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第2章・湯川平原の戦い(初陣) 編
023:青天の霹靂
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024:青天の霹靂
北星暦112年。
北星王国と豊栄共和国の国境にある〈阿賀城〉を、巡る戦争が激しさを増していた。
新潟郡と隣接している阿賀城は、豊栄の玄関口になっていて、北星にとっても重要拠点の1つだ。
豊栄共和国は北方軍を派遣した。
それに対して北星も2つの師団を用意し攻める。
規模は豊栄が14万に対し北星は18万強だ。
この戦争が始まるという事に、即位したばかりの尚人改め《天日王》は緊張している。
クーデターに関しては動じていなかった。
しかし今回の戦争に関しては、自分が王に即位して初めての戦争なので緊張しているのだろう。
ベランダに出て空を眺めている。
そこに新たな内務卿についた《伊永 章文》がやって来るのである。
「ここでしたか、天日王………先ほど第9師団と第8師団が、豊栄共和国に向けて出発しました」
「豊栄共和国か……この100年もの間、隣国として何度も戦争をしている国だな」
「この北星王国だけじゃなく、日中合衆国に京阪公国という強国と何度も戦争をしているおかけで戦い慣れをしている国です」
「それだけじゃ無いだろ? 豊栄共和国には日本4大士族の1人がいる。その存在を無視する事はできない」
やはり何年にも渡って戦争を繰り返している豊栄共和国は、この国にとっても強敵である。
そう簡単に勝てる相手では無い。
どれだけの犠牲が出るかは想定する事ができない。
もしもの事が多く発生する場合がある。
だが王として兵士たちの健闘を祈り、ここからできる限りの作戦を立てるのである。
「聞きましたが、今回の戦争には井出咲を討ち取った少年が初陣だとか」
「そうだな……アイツらしい出世をするには、絶好とも言える戦争だからな」
どうやら俺の噂は上層部にも広まっているらしい。
天日王は俺の初陣に、出世をするには絶好の戦争だと期待してくれているのである。
これは期待に応えなければいけない。
それが兵士としての務めだろう。
~~~~~~~~~~
俺たちは豊栄共和国に向けて出発している。
平民兵たちはドキドキしていて、俺と南須原伍長は比較的落ち着いている様子だ。
まぁ平民兵たちはドキドキしているとは言えども、募集に応募しているので覚悟はできているはずだ。
それよりも俺は気になる事ができた。
「南須原伍長、これって真っ直ぐ豊栄共和国に向かっているんですか?」
「いえ、豊栄共和国に入る前に〈喜多方城〉で軍備を整えてから戦争に向かいます」
俺は真っ直ぐ豊栄共和国に向かうのかと思った。
しかし喜多方城に入って、そこで戦争に向けて軍備を整えてから豊栄共和国に向かうと教えてくれた。
戦争ってそういう事なのかと思っていると、平民兵のチンピラ兄弟が俺たちに話しかけて来る。
「伍長と上等は、戦争は長いんですか?」
「南須原伍長は長いけど、俺に関しては今回の戦争が初陣になるんだよ」
「あぁ確かに月島上等は、お若いように見えますね」
「まぁ若く見えるっていうか、そもそも若いんだけど」
意外にもチンピラ風に見えるのは見た目だけで、喋ってみたら階級が上の人間には敬語を使えている。
そんなに悪い人間では無いらしい。
俺としても関係性が良い分には、活躍する機会が増えるので有り難い限りである。
もう1人の少し静かめの少年は、口数こそ少ないが必要な会話はしてくれるのでギリギリ助かる。
「あっ!? ちょっと待って下さい………これは少し大変な事になりました」
「な 南須原伍長?………どうかしましたか?」
いきなり南須原伍長は大きな声を出した。
普段は声が小さい人なので、いきなりの大きな声に伍の俺たちは驚いて言葉を失う。
何があったのかを、とりあえず聞いてみる。
「思い出したのですが、我々の入る喜多方城の城主である《扇 勝秀》様は………」
南須原伍長が言うには、喜多方城の城主である勝秀さまは〈喜多方の戦闘狂〉と呼ばれているくらい戦争が好きで、毎回のように死地に飛び込んでいるらしい。
そんなところに放り込まれれば、今回の戦争は地獄なようなものになってしまうと言う。
俺は口には出さなかったが、それくらいの方が武功が上げられるので良いのでは無いかと思う。
しかしこの場の空気からして言ったらダメだろう。
「何よりも今回の戦争をもって勝秀さまは、河辺陸軍大臣に師団を率いる事ができる中将に指名されて気合が入っているみたいなので………」
「そんな人なんですか!? それじゃあ今回の戦争で結果を残せば………ワクワクして来ますね!」
思わず言葉を出してしまった。
俺の言葉に伍長もそうだし、平民兵たちも驚きの表情で顔を見て来るのである。
俺は咳払いをしてから外方を向く。
そんな話で盛り上がっていると、北星王国の騎馬が一騎近寄って来るのである。
どうしたのかと思っていると、騎馬に乗っている兵士は大きな声で「伍長、集まれ!」と叫ぶ。
さらに疑問が深まった。
続けて「伍長以外は、その場で待機!」という。
そう言われたので伍長は伍を離れて、俺たちはその場で待機するのである。
「月島上等、何があったんでしょうか?」
「詳しくは分からないけど、明らかに何かあったのは確かだよな………」
平民兵たちは何かあったのかと俺に聞いて来た。
しかし俺も初陣だし、何があったのかは全くもって分からないのだが、唯一分かる事は大変な事になったのでは無いだろうかという嫌な予感だ。
どんな話を今しているのかと気になる。
早く伍長が帰って来ないだろうか。
そんな風に思っていると、1時間くらいして南須原伍長は顔を青くして帰って来たのである。
他の伍長たちも同じで少し離れたところに、伍のメンバーを呼んで説明をしてくれる。
「驚かないで聞いて欲しいんですけど………さっき伝令が入ったらしいのですが、少し前に喜多方城が陥落してしまったみたいです」
「えっ喜多方城が陥落したんですか!? 城主の勝秀中将は、強い将軍なんじゃなかったんですか!」
「確かに強い将軍ではあるんですが………今回は相手が悪かったみたいです。しかも中将だけじゃなく、場内にいた人間たちが皆殺しにされたらしいです」
「なっ!? 女子供も皆殺しですか………俺は今回が初陣なので、よく分からないんですけど。戦争というのは女子供も殺すものなんですか?」
「いえ普通ならば女性や子供たちは見逃される事がほとんどで、今回のようなケースは………稀なんです」
あまりにも衝撃的な内容だ。
これから入場するはずだった喜多方城が、豊栄共和国の兵によって陥落させられたという。
しかも中将だけじゃなく城内に居た女子供も、豊栄共和国によって皆殺しにされたという。
信じられない話に俺は立ち上がって言葉を失う。
北星暦112年。
北星王国と豊栄共和国の国境にある〈阿賀城〉を、巡る戦争が激しさを増していた。
新潟郡と隣接している阿賀城は、豊栄の玄関口になっていて、北星にとっても重要拠点の1つだ。
豊栄共和国は北方軍を派遣した。
それに対して北星も2つの師団を用意し攻める。
規模は豊栄が14万に対し北星は18万強だ。
この戦争が始まるという事に、即位したばかりの尚人改め《天日王》は緊張している。
クーデターに関しては動じていなかった。
しかし今回の戦争に関しては、自分が王に即位して初めての戦争なので緊張しているのだろう。
ベランダに出て空を眺めている。
そこに新たな内務卿についた《伊永 章文》がやって来るのである。
「ここでしたか、天日王………先ほど第9師団と第8師団が、豊栄共和国に向けて出発しました」
「豊栄共和国か……この100年もの間、隣国として何度も戦争をしている国だな」
「この北星王国だけじゃなく、日中合衆国に京阪公国という強国と何度も戦争をしているおかけで戦い慣れをしている国です」
「それだけじゃ無いだろ? 豊栄共和国には日本4大士族の1人がいる。その存在を無視する事はできない」
やはり何年にも渡って戦争を繰り返している豊栄共和国は、この国にとっても強敵である。
そう簡単に勝てる相手では無い。
どれだけの犠牲が出るかは想定する事ができない。
もしもの事が多く発生する場合がある。
だが王として兵士たちの健闘を祈り、ここからできる限りの作戦を立てるのである。
「聞きましたが、今回の戦争には井出咲を討ち取った少年が初陣だとか」
「そうだな……アイツらしい出世をするには、絶好とも言える戦争だからな」
どうやら俺の噂は上層部にも広まっているらしい。
天日王は俺の初陣に、出世をするには絶好の戦争だと期待してくれているのである。
これは期待に応えなければいけない。
それが兵士としての務めだろう。
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俺たちは豊栄共和国に向けて出発している。
平民兵たちはドキドキしていて、俺と南須原伍長は比較的落ち着いている様子だ。
まぁ平民兵たちはドキドキしているとは言えども、募集に応募しているので覚悟はできているはずだ。
それよりも俺は気になる事ができた。
「南須原伍長、これって真っ直ぐ豊栄共和国に向かっているんですか?」
「いえ、豊栄共和国に入る前に〈喜多方城〉で軍備を整えてから戦争に向かいます」
俺は真っ直ぐ豊栄共和国に向かうのかと思った。
しかし喜多方城に入って、そこで戦争に向けて軍備を整えてから豊栄共和国に向かうと教えてくれた。
戦争ってそういう事なのかと思っていると、平民兵のチンピラ兄弟が俺たちに話しかけて来る。
「伍長と上等は、戦争は長いんですか?」
「南須原伍長は長いけど、俺に関しては今回の戦争が初陣になるんだよ」
「あぁ確かに月島上等は、お若いように見えますね」
「まぁ若く見えるっていうか、そもそも若いんだけど」
意外にもチンピラ風に見えるのは見た目だけで、喋ってみたら階級が上の人間には敬語を使えている。
そんなに悪い人間では無いらしい。
俺としても関係性が良い分には、活躍する機会が増えるので有り難い限りである。
もう1人の少し静かめの少年は、口数こそ少ないが必要な会話はしてくれるのでギリギリ助かる。
「あっ!? ちょっと待って下さい………これは少し大変な事になりました」
「な 南須原伍長?………どうかしましたか?」
いきなり南須原伍長は大きな声を出した。
普段は声が小さい人なので、いきなりの大きな声に伍の俺たちは驚いて言葉を失う。
何があったのかを、とりあえず聞いてみる。
「思い出したのですが、我々の入る喜多方城の城主である《扇 勝秀》様は………」
南須原伍長が言うには、喜多方城の城主である勝秀さまは〈喜多方の戦闘狂〉と呼ばれているくらい戦争が好きで、毎回のように死地に飛び込んでいるらしい。
そんなところに放り込まれれば、今回の戦争は地獄なようなものになってしまうと言う。
俺は口には出さなかったが、それくらいの方が武功が上げられるので良いのでは無いかと思う。
しかしこの場の空気からして言ったらダメだろう。
「何よりも今回の戦争をもって勝秀さまは、河辺陸軍大臣に師団を率いる事ができる中将に指名されて気合が入っているみたいなので………」
「そんな人なんですか!? それじゃあ今回の戦争で結果を残せば………ワクワクして来ますね!」
思わず言葉を出してしまった。
俺の言葉に伍長もそうだし、平民兵たちも驚きの表情で顔を見て来るのである。
俺は咳払いをしてから外方を向く。
そんな話で盛り上がっていると、北星王国の騎馬が一騎近寄って来るのである。
どうしたのかと思っていると、騎馬に乗っている兵士は大きな声で「伍長、集まれ!」と叫ぶ。
さらに疑問が深まった。
続けて「伍長以外は、その場で待機!」という。
そう言われたので伍長は伍を離れて、俺たちはその場で待機するのである。
「月島上等、何があったんでしょうか?」
「詳しくは分からないけど、明らかに何かあったのは確かだよな………」
平民兵たちは何かあったのかと俺に聞いて来た。
しかし俺も初陣だし、何があったのかは全くもって分からないのだが、唯一分かる事は大変な事になったのでは無いだろうかという嫌な予感だ。
どんな話を今しているのかと気になる。
早く伍長が帰って来ないだろうか。
そんな風に思っていると、1時間くらいして南須原伍長は顔を青くして帰って来たのである。
他の伍長たちも同じで少し離れたところに、伍のメンバーを呼んで説明をしてくれる。
「驚かないで聞いて欲しいんですけど………さっき伝令が入ったらしいのですが、少し前に喜多方城が陥落してしまったみたいです」
「えっ喜多方城が陥落したんですか!? 城主の勝秀中将は、強い将軍なんじゃなかったんですか!」
「確かに強い将軍ではあるんですが………今回は相手が悪かったみたいです。しかも中将だけじゃなく、場内にいた人間たちが皆殺しにされたらしいです」
「なっ!? 女子供も皆殺しですか………俺は今回が初陣なので、よく分からないんですけど。戦争というのは女子供も殺すものなんですか?」
「いえ普通ならば女性や子供たちは見逃される事がほとんどで、今回のようなケースは………稀なんです」
あまりにも衝撃的な内容だ。
これから入場するはずだった喜多方城が、豊栄共和国の兵によって陥落させられたという。
しかも中将だけじゃなく城内に居た女子供も、豊栄共和国によって皆殺しにされたという。
信じられない話に俺は立ち上がって言葉を失う。
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