社畜から卒業したんだから異世界を自由に謳歌します

湯崎noa

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第3章・残念なドラゴンニュートの女の子

125:感動のはずが

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 俺はルイちゃんに、父親が王都グラスに居るという事を教えた。すると、やはり探していただけあって、本当なのかと驚きを隠せないでいた。
 せっかく探して旅をしていたのならば、今からでも王都の中を探しに行こうと提案する。そしたら、ルイちゃんは頷いて2人で探しに出た。


「本当に、ここにいるんでござるか?」

「あぁござる言葉で、技名だってルイちゃんと同じ感じだったよ………きっと流派が同じなんだろうね」

「はいでござる!! 拙者らの流派は和天童子殿が、開設した《天仙流》でごさる!!」

「ほぉ天仙流か……初めて聞いた流派だけど、中々に強そうな流派だね」


 ルイちゃんは俺に自分の流派を教えてくれたが、けっこう強そうな名前をしていて良い印象を持った。きっとその天仙流の開祖《和天童子》とは、日本に近い環境である日ノ国の生まれなのだろう。いずれは、その日ノ国に行ってみたいものだな。


「まぁいれずは日ノ国に行くか………ん?」

「この殺気は……」


 たわいの無い会話をしていると、俺たちは自分たちの信仰方向から異様な殺気を感じた。そして何なのかと思った瞬間、目の前に目を瞑るくらいの風が通る。
 すると俺の後ろを歩いていた、ルイちゃんの方からチャキンッと刀と刀がぶつかる音がした。何かと思ったらルイちゃんがルイちゃんの父親に斬りかかられていた。


「なっ!? ルイちゃんのお父さん!?」

「君のような奴に、お父さんなんて言われたく無いでござる」

「う うぅ……」

「何をしているんですか!! それって真剣ですよ。冗談にもなってないですけど!!」


 どうなっているのかと俺は困惑してしまう。実の父親が真剣で娘に斬りかかるだろうか。下手したら、普通に殺す勢いで来ていた。
 ルイちゃんは歯を食いしばって、ギリギリのところで鍔迫り合いを成立させている。


「ふっ。知っているオーラを感じてきてみれば、お前だったでござるか………あの時よりも成長はしているみたいだな」

「当たり前でござる!! 拙者は父上に憧れて、ここまで強くなって来たんでござる!!」

「強くだと? お前は今、強くなったと言ったでござるのか?」

「え? は はいでござる………」


 自分の娘が昔よりかは成長している事を把握すると、刀を引いて鞘に戻しルイちゃんに背を向ける。しかしルイちゃんが父親に会う為に強くなったのだというと、ギロッとルイちゃんの方を見直すのである。
 それを聞いた途端に居合いで刀を抜くと、ルイちゃんの首元ギリギリに刀を止めた。すると斬ろうとした方向に、途轍もない風が起こった。


「今、己が何を言ったのか理解できているか?」

「い いえ……」

「己が強くなったと言ったのだ。本当に強いと思っているのでござるか? 本当に思っているとするのならば、お前は成長が終わった………つまりは、もう拙者の子供では無いでござる」


 俺の目の前で何が起きているのだろうか。突然、父親が何年振りに会った子供に対して真剣で斬りかかって殺そうとしたり、会って嬉しくなり自分は強くなったと言った娘に縁切りをしようとしたりしている。
 縁切り宣言のよう事を突然いわれて、ルイちゃんは本気で困惑をして黙りこくってしまっている。それを見た瞬間、俺は前世の父親の背中とルイちゃんの父親の背中が重なって、関係ないのに怒りが込み上げてきた。


「おいっ。ちょっと待てよ………」

「ん? なんでござる。お主に、呼び止められるような関係ではござらぬが………」

「黙れよ。実の娘に対して………いいや、何年も前に捨てた娘に対して、どんな口を聞いてんだよ」


 俺は父親を呼び止めると、ルイちゃんへの仕打ちについて指摘する。ルイちゃんは俺が、凄い剣幕で自分の父親に怒鳴っているので、アワアワしてしまっている。
 そんなアワアワしているルイちゃんを横目に、俺は父親に近寄ると目を見てガンを飛ばす。それに負けないように、父親も睨み返してキスしてしまうのでは無いかというくらいに近づいている。


「拙者が言った事は間違っていたでござるか? お主みたいな童に、イチャモンつけられるくらいに間違っていたでござるか!!」

「あぁ!! あんたが言った事、やった事の全てが間違ってるんだよ!!」

「拙者の家庭に口を出さないでもらおうか!! うちにはうちのやり方があるでござる………それに、こんな娘の為に怒るなんて、どれだけ時間を無駄にしていると思ってるんでござるか?」

「時間の無駄だって!? 本気で言ってのかよ。自分は子供を捨てたくせに、今更になって親ズラかよ………お前を、ここで殴り飛ばしてやるよ!!」


 自分の娘に対して、しかも捨てたにも関わらず、親ずらしている事に俺は虫唾が走っている。そのまま俺は分からずやの顔面を殴ってやると拳を上げる。それに対して父親も、ただ殴られるわけにはいかないと刀を抜いて構えるのである。


「ちょっと待って欲しいでござる!! ミナト殿。拙者の為に、怒ってくれて感謝しかないでござる………しかし父上とミナト殿が、戦うところは見たくない」

「ルイちゃん……」

「邪魔するんじゃないでござる。この礼儀のなっていない童に、礼儀というのを叩き込む………」

「父上は黙ってください!! 拙者の大切なミナト殿に刀は向けさせないでござる………やるというのなら、拙者が相手になるでござる!!」

「お前が拙者とやると? 興醒めだ……さっさと刀をしまうでござる。お前のような人間を斬っても、拙者の株が下がるだけでござる」


 今にも乱闘が始まろうとした瞬間に、ルイちゃんが間に入って止める。父親は俺に礼儀を教えてやるから退けと言うが、ルイちゃんは退かないと初めての親に反抗を行なったのである。
 すると父親は刀を鞘に戻して、面白くなくなったと言って背中を向けて歩き始めた。その姿に俺の怒りは、またも沸点を迎えて離れていく背中に叫ぶ。


「おいっ!! 別に止まらなくて良いが、アンタは相当な傲慢な奴だ………ルイちゃんは確実に強くなってる。それなのに自分の強さを相手に求めて、それが達成されていなきゃ雑魚扱い………そんなのあり得ない!!」

「ふっ。じゃあ結果で見せてみるでござる………次会った時に、成長が見れなければ終わりだ」


 俺の言葉を鼻で笑ってユウト中将は、クロスロード連盟軍に合流する。ムキーッと思いながら、俺は振り返ると今にも泣きそうでプルプルと震えている、ルイちゃんが居たのである。


「ルイちゃんっ!! 気にしなくて良いんだ。君は君の速度で、強くなっていけば良い………足りないところは俺たちが補うからさ!!」

「かたじけない………かたじけないでござる!!」


 俺がハグをしてあげると、ルイちゃんは腰に手を回すと俺の服をギュッと握って大粒の涙を流す。それを俺は優しく抱き寄せて静かに受け止める。
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