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第4章・ロリっ子な吸血鬼の女の子

186:言い合いと殴り合い

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 俺はルイちゃんたちが、もう限界だと分かったところで体に鞭を打って立ち上がる。そして俺は自分の命を賭けてブギーマンと最終ラウンドを始める事を決意する。
 そんな俺に対してブギーマンは、仲間の為に立ち上がる姿は嫌いじゃないと、やはり俺たちを4人とも相手にしているだけあって余裕が醸し出されている。


「決着つけようじゃねぇか………」

「死ぬ気でかかって来いよ。そうじゃないと、俺は弱いものイジメは嫌いだからな!!」

「言ってくれるじゃねぇか!!」


 俺はブギーマンに向かって飛び出す。ブギーマンは向かってくる俺に対して、その場でグッと足腰に力入れて拳を構えた。ローズちゃんの攻撃によって、鉄拳が出ないのは予測できるが、それでもブギーマンの拳にはまだまだ力が残っているのを考えなければいけない。
 その危険性を知っている俺は、ブギーマンの拳と俺の拳が触れる瞬間に、爆破人間ボマーのスキルを使ってブギーマンの視界を塞いだ。煙幕で視界が塞がれた事によって、俺を見失ったブギーマンは腕を振り回して視界を良くしようとする。


「シャドー・アニマルだと!? やはり、お前のオリジナルスキルは………他人のオリジナルスキルをコピーする事か!!」

「正解だっ!!」

「今度はバイソンかっ!!」


 俺は煙の中でシャドー・アニマルの狼を出して、ブギーマンに向かって放った。腕に噛みつかれてウッとなったが直ぐに、その狼たちを殴って普通の影に戻した。
 視界も動きも止めたところで、俺はバイソンになってブギーマンに殴りかかる。腕をローズちゃんと、狼によってやられた事で踏ん張った時に傷口から血を出す。それでも気合いでブギーマンは俺の攻撃を止めた。


「なっ!? その腕で俺の攻撃を止めた!?」

「気合いで何とかなるんだよ!!」

「それなら今度は、これでどうだよ!!」

・オリジナルスキル『体熱向上オーバーヒート

「今度は俺のオリジナルスキルかっ!!」


 俺はブギーマンに触れた事で、ブギーマンのオリジナルスキルであるオーバーヒートをコピーした。それによってオリジナルスキルの持ち主であるブギーマンにオーバーヒートを使った。
 自分のオリジナルスキルを使ってくるかと思ったら、ブギーマンはイラッとして自分のオリジナルスキルなんだとムキになる。互いに体内の熱を上げる事で、湯気が見えるくらいの熱を帯びながら拳がぶつかる。するとジューッと何かを焼いたのかという音が響いた。
 グーッと押し合いになったところで、さすがに拳に力が入れづらいブギーマンを殴り飛ばす事ができた。ここでブギーマンと戦い始めて、初となる俺がブギーマンより優位な立場になったのである。


「その腕の状態で、よくも戦えるもんだな。それだけは凄いって認めてやるよ………だから、さっさとローズちゃんの心臓を返せ!! そうすれば、お前の命までは取ろうなんて思っちゃいない!!」

「それが甘いって言ってんだよ。奪われたものを取り戻したいなら、持っている人間を殺すしかない………それとも、お前は覚悟できていないのか? お前は他人の命を奪いたくないと聖者ぶった甘ちゃんなのか?」

「言ってくれるじゃねぇかよ。そんなに俺を挑発して殺されたいって話か? 自殺志願者の話なんてしたくは無いが………お前は何かの責任から逃げたいと思っているんじゃないのか!!」

「俺が責任から逃げるだと? お前はつくづくギルド・ボガードを舐めてるんだな………俺たちは誰にも頼らず頼られず生きてきた!! そんな俺たちが、どうして責任から逃げたいってなるんだよ!!」


 俺はブギーマンに対して心臓を返すようにと言った。しかしブギーマンは取り返したいなら俺を殺せと言い返してきたので、俺は自殺志願者なのかという。俺としては必要な殺害以外はしたくない。
 そんな俺をブギーマンは甘ちゃんなんだと言い放ったのである。それに対して俺はブギーマンに責任から逃げたいから、誰かに殺されるのを待っていたのではないのかと少し痛いところを突いたのではないかと思う。
 するとブギーマンは千鳥足ながら立ち上がって、自分たちを馬鹿にしているのかと俺の目を見て言った。ブギーマンたちは、誰にも頼らず頼られず孤高として生きてきたので、責任は自分で拭ってきたのに、それがどうして責任から逃げる事になるのかとムキになっている。


「テメェらは辛かったんじゃなかったのか!! 自分たちだけが、どうして酷い目に遭わなければいけないのかって言うふうにな!!」

「そんなのあるわけないだろ!! 俺たちは生まれた時から責任は自分で拭いてきた。それで何で今更、その責任から逃げたいなんて思うだ!!」

「まぁもう今更、その感覚すらも薄れているのは事実だろうな。じゃないと自分の利益の為だけに、罪のない人たちを苦しめていたんだからな」

「それとこれとは話が違うだろうが!! 俺たちが奪われてきたモノを、取り返しているだけだ。それの何が悪いっていうんだ!!」


 俺のいう罪から逃げ出したいという発言に対して、ブギーマンは全力でムキになって否定する。そして俺は少し話をズラして、罪のない人たちを苦しめてきたから感覚が鈍ったのではないのかと言った。
 そんな発言をされたブギーマンは、さらにムキになって自分たちは悪くないのだと主張してくる。俺は必死に自分たちを正当化しようとしているブギーマンに、少しの嫌悪感を抱いて眉を歪めてしまった。


「こんな言い合いをしていても埒が明かないだろ………お前が死ぬのか、俺が死ぬのかで決着をつけた方が手っ取り早くて良いだろ!!」

「ブギーマンの方から提案してもらって悪いな。俺も言い合いなんかよりも、そっちの方が良いと思ってたところなんだよ」

「覚悟しろよ。今までの発言で、楽に死ねると思うんじゃねぇぞ………苦痛の表情をさせながら、お前の仲間も同じところに送ってやるよ」

「覚悟ならできてるって言っただろうがよ。そっちこそ四本刀とかいうのが大切なら………死ぬ気でかかって来い!!」


 ブギーマンは、これ以上の言い合いを俺とやっていてもしかたないと言って、ここからは言い合いではなく殴り合いで決着をつけ良いと提案してきた。俺としてもブギーマンとは言い合っていても互いの正義が邪魔をしてしまって、気持ちを理解し合うなんて不可能である。
 俺が殴り合いでの決着をつけてやるという提案に乗ると、ブギーマンは楽に殺さず苦痛の表情を浮かべながら死ねという。そしてだけではなくイローナちゃんたちも同じく殺してやると言い放った。
 そこまでいうのであれば俺も、四本刀がそんなに大事ならば命を賭けて死ぬ気でかかって来いと言って、互いに俺たちは構え直してから走り出す。


『うぉおおおお!!!!!』


 オーバーヒートを使って互いに拳をぶつけ合うと、さっきとは異なってブギーマンも押されるだけではなく、俺が押したら押し返してきて怒りでパワーが増すタイプの人間であると分かった。
 そうなれば俺だって押されるだけではなくて、腰に力を入れて地球の果てまで殴り飛ばす気持ちで押し込む。
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