社畜から卒業したんだから異世界を自由に謳歌します

湯崎noa

文字の大きさ
111 / 201
第3章・残念なドラゴンニュートの女の子

108:若いガキ

しおりを挟む
 俺は共和傭兵団の師団長であるロジェに圧勝した。その圧勝ぶりにエッタさんたちは喜び、アラグたちはイジってくる。
 俺にしてはやってしまったと思いながら、ここで恥ずかしがっている時間はないと、馬に乗って馬鹿にされないようにと先頭になって再出発をするのである。


「見事な勝利でしたよ? あのロジェっていう奴、ミナト様に手も足も出てませんでしたね!!」

「まぁな。それなりに鉄拳とかいうのは、口で言うだけあってまぁまぁだったけどね」

「ミナトは、手加減ができないから大変そう………あの人の最後の記憶は、人間が牛になった事だよね」

「俺だったら、そんな記憶が最後なんてあり得ない」


 殺そうとは思っていなかった為に、そこを突かれるのは中々に痛いモノがある。しかし俺的にも真っ正面から行った為に、かなり手加減をしていたつもりだった。あれだけ手加減をしておいても、ロジェには足りなかったという事だ。
 しかし もう過去の事だからと俺は気にせずに、目的地を目指して順調に進む事になる。ロジェという予想外の遭遇もあったが、何とか3日目の夜に王都グラスに到着した。
 今までの都市は地面が整備されているところが少なく、砂の地面か砂岩の地面だった。しかし王都グラスの地面は、キチンとコンクリートで整備されていた。


「ここが王都か………思ってたよりも荒れてなくて驚いた。馬鹿な傭兵が王様やってるにしては、まともな王都だな」

「お褒めに預かり光栄でぇす。まぁ俺がトップだけど、政治をやっているのは俺以外の頭が良い奴だ」


 俺が王都の街並みに感心していると、探し求めていた張本人であるオリヴァーが姿を現した。せっかく感心していたのに、オリヴァーは政治に関して部下に任せっきりだという。
 俺以外の人間たちはオリヴァーを見て、危険だと判断して身構えるのである。しかし俺だけは、王都に入ればオリヴァーが、どこから現れてもおかしくはないと覚悟はできていた。


「ちょっと前ぶりだな。前回は大分、お世話になったな」

「良いんだよ。ちょっとした遊び感覚で相手になってやったんだからさ………殺したと思ったが生きてたんだな」

「幸いな事に、俺って運があるんだわぁ………死んだと思ったのに、起きたら可愛い顔が目の前にあってさぁ」


 俺と普通に会話しているが殺したはずなのにと、自分の殺しの腕が落ちたのかと手をグーパーグーパーする。俺も冗談を言ってオリヴァーに言い返す。
 他の人たちは俺とオリヴァーの戦闘が、いつ始まっても良いようにと臨戦態勢をとっている。しかし俺とオリヴァーは、互いに相手を見つめているだけで、一向に始まる気がしないのである。


「この前の借りを返したいんだけどさぁ。ちょっと相手になってくれるか?」

「俺は、こう見えて国王なんだぞ? お前を相手してる程、俺には時間がねぇんだよ………」

「さっき部下に任せてるって言ってただろうが!!」


 借りを返そうとしているがオリヴァーは、1度倒した人間からのリベンジには興味が無かったのだろう。俺とした事が、オリヴァーなんかにツッコミを入れてしまった。
 どう考えとも国の事は部下にやらせているのならば、暇だらけで俺のリベンジを受けてくれたって良いだろ。


「昔から血の気の多い奴を相手にしてきて疲れてんだ。お前らを相手にする気はねぇよ………お前たちの相手をするのは、コイツらだからよろしくねぇ」

「ちょ ちょっと待てよ!!」

「おぉーっと、オリヴァー様のところには行かせねぇよ」


 オリヴァーは俺たちに背中を向けて、手を挙げてバイバイ的な事を言って立ち去ろうとする。それを俺が追いかけようとした瞬間に、俺とオリヴァーの中間に割って入る人間たちが現る。
 ソイツらは第1師団・第2師団・第3師団の人間たちだ。コイツらを倒さなければオリヴァーのところに行けないのかと、俺は逃げてしまうかもしれないオリヴァーの背中を見つめる。


「ミナト様、ここは私たちに任せて下さい!! このレベルなら私たちでも十分に対応できます!!」

「でもな……」

「おいっ!! エッタさんがいうように、ここは俺たちに任せれば良いんだよ!!」


 エッタさんは俺の背中をポンポンッと優しく叩くと、自分たちに任せて先に進んでとテンプレは提案をしてくれる。気持ちとしては嬉しいが、俺だけが進むのは申し訳なさを感じる。
 すると俺の事を憎んでいるはずのアラグが、俺とオリヴァーの因縁を感じ取ってくれ、ここは俺に見せ場を譲ってれた。プライドの塊であるアラグが譲ってくれるというのは、相当な事なんだろうなと感じて言葉に甘える事にした。


「ありがとうっ!! この埋め合わせは、絶対にするから!!」

「おうっ!! それならエッタさんを紹介してくれや!!」

「お前だけは、絶対にボコボコにしてやるから覚悟してろ!!」


 俺は言葉に甘えて立ち去っていく、オリヴァーの背中を猛ダッシュで追う。そんな事を共和傭兵団の人間たちが、許してくれるわけがなく道を塞ごうとしてくる。
 そんな団員たちをイローナちゃんと、盗賊娘のモニカが目にも止まらぬ速度で雑魚を倒してくれた。俺は後ろを振り返って、手際の良い仕事に思わず拍手をしてしまった。
 ハッと我に帰って正面を見て、俺は猛ダッシュをしてオリヴァーを追跡していく。すると気怠そうに歩いているオリヴァーの背中を発見した。それ目掛けて速度を、さらに上げるのである。


「オリヴァーっ!! やっと追いついたぞ………尻尾巻いて、俺から逃げやがってよ!!」

「なんだ、仲間に助けてもらったのか? 本当に面倒な男だ。しつこい男はモテないぞ………まぁその気合いだけは認めてやる」

「お前に認められたところで、何の気持ちよさもねぇよ。俺は、お前の事をぶっ飛ばしてやりたいんだよ!!」

「そうか。そんなに俺を恨んでるのか………面倒な奴だな。王都に入る前に殺しておけば良かったな」


 オリヴァーは呼び止められるとピタッと止まって、ギギギッと古いロボットのようなぎこちない動きで振り返る。そして俺の顔を見て、オリヴァーはゲッという面倒な人間を見た反応をする。
 オリヴァーからすれば俺は、決着の着いた勝負に固執している負け犬という印象だろう。現在は俺が負け越しているから、そう思われるのだって理解できないわけじゃない。しかし俺からしたら生きている為に、これからやるのは第2ラウンドだ。


「俺が生きてる限りは、お前たちに何度でも挑むぞ? 俺ちゃんってば諦めが悪い男なんでね」

「本当にやる気のある若いガキは………良いぞ。仕方ない、こうなったら俺が相手になってやるよ」

「それはありがたいね!! 前回はオリジナルスキルに、集中力を持っていかれたがら今回はそうはいかねぇぞ」


 俺とオリヴァーはバチバチと火花が出ているのでは、というくらいに睨み合っている。俺のしつこさにオリヴァーは、相手してやるしかないと諦めるのである。
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

【完結】転生7年!ぼっち脱出して王宮ライフ満喫してたら王国の動乱に巻き込まれた少女戦記 〜愛でたいアイカは救国の姫になる

三矢さくら
ファンタジー
【完結しました】異世界からの召喚に応じて6歳児に転生したアイカは、護ってくれる結界に逆に閉じ込められた結果、山奥でサバイバル生活を始める。 こんなはずじゃなかった! 異世界の山奥で過ごすこと7年。ようやく結界が解けて、山を下りたアイカは王都ヴィアナで【天衣無縫の無頼姫】の異名をとる第3王女リティアと出会う。 珍しい物好きの王女に気に入られたアイカは、なんと侍女に取り立てられて王宮に! やっと始まった異世界生活は、美男美女ぞろいの王宮生活! 右を見ても左を見ても「愛でたい」美人に美少女! 美男子に美少年ばかり! アイカとリティア、まだまだ幼い侍女と王女が数奇な運命をたどる異世界王宮ファンタジー戦記。

悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる

竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。 評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。 身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた

佐藤醤油
ファンタジー
 貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。  僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。  魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。  言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。  この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。  小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。 ------------------------------------------------------------------  お知らせ   「転生者はめぐりあう」 始めました。 ------------------------------------------------------------------ 注意  作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。  感想は受け付けていません。  誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。

異世界に転生した社畜は調合師としてのんびりと生きていく。~ただの生産職だと思っていたら、結構ヤバい職でした~

夢宮
ファンタジー
台風が接近していて避難勧告が出されているにも関わらず出勤させられていた社畜──渡部与一《わたべよいち》。 雨で視界が悪いなか、信号無視をした車との接触事故で命を落としてしまう。 女神に即断即決で異世界転生を決められ、パパっと送り出されてしまうのだが、幸いなことに女神の気遣いによって職業とスキルを手に入れる──生産職の『調合師』という職業とそのスキルを。 異世界に転生してからふたりの少女に助けられ、港町へと向かい、物語は動き始める。 調合師としての立場を知り、それを利用しようとする者に悩まされながらも生きていく。 そんな与一ののんびりしたくてものんびりできない異世界生活が今、始まる。 ※2話から登場人物の描写に入りますので、のんびりと読んでいただけたらなと思います。 ※サブタイトル追加しました。

御家騒動なんて真っ平ごめんです〜捨てられた双子の片割れは平凡な人生を歩みたい〜

伽羅
ファンタジー
【幼少期】 双子の弟に殺された…と思ったら、何故か赤ん坊に生まれ変わっていた。 ここはもしかして異世界か?  だが、そこでも双子だったため、後継者争いを懸念する親に孤児院の前に捨てられてしまう。 ようやく里親が見つかり、平和に暮らせると思っていたが…。 【学院期】 学院に通い出すとそこには双子の片割れのエドワード王子も通っていた。 周りに双子だとバレないように学院生活を送っていたが、何故かエドワード王子の影武者をする事になり…。  

1つだけ何でも望んで良いと言われたので、即答で答えました

竹桜
ファンタジー
 誰にでもある憧れを抱いていた男は最後にただ見捨てられないというだけで人助けをした。  その結果、男は神らしき存在に何でも1つだけ望んでから異世界に転生することになったのだ。  男は即答で答え、異世界で竜騎兵となる。   自らの憧れを叶える為に。

裏切られ続けた負け犬。25年前に戻ったので人生をやり直す。当然、裏切られた礼はするけどね

魚夢ゴールド
ファンタジー
冒険者ギルドの雑用として働く隻腕義足の中年、カーターは裏切られ続ける人生を送っていた。 元々は食堂の息子という人並みの平民だったが、 王族の継承争いに巻き込まれてアドの街の毒茸流布騒動でコックの父親が毒茸の味見で死に。 代わって雇った料理人が裏切って金を持ち逃げ。 父親の親友が融資を持ち掛けるも平然と裏切って借金の返済の為に母親と妹を娼館へと売り。 カーターが冒険者として金を稼ぐも、後輩がカーターの幼馴染に横恋慕してスタンピードの最中に裏切ってカーターは片腕と片足を損失。カーターを持ち上げていたギルマスも裏切り、幼馴染も去って後輩とくっつく。 その後は負け犬人生で冒険者ギルドの雑用として細々と暮らしていたのだが。 ある日、人ならざる存在が話しかけてきた。 「この世界は滅びに進んでいる。是正しなければならない。手を貸すように」 そして気付けは25年前の15歳にカーターは戻っており、二回目の人生をやり直すのだった。 もちろん、裏切ってくれた連中への返礼と共に。 

処理中です...