社畜から卒業したんだから異世界を自由に謳歌します

湯崎noa

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第3章・残念なドラゴンニュートの女の子

118:進む戦況

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 オリヴァーは花びらの剣を振って俺に斬りかかる。それを俺は剣筋を読んで、ギリギリのところで避ける。さすが傭兵として多くの歴戦を、築いてきた人間の剣筋をしているのである。


「おいおい。確かに俺は、傭兵としては剣での戦闘は苦手な方だが………それなりに結果を残してきている。お前みたいな子供に避けられるわけが無い」

「そうか? アンタの剣は、確かに悪くは無いけど………俺に剣を教えてくれた人は、それなりに凄い人だからねぇ」

「お前に剣を教えた人間は相当な奴なんだろうなぁ。もう剣は終わりにするとしようか………ここからは殴り合いだ」

「おぉ俺も殴り合いの方がシンプルで大好きだ。そっちの方が男っぽくて良いじゃんか」


 オリヴァーは自分よりも強い剣士はいるというが、それでも俺のような若い冒険者に見切られた事はないらしい。そんな事を言われても、小さい頃から訓練していたんだから見極められる。
 しかし剣でやり合うよりも、オリヴァーが言ってきたように拳で殴り合う方が性に合っているし得意だ。どれだけ剣を振っても俺に当たらないとオリヴァーは分かったみたいだ、それだけでも俺の中では気持ち良いところはあるが、ゴールはオリヴァーを地面に伏せさせる事である。


「花びらを殴るなんて、雲を掴むくらい無謀な事だとは思わないか? それとも雲を掴めるとでも?」

「えぇ掴んでやろうか? 蜘蛛だろ?」

「そんな冗談が言えるなんて、まだまだ余裕がありそうだな。それじゃあ難易度を上げるとしよう………着いて来い!!」


 俺はオリヴァーが言ってきた事に対しての冗談で返す。こんな状況で冗談が言えた事に、オリヴァーは余裕がありそうで良かったとケタケタッと笑っている。
 そして自分についてくるようにと言って、オリヴァーは高速移動魔法を使い俺に向かってくる。するとオリヴァーの拳は、俺の体を貫通して地面に突き刺さった。どうなっているのかとオリヴァーが困惑しているところに、俺が姿を現して2度も驚かせる。


「これも光の反射で偽物を映してたのか? だが、入れ替わる隙なんて無かったはず………それにだ!! そもそも魔力量にだって本物と同じだけ………まさか」

「そのまさかだよ。俺は殴られた後に柱の陰に隠れて、なんとか偽物と入れ替わる。そして話している隙に、偽物の光に俺と同じだけの魔力量を送っていたんだ」

「そんな馬鹿げた方法をとっていたのか………それにしたって、普通の人間じゃあ出来ない領域だぞ」

「じゃあ俺って普通じゃないみたいだね」


 俺の考えていた作戦がオリヴァーに通用した。まぁ自分でも普通の魔法使いなんかじゃないと、思っていたところだったからオリヴァーに言われても驚きはしない。
 だけど俺としても上手くハマったから正直なところ強がったが驚いた。オリヴァーレベルの人間でも騙せるくらいのデコイを作り出す事ができたのだから当たり前だ。それにオリヴァーの動きの速さも知れる為に、やってみたが作戦が成功して良かった。
 そんな事を頭の中で思っていると、オリヴァーは屈辱だったのか、2回目の高速移動魔法を使って俺に近寄る。1回目で大体の速度を俺は知る事ができたので、遅れた分の速さを上乗せしてオリヴァーの拳と俺の拳を合わせる。


「さっきまでとは動きが、別人のようだな!!」

「それは、どうも!!」

「だが、こうも簡単に互角にやられちゃ困るんだ………もっと難易度を上げよう!!」

――徒桜の舞ブロッサム・アバター――

「また分身かよ!! それなら俺もやらせてもらうわ!!」

・高速移動魔法Level2
・光魔法Level5《ミラー
――無差別反射リフレクション――


 オリヴァーは互角に相手している俺に対して、俺みたいな若造に互角なんてのはプライドが許さないのだろう。レベルを上げると言って、オリヴァーは花びらの分身を出したのである。
 面倒な技を出してきたので、それに対抗して俺も反射の分身を作り出して張り合うのである。しかしオリヴァーの方は花びらの集まりなので、実態があり当たったら痛い。だが、俺の方は光の反射で俺が投影されているだけなので、当たりもしないしダメージを入れる事はできない。
 つまりは脅しにしかならない為、本体へ攻撃するのは結局のところ俺自身なのである。その事を忘れており、それを分かった上でオリヴァーは分身を作ったみたいだ。


「デコイは作れても結局は、俺に攻撃しなきゃダメだよな!! お前の光と、俺の花びらじゃあ方が違うんだよ!!」

「ちっ。確かに頭がボーッとして考えがまとまらない………まだ時間がかかるってのに!! 仕方ない。少し魔力を使っちゃうけのやるしかないか」

・オリジナルスキル『爆破人間ボマー
・オリジナルスキル『砂男サンドマン
――砂粒爆弾サンド・ボム――


 俺よりも上に立っていたいオリヴァーは、光の反射で作ったデコイの事を嘲笑うかのように煽ってくる。イラッとはするが、精神的攻撃なのは容易に分かるので、そんな煽りには乗らないが光の反射を使っていても勝てないのは事実である。
 それならば分身体を退かさなければいけないと、俺は砂のオリジナルスキルと爆発のオリジナルスキルを合わせる。その2つを合わせた事で、俺の中心に王の間の全体に、散弾銃を撃ったように砂粒が散らばる。
 そんなものを全身に受けた分身体は、耐えられるダメージ量を超えて花びらに戻っていく。その隙をついて俺は高速移動魔法と筋力増強魔法を使って、オリヴァーに向かい殴りかかっていく。


「そんな簡単な手で、俺の事を殴れると思ってたのか?」

「思ってたね。アンタのレベルは、こんなもんだろ………というよりも、この攻撃が本命だと思ってんのか?」

「なに? それは、どういう意味なん………ゔっ!?」


 俺は隙をついたつもりだったが、オリヴァーは自分の顔の前で俺の拳を掴んで止めた。けっこう良い線は行っていたんじゃないかと思って少し残念な感じがするが、まぁそう簡単には事が進まないだろうから、まだまだ本命は隠していたのである。
 俺は自分の掌に砂を握りしめてパンチを放っていた。そして止められたところで、掌の中に隠し持っていた砂を爆弾に変えて、オリヴァーの顔面の前で大爆発を起こした。そんな事をされた瞬間に全身に被弾するのと、砂が飛び散る事で一瞬だけでも目潰しする事ができた。
 その目潰して生まれた好きを使って、俺はさらにオリヴァーの顔面を爆発の威力を加えて殴り飛ばす。ここにきて、今日1番のクリーンヒットを入れる事に成功した。


「こんなにも気持ち良いパンチを、入れられるなんて人生で後何回あるかなぁ」

「ふざけるな………俺は傭兵として実績を残しているんだぞ!! お前のようなガキとは違って、俺には実績がある!!」

「実績が、どうしたって? 勝負事において実績は大切だけど、負けてる時に言っちゃダサいぞ?」

「舐め腐りやがって!! この俺を本気で怒らせたな………お前を苦しんで死ぬように殺してやるよ」


 俺はあまりにも気持ち良い手応えだったので、人生で何回くらい打てるのだろうかと感じるくらい感動している。そんな俺とは対照的に、オリヴァーは怒り新党の様子だったのである。
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