも変わらずに『あぁ…』なんだから…」
「そう言っても別に構った事じゃねぇだろ」
「それもそうだけどね」
「何が言いてぇんだ、お前は」
「ううん?なんか羨ましいなぁって思ってね」
「何がだ、はっきり言え」
「ん?なんか…何も言わなくても伝わってる感とか…?」
「あいつとか?それを言うなら一花だってそうだろうが。」
「そうでもないよぉ?」
「そうか?」
「私は好きな人とそんな風に話できないし…」
「あのな?一花、俺とあいつはそういうんじゃねぇ」
「知ってる。私だって紫音とはこんな風に話せるのに」

ふふっと意味深な声を出しながらも荷物を片付ける紫音に話を続けていた一花だった。

「…一花だって同じ部活だろうが」
「そうだけ…ッッ…なんで?!」
「分かるわ」
「なんで?!」
「あれだけ好きだって思いの視線見せつけられたら誰だって気付く」
「まさか…本人に言った?」
「言ってねぇよ。俺には関係ねぇ」
「…よかった…」

そう話をしていたものの、いつの間にか攻守逆転するのはよくある事だった。

「にしても、今日来るといいね」
「ぁあ?何がだ」
「新入生」
「……知るか」
「そう?」
「そういう茶道部はどうなんだ」
「こっちはいつも三人くらい…廃部にならない様に願うくらいだよ」
「桐生がいて廃部にはならねぇだろ。少なくてもあいつがいる間は」
「……イケメン釣り?」
「嫌な言い方するな、あいつもそれでキレかけてたしな」
「雅が?」
「あぁ。」

思い出したかの様にくすりと小さく笑う紫音の顔を見て一花はそうなんだぁ…と声を漏らして居た。

放課後…

期待をするでもなく、ただ変わらない様に道場に向かっていく面々。雅は相変わらず打つ気満々でいたものの、時田や芹沢に止められていた。

「…え?なんで?」
「今日新入生来る日だろ」
「……あ、そうだっけ…」
「覚えててくれよ…」
「ごめん…」

そうして部員が半分くらい集まった時だ。新入生の入部希望者も少しずつ集まってきていた。

「…え、結構いる?」
「そうみたいだな」

マネージャーの唯と一緒に雅も出していた机に並んで入部届を受け取っていた。

「夏目先輩、すみません、手伝ってもらって…」
「大丈夫だよ、それにしてもマネージャー希望も居てくれるといいよね」
「そうなんですよね…いろいろと…」
「だよね…」
「あ、でも、私は私で大丈夫ですよ!」

そう言いながらも唯は小さく笑って居た。それでも雅は一緒になって入部案内をもらっていく。

「これで終わり、かな?」
「そうですかね…」
「おい、夏目、こっち!」
「あ、はい」
「大丈夫ですよ、まとめておくので行ってください!」
「ありがと!」

唯に任せて雅は三年の輪の中に入っていった。

「入部希望で来てくれてありがとう。えーっと、この中で弓道の経験者っているかな?」

そう問いかける芹沢の声に、誰一人として返答することはなかった。それどころか、ひそひそと話し声が聞こえてきた。

「いや、経験者でなくても大丈夫。ただ、色々とそろえるものも出てくるからそこだけ先にプリントを渡しておきたくて…」

芹沢が話をする。その間に二年がチラシを配っていた。

「弓や、矢に関しては部活動だけでっていうなら学校にあるのを貸し出すのはもちろんできる。でも、本格的にやっていきたい、もしくは大会とかも目指したいっていうとなると自分の弓を持ったりしてもいいのかもしれないと思う。今現在の部員でも自身の弓を持ってる部員は半数ほどになる。だから無理して必ず買わないといけないっていうものでもない。ただ、袴に関してはサイズ等もあるし、夏をめどに用意してもらえると助かる。」

必要な事になる…しかしそれを強制などは出来ない。

「でも、もし仮にこれだけをそろえるのは難しいってなる場合もあると思う。親御さんに相談しないとわからないっていう所ももちろんあると思う。それでもしダメだろうなってなったらマネージャーでっていう方向性もある。だけどそれでもここに来てくれた全員をマネージャーとして受け入れる訳にもいかないのも現実なんだ」

シンっとする場内だった。それでも必要な事だったため芹沢はしっかりと話をする。時田が口を出すことも無いままに説明は終わり、練習を実際に見てみようという時間になった。質問は適時受け付けるからと伝えておいた。
しかし皆思う事は一つだった。

「…あの…」
「ん?どうかしたか?」

一人の女性が顧問である時田に声をかけた。

「…あそこの…一番奥の二列って…もっとあっちに人を入れた方がみんな打てると思うんですけど…」
「そうだな。でもあの二レーンは、来月の大会メンバーなんだ」
「…へ?」
「そうだろうな。見ただろ?新入生歓迎会の時のあいつらだ」

そこには、雅がキレかけた時に居た生徒もいた。その時に初めて重大さを知ったのだった。

「あの…あそこの先輩に話があるんですけど…話せないですよね…」
「あそこのって…?」
「一番奥の、ポニーテールしてる…」
「あぁ、夏目か。ちょっと待ってろ?」

そう言われて時田は雅の元に向かっていけば、『悪いな?』と声をかけた。

「…へ?私?」
「あぁ、だそうだ」
「紫音とか青木君とかじゃなくて…私?」
「あぁ。早く行ってやれ」

そうして戸惑い気味に呼び出した女子の前に向かっていく雅だった。

「え、っと…私?」
「はい、あの…この間…うるさくしてた子達と一緒に居て…」
「…うるさく…あー、私が言いすぎちゃったときの…」
「いえ…あの時…本当にすみませんでした…謝るのも遅くなっちゃったし…それに…迷惑かけてしまって…」
「大丈夫だよ!気にしてない!それよりも私が言いすぎたことで新入部員減ったらどうしようとは思ったけど…来てくれてありがとう!」

雅もニコッと笑いかければその女子生徒もつられて笑いかけた。離れようとした時だ。

「あ、あの…さっき先生が夏目って…」
「あ、私の事」
「夏目先輩は…自分の弓を持ってるんですか?」
「ん!持ってるよ?今は預けてきちゃったけど…」
「そうなんですね…」
「でも、本当に無理するところじゃないと思う。高いしね…クスクス…私も親に買ってもらって、高いがゆえに必死になって練習したもの」
「そうなんですね!」
「ん、あ、それじゃぁ…ゆっくりとみてってね!」

軽く頭を下げると雅は元の場所に戻っていく。

「ごめんね?紫音、持たせちゃって」
「全くだな」
「…ごめんって…」
「俺ならいくらでも夏目先輩の弓持ってるけど?」
「青木君…今度から青木君にお願いしようかな…」
「いくらでもどうぞ?」

フッと笑うその顔を見て紫音はふいっと顔を背けるのだった。

***

一方の茶道部…
ただでさえ敷居が高いと思われている茶道部だったため、一花はいつもは閉めている襖をしっかりと開け広げていた。

「…部長?開けてても来ないかもしれないですよ?」
「来る可能性も大きい!」
「そうかもしれないですけど…」

そんな時だ。少し遅れて桐生が入ってくる。

「すみません、遅くなって…」
「桐生君、大丈夫だよ、」
「ところで、珍しいですね、開けっ放しって…」
「少しでも開放的な方が見やすいかなって…」
「なるほど。それも一理ありますよね」

ふむ…と納得をした隼だった。そのまま十分、十五分と経った時だ。

「…今年は難しいですかね…」
「やっぱり難しいよねぇ…」

『閉めてきますよ』と隼が立って茶室の襖を閉めようかとしていた時だった。廊下に三人の女子生徒が立っていた。

「…え?」
「嘘…!あの…」
「もしかして、茶道部に?」
「はい…!でも…違ったらって…」
「どうぞ?お待ちしてました」

隼が招き入れれば思っても居なかったと言わんばかりの様子で女子生徒が入ってくる。

「…え、入部希望の方?」
「はい…あの…」

ずっと長いこと持っていたのだろう。三人ともから受け取った入部希望要旨はしわしわになっていた。一花をはじめ、部員たちは笑顔で迎え入れた。

「…ようこそ、茶道部へ!」
「あ、よろしくお願いします」
「あの、でも…」
「何?」
「私…茶道とかって…やったことなくて…こういうの全く苦手で…それでも大丈夫なんでしょうか…」
「大丈夫だよ。お道具とかも学校にあるし、お茶の点て方とかも一から教えるし。あ、…でも…」
「え、何か…」
「文化祭とかの日には、浴衣着てもらうとかあるけど…それは大丈夫…?」
「はい!」
「よろしくね!」

そう答えた一花。入部希望者の自己紹介をはじめ、部長と副部長の挨拶も終えた。

こうしてどこの部活も入部希望者を少なからず獲得し、新しい新体制に向かっていくのだった。
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