日本大戦〜日本が大変な事になりました〜

湯崎noa

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第2章・湯川平原の戦い(初陣) 編

023:伍長

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023:伍長
 俺の華麗な攻撃で軍曹は白目を剥き失神した。
 これなら2人に見劣りしない勝ち方だろう。
 そう思っていると准尉は、動揺しながら「ご 合格」と言って何とかスタートラインに立つ事ができた。
 
 俺は水城たちが待機しているところに戻る。
 すると水城はスッと手を俺の方に向けて出してくる。
 明らかにハイタッチを求めてきている。
 こんなところでハイタッチするのは恥ずかしいので、俺は無視をしようとする。
 しかし水城は俺の顔の方に手を向けてくる。
 俺は「うるさい!」と言いながら、仕方ないのでハイタッチをしてやるのである。


「今回の合格者は3人だな? それ以外の人間は、ここで腐らずに次の機会に、また挑戦してくれ」


 試験に落ちた人間たちにも、また試験を受けて欲しいというのである。
 だが俺たちが化け物過ぎて、やる気を失っている。
 まぁ確かに普通の人間だったら、俺たちの戦いぶりに恐怖しても仕方ないだろうな。
 しかしここでビビってるくらいなら戦場には、到底出れないのでは無いだろうかと思う。


「合格した3人、お前たちが配属される第1歩兵団所属第1分隊に案内するぞ。そこでお前たちは伍長の下について訓練を積んで貰うぞ」


 これから俺たちが所属する部隊の最下層、第1分隊に案内してくれるというのである。
 分隊は約30個の5人1つの組が集まっている。
 その5人1つの組の長は伍長という。
 俺たちは伍長の次に位が高い上等兵として伍に入り、残りの3人は市民兵が入る。
 ここで説明するとするならば、4つの分隊が集まって1つの小隊、3つの小隊が集まって1つの中隊、4つの中隊が集まって1つの大隊、3つの大隊が集まって1つの歩兵団、3つの歩兵団が集まって師団となる。

 俺は霜田准尉の案内で、第1分隊がある訓練施設に向かうのである。
 どんな人たちがいるのかとワクワクしている。
 訓練施設の中にも伍の組別に、部屋が用意されてる。
 俺と水城と花菱は指定された部屋の扉の前に立つ。
 そして分隊長の合図で、部屋をノックしてから扉を開けてペコッと頭を下げて部屋に入る。


「失礼します! 本日より第1分隊長に所属する事になりましたっ! 名前は《月島 葵》上等兵です!」

「おぉ試験をやるって聞いてたけど、まさか合格者が3人もいるなんてねぇ。僕が入った時よりも遥かに凄い」

「も もう合格した人数を知ってたんですか?」


 俺の上司であり伍長の男は、ただの普通のオッサンのような見た目で強そうでは無い。
 しかし既に合格者の人数を知っていた。
 もしかして強さとかじゃなく、そういう部分で伍長になったのかという印象を持った。


「あぁごめんね、自己紹介が先だったね。僕は伍長をやらせて貰っている《南須原 蜜典なすはら みつのり》です。君よりも遥かに弱いけども、どうぞよろしくお願いしますね」

「強い弱いなんて関係ないですよ。南須原伍長、俺は若輩者ではありますが、ご指導ご鞭撻の程をよろしくお願い申し上げます!」

「月島くん、君は若いのに礼儀正しいねぇ」


 南須原伍長は気取ってる感じもなく、とても感じの良い人だと思った。
 まぁ弱そうではあるけどな。
 とにかく上とか下とか関係なく、この人から学べるものは全て残す事なく盗んでやる。
 そうしなきゃ上の世界に登る事はできない。


「それじゃあ今日は休息を取るとして、明日から市民兵と一緒に訓練になるから頼みますね」

「普通の時から市民兵と、一緒に訓練するんですか?」

「普通の時だったら伍長と上等兵だけで訓練します。今回は10日後に、豊栄共和国が攻め込んでくるという事があって訓練します」


 衝撃の事実だ。
 10日後に豊栄共和国が攻め込んでくるらしい。
 その為に市民兵を組み込んだ伍で訓練するという。
 いきなりの戦争なので、けっこうドキドキしているが武功を残してやると気合が入っている。
 そういう事で明日から訓練が始まるので、今日のところは休息日となるのである。

 休めと言われても体が浮き上がる感じがして、どうも落ち着かないので寮の外で木刀を振る。
 まぁいつもの日課なので、そこまで疲労感は無い。
 上半身裸で木刀を振っていると、そこに伍長との話し合いを終えた水城がやって来る。


「こんな日にも修行するなんて凄いねぇ。僕は旅疲れで動くなんて無理だよぉ」

「あんな模擬戦をしておきながら、そんな言い方をするなんて嫌味くさい野郎だな」

「そんな事ないよぉ。あんな風に頑張んないと、この師団に入れないからさぁ」


 俺の修行を見ながらニヤニヤしているので、水城の方を見ずに修行を続けながら会話する。


「そんな事よりも、お前の方の伍長はどうだった?」

「僕の方の伍長ぉ? んー、顔が傷だらけのゴツい男の人だったよぉ。あの顔は顔面凶器だねぇ」


 水城の方は第1分隊の中でも、それなりに厳しい人らしく名前は《東坡 慶太とうば けいた》だ。
 顔中傷だらけで、一目見ればヤバい奴だと分かる。
 しかし怖いだけじゃなく、優しそうな一面はあるのでは無いかと思うと水城は語った。


「葵くんの方はどうだったぁ? 東坡伍長みたいに、顔面凶器みたいな人ぉ?」

「いや、俺の方は弱々しそうな人だったよ。だけど生き残ってるって事は、それなりに何かある人なんだよ」

「確かにそういう人が、1番生き残る感じがするから学べる事も多いんじゃない?」

「あの人から何1つ抜ける事なく盗んでやる。そして直ぐに伍長よりも上に行ってやるよ」


 水城と共に伍長に関する情報交換をして、一通りのメニューをこなしたところで今日は休む事にする。
 そして修行の日がやってきた。
 ラッパが鳴らされ訓練場に着替えて集まる。
 すると俺たちのような上等兵はピシッと並び、その俺たちと向かい合うように伍長が並んでいる。

 そして逞しい顔をした市民兵も準備万端だ。
 遂に伍としての訓練がスタートする。
 内容としては伍長の指示通りに動けるかというところから、有利にする為の戦い方などを指導する。
 俺としては激しいのを予想していたが、案外サラッとしていて期待外れ感は否めない。
 しかし学ぶと誓ったので真剣にやる。

 その訓練が10日間続いて初陣の時がやってきた。
 この前の反乱の時とは比べ物にならないくらいの緊張感があり、1人1人の顔に鬼神が宿ったようだ。
 俺も上等兵として凛々しい顔をして進軍する。
 俺と南須原伍長の伍には、チンピラのような兄弟が2人と弱々しそうな少年の5人だ。
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