【完結】末っ子オメガ

鉾田 ほこ

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 亜季はすでに精通もむかえており、夢精も経験していた。しかし、自慰というのはしたことがなかった。
 したいとも思ったことがない。
 それが今はどうだろう──。
 すでに張り詰めた性器の先端からは透明な液体がだらだらと漏れ出ているようで、下着どころかパジャマのズボンまで股がびっしょりと濡れている。
 おどおどとズボンと下着を下げると、見たこともないほどに自分の性器が立ちあがっていることに驚きと恐怖を感じる。
 下ろしたパンツはおもらしでもしたかのようにぐしょぐしょに濡れている。
 濡れているのは前だけではなく、尻の後ろまで……。
 前から出た液が大量過ぎて、後ろまで濡らしたとはとても考えられない。後ろの穴……から何かが漏れている。
 亜季はくらくらとする頭で必死に保健体育で習った第二性について思い出そうとした。

 オメガは男性でも女性でも妊娠できる性だ。
 発情期ヒートがきたということは、妊娠できる準備ができたということを示している。
 だが、男性の場合は女性と違い、受精を自然に行う──つまり性器を挿入される器官が備わっておらず、代わりに……。
 アナルがその代替となる。
 思い出した亜季の頭に衝撃が走る。
 どうしたらいいのかわからない。
 抑制剤も見つからないし、何よりもう動けなかった。
 動けないにもかかわらず、気が付くと亜季の両手は自分の性器を擦っていた。
「え……。え……?」
 訳がわからない。
 頭がぼーっとするなか、手だけが動き続けて性器を必死に擦っている。
「あ、あ、きもち、いい……」
 身体が燃えるように熱い。
「あ、あ、でちゃ……」
 亜季の初めての自慰行為だった。
 吐精しても、性器を擦る手は止まらなかった。
「え、あ、な、なん……」
 自分の手なのに自分で制御ができない。射精した直後の敏感になったペニスを力任せにごしごしと擦り上げた。
「あ、あ、あぁ……ん、ん」
 火照る身体を持て余し、何度も何度も竿の先っぽをぐちゃぐちゃと音を立てて扱き続けた。だが、幾ら前をしごいても、何回射精しても、一向に熱がおさまらない。
 泣きじゃくりながら、おさまらない勃起を夢中になって擦った。
 前から吐き出される液は吐き尽くされて、壊れたように透明な液体をただただ溢し続けている。
 後ろの穴からもとぷり、とぷりと液体が吐き出される感覚が腹と股を伝う。
 火照って高熱のように熱いのに、身体の震えが止まらない。
 パジャマが肌に触れるのですら、鳥肌が立つほど気持ちがいい。
 亜季はパジャマの前のボタンを外してはだけさせた。すっかり夜になってしまった部屋の冷えた空気が気持ちいい。
 パジャマの布がすでに芯をもって立ち上がった乳首に当たる。
「はぁあ、んぅ!」
 腰から背骨に電撃が走ったように甘い痺れが駆け抜けた。
 亜季は初めて自分の胸に手をやった。ぷっくりと膨れた乳首を親指と人差し指で摘まみ上げる。
「あぁああ!」
 もう片方の手で握っていたペニスからとぷとぷとまた体液が溢れている。
 身体とびくびくと悶えさせ、それでも手は乳首を弄ることに耽溺たんできした。
「きもち、はぁ……」
 声に出して呟くと、全身にその快楽が再認識される。
 きゅうっと腹の奥が疼く。
 おそるおそる下腹を撫で、その奥にある器官を確認する。
 子宮──。
 発情期ヒートが来たということは、ここに子種を欲しているということ……。
 後ろの穴に手を伸ばし、誰も触れたことのないそこにそっと指先で触れる。
 とどめどなく溢れだす愛液ですでにぐしょぐしょに濡れそぼり、挿入を今か今かと待ちわびて、卑猥な収縮を繰り返す。
 亜季は思い切って自身の指を入れてみた。
 にゅぷりという感覚とともに何の抵抗もなく受け入れる。
「ふ、あっ」
 もう、亜季の頭には自分の身体の欲望に従うことしか残っていなかった。
 

 最初に異変に気づいたのは、学校から帰宅した三男の夏輝だった。
 家の扉を開けた瞬間から中に充満する甘ったるい匂い──。
 オメガの発情した匂い。
 発生源は分かりきっている。末っ子オメガ……亜季の部屋からに違いない。

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