社畜から卒業したんだから異世界を自由に謳歌します

湯崎noa

文字の大きさ
163 / 201
第4章・ロリっ子な吸血鬼の女の子

159:経験値の差

しおりを挟む
 カエデちゃんの獣神化は、死地を乗り越えた事によって《獣神化・開》に進化した。進化した事によって、アイダハルにダメージを入れる事ができるようになった。
 アイダハルはカエデちゃんに負けるわけにはいかないと、腕と腹だけを硬質化させていたが、本気になって全身を完全な硬質化で覆ったのである。


「進化したのかは知らないが、もうテメェを許す事は絶対ねぇ………ここで死んでもらうぞ!!」

「本気を出したのかは知らないが、獣神化した獣人に人間が勝てるわけないだろ!!」


 完全武装をしたアイダハルに対して、獣神化が第2段階に進化したカエデちゃんの第2ラウンドが始まる。やはり獣人のステータスに、進化した獣神化を持っているカエデちゃんの方がスピードとしては上回る。
 そんなカエデちゃんに対抗して、アイダハルはダメージの重さとガード力が格段に上がっている。その為、数手多くカエデちゃんの方が手を多く出すが、それをガード力の強いアイダハルが耐える。


「最高の矛の盾じゃないか。確かに攻撃力が、さっきとは比べ物にならないが、俺のガード力も上がってダメージは入っていないぞ!!」

「それなら自信のある、鎧を打ち砕いて直接ダメージを打ち込んでやる」

「やってみろ!!」


 アイダハルの攻撃は、カエデちゃんの動きに翻弄されながらも顔や体に拳が掠り始める。やはり重たい硬質化している為、掠っただけでもカエデちゃんに大きなダメージが入ってしまうのである。
 全てを避けたいところではあるが、さっきのアイダハルから受けたダメージの蓄積で、多少足が止まり始めてきている。それを顔に出さないのは凄いが、さすがに戦闘経験の差が出てきているかもしれない。


「どうした、どうした!! さっきまでの威勢は、どこに消えちまったんだ!!」

「ちっ。少しだけ攻撃が当たり始めただけで、首を取ったみたいに騒ぎやがって………」


 カエデちゃんは近接に限外が来たと思って、後ろに飛び距離を取り仕切り直そうとする。さっきまでの元気がなくなり始めているカエデちゃんに、アイダハルは完全に首を取ったくらいにテンションが上がっている。
 やはり獣神化を進化に、さっきまでのダメージが相まって体力をカエデちゃんから奪っているのが分かる。どうにかしなければいけないが、前線ばかりで戦っているカエデちゃんには何も閃かない。
 どうにか打開策はないかと頭をフル回転させている時に、アイダハルの肩が上下に激しく動いているのが目に入ってきた。つまりアイダハルも、体力的に限界を向かい始めているという事だ。


「互いに、ここら辺が終わりだろうな。さっさと決着をつけてやろうじゃねぇか………」

「私がアンタの顔面と共に、やろうとしている悪行を殴り飛ばしてやる」


 アイダハルも限界が近いと分かっていた。互いに相手が限界が近い事から、そろそろ決着がつくと自然に頭の中に入っていたのである。
 そして互い睨み合ってから相手に向かって走りだろうとした。しかしアイダハルは、カエデちゃんに向かって走り出したが、一方でカエデちゃんは動けていたはずなのに体が固まったまま動けないでいた。


「あ あれ? 体が動かな……」


 カエデちゃんは理解できないままアイダハルに、思い切り殴り飛ばされて今度は立ち上がれなくなる。倒れたまま動けなくなっているカエデちゃんのところに、ゆっくりとアイダハルが歩いて来た。
 どうなっているのかと理解できていないカエデちゃんは、全身の力を振り絞りながら自分の側にいるアイダハルの顔を見上げる。その時、アイダハルの顔は太陽の光で影がかかっていたが、腹立つような薄ら笑いを浮かべている顔が目に入って来たのである。


「どうして体が動かなかったのかと思っているな? お前の敗因は体の違反に気が付かなかった事だ………何が自分の体に起きたのか、理解できているのか?」

「私に……何をした………」


 アイダハルは薄ら笑いを浮かべながら、倒れているカエデちゃんに敗因について上から語った。グッと地面の土をカエデちゃんは掴んで悔しがっているが、その光景をアイダハルは満足気に見ている。
 そして自分の体に起きた異変は、きっと目の前のアイダハルが何かをやったからだろうと考えている。カエデちゃんの全身に力が入らなくやっているは、ダメージが大きかったからと本人に勘違いさせる事が、それこそがアイダハルの作戦だった。


「俺は言ったよな? 俺のオリジナルスキルは《蠍変化サソリ》だってよ?」

「それがなんだっていうんだ………まさか!?」

「その通りだ。俺のオリジナルスキルは、サソリのように体が硬質化させるだけじゃなく、体を麻痺させる毒も扱う事ができるんだよ!!」

「そ そういう事だったのか。ダメージが体がバカになったタイミング………これを狙っていたのか!!」


 アイダハルのオリジナルスキルである、サソリに変化するスキルは硬質化だけではなく、サソリ毒も扱えるというものだった。この毒をアイダハルは、良いタイミングで使用した事こそが経験の差だと言えるだろう。
 これが全てアイダハルの作戦だったと分かった瞬間、カエデちゃんの中で完敗の悔しさが込み上げてくる。その叫び声を聞いてアイダハルは笑いが止まらない。
 手がかかった事だけはあって、アイダハルの快感は最高のものになっている。その快感を感じただけでは終わらなく、苦しめられた分のトドメを刺してやると拳を振り上げてカエデちゃんを殴ろうとする。


「カエデちゃんに、もう手は出させませんよ」

「だ 誰だ!? お前は……この国の人間じゃない。つまりは、この獣人の連れってわけか。獣人とエルフの冒険者なんて馬鹿みたいなパーティーだな!!」


 トドメを刺そうとしていたところで、エッタさんが登場してカエデちゃんの前に立つのである。良いタイミングで現れたが、カエデちゃんは何で外にいるはずのエッタさんがいるのかと消え入りそうな声で聞いた。


「要塞の中からカエデちゃんの痛そうな声が聞こえたから、シュナちゃんに外を任せて来たのよ。この状況だったら、助けに来て良かったみたいね」


 エッタさんの危機察知能力は異常なくらいだと、カエデちゃんが思ったところでシュルシュルッと獣神化が解けてしまった。すると昂っていた気持ちも落ち着き始めて、性格も普段のカエデちゃんに戻る。


「エッタさん。助けに来てくれて、本当にありがたいわん………でも、体が毒で立ち上がれないわん」

「貴方は休んでいて良いのよ。市民軍の兵士っ!! この要塞攻略で孤軍奮闘した、この英雄を外に運んで治療しなさい!! ここで死なせたら、貴方がたを1人残さず、私の手で滅ぼしてあげます!!」


 カエデちゃんが弱気になっているのを見て、エッタさんは助け出さなきゃいけないと市民軍の兵士を呼んで、カエデちゃんを外に運んで治療するように指示をする。
 そしてエッタさんには珍しく、口調を荒げながらカエデちゃんを助けるようにと指示を出した。エッタさんの迫力と、カエデちゃんの戦いぶりを見ていた兵士たちが外に運び出すのである。
 全ての状況が整ったところで、エッタさんは後ろを振り返って仇のアイダハルが立ち尽くしている。
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

【完結】転生7年!ぼっち脱出して王宮ライフ満喫してたら王国の動乱に巻き込まれた少女戦記 〜愛でたいアイカは救国の姫になる

三矢さくら
ファンタジー
【完結しました】異世界からの召喚に応じて6歳児に転生したアイカは、護ってくれる結界に逆に閉じ込められた結果、山奥でサバイバル生活を始める。 こんなはずじゃなかった! 異世界の山奥で過ごすこと7年。ようやく結界が解けて、山を下りたアイカは王都ヴィアナで【天衣無縫の無頼姫】の異名をとる第3王女リティアと出会う。 珍しい物好きの王女に気に入られたアイカは、なんと侍女に取り立てられて王宮に! やっと始まった異世界生活は、美男美女ぞろいの王宮生活! 右を見ても左を見ても「愛でたい」美人に美少女! 美男子に美少年ばかり! アイカとリティア、まだまだ幼い侍女と王女が数奇な運命をたどる異世界王宮ファンタジー戦記。

悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる

竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。 評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。 身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた

佐藤醤油
ファンタジー
 貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。  僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。  魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。  言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。  この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。  小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。 ------------------------------------------------------------------  お知らせ   「転生者はめぐりあう」 始めました。 ------------------------------------------------------------------ 注意  作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。  感想は受け付けていません。  誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。

異世界に転生した社畜は調合師としてのんびりと生きていく。~ただの生産職だと思っていたら、結構ヤバい職でした~

夢宮
ファンタジー
台風が接近していて避難勧告が出されているにも関わらず出勤させられていた社畜──渡部与一《わたべよいち》。 雨で視界が悪いなか、信号無視をした車との接触事故で命を落としてしまう。 女神に即断即決で異世界転生を決められ、パパっと送り出されてしまうのだが、幸いなことに女神の気遣いによって職業とスキルを手に入れる──生産職の『調合師』という職業とそのスキルを。 異世界に転生してからふたりの少女に助けられ、港町へと向かい、物語は動き始める。 調合師としての立場を知り、それを利用しようとする者に悩まされながらも生きていく。 そんな与一ののんびりしたくてものんびりできない異世界生活が今、始まる。 ※2話から登場人物の描写に入りますので、のんびりと読んでいただけたらなと思います。 ※サブタイトル追加しました。

御家騒動なんて真っ平ごめんです〜捨てられた双子の片割れは平凡な人生を歩みたい〜

伽羅
ファンタジー
【幼少期】 双子の弟に殺された…と思ったら、何故か赤ん坊に生まれ変わっていた。 ここはもしかして異世界か?  だが、そこでも双子だったため、後継者争いを懸念する親に孤児院の前に捨てられてしまう。 ようやく里親が見つかり、平和に暮らせると思っていたが…。 【学院期】 学院に通い出すとそこには双子の片割れのエドワード王子も通っていた。 周りに双子だとバレないように学院生活を送っていたが、何故かエドワード王子の影武者をする事になり…。  

1つだけ何でも望んで良いと言われたので、即答で答えました

竹桜
ファンタジー
 誰にでもある憧れを抱いていた男は最後にただ見捨てられないというだけで人助けをした。  その結果、男は神らしき存在に何でも1つだけ望んでから異世界に転生することになったのだ。  男は即答で答え、異世界で竜騎兵となる。   自らの憧れを叶える為に。

田舎娘、追放後に開いた小さな薬草店が国家レベルで大騒ぎになるほど大繁盛

タマ マコト
ファンタジー
【大好評につき21〜40話執筆決定!!】 田舎娘ミントは、王都の名門ローズ家で地味な使用人薬師として働いていたが、令嬢ローズマリーの嫉妬により濡れ衣を着せられ、理不尽に追放されてしまう。雨の中ひとり王都を去ったミントは、亡き祖母が残した田舎の小屋に戻り、そこで薬草店を開くことを決意。森で倒れていた謎の青年サフランを救ったことで、彼女の薬の“異常な効き目”が静かに広まりはじめ、村の小さな店《グリーンノート》へ、変化の風が吹き込み始める――。

処理中です...