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第2章・湯川平原の戦い(初陣) 編
000:エピローグ
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000:エピローグ
檜大将はグッと右拳を天に掲げる。
すると檜軍の副官《太多 浩貴》中将が「勝鬨だぁああ!!」と叫ぶのである。
すると王国軍の兵士たちは「うぉおおお!!!」と戦場が地響きが起きるくらいの声で叫ぶ。
しかし歓声を上げながら俺たちは警戒をした。
それは総大将を失った共和国兵が、復讐に燃えて全軍で攻めてくる可能性がある。
檜将軍について来た兵士は3000人に対し、それを囲む共和国兵の数は1万を超えている。
しかし落とした肩を上げる者は1人もいなかった。
間堂という武将の存在は、それだけ共和国軍にとって大きすぎる存在だったのである。
唯一共和国軍の中で戦意を取り戻す可能性が持つ、副将《白河 欧祭》の前に、この男が立ちはだかる。
「久しぶりに良い戦いを見せて貰ったぞ。だが、これ以上の戦いは蛇足以外の何ものでもないだろ………それとも今の一騎打ち以上の戦いを、この牛丸とやる自信があるというのかな?」
そう白河の目の前に現れたのは牛丸元帥である。
これ以上、無用な戦いをするのならば自分が相手になると剣を鞘から抜こうとする。
それを見た白河はマズイと判断。
そのまま共和国軍を撤退させるのである。
共和国軍が撤退していくのを丘の上から見ている伍長たちは、この激しい戦いを生き残ったと喜ぶ。
この伍隊を守っていた花菱は座って優しく戦場を見つめて「はは……」と笑うのである。
そして伍隊の人たちが、俺のところにやってくる。
そんな俺を牛丸元帥は父親のような眼差しをむけてくれて、少し微笑んでから檜大将の方に馬を向ける。
そのまま檜大将に話しかけるのである。
「随分と久しいな檜大将」
「おぉ牛丸かっ! 貴様が丘の上から睨んでいた事で、だいぶと助けられたわ!」
「いやいや俺は、ただ通りかかって見学してただけですから、そんなお礼を言われるほどでは」
檜大将は牛丸元帥の顔を見るなり、睨みを効かせてくれていたから助かったというのである。
しかしそれに対して元帥は謙遜する。
本人は謙遜してはいるが、元帥が丘の上に鎮座していたのは多少なりとも意味があったと言える。
総大将を倒して決着は着いたが、その後の無駄な戦いを止めたのは元帥である。
「ところで大将、ここからどうするつもりなんです?」
と元帥は檜大将に聞いた。
それを近くで聞いていた俺たちの中で、チンピラ兄弟の智と正がある事に気がついた。
何に気がついたのかというと、元々この戦争は阿賀城を攻めるという戦争であり、ここ以外にまだ到着していない無傷の軍がいる。
もしかしたら今から新たな戦いに行くのでは無いのかという事だったのである。
それに気がついた俺たちはゾッとする。
俺としては別に良いが、伍隊の人たちが怯えている。
ゆっくりと全員で檜大将の方を見る。
「1度燃え上がった炎を、またすぐさま起こし直すのは至難の業………全軍に告ぐっ! 帰国だぁ!」
さすがの檜大将も、ここから攻め上がるには士気が足りないとして今回の戦争は終了すると宣言する。
その宣言に歩兵たちは涙を流しながら歓喜した。
「牛丸、会津若松城まで着いて来い! そこで酒だ」
「残念ですが、このあと用事があるので……」
「牛丸、酒を飲むぞ!」
檜大将は元帥に酒を飲もうと誘うが、用事があるから遠慮すると断りを入れるのである。
しかし檜大将は力強く「酒を飲むぞ!」と詰め寄る。
こうなったら檜大将は引き下がらないと知っている。
すると元帥は明らかな苦笑いを浮かべる。
これにて北星暦112年の北星王国と豊栄共和国による〈湯川平原の戦い〉は終了するのである。
その後、会津若松城に戻った。
そこで目にした光景は、戦死した歩兵や騎兵の家族たちが涙を流して遺体に縋り付いている姿だった。
この姿を見ると父ちゃんと母ちゃんの事を思い出す。
武功は上げたが、それと同じくらい戦争とは何かを理解する事ができたのである。
檜大将はグッと右拳を天に掲げる。
すると檜軍の副官《太多 浩貴》中将が「勝鬨だぁああ!!」と叫ぶのである。
すると王国軍の兵士たちは「うぉおおお!!!」と戦場が地響きが起きるくらいの声で叫ぶ。
しかし歓声を上げながら俺たちは警戒をした。
それは総大将を失った共和国兵が、復讐に燃えて全軍で攻めてくる可能性がある。
檜将軍について来た兵士は3000人に対し、それを囲む共和国兵の数は1万を超えている。
しかし落とした肩を上げる者は1人もいなかった。
間堂という武将の存在は、それだけ共和国軍にとって大きすぎる存在だったのである。
唯一共和国軍の中で戦意を取り戻す可能性が持つ、副将《白河 欧祭》の前に、この男が立ちはだかる。
「久しぶりに良い戦いを見せて貰ったぞ。だが、これ以上の戦いは蛇足以外の何ものでもないだろ………それとも今の一騎打ち以上の戦いを、この牛丸とやる自信があるというのかな?」
そう白河の目の前に現れたのは牛丸元帥である。
これ以上、無用な戦いをするのならば自分が相手になると剣を鞘から抜こうとする。
それを見た白河はマズイと判断。
そのまま共和国軍を撤退させるのである。
共和国軍が撤退していくのを丘の上から見ている伍長たちは、この激しい戦いを生き残ったと喜ぶ。
この伍隊を守っていた花菱は座って優しく戦場を見つめて「はは……」と笑うのである。
そして伍隊の人たちが、俺のところにやってくる。
そんな俺を牛丸元帥は父親のような眼差しをむけてくれて、少し微笑んでから檜大将の方に馬を向ける。
そのまま檜大将に話しかけるのである。
「随分と久しいな檜大将」
「おぉ牛丸かっ! 貴様が丘の上から睨んでいた事で、だいぶと助けられたわ!」
「いやいや俺は、ただ通りかかって見学してただけですから、そんなお礼を言われるほどでは」
檜大将は牛丸元帥の顔を見るなり、睨みを効かせてくれていたから助かったというのである。
しかしそれに対して元帥は謙遜する。
本人は謙遜してはいるが、元帥が丘の上に鎮座していたのは多少なりとも意味があったと言える。
総大将を倒して決着は着いたが、その後の無駄な戦いを止めたのは元帥である。
「ところで大将、ここからどうするつもりなんです?」
と元帥は檜大将に聞いた。
それを近くで聞いていた俺たちの中で、チンピラ兄弟の智と正がある事に気がついた。
何に気がついたのかというと、元々この戦争は阿賀城を攻めるという戦争であり、ここ以外にまだ到着していない無傷の軍がいる。
もしかしたら今から新たな戦いに行くのでは無いのかという事だったのである。
それに気がついた俺たちはゾッとする。
俺としては別に良いが、伍隊の人たちが怯えている。
ゆっくりと全員で檜大将の方を見る。
「1度燃え上がった炎を、またすぐさま起こし直すのは至難の業………全軍に告ぐっ! 帰国だぁ!」
さすがの檜大将も、ここから攻め上がるには士気が足りないとして今回の戦争は終了すると宣言する。
その宣言に歩兵たちは涙を流しながら歓喜した。
「牛丸、会津若松城まで着いて来い! そこで酒だ」
「残念ですが、このあと用事があるので……」
「牛丸、酒を飲むぞ!」
檜大将は元帥に酒を飲もうと誘うが、用事があるから遠慮すると断りを入れるのである。
しかし檜大将は力強く「酒を飲むぞ!」と詰め寄る。
こうなったら檜大将は引き下がらないと知っている。
すると元帥は明らかな苦笑いを浮かべる。
これにて北星暦112年の北星王国と豊栄共和国による〈湯川平原の戦い〉は終了するのである。
その後、会津若松城に戻った。
そこで目にした光景は、戦死した歩兵や騎兵の家族たちが涙を流して遺体に縋り付いている姿だった。
この姿を見ると父ちゃんと母ちゃんの事を思い出す。
武功は上げたが、それと同じくらい戦争とは何かを理解する事ができたのである。
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