【完結】うちの魔術開発研究室室長さまがモテ過ぎています(主に男に)

いかくもハル

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後から来てズルイって・・・

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~シェリル~

何事もないまま2週間ほど経った。
アシュレイさんたちは相変わらず近い。
いや、若干アシュレイさんは気にしてるか?
でも周りはお構いなしに肩だの腰だの組んでくる。
うちの室長は今日もモテモテ。
もう、どこまで気づかれずにベタベタしてるか、楽しくなって来た。


今日は魔術コントロールを見てくれる日だ。
騎士なら素早くバリアくらい張れよ、とばかりに何度も練習する。

「アホ!全面だけ張っても仕方ないだろ。ドーム状に覆うようにしてみろ。それなら全方位防げるだろう」
「あ、なるほど。でも均一に放射するのが難しくて。殴った方が早くないですか?」
「それだからゴリラとか言われんだぞ、シェリル。護衛ならバリア必要だから。ちゃんとやれ」

ちっ!ヘイヘイ、わかりましたよ。
素早く足元に円形広げるようにね~~っと。
放出した魔力をドライアイスが広がって行くようなイメージで円形に広げ、そのまま下からドーム型に包むようにバリアを張った。

「あ!出来た!出来ましたアシュレイさん」
「よし、良い感じのバリアだ。やれば出来るじゃないか。次はもっと早く」

鬼ぃ~~~!!!





づがれだあぁぁ。
その後、何度も何度もバリアを張る練習をした。
そのお陰でコツを掴んだ。

「よし、大分良くなったな。後は練習次第ですぐに実践で使えるようになるぞ」
「はい!ありがとうございました」

その前に疲れすぎてメインの護衛に支障が出ますよ、これ。
あぁ、でも、バリア張れると確かに護衛としても一段上がれる。
第一隊は護衛が多いから魔術騎士として一人前になるには、凄く良い機会をもらっている。
しかも、アシュレイさんは魔術師界では次代の研究所所長とまで言われてる人だ。

そんな人が忙しい合間を縫って教えて頂けるなんてありがたい。

「わかったから。拝まなくていいから、昼行くぞ」
「はい!ご一緒させていただきます!」
「飯の時だけは本当に返事がいいな」

ブハっと吹き出して笑い出した。
最近はこうして笑う事も多くなった。
よしよし、表情筋はいい感じで生きかえって来たなぁ。
二人で食堂に向かう。



「あのさぁ、気になってたんだけど、なんで室長とシェリルは一緒にご飯食べてるわけ?」

可愛い美少年系のジャン君が我々が食べてる横に座って来ていきなり私に言った。

「?昼だから?」
「そうだな」

アシュレイさんも特に思うとこなく同意した。
何か不思議な事でもある?と揃って首を傾げた。

「っ!だから護衛なのにさ。後ろに立ってるとか、交代するとかあるでしょ」
「今、モーリス元国王陛下がネハーコ行ってて人手不足なんですよ。交代要員あまりいなくて。それに護衛以外にも研究所内では手伝いもあるんで、結局行動共にしてます。ですよね」

アシュレイさんに振ってみた。
アシュレイさんはモグモグしながら頷いた。

「まぁ、護衛兼助手で弟子だな」
「さっきの特訓はシャレにならかったですよ」
「あれくらいで根を上げるな。魔力は充分あるだろ」
「ありますけどね」

うちらが話してると、むぅとした顔して、ジャン君は言った。

「後から来といて室長にべったりなんてズルい」
「「はぁ?」」
「もう!声合わせないでよ」

ダダっと席を立って行ってしまった。
もう、変な嫉妬しないで欲しい。やれやれ。

「うーむ」

とアシュレイさんが唸っている。
ヤバイ、気がついたか?

「ジャン君はアシュレイさんに憧れてるから。それに最初の被害者でもありますしね。余所者が張り付いていたら面白くないのかもしれませんよ」
「う~ん。シェリルは仕事だからなぁ」

コクコクと私も頷く。
そうなのだ、モーリス陛下もとっとと帰って来て欲しい。
いつまでネハーコにいる気なのだ。
まさか骨を休めるつもりが埋めるつもりなのでは?

「犯人も絞られて来たようですよ。エメル隊長に報告に行ったらそう言われました」

ピタリとアシュレイさんの手が止まった。

「・・・シェリルは犯人が捕まったら、第一隊に戻るのか」
「戻りますよ。正直言って、第一隊の仕事忘れそうですけどね」
「そうか。たまには魔術の練習しろよ。見てやるから」
「ありがとうございます。引き続き、師匠、よろしくです」
「いい助手だったから、惜しいんだよな」
「はは、犯人捕まれば護衛はいらないじゃないですか。鬱陶しい張り付きが無くなるんですから」
「鬱陶しいと思ったことはないぞ」
「そ、そうですか」

ちょっとびっくりした。
親戚に向かって「鬱陶しい」とも言えないか。
私としては、美味しいご飯がご馳走してもらえないのが残念。

「シェリルと飯食うの楽しかったんだけどな」
「私もです!たまにはご一緒しましょう。同じペースで飲める人いなくて、アシュレイさん貴重なんです」
「あ、それ同感。そうだな、飯は行くか」

わはははと笑って昼ご飯は終わった。
周りの魔術研究所の皆さんが我々を見てビックリしてるとは全然気が付かずに。





















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