社畜から卒業したんだから異世界を自由に謳歌します

湯崎noa

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第2章・モフモフで可愛いケモノっ子

026:何もかも驚き

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 俺たちは《グレイトネス神殿》を後にすると、セイラちゃんに案内してもらって兎人族の村に到着する。
 森の中に作られた自然豊かな村であり、そこら中にウサ耳を付けた人間が歩き回るという不思議な光景を目の当たりにする。


「獣人を、こんなに見るのは初めてだなぁ。やっぱり男の人にも耳と尻尾は付いてるんだね」

「当たり前ですピョン!! 男も女もウサ耳が付いてるピョン」

「いや、言い方が悪かったか。申し訳ないね………それで、ここの名物ってなんだい?」

「ここはキャロット料理が大人気です!! 是非ともオススメなところに案内しても良いですか?」


 この村の名産であるキャロット料理が人気らしいが、さすがは兎さんと言ったところだろうか。
 セイラちゃんがオススメだと言っているところに連れてってもらう事になった。


「ここがオススメのお店ですピョン!! それと私の実家ですピョン!!」

「実家を勧めただけ!? こんなゴリ押しの観光案内があって良いのだろうか………」

「まぁまぁ味は本物なので、安心して欲しいぴょん」


 セイラちゃんが案内してくれた店は、セイラちゃんの実家だったのである。
 可愛い顔をして商売のやり口が中々に………まっ可愛いから許してあげる事にしようか。
 そのまま俺たちは、セイラちゃん家の店に入ると意外にも人が入っていた。


「あら、またお客さんを捕まえて来たのかいピョン」

「そうそう!!」


 このやり方をしているのは俺たちだけじゃない事に、セイラちゃんが商売への精神が貪欲な事を思い知らされる。
 メニューに関してはセイラちゃんの母親に任せる事になって、俺たちは待っている間、この島についての話を聞く事になった。


「この島の歴史とかって、どんな感じなの?」

「この島ですかピョン? う~ん……難しいピョン。だけど、この島には古代人がいたピョン」

「古代人? それって先住民族って事じゃなくて?」

「先住民族とは違う外から来た、一説には大大陸から来た人たちだって言われてるピョン」


 古代人なんて単語を聞いたらワクワクしてしまうじゃ無いか。
 古代人がなんで大大陸から、中陸と小陸の中間地点にある小さな島にやって来たのだろうか。


「その古代人たちは、なんの理由で《アカシア島》に?」

「詳しい理由は、わかっていないピョン。だけど、あの《グレイトネス神殿》を作ったのは古代人だピョン」

「そうか。自分たちの信仰を形に残したってわけか………」


 古代人が何の理由があって、こんな小さな島に来たのかは解っていないらしいが、その謎だって男の俺からしたらワクワクしてたまらないものだ。


「じゃあ先住民族っていうのは、君たち兎人族なのかい?」

「さっき言った古代人に連れて来られたのが、私たち兎人族なんだピョン。理由についても宝を見つける為だって言い伝えられているけど、詳しい事は解ってないピョン」


 そうか。
 兎人族は連れて来られた側の人間たちだったか。
 つまりは奴隷扱いをしていた古代人によって、この島に強制的に繁栄をする様に言われていたみたいだな。
 そこは歴史の闇の様な気がするが、なにやら連れて来られた理由が宝を探させる為だという事も気になるところだ。
 そんな話をしていると、セイラちゃん母が色々と手によりをかけたキャロット料理をテーブルに並べてくれた。


「う 美味そう………人参料理を、ここまで美味しそうって思った事ないかもしれない」

「そうでしょう、そうでしょう!! どんどん食べちゃって下さいピョン!!」

『いただきまぁ~す!!!!』


 俺たちはテーブルいっぱいに並べられた、キャロット料理をパクッと一口食べるとニコッと笑顔になるくらい美味しい。


「なんだ、これは!?」

「こんなに美味しいのは初めてです!!」

「このキャロットソテーなんて信じられないくらい深みがあるわん!!」

「美味しいにゃ………」


 俺以外の3人も美味しいと言って、パクパクと食事を進んでいきものの数分でテーブル上の全てを食べ尽くした。
 お腹いっぱいで良い観光ができていると満足していると、店の外が異様に騒がしい事に気がついた。


「なんだ? 祭りでもやってるのか?」

「そ そんなわけ無いと思うんですピョン………なんだろ?」

「ちょっと見てくるか」


 外が騒がしい為に祭りでもやっているのかと思ったが、セイラちゃんたちは心当たりが無いと不思議そうな顔をしている。
 俺は気になったので見てくると言って、店から顔を出して外を見てみると何やら入口らへんで人が集まっていた。


「おいおい。何があったん………お おい!! お前らは誰だ」

「テメェこそ誰だよ」


 入り口にエッタさんたちと向かうと、そこに血まみれで倒れている兎人族の人たちが何人も倒れていて、その近くに海賊の格好をした男たちが5人立っていた。
 どうして、こんなところに海賊がいるのかと思ったり、この世界にも海賊はいるのかと思考が回る。
 視線を血まみれで倒れている人たちに向けるが、既にピクリとも動いておらずに残念だが、亡くなっている事が直ぐに分かる。


「俺は、ただの冒険者だが? お前らは善良な人間に、何をやってくれてるんだ?」

「善良な人間だと!? コイツらと俺たちが同じ人間なわけねぇだろ!! コイツらは俺たち人間の奴隷だぜぇ!!」

「はぁん? 何言ってんだよ。お前らとは、言葉が通じるわけじゃ無いみたいだな………実力行使しか無いか!!」

・高速移動魔法Level2


 俺は海賊たちに襲った理由を聞こうとしたが、海賊たちは兎人族の事を奴隷だと言い放って、仲間同士で大笑いしている。
 経験上、こういう人間たちに限っては話をして状況が変わる事なんてあり得ない。
 それなら早いうちに実力行使で、この海賊たちを制圧した方が他の人たちへの被害は抑えられると考えた。
 俺は高速移動魔法を使って海賊のチンピラ1人を、切り伏せるとグループの中で1番偉いであろう男は人質をとった。


「動くんじゃねぇぞ!! 余計な動きをしたら、この女が死ぬ事になるからな………着いてくるんじゃねぇぞ!!」

「ちっ。女の人を人質にとるなんてクズ野郎が………」


 こうなってしまったら手の出し様がなく、ジリジリと距離を詰めるにも刺激しかねない為に、その場を動く事ができない。
 そのまま海賊たちは怪我をした仲間を連れて、村の外に逃げて消えていくのである。


「一体、アイツらは何なんだよ………」

「最近になって、この《アカシア島》に住み着いた海賊ピョン」

「住み着いた海賊だって? そんな奴らがいる感じはしなかったんだけどな………」

「ここを拠点にしてるらしく、この島の山の上に拠点があるみたいだピョン………アイツらのボスが強いらしくて、追い出そうにもできないんだピョン」

「そうなのか………」

「ミナト様。これを放っておけば、この村の人たちにも多くの被害が出る可能性があります………手を打ちますか?」


 この島に住み着いたという海賊は、こうやって村を襲う事は無かったが今日になって襲って来たらしい。
 それにしたってアカシア島を拠点として、周りの島で宝探しをしているらしく、この海賊団のボスが強く村の男たちでも手も足も出ない状況なんだと説明を受けた。
 エッタさんが俺の耳元で手を打たなければ、今回みたいに村の人たちが襲われる可能性があるのでは無いかと言って、手を打つかと俺の判断を仰いでくれた。


「そうだな。良いご飯を食べさせてもらったし、このまま放っておけば目覚めが悪いだろ………ボスのところに挨拶しにいくか」

「はい、そうですね!!」

「お供するわん!!」

「着いてくにゃ………」

「セイラちゃんは危ないから待機していてね」

「わ 分かりましたピョン………」


 俺はエッタさんたちを連れて、今回の騒動の元凶とも言える海賊団の船長まで挨拶しにいく事にした。
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