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現実は亜季の独り言の通りとなり、晴臣は再び予約をしてきた。
それこそ、亜季の予約可能な日にちの多くを長兄 晴臣の予約が埋めるようになった。
オーナーからは「お前どんなサービスしたんだよ? すげぇな」とからかわれる。
気分がのって、多少気合を入れて奉仕をしたが、ほかの客にするそれと大して変わりない。
ただ、晴臣とすると発情期でもないのに、意識がふわふわとして身体の反応がいつも以上だった。兄と身体の相性が良くても、あまりうれしいことではないな……と自嘲する。
エリート中のエリートである生家で、後継である長兄がなぜこんな場末のオメガの男娼を買うのか、亜季には理解ができなかった。
会うたびに、これまでの客では考えられないような、甘く蕩かされるような行為に亜季は困惑した。
この人は何がしたいんだ──。
きっと、「従順で庇護欲を唆るオメガ」が欲しいだけだと亜季は考える。長兄の許嫁でありそうなアルファの女性相手では満たされない欲望を吐き出しているのだろうことだけはわかる。
せいぜいそういった役を演じよう。
そのうち晴臣はアキの一番の太客になった。
ほとんど全ての出勤日に予約を入れ、なんなら週末には終日デートのようなことまで依頼してくる始末だった。
「暇かよ」と強がりを言うが、会えるのは嬉しかった。本心では毎日だって晴臣に会いたかった。
晴臣がホテルの部屋で先に待っていたのは、最初だけだった。
予約の多くはホテルに着くと「遅刻する」という伝言が入る。待っていてもそれが「今日は行けないのでホテルで寝て帰ってほしい」になるばかりで、実際に会えることは稀だった。
それも理解できる。いつのまにか長兄はすでにいくつかの会社の社長になっていた。
毎晩男娼と遊んでいられるほど暇ではない。
結婚しているのであれば、家同士の繋がりとかそういった理由でしているのだろうから、蔑ろにもできないので、毎晩帰らないというわけにもいかないだろう。
今日もいつもどおりホテルの部屋に入るが、先客はいない。
ベッドに腰かけ手持ち無沙汰に携帯電話を取り出し、見るともなしにSNSを開く。人差し指で画面をスクロールしていると、部屋の電話が鳴る。
「はいはい」
「お休みのところ失礼いたします。ご伝言でございます。『本日は……』」
どうせ今日も来られないという伝言だろうと思ったら違った。
「『遅れるが行くので待っていてほしい』とのことです」
そんな伝言をする時間があるなら、早く来てほしいところだ。それより、晴臣が来なかったからと言って、ホテルから帰ったことなどないのに……。亜季は少しイラつく。
「早く来いよ……」
ぼすんとふかふかのベッドに横になって、誰か聞くものがいるわけでもないのに口からこぼれる。
一人だからか、部屋の空調がききすぎているのか……空気が冷たい気がしてベッドシーツにくるまった。
一度、待ちきれずに寝てしまった日はせっかく晴臣が来たにもかかわらず、何もせずに終わってしまったことがあり、亜季は眠気を堪えて待っている。
何かしていないと、このままシーツにくるまって寝てしまいそうだった。
もう、家で風呂に入ってきているが、湯でも沸かしてはいろうかとも思ったが、その間に晴臣が来てしまったら……とも考える。
いや、晴臣が来たなら来たで、一緒に入ればいい。
亜季は洗面室に行き、ガラス張りのバスルームに入り、バスタブのふちに腰かけて蛇口を開いた。
ドドドドドという大きな音と一緒に熱い湯がバスタブを満たしていく。
(こんな大きなお風呂に入れるのはここに来た時くらいだからな)
いつ来るかわからない男を無駄に待つより、効率的だと思った。何か入れるものはないかと洗面台の上を物色する。
バスキューブとバスソルト。
二つを見つけて、今日の気分はシトラスとウッドの香りのバスキューブを入れて、半分ほどたまった湯で身体を温めた。
一緒に風呂に……という亜季の期待はかなわず、日付が変わるころにやっと晴臣がやってきた。
それこそ、亜季の予約可能な日にちの多くを長兄 晴臣の予約が埋めるようになった。
オーナーからは「お前どんなサービスしたんだよ? すげぇな」とからかわれる。
気分がのって、多少気合を入れて奉仕をしたが、ほかの客にするそれと大して変わりない。
ただ、晴臣とすると発情期でもないのに、意識がふわふわとして身体の反応がいつも以上だった。兄と身体の相性が良くても、あまりうれしいことではないな……と自嘲する。
エリート中のエリートである生家で、後継である長兄がなぜこんな場末のオメガの男娼を買うのか、亜季には理解ができなかった。
会うたびに、これまでの客では考えられないような、甘く蕩かされるような行為に亜季は困惑した。
この人は何がしたいんだ──。
きっと、「従順で庇護欲を唆るオメガ」が欲しいだけだと亜季は考える。長兄の許嫁でありそうなアルファの女性相手では満たされない欲望を吐き出しているのだろうことだけはわかる。
せいぜいそういった役を演じよう。
そのうち晴臣はアキの一番の太客になった。
ほとんど全ての出勤日に予約を入れ、なんなら週末には終日デートのようなことまで依頼してくる始末だった。
「暇かよ」と強がりを言うが、会えるのは嬉しかった。本心では毎日だって晴臣に会いたかった。
晴臣がホテルの部屋で先に待っていたのは、最初だけだった。
予約の多くはホテルに着くと「遅刻する」という伝言が入る。待っていてもそれが「今日は行けないのでホテルで寝て帰ってほしい」になるばかりで、実際に会えることは稀だった。
それも理解できる。いつのまにか長兄はすでにいくつかの会社の社長になっていた。
毎晩男娼と遊んでいられるほど暇ではない。
結婚しているのであれば、家同士の繋がりとかそういった理由でしているのだろうから、蔑ろにもできないので、毎晩帰らないというわけにもいかないだろう。
今日もいつもどおりホテルの部屋に入るが、先客はいない。
ベッドに腰かけ手持ち無沙汰に携帯電話を取り出し、見るともなしにSNSを開く。人差し指で画面をスクロールしていると、部屋の電話が鳴る。
「はいはい」
「お休みのところ失礼いたします。ご伝言でございます。『本日は……』」
どうせ今日も来られないという伝言だろうと思ったら違った。
「『遅れるが行くので待っていてほしい』とのことです」
そんな伝言をする時間があるなら、早く来てほしいところだ。それより、晴臣が来なかったからと言って、ホテルから帰ったことなどないのに……。亜季は少しイラつく。
「早く来いよ……」
ぼすんとふかふかのベッドに横になって、誰か聞くものがいるわけでもないのに口からこぼれる。
一人だからか、部屋の空調がききすぎているのか……空気が冷たい気がしてベッドシーツにくるまった。
一度、待ちきれずに寝てしまった日はせっかく晴臣が来たにもかかわらず、何もせずに終わってしまったことがあり、亜季は眠気を堪えて待っている。
何かしていないと、このままシーツにくるまって寝てしまいそうだった。
もう、家で風呂に入ってきているが、湯でも沸かしてはいろうかとも思ったが、その間に晴臣が来てしまったら……とも考える。
いや、晴臣が来たなら来たで、一緒に入ればいい。
亜季は洗面室に行き、ガラス張りのバスルームに入り、バスタブのふちに腰かけて蛇口を開いた。
ドドドドドという大きな音と一緒に熱い湯がバスタブを満たしていく。
(こんな大きなお風呂に入れるのはここに来た時くらいだからな)
いつ来るかわからない男を無駄に待つより、効率的だと思った。何か入れるものはないかと洗面台の上を物色する。
バスキューブとバスソルト。
二つを見つけて、今日の気分はシトラスとウッドの香りのバスキューブを入れて、半分ほどたまった湯で身体を温めた。
一緒に風呂に……という亜季の期待はかなわず、日付が変わるころにやっと晴臣がやってきた。
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