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第4章・郡山市の戦い 編
098:動き
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098:動き
俺たちは元帥の前に整列し敬礼をする。
元帥は馬上の上から、月虎隊の生存している兵士たちを一通り見渡すのである。
「最上については進みながら聞くとして、それにしても一夜にして半分以下になったもんだな月虎隊は………月島准尉、つらいか?」
「今は深く考えないようにしています。今そこを考えると、この場に蹲って動けなくなってしまいそうで」
辛いかと聞かれた俺は確かに辛いが、その事を考えると蹲ったまま立てなくなりそうなので考えない。
「だけど死んだ人間は、そんな事を絶対に望んでいないと思います。なので今は、この生き残った56人でどうやって武功を上げるか………それだけを考えてます」
「はっはっはっ! せっかく励ましてやろうと思ったのに、そんな必要はなさそうだな、有寿」
「はい! つまらぬガキです」
俺は今の生き残った人間たちで、どうやって武功を上げるかだけを考えているの元帥に言った。
すると元帥は励まそうとしていたらしいが、有寿中将につまらないガキと言われて複雑な感じがする。
「お前の姿勢は悪くないぞ、大武将への道は犠牲の道と言っても良い。そこを乗り越える度に、人間も部隊も強く大きくなるものだ………そうならねばならない。月虎隊と名付けた甲斐があるな」
元帥の言葉が俺たちの胸にスッと入ってくる。
確かに大きな犠牲を出しながらも、数々の死戦を潜り抜けて人間と隊は強くなると言うのである。
それこそが大武将への近道だと教えてくれる。
「それじゃあ行くぞ……決戦が近づいている」
元帥は軍と俺たちに出発するというのである。
そして元帥の勘では、もう少しで戦争の決戦が近づいていると言葉にする。
一方で日中軍本陣でも動きがあった。
それは染谷たちがいる本陣天幕に、今まで本陣に入る事が無かった最上が戻って来たのである。
直ぐに兵士たちは敬礼をして最上を出迎える。
染谷も同じく敬礼をして総大将を迎えた。
「とにかくご無事で何よりです」
「許せ、牛丸が出たと思って勝手をした」
「いえ……最上さまがご無事であれば、作戦に何ら支障はありません………しかし今度からは、私に一声かけてから出陣なさって下さい。さもなくば全てが台無しになるところでした」
最上は素直に勝手な事をしたと染谷に謝る。
しかしそれに対して染谷は許すのであるが、どこか怒っているように見えるのである。
確かに作戦は最上を中心としているので、その最上に何かがあれば作戦が総崩れとなる。
だからこそ軍師として怒っているのだ。
その叱りに最上は「案ずるな」と言うのである。
「急報だぁ! 道を開けろぉ!」
そんな風に伝令兵がやって来た。
本陣後方に狼煙が上がっている事を伝える。
そしてその狼煙の意味が、塩丈が討死したという報告の狼煙であるとも伝えた。
それを聞いた本陣の人間たちは驚く。
染谷はどうして北星軍よりも後ろにいたはずの塩丈が誰に討たれるのかと考える。
するとある可能性を染谷は気がついた。
「狼煙は、もう1本上がって居なかったか?」
「は はい……確かに狼煙は2本上がって居ました」
「もう1本は……牛丸の出陣を知らせる狼煙だ」
染谷は今の今まで本人が動く事が無かった元帥が、遂に動いた事にニヤッと笑うのである。
警戒心が強かった元帥が、遂に山間に入って来た。
結果的に最上の夜襲が元帥を山間に誘い込んだのだ。
染谷的には塩丈を失った事が大きな痛手ではあるが、この日中軍にとっては致命傷にはならない。
ここからそれぞれの軍が、北星軍の各軍を捕まえて足止めを図る為に動く。
そうした中で孤軍となった牛丸軍を、この本陣が迫る事で勝利する事ができるという。
先を読むのが難しい山間での戦況が、自分の描いた通りに進んでいる事に染谷は興奮を覚えていた。
しかし染谷は1つだけ読み違いをしていた。
それは柳本中将の機動力である。
夜明け前に移動を開始した柳本軍は、なんと日中軍本陣を視界に入れていた。
「あれが奴らの本陣か?」
「間違いありません」
曄道少将は柳本中将に同行している。
そして曄道少将の道案内で柳本中将たちはやって来たのであるが、柳本中将は曄道少将を貴様呼ばわりする。
なので曄道少将は自分の名前を名乗るなどをして、何とも言えないような関係である。
「見事な道案内だった。この戦争が終わったら、牛丸なんて捨てて俺の下に着け」
「はっはっはっ! ご冗談を……しかし武将としては、ありがたいお言葉ですね。ところで本来なら味方の軍を背後に回らせたいところですが」
「いらぬ、ここまで近づけば………もはや逃さぬ!」
柳本・曄道の連合軍が6万で、日中軍本陣8万に向かって襲いかかったのである。
一方で戦場を見渡せる別の場所に、移動した淳士たちは戦場を見つめている。
実里は狼煙が上がっている事に気がつく。
しかし他の軍師たちは、それどころでは無い。
「ってそれしか分からぬでは無いか! クソッやはり高台から見渡しても山中の戦況は分からぬか」
「本当に把握できないという事が分かったのも大きな発見だと思いますよ。山間での戦いは、我々が思っている以上に厳しいという事です」
軍師たちは全くもって戦況が分からないという事で苛立ってるが、それに対して淳士は意見が違った。
軍師にとって山間での戦いが厳しいという事を知れたのは、とても大きい事だと言ったのである。
「例えばどこにいるのか分からない友軍に、何かを伝えるには狼煙しか方法は無い。しかし狼煙を上げれば、自分たちの居場所を知らせてしまう。よほど大きな理由が無ければ上げられない」
「じゃああの狼煙は何の意味があるんだろ?」
狼煙の意味についても淳士が説明すると、実里は上がっている狼煙にはどんな意味があるのかと聞く。
「分からないよ。部外者の僕達には、どっちの軍のものかも分からない」
「狼煙の他にも伝達手段はあるみたいですよ」
「何ですか、立花さん?」
狼煙の意味については分からないし、そもそもどちらの狼煙なのかも分からないと話す。
すると立花が狼煙以外にも伝達手段はあるという。
どういう事なのかと思って続きを聞いてみる。
「あの旗ですよ。ご覧なさい、北星軍本陣の旗が早朝とは変わってますよ」
立花が指差す先には北星軍の本陣があり、そこの掲げられている旗が早朝とは変わっているみたいだ。
俺たちは元帥の前に整列し敬礼をする。
元帥は馬上の上から、月虎隊の生存している兵士たちを一通り見渡すのである。
「最上については進みながら聞くとして、それにしても一夜にして半分以下になったもんだな月虎隊は………月島准尉、つらいか?」
「今は深く考えないようにしています。今そこを考えると、この場に蹲って動けなくなってしまいそうで」
辛いかと聞かれた俺は確かに辛いが、その事を考えると蹲ったまま立てなくなりそうなので考えない。
「だけど死んだ人間は、そんな事を絶対に望んでいないと思います。なので今は、この生き残った56人でどうやって武功を上げるか………それだけを考えてます」
「はっはっはっ! せっかく励ましてやろうと思ったのに、そんな必要はなさそうだな、有寿」
「はい! つまらぬガキです」
俺は今の生き残った人間たちで、どうやって武功を上げるかだけを考えているの元帥に言った。
すると元帥は励まそうとしていたらしいが、有寿中将につまらないガキと言われて複雑な感じがする。
「お前の姿勢は悪くないぞ、大武将への道は犠牲の道と言っても良い。そこを乗り越える度に、人間も部隊も強く大きくなるものだ………そうならねばならない。月虎隊と名付けた甲斐があるな」
元帥の言葉が俺たちの胸にスッと入ってくる。
確かに大きな犠牲を出しながらも、数々の死戦を潜り抜けて人間と隊は強くなると言うのである。
それこそが大武将への近道だと教えてくれる。
「それじゃあ行くぞ……決戦が近づいている」
元帥は軍と俺たちに出発するというのである。
そして元帥の勘では、もう少しで戦争の決戦が近づいていると言葉にする。
一方で日中軍本陣でも動きがあった。
それは染谷たちがいる本陣天幕に、今まで本陣に入る事が無かった最上が戻って来たのである。
直ぐに兵士たちは敬礼をして最上を出迎える。
染谷も同じく敬礼をして総大将を迎えた。
「とにかくご無事で何よりです」
「許せ、牛丸が出たと思って勝手をした」
「いえ……最上さまがご無事であれば、作戦に何ら支障はありません………しかし今度からは、私に一声かけてから出陣なさって下さい。さもなくば全てが台無しになるところでした」
最上は素直に勝手な事をしたと染谷に謝る。
しかしそれに対して染谷は許すのであるが、どこか怒っているように見えるのである。
確かに作戦は最上を中心としているので、その最上に何かがあれば作戦が総崩れとなる。
だからこそ軍師として怒っているのだ。
その叱りに最上は「案ずるな」と言うのである。
「急報だぁ! 道を開けろぉ!」
そんな風に伝令兵がやって来た。
本陣後方に狼煙が上がっている事を伝える。
そしてその狼煙の意味が、塩丈が討死したという報告の狼煙であるとも伝えた。
それを聞いた本陣の人間たちは驚く。
染谷はどうして北星軍よりも後ろにいたはずの塩丈が誰に討たれるのかと考える。
するとある可能性を染谷は気がついた。
「狼煙は、もう1本上がって居なかったか?」
「は はい……確かに狼煙は2本上がって居ました」
「もう1本は……牛丸の出陣を知らせる狼煙だ」
染谷は今の今まで本人が動く事が無かった元帥が、遂に動いた事にニヤッと笑うのである。
警戒心が強かった元帥が、遂に山間に入って来た。
結果的に最上の夜襲が元帥を山間に誘い込んだのだ。
染谷的には塩丈を失った事が大きな痛手ではあるが、この日中軍にとっては致命傷にはならない。
ここからそれぞれの軍が、北星軍の各軍を捕まえて足止めを図る為に動く。
そうした中で孤軍となった牛丸軍を、この本陣が迫る事で勝利する事ができるという。
先を読むのが難しい山間での戦況が、自分の描いた通りに進んでいる事に染谷は興奮を覚えていた。
しかし染谷は1つだけ読み違いをしていた。
それは柳本中将の機動力である。
夜明け前に移動を開始した柳本軍は、なんと日中軍本陣を視界に入れていた。
「あれが奴らの本陣か?」
「間違いありません」
曄道少将は柳本中将に同行している。
そして曄道少将の道案内で柳本中将たちはやって来たのであるが、柳本中将は曄道少将を貴様呼ばわりする。
なので曄道少将は自分の名前を名乗るなどをして、何とも言えないような関係である。
「見事な道案内だった。この戦争が終わったら、牛丸なんて捨てて俺の下に着け」
「はっはっはっ! ご冗談を……しかし武将としては、ありがたいお言葉ですね。ところで本来なら味方の軍を背後に回らせたいところですが」
「いらぬ、ここまで近づけば………もはや逃さぬ!」
柳本・曄道の連合軍が6万で、日中軍本陣8万に向かって襲いかかったのである。
一方で戦場を見渡せる別の場所に、移動した淳士たちは戦場を見つめている。
実里は狼煙が上がっている事に気がつく。
しかし他の軍師たちは、それどころでは無い。
「ってそれしか分からぬでは無いか! クソッやはり高台から見渡しても山中の戦況は分からぬか」
「本当に把握できないという事が分かったのも大きな発見だと思いますよ。山間での戦いは、我々が思っている以上に厳しいという事です」
軍師たちは全くもって戦況が分からないという事で苛立ってるが、それに対して淳士は意見が違った。
軍師にとって山間での戦いが厳しいという事を知れたのは、とても大きい事だと言ったのである。
「例えばどこにいるのか分からない友軍に、何かを伝えるには狼煙しか方法は無い。しかし狼煙を上げれば、自分たちの居場所を知らせてしまう。よほど大きな理由が無ければ上げられない」
「じゃああの狼煙は何の意味があるんだろ?」
狼煙の意味についても淳士が説明すると、実里は上がっている狼煙にはどんな意味があるのかと聞く。
「分からないよ。部外者の僕達には、どっちの軍のものかも分からない」
「狼煙の他にも伝達手段はあるみたいですよ」
「何ですか、立花さん?」
狼煙の意味については分からないし、そもそもどちらの狼煙なのかも分からないと話す。
すると立花が狼煙以外にも伝達手段はあるという。
どういう事なのかと思って続きを聞いてみる。
「あの旗ですよ。ご覧なさい、北星軍本陣の旗が早朝とは変わってますよ」
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