社畜から卒業したんだから異世界を自由に謳歌します

湯崎noa

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第4章・ロリっ子な吸血鬼の女の子

147:中立地

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 ヴァンパイア族の歴史は興味深い事が多い。
 色々と話を聞くとなるべくしてなった訳ではなく、個人の画策によって他のヴァンパイアが巻き込まれる形で現在のヴァンパイアが完成したらしい。


「そのラクス公爵ってのが、勝手にヴァンパイア族を作ったってわけか………」

「そうなんじゃよ。そのラクス公爵は、名前を《ランドール=ハンセン》って改名したんじゃ」

「改名? 確かに歴史上の偉人が、名前を変える事はあるって聞くけど」


 ヴァンパイア族の基盤を勝手に作ったラクス公爵は、この件をきっかけに名前を《ランドール=ハンセン》と名前を変えたという。
 確かに日本の偉人でも名前を変えて有名になった人はたくさんいるが、どうしてラクス公爵は名前をランドールに変えたのだろうか。


「どうしてラクス公爵は名前を変えたの? もしかして凄い名前に変えて、歴史上に名前を残そうって思ったからとか?」

「ラクス公爵がランドールに名前を変えたのは、世界連盟から名前をもらったからなのじゃ」

「え? ラクス公爵が、世界連盟から名前をもらったって一体どういう………」


 魔族であるヴァンパイア族の人間に、世界連盟が名前を与えるなんて驚きの他ない。俺が個人的に鼻につく為に好きでは無いが、この世界の秩序を作って守っているのは事実である。だからこそ驚きが多い。


「そこの時点で、ヴァンパイア族は世界連盟に認められた存在になったのじゃ。そしてヴァンパイア族も世界連盟に逆らえなくなった………つまりはラクス、いやランドール公爵のせいでヴァンパイア族は、人間に従属する形になったのじゃ」

「そうか。共存ではなくヴァンパイアが、世界連盟に従属するという形になったのか………それでランドール公爵の最後は、どんな最後だったんだ?」


 この名前を与えるという契約によって、ヴァンパイア族が全体的に人間への従属が事実的に決まった。つまりは自分の保身の為に、ランドール公爵はヴァンパイア全体を人間に売ったという事になる。
 しかし本当ならば魔族として殺される対象である、ヴァンパイアが守られる対象になったのも事実だ。悪行と言えるが偉大な功績とも言えるのが、このランドール公爵の何とも言えないところである。
 そうなるとランドール公爵というのは、人生最後の瞬間をどんな風に送ったのか気になるところだ。たくさんの人に囲まれながら死んでいったのか、それとも完全にヴァンパイア族から嫌われて亡くなったのか。同じ死であっても中身が全くもって異なる。


「ランドール公爵か? それなら現在も元気に生きておるぞ?」

「えっ? そんなヴァンパイア族とは言えども、寿命はあるって聞いたんだけど………」

「あぁ確かにヴァンパイア族の人間なら、妾も含んで寿命はある。しかしランドール公爵は、純血種で種族も進化した事で《ヴァンパイアロード》となったのじゃ。その寿命は、ほぼ不老不死じゃな」


 何と2度目の驚きが俺を襲った。
 ランドール公爵は、人間から名前をもらって契約を結んだ事で種族が進化した事と、ランドール公爵が純潔のヴァンパイアであった事から、ほぼ歳も取らない死ぬ事もない不老不死の《ヴァンパイアロード》なのだと、ローズちゃんは教えてくれた。
 つまりは世界の何処かにランドール公爵は、まだ存命でいるという事になる。というか俺が死んだ後でもランドール侯爵は生きていく事になるのだろう。またも何とも言えない事実がローズちゃんの口から飛び出した。


「ランドール公爵は不死身なのかぁ。もうそこまで行くと、信仰の対象にすらなりそうな感じだよな」

「なっておるぞ? もちろん神様というか、世界の救世主的な存在でな。それで《聖地ヴィルノブレス》に滞在しているみたいじゃよ」

「聖地に住めるって完全に余生って感じなのかよ………ちょっと会ってみたいけどな」


 もうそこまで凄い人ならば会ってみたい気がするのだが、ちょっと会う時には緊張してしまいそうだ。
 そんな風にローズちゃんと話しているところに、偵察へ行っていたルイちゃんが帰ってきた。顔の表情的にそこまで悪い感じはしないのだが、どうだろうか。


「ただ今戻ったでござる!!」

「おぉ無事に戻ってきたね。それで人間の集落は、どんな感じだったんだ?」

「それが驚くくらいウェルカム的な感じだったのでござる………」


 現在ノースカリクッパ王国は内乱が続いている為、街に立ち入る人たちに警戒するのは理解できる。しかしルイちゃんが調べてきてもらった集落のように、ウェルカムな状態なのが疑問がある。


「どうしてウェルカムなムードなんだろうか………」

「あの雰囲気なら我々が入っても問題は無さそうでござるよ。敵意もないようだったでござる」

「何か裏がありそうだけど、まぁおかしいと思ったら武力行使するしか無いか………」


 本当ならウェルカムなのは嬉しい事ではあるが、現在の国情を考えたら警戒するべきだろう。とにかく集落に行ってみてから、状況に合わせて対応する事にしよう。
 俺たちは集落に馬車を進めると、ルイちゃんが言っていたようにノースカリクッパ王国の都市とは思えないような活気がある都市だった。


「本当にウェルカムなんだなぁ………」

「あれ? あなた方も街に滞在ですか?」

「えぇ? あぁできる事なら………大丈夫か?」

「問題ありませんよ。馬車は、ここで止めてもらって宿屋まで案内させていただきます」


 ニコニコな笑顔で街の人がやってきて、馬車を止める場所や宿屋まで案内してくれるというものだった。何があったのかは、まだ分からないが案内を受ける事にしたのである。
 別に変な宗教に入っていてニコニコしているわけではない無さそうなので、とりあえずは安心して気を抜けそうだと思ったところで、俺は街に何があったのかを聞く為、案内してくれている街の人に質問をする。


「あのどうして、この街は他の街と違って普通に人を受け入れているんだ?」

「確かに他のところは、武装して内乱に前向きな姿勢を見せている人たちですからね。我々は武装をしない代わりに、国王軍が攻めて来ないという契約を交わしているんです」

「だから、この街は人を受けていられているっていうわけか………それなら納得できるな」


 この都市は内乱において中立を貫いているみたいだ。だから、どんな人でも受け入れられるのだと、俺は説明を受けて納得する事ができた。
 とにかく俺たちは街の人に案内されるままに、宿屋に向かうと宿屋には見た事のある人がいた。それは俺が聖剣を手に入れた際に、買い取ってくれた世界最大級の財団アグフェレイラ財団の代表《ダヴィド=マックス=アグフェレイラ》さんだった。


「ダヴィドさんじゃないか!! どうして、こんなところに居るんですか?」

「おぉ君は聖剣を売ってくれた、冒険者のミナトさんじゃないか。あの聖剣は上手く取引させてもらって、とても感謝しているよ!!」


 まさかのところで、まさかの人と再開した。
 どうして商人であるダヴィドさんが、こんなノースカリクッパ王国のようなところに居るのかと、俺は疑問を持ったので席に座って話をする事になった。
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