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第4章・郡山市の戦い 編
099:最上の罠
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099:最上の罠
染谷軍と柳本・曄道軍の戦いは大混戦となっていた。
序盤こそ急襲した柳本軍が猛威を振るっていた。
染谷軍の巧みな応撃の前に勢いを止められ両軍の力は拮抗していたのである。
兵の力自体は柳本・曄道軍の方が上だ。
日中軍の備えが予想以上に、こちらの戦力を奪う。
だが、それでも柳本を先頭に北星軍が徐々に日中軍を押し込んでいった。
「(日中軍が少し退がり始めたか。さすがは柳本中将と言ったところか………しかしこのまま押し込むなら一気に決まりかねないな。思ったよりも奥深くまで来てしまったな、本陣があんなに小さくなっている。これ以上進んでしまうと殿の禁を破ってしまうな………とは言っても、ここで戦を止めるわけにはいかないしな)」
日中軍が退がり始めて下手したら一気に決着がつくかも知れないというところだが、敵陣深くに入りすぎて本陣が小さくなって来ている。
しかしこんなところで止めて撤退するわけにはいかないので、このまま戦いは続きそうだ。
そんな時に先頭の方で北星兵の体の一部が高く待っている事に曄道少将は気がつく。
その事に柳本中将も気がついて顔を上げると、そこには最上が迫っていたのである。
一方で北星軍の本陣である元帥たちは、敵本陣に向かって進軍していた。
すると敵本陣の知らせる狼煙が上がっている事に気がついて、それが曄道少将が知らせていると分かる。
抜かりない男だと思いながら、元帥は敵本陣を知らせる狼煙が深くから上がっている事に気がつく。
曄道少将たちの攻撃が遅かったのではなく、染谷たちが退くのが早かったのだと元帥は思った。
「曄道は柳本中将と一緒にいます」
「という事は既に合戦になっていると考えるのが自然だな。本陣の指揮を取るのは、もちろん染谷なんだろう。もしそこに最上が絡んでくるとしたら……さすがに先が読みづらいな。こうなると少々、柳本が気になってくるな」
染谷に加えて最上が絡んでくるとなると、さすがの柳本中将とは言えども元帥は気になるという。
その言葉通りに柳本中将と最上は睨み合っている。
それ周りで見ている人間たちも、これは激しい戦いになると戦う前から思ってしまう。
「(まさかこんな早く最上が出てくるとは………いや、この神出鬼没さが最上か。我らの本陣の旗の位置からして殿は既に山間に入られたはず。俺の上げた狼煙で、数刻後にはやって来られるはずだ)」
曄道少将は色々と考えているが、こんなに早く最上が戦場に出てくるとは思っていなかった。
もう少ししたら狼煙を上げて場所を知った元帥たちが合流するだろうとも考えている。
しかしその前に決着をつけてやろうと思った。
「柳本軍、曄道軍の全軍に告ぐっ! あの長髪のローブを着た男こそが、合衆国総大将の最上だ!」
曄道少将は全軍に日中軍の総大将である最上が現れたと宣言するのである。
「日中軍総大将・最上が、のこのこ現れたぞ! 取り囲んで首を取れ!」
最上の首を取る為に軍が動き始める中で、柳本中将はジッと最上を見つめている。
そして「あの男が総大将……最上か」と思った。
「(道理で一目で、只者では無いと思った………いや、これほど強烈な武力の匂いがする男は初めてだ)」
柳本中将も本能的に武力を追求する人間だと認めるほどの気配を、最上は放っているのである。
すると柳本中将は気がついた。
自分が冷や汗をかいている事に。
「(この俺が冷や汗だと!? 面白い!)」
そう思うと柳本中将は、最上に向かって突撃した。
確かに柳本中将は化け物ではあるが、柳本中将も決して負けているわけじゃない。
もしかしたら、この戦争が決着するかも知れないと曄道少将は思ったのである。
その瞬間、最上は馬を走らせて逃亡した。
あの最上が柳本中将を恐れたのかと思われたが、最上は少し顔を柳本中将の方に向けてニヤッと笑う。
これは柳本中将が最上にとって力不足とでも言っているようなものである。
「おのれ貴様……逃げられると思うなぁ!」
「柳本さまに続けぇ!」
『うぉおおおお!!!!!』
柳本中将は逃げられるわけにはいかないと突撃し、柳本軍も後を追っていく。
曄道少将の側近も「直ぐに追いましょう!」という。
曄道少将は違和感を感じていた。
しかしどんな違和感なのかは分かっておらず、最上を討つチャンスである事には変わりないと後を追う。
柳本中将の軍と、曄道少将の軍が最上を追って突撃しているのを崖の上から染谷が見ている。
そして出陣前に最上と話していた内容を思い出す。
「では最上さま、よろしくお願いします。念を押しますが柳本との戦闘は回避して下さい。例え血が騒いだとしてもです………」
「案ずるな……牛丸が近づきつつある事は俺も分かる」
そう話していたのである。
そして染谷の側近である男は「恐ろしい人だ……」と心の中で思っている。
自軍の総大将を囮に使っているからだ。
「染谷さま! 北星軍の半分が、最上さまの後を追っていきました!」
「そうか……よし」
染谷は部下から柳本中将たちが、最上の後を追っているという報告を受けてニヤッと笑う。
その時、曄道少将は違和感にようやく気がついた。
「ちょっと待て………ここはマズイ!」
ここは両側を崖で挟まれている1本道だ。
軍は縦に細くなり身を隠す場所なんて1つも無ければ退路も前と後ろの2つのみ。
伏兵に奇襲と計略を用いるのに、こんな絶好的な
場所は他には無いだろう。
これは明らかな罠であると気がついた。
「止まれ、柳本中将っ! この地は危険だ!」
曄道少将は必死に呼び止めようとするが、柳本中将はその全てを無視して進軍し続ける。
本当にヤバいのだと必死に声をかけ続ける。
しかしそれを側近の男が止めるように言う。
「貴様、余計な進言をするな! 殿とて、これが敵の手中である事は理解している………」
「なに!? それじゃあ……」
「だがそれがどうした? 奴らが何を仕掛けて来ようとも、たとえ万の伏兵が待ち伏せしていようが………この柳本軍の進撃は誰にも止められぬ!」
そういった瞬間、崖の上から大きな岩が大量に落ちてくるのである。
そして兵士たちが岩に潰されてしまった。
この光景に柳本中将はギリッと苦渋を飲む。
染谷軍と柳本・曄道軍の戦いは大混戦となっていた。
序盤こそ急襲した柳本軍が猛威を振るっていた。
染谷軍の巧みな応撃の前に勢いを止められ両軍の力は拮抗していたのである。
兵の力自体は柳本・曄道軍の方が上だ。
日中軍の備えが予想以上に、こちらの戦力を奪う。
だが、それでも柳本を先頭に北星軍が徐々に日中軍を押し込んでいった。
「(日中軍が少し退がり始めたか。さすがは柳本中将と言ったところか………しかしこのまま押し込むなら一気に決まりかねないな。思ったよりも奥深くまで来てしまったな、本陣があんなに小さくなっている。これ以上進んでしまうと殿の禁を破ってしまうな………とは言っても、ここで戦を止めるわけにはいかないしな)」
日中軍が退がり始めて下手したら一気に決着がつくかも知れないというところだが、敵陣深くに入りすぎて本陣が小さくなって来ている。
しかしこんなところで止めて撤退するわけにはいかないので、このまま戦いは続きそうだ。
そんな時に先頭の方で北星兵の体の一部が高く待っている事に曄道少将は気がつく。
その事に柳本中将も気がついて顔を上げると、そこには最上が迫っていたのである。
一方で北星軍の本陣である元帥たちは、敵本陣に向かって進軍していた。
すると敵本陣の知らせる狼煙が上がっている事に気がついて、それが曄道少将が知らせていると分かる。
抜かりない男だと思いながら、元帥は敵本陣を知らせる狼煙が深くから上がっている事に気がつく。
曄道少将たちの攻撃が遅かったのではなく、染谷たちが退くのが早かったのだと元帥は思った。
「曄道は柳本中将と一緒にいます」
「という事は既に合戦になっていると考えるのが自然だな。本陣の指揮を取るのは、もちろん染谷なんだろう。もしそこに最上が絡んでくるとしたら……さすがに先が読みづらいな。こうなると少々、柳本が気になってくるな」
染谷に加えて最上が絡んでくるとなると、さすがの柳本中将とは言えども元帥は気になるという。
その言葉通りに柳本中将と最上は睨み合っている。
それ周りで見ている人間たちも、これは激しい戦いになると戦う前から思ってしまう。
「(まさかこんな早く最上が出てくるとは………いや、この神出鬼没さが最上か。我らの本陣の旗の位置からして殿は既に山間に入られたはず。俺の上げた狼煙で、数刻後にはやって来られるはずだ)」
曄道少将は色々と考えているが、こんなに早く最上が戦場に出てくるとは思っていなかった。
もう少ししたら狼煙を上げて場所を知った元帥たちが合流するだろうとも考えている。
しかしその前に決着をつけてやろうと思った。
「柳本軍、曄道軍の全軍に告ぐっ! あの長髪のローブを着た男こそが、合衆国総大将の最上だ!」
曄道少将は全軍に日中軍の総大将である最上が現れたと宣言するのである。
「日中軍総大将・最上が、のこのこ現れたぞ! 取り囲んで首を取れ!」
最上の首を取る為に軍が動き始める中で、柳本中将はジッと最上を見つめている。
そして「あの男が総大将……最上か」と思った。
「(道理で一目で、只者では無いと思った………いや、これほど強烈な武力の匂いがする男は初めてだ)」
柳本中将も本能的に武力を追求する人間だと認めるほどの気配を、最上は放っているのである。
すると柳本中将は気がついた。
自分が冷や汗をかいている事に。
「(この俺が冷や汗だと!? 面白い!)」
そう思うと柳本中将は、最上に向かって突撃した。
確かに柳本中将は化け物ではあるが、柳本中将も決して負けているわけじゃない。
もしかしたら、この戦争が決着するかも知れないと曄道少将は思ったのである。
その瞬間、最上は馬を走らせて逃亡した。
あの最上が柳本中将を恐れたのかと思われたが、最上は少し顔を柳本中将の方に向けてニヤッと笑う。
これは柳本中将が最上にとって力不足とでも言っているようなものである。
「おのれ貴様……逃げられると思うなぁ!」
「柳本さまに続けぇ!」
『うぉおおおお!!!!!』
柳本中将は逃げられるわけにはいかないと突撃し、柳本軍も後を追っていく。
曄道少将の側近も「直ぐに追いましょう!」という。
曄道少将は違和感を感じていた。
しかしどんな違和感なのかは分かっておらず、最上を討つチャンスである事には変わりないと後を追う。
柳本中将の軍と、曄道少将の軍が最上を追って突撃しているのを崖の上から染谷が見ている。
そして出陣前に最上と話していた内容を思い出す。
「では最上さま、よろしくお願いします。念を押しますが柳本との戦闘は回避して下さい。例え血が騒いだとしてもです………」
「案ずるな……牛丸が近づきつつある事は俺も分かる」
そう話していたのである。
そして染谷の側近である男は「恐ろしい人だ……」と心の中で思っている。
自軍の総大将を囮に使っているからだ。
「染谷さま! 北星軍の半分が、最上さまの後を追っていきました!」
「そうか……よし」
染谷は部下から柳本中将たちが、最上の後を追っているという報告を受けてニヤッと笑う。
その時、曄道少将は違和感にようやく気がついた。
「ちょっと待て………ここはマズイ!」
ここは両側を崖で挟まれている1本道だ。
軍は縦に細くなり身を隠す場所なんて1つも無ければ退路も前と後ろの2つのみ。
伏兵に奇襲と計略を用いるのに、こんな絶好的な
場所は他には無いだろう。
これは明らかな罠であると気がついた。
「止まれ、柳本中将っ! この地は危険だ!」
曄道少将は必死に呼び止めようとするが、柳本中将はその全てを無視して進軍し続ける。
本当にヤバいのだと必死に声をかけ続ける。
しかしそれを側近の男が止めるように言う。
「貴様、余計な進言をするな! 殿とて、これが敵の手中である事は理解している………」
「なに!? それじゃあ……」
「だがそれがどうした? 奴らが何を仕掛けて来ようとも、たとえ万の伏兵が待ち伏せしていようが………この柳本軍の進撃は誰にも止められぬ!」
そういった瞬間、崖の上から大きな岩が大量に落ちてくるのである。
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この光景に柳本中将はギリッと苦渋を飲む。
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