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第3章・残念なドラゴンニュートの女の子
094:癒す者
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イローナちゃんは村にやってきた冒険者のヒーラーに、俺の治療を頼んだのである。
冒険者パーティーを倒れている俺のところまで案内すると、エッタさんは敵なのかと警戒して身構える。
それに対してヒーラーは血まみれの俺を見て、本当に生きているのかとアワアワしている。
「本当に息をしてるんですか!! 凄く血まみれじゃないですか!!」
「イローナちゃん。本当に信用できるの? 特に、1番後ろの修道衣を着た女………とてつもない魔力量だよ」
「おぉエルフの姉ちゃん、中々に良い目をしてるなぁ。なんせ、こちらの方は十二聖王だからな!!」
なんと修道衣を着た、デカ乳女は十二聖王の1人だった。
それを聞いたエッタさんは、納得してしまう程にデカ乳女の魔力量は普通の人間の域を超えている。
「あ あ あのあの!! 早くしないと、そちらの方が手遅れになってしまいますよ………」
「俺たちを信じるか信じないかは、お前たちに任せるが判断は間違えない方が良いと思うぞ?」
たわわに実った果実をつけたヒーラー女は、前に出ると早く魔法をかけないと手遅れになるという。
それに付け加えるように、赤毛のチャラ男系の前衛男が判断を誤るなと圧力をかけてくる。
ぐぬぬぬとエッタさんは冷や汗をかきながら考えて、スッと立ち上がるとヒーラー女に向かって頭を下げる。
「どうか、ミナト様を助けて下さい………」
「当たり前の事ですよ。ちょっと傷口を見させてもらいますね」
「はい。剣のようなモノで腹部を貫通するくらい強く刺されて、血が止まらないんです………」
エッタさんの態度を見て、十二聖王のパーティーはニコッと笑って治療に入る。
「この出血の量で、生きているのが驚きですよ」
「助けられるんですよね!!」
「お腹に傷が残りますけど、死にはしないと思います………とりあえず魔法をかけますね」
ヒーラー女は俺の体から出ている血の量に驚く。
俺でも この血の量をみれば死んでいてもおかしくは無いんじゃないかと思う。
それでも助けられるとヒーラー女は、目を瞑って手を組んで祈りの言葉を発する。
「我らが主よ。ここに眠っている罪なき人間をお救い下さい」
・オリジナルスキル『癒す女』
ヒーラー女は十二聖王なだけあって、オリジナルスキルを使っただけで深い俺の腹の傷がみるみるうちに治った。
その光景は神がやってくれたのかと思う程で、エッタさんは傷が塞がった事に涙を流して喜ぶ。
「本当に本当にありがとうございます!! ミナト様を助けていただき本当にありがとうございます………」
「い 良いんですよ!! 聖職者として当たり前の事をしただけですので………というよりも傷は治せても、流れ出た血までは治せないので、あとは彼の体力次第ですね」
「それなら大丈夫ですっ!! ミナト様は、この世で1番生命力が強いお方なので!! それで貴方の名前を聞いても?」
「名乗っていませんでしたね。私は《フローレン=ナインゲール》と申します」
このデカ乳ヒーラー女は、十二聖王で序列11位にいる《フローレン=ナインゲール》で、ヒーラー役としては唯一の十二聖王に入った人物である。
「フローレンさん。私は、どうお礼をすれば良いでしょうか」
「そんな礼なんて良いよな? フローレンだって、神の導きで助けただけだもんな?」
「その通りです。この人は助けなければいけないと思ったので、私が私の意思で助けたまでです………だから、そんなにペコペコしないで下さいよ」
さすがは十二聖王に名前を連ねるだけの人間だ。
聖人君主という言葉がピッタリなデカ乳女だろうな。
そんなこんなで傷が塞がった俺は、いけ好かないチャラ男にお姫様抱っこされて部屋のベットに運ばれた。
「あっフローレンは自己紹介したけど、俺たちがまだだったな」
チャラ男は思い出したかのように、フローレンは自己紹介したが自分たちは、まだしていないと言ったのである。
そして残りの3人の自己紹介が始まる。
「俺が《アラグ=アピッツ》で、こっちのデカブツは《カールハイン=エルナインツ》、そして最後は女盗賊の《モニカ=フィリス》だ」
「アラグさんに、カールハインさんに、モニカさんですね? 私は《ジェルエッタ=マーラオ》です」
「私は《イローナ=コバル》………」
互いに自己紹介が終わったところで、今回の騒動についての詳しい話を行うのである。
「彼が噂になっている、最年少S級冒険者ですよね? 私たち十二聖王の中で話題になってるんです」
「なにっ!? あのガキがS級冒険者だって!?」
フローレンは俺がS級冒険者のミナトだと分かっていた。
そして最年少でのS級冒険者である事に、アラグは驚いて立ち上がってしまうのである。
そんな失礼な態度を取るなんて、俺が目を覚ましていれば確実にグーパンは出ていた。
と言っても、きっと本当には殴れないのが俺の悪いところなのかもしれないな。
「これは、あまり大きな声で言えない事なんですが」
「なんですか?」
「オリヴァーを拿捕する為に、クロスロード連盟軍とISOが動き始めていますよ」
「やっぱり世界連盟も動き始めてるんですか………でも、どうしてフローレンさんは知ってるんですか?」
オリヴァーを拿捕する為に、世界連盟が動き始めた事をエッタさんに伝えた。
ここまでの暴挙に出た、オリヴァーに対して世界連盟も無視できなくなったからだろう。
しかし秘密の作戦を何故、フローレンが知っていたのかという事が気になるのである。
「私は世界連盟に雇われてる冒険者でして、私みたいな冒険者も珍しいんですけどね………」
「世界連盟に雇われてるんですか? というか、冒険者って世界連盟でも関与できない組織だって聞きましたよ」
「その通りです。世界連盟は、冒険者ギルドに口を出せないので、大それた事をいえば犯罪者でも冒険者になれます」
どうやらフローレンは世界連盟に組みする冒険者らしく、冒険者は世界連盟に口を出されない組織なのに珍しい冒険者だ。
そういう定義ならば世界連盟が犯罪者だと言っても、冒険者ギルドが認めれば加入する事になる。
「有名なところで言いますと、十二聖王の序列4位の《ワカマル=ミヤモト》とかが有名ですかね」
「あっ聞いた事ある名前ですね………確か辻斬りとかっていうのをやっていたんでしたっけ?」
「そうです。彼は世界連盟の役員たちを、少なくとも数十人は斬っているというのが話で出回っています」
そんな人間がいるとは驚くな。
しかし和名っぽい名前からして、きっと日ノ国の出身で何らかの理由があって世界連盟の役員たちを殺していたのだろう。
そんな人間がいるのだから、フローレンのような世界連盟と繋がる人間がいてもおかしくはないだろう。
「クロスロード連盟軍よりも早く手を打たないとダメですね。でも、ミナト様に無理をさせるのは………」
「彼ならば、きっと大丈夫ですよ。この人には神のご加護のようなものがついています………」
クロスロード連盟軍よりも先に、オリヴァーを倒したいところではあるが、エッタさんは俺の怪我を心配してくれている。
そんなに心配してくれるなんて、さすがは俺の第一夫人と言えるだろうな。
冒険者パーティーを倒れている俺のところまで案内すると、エッタさんは敵なのかと警戒して身構える。
それに対してヒーラーは血まみれの俺を見て、本当に生きているのかとアワアワしている。
「本当に息をしてるんですか!! 凄く血まみれじゃないですか!!」
「イローナちゃん。本当に信用できるの? 特に、1番後ろの修道衣を着た女………とてつもない魔力量だよ」
「おぉエルフの姉ちゃん、中々に良い目をしてるなぁ。なんせ、こちらの方は十二聖王だからな!!」
なんと修道衣を着た、デカ乳女は十二聖王の1人だった。
それを聞いたエッタさんは、納得してしまう程にデカ乳女の魔力量は普通の人間の域を超えている。
「あ あ あのあの!! 早くしないと、そちらの方が手遅れになってしまいますよ………」
「俺たちを信じるか信じないかは、お前たちに任せるが判断は間違えない方が良いと思うぞ?」
たわわに実った果実をつけたヒーラー女は、前に出ると早く魔法をかけないと手遅れになるという。
それに付け加えるように、赤毛のチャラ男系の前衛男が判断を誤るなと圧力をかけてくる。
ぐぬぬぬとエッタさんは冷や汗をかきながら考えて、スッと立ち上がるとヒーラー女に向かって頭を下げる。
「どうか、ミナト様を助けて下さい………」
「当たり前の事ですよ。ちょっと傷口を見させてもらいますね」
「はい。剣のようなモノで腹部を貫通するくらい強く刺されて、血が止まらないんです………」
エッタさんの態度を見て、十二聖王のパーティーはニコッと笑って治療に入る。
「この出血の量で、生きているのが驚きですよ」
「助けられるんですよね!!」
「お腹に傷が残りますけど、死にはしないと思います………とりあえず魔法をかけますね」
ヒーラー女は俺の体から出ている血の量に驚く。
俺でも この血の量をみれば死んでいてもおかしくは無いんじゃないかと思う。
それでも助けられるとヒーラー女は、目を瞑って手を組んで祈りの言葉を発する。
「我らが主よ。ここに眠っている罪なき人間をお救い下さい」
・オリジナルスキル『癒す女』
ヒーラー女は十二聖王なだけあって、オリジナルスキルを使っただけで深い俺の腹の傷がみるみるうちに治った。
その光景は神がやってくれたのかと思う程で、エッタさんは傷が塞がった事に涙を流して喜ぶ。
「本当に本当にありがとうございます!! ミナト様を助けていただき本当にありがとうございます………」
「い 良いんですよ!! 聖職者として当たり前の事をしただけですので………というよりも傷は治せても、流れ出た血までは治せないので、あとは彼の体力次第ですね」
「それなら大丈夫ですっ!! ミナト様は、この世で1番生命力が強いお方なので!! それで貴方の名前を聞いても?」
「名乗っていませんでしたね。私は《フローレン=ナインゲール》と申します」
このデカ乳ヒーラー女は、十二聖王で序列11位にいる《フローレン=ナインゲール》で、ヒーラー役としては唯一の十二聖王に入った人物である。
「フローレンさん。私は、どうお礼をすれば良いでしょうか」
「そんな礼なんて良いよな? フローレンだって、神の導きで助けただけだもんな?」
「その通りです。この人は助けなければいけないと思ったので、私が私の意思で助けたまでです………だから、そんなにペコペコしないで下さいよ」
さすがは十二聖王に名前を連ねるだけの人間だ。
聖人君主という言葉がピッタリなデカ乳女だろうな。
そんなこんなで傷が塞がった俺は、いけ好かないチャラ男にお姫様抱っこされて部屋のベットに運ばれた。
「あっフローレンは自己紹介したけど、俺たちがまだだったな」
チャラ男は思い出したかのように、フローレンは自己紹介したが自分たちは、まだしていないと言ったのである。
そして残りの3人の自己紹介が始まる。
「俺が《アラグ=アピッツ》で、こっちのデカブツは《カールハイン=エルナインツ》、そして最後は女盗賊の《モニカ=フィリス》だ」
「アラグさんに、カールハインさんに、モニカさんですね? 私は《ジェルエッタ=マーラオ》です」
「私は《イローナ=コバル》………」
互いに自己紹介が終わったところで、今回の騒動についての詳しい話を行うのである。
「彼が噂になっている、最年少S級冒険者ですよね? 私たち十二聖王の中で話題になってるんです」
「なにっ!? あのガキがS級冒険者だって!?」
フローレンは俺がS級冒険者のミナトだと分かっていた。
そして最年少でのS級冒険者である事に、アラグは驚いて立ち上がってしまうのである。
そんな失礼な態度を取るなんて、俺が目を覚ましていれば確実にグーパンは出ていた。
と言っても、きっと本当には殴れないのが俺の悪いところなのかもしれないな。
「これは、あまり大きな声で言えない事なんですが」
「なんですか?」
「オリヴァーを拿捕する為に、クロスロード連盟軍とISOが動き始めていますよ」
「やっぱり世界連盟も動き始めてるんですか………でも、どうしてフローレンさんは知ってるんですか?」
オリヴァーを拿捕する為に、世界連盟が動き始めた事をエッタさんに伝えた。
ここまでの暴挙に出た、オリヴァーに対して世界連盟も無視できなくなったからだろう。
しかし秘密の作戦を何故、フローレンが知っていたのかという事が気になるのである。
「私は世界連盟に雇われてる冒険者でして、私みたいな冒険者も珍しいんですけどね………」
「世界連盟に雇われてるんですか? というか、冒険者って世界連盟でも関与できない組織だって聞きましたよ」
「その通りです。世界連盟は、冒険者ギルドに口を出せないので、大それた事をいえば犯罪者でも冒険者になれます」
どうやらフローレンは世界連盟に組みする冒険者らしく、冒険者は世界連盟に口を出されない組織なのに珍しい冒険者だ。
そういう定義ならば世界連盟が犯罪者だと言っても、冒険者ギルドが認めれば加入する事になる。
「有名なところで言いますと、十二聖王の序列4位の《ワカマル=ミヤモト》とかが有名ですかね」
「あっ聞いた事ある名前ですね………確か辻斬りとかっていうのをやっていたんでしたっけ?」
「そうです。彼は世界連盟の役員たちを、少なくとも数十人は斬っているというのが話で出回っています」
そんな人間がいるとは驚くな。
しかし和名っぽい名前からして、きっと日ノ国の出身で何らかの理由があって世界連盟の役員たちを殺していたのだろう。
そんな人間がいるのだから、フローレンのような世界連盟と繋がる人間がいてもおかしくはないだろう。
「クロスロード連盟軍よりも早く手を打たないとダメですね。でも、ミナト様に無理をさせるのは………」
「彼ならば、きっと大丈夫ですよ。この人には神のご加護のようなものがついています………」
クロスロード連盟軍よりも先に、オリヴァーを倒したいところではあるが、エッタさんは俺の怪我を心配してくれている。
そんなに心配してくれるなんて、さすがは俺の第一夫人と言えるだろうな。
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