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そんな出来事があったあと、亜季は変わらずに晴臣に会ってくれる。
自分の不埒な行為について、再度謝罪し、心の底から亜季を大切にしているということを晴臣は一生懸命伝えた。
「突然発情になったあげく、本当にひどいことをしてしまった。君を大切にしたいと思っているんだ」
「気にしていないよ。こんな仕事をしていれば、アルファの発情に遭遇することだってあるし、そういうアルファの相手にだってしてきたし」
そう亜季が答える。
そして、「好きだなんて言ってもらえて嬉しい」と昔の亜季より艶を含んだ表情ではにかんだ。
仕事だと言われたことは悲しかった。だが、向けられる笑顔は非常に可愛かった。
晴臣だって無理矢理、亜季を番にしたいわけではない。
それは以前にも父母と決めたことだ。亜季と番になる、許婚になるという話をしたときに、亜季が望まないなら、幸せになれないなら、無理には話を進めない。苦しいが身を引かなくてはいけないと晴臣は思っていた。
亜季にも自分を好きになって欲しかった。
それから晴臣は会うたびに亜季に「好きだ」、「仕事を辞めて一緒になってほしい」と繰り返し伝えた。
それなのに──。
また、末っ子オメガは忽然と姿を消した。
予約の連絡をしばらく先までいれていた。それが突然キャンセルの連絡がくる。
「キャンセル?」
「はい。アキの予約はキャンセルとさせていただきます。大変申し訳ございません。代わりのキャストでしたら、サイト内からお選びいただければ融通を利かせていただきます」
淡々とした事務連絡をする電話の先の男の声が遠くなっていく。
「なぜでしょうか」
「アキは当店を辞めました」
「やめ、た……?」
「はい。大変恐縮でございますが、失礼いたします」
「ちょっと待ってくれ。どうして? いや、辞めてどこに……」
「キャストの情報はお答えしかねます」
それはそうだ。ただの客にキャストの個人情報を漏らす店などありえない。わかっているが……。
晴臣は絶望した。
好意が伝わっていないどころか、末っ子オメガにとって、自分は迷惑ストーカー野郎でしかなかったのだろうか。
だが、晴臣にはどうしてもこの運命を諦めることが出来なかった。
晴臣は調べさせていた亜季の家に車を走らせる。
何度か呼び鈴を鳴らしたが返事はない。いないのか居留守なのかははわからない。
晴臣は興信所に部屋を見張らせた。
しかし、何日経ってもそこの部屋に出入りする者はなかった。
もう数日経って、その部屋を訪れたのは、「Bloom」のオーナーだった。
部屋は店が管理しているとのことだった。店を辞めると同時に引き払ったとのことで、そこはもうもぬけの殻だった。
こんなに早く引っ越しができるものか?
興信所の調べた写真を見ると、そこは家というにはあまりにも狭く、家具などなにも置けそうになかった。もとより家具など置いていなかったのかもしれない。
四畳ほどのフローリング板張り、キッチンは渦巻のコンロが一つ備え付けられ、風呂場はトイレと一緒だった。
あまりの生活に、晴臣は涙が堪えきれずに頬を伝う。
核心に触れるまでは……金を払った客である限りは滅多なことでは会えなくはならない。だが、兄の晴臣であるということを話してしまえば、最悪会えなくなる可能性もあるとおもって言えずにいた。
真実を告げることをずるずると先延ばしにした結果がこれだ。
しぶとく亜季を、運命の番を探し出すと心に決める。
「どんなことをしてでも亜季を探してくれ」
今度こそ会えた暁にはすべての真実を語ると晴臣は誓った。
今回は前回より早く見つけることができた。
そして、興信所の書類に添付された疲れ切った表情で赤ん坊を抱く末っ子の写真──。
「な……」
晴臣は言葉を失った。
やっとの思いで見つけた亜季は……、自分の番は子供を産んでいた。
誰の子供だ!?
晴臣の腑が煮え繰り返る。
亜季の幸せのためなら、身を引く覚悟はあった。だが、こんな疲れ切った顔をさせるような他のアルファには絶対にやらない!
今度こそ絶対に逃がさない──。
自分を好きになってほしいなどと甘ったれたことはもう言わない。何が何でも自分の番にする。
書類の中を確認すると車で三時間ほど離れた見たこともない町の住所が書かれている。晴臣は亜季を連れ戻しに向かった。
自分の不埒な行為について、再度謝罪し、心の底から亜季を大切にしているということを晴臣は一生懸命伝えた。
「突然発情になったあげく、本当にひどいことをしてしまった。君を大切にしたいと思っているんだ」
「気にしていないよ。こんな仕事をしていれば、アルファの発情に遭遇することだってあるし、そういうアルファの相手にだってしてきたし」
そう亜季が答える。
そして、「好きだなんて言ってもらえて嬉しい」と昔の亜季より艶を含んだ表情ではにかんだ。
仕事だと言われたことは悲しかった。だが、向けられる笑顔は非常に可愛かった。
晴臣だって無理矢理、亜季を番にしたいわけではない。
それは以前にも父母と決めたことだ。亜季と番になる、許婚になるという話をしたときに、亜季が望まないなら、幸せになれないなら、無理には話を進めない。苦しいが身を引かなくてはいけないと晴臣は思っていた。
亜季にも自分を好きになって欲しかった。
それから晴臣は会うたびに亜季に「好きだ」、「仕事を辞めて一緒になってほしい」と繰り返し伝えた。
それなのに──。
また、末っ子オメガは忽然と姿を消した。
予約の連絡をしばらく先までいれていた。それが突然キャンセルの連絡がくる。
「キャンセル?」
「はい。アキの予約はキャンセルとさせていただきます。大変申し訳ございません。代わりのキャストでしたら、サイト内からお選びいただければ融通を利かせていただきます」
淡々とした事務連絡をする電話の先の男の声が遠くなっていく。
「なぜでしょうか」
「アキは当店を辞めました」
「やめ、た……?」
「はい。大変恐縮でございますが、失礼いたします」
「ちょっと待ってくれ。どうして? いや、辞めてどこに……」
「キャストの情報はお答えしかねます」
それはそうだ。ただの客にキャストの個人情報を漏らす店などありえない。わかっているが……。
晴臣は絶望した。
好意が伝わっていないどころか、末っ子オメガにとって、自分は迷惑ストーカー野郎でしかなかったのだろうか。
だが、晴臣にはどうしてもこの運命を諦めることが出来なかった。
晴臣は調べさせていた亜季の家に車を走らせる。
何度か呼び鈴を鳴らしたが返事はない。いないのか居留守なのかははわからない。
晴臣は興信所に部屋を見張らせた。
しかし、何日経ってもそこの部屋に出入りする者はなかった。
もう数日経って、その部屋を訪れたのは、「Bloom」のオーナーだった。
部屋は店が管理しているとのことだった。店を辞めると同時に引き払ったとのことで、そこはもうもぬけの殻だった。
こんなに早く引っ越しができるものか?
興信所の調べた写真を見ると、そこは家というにはあまりにも狭く、家具などなにも置けそうになかった。もとより家具など置いていなかったのかもしれない。
四畳ほどのフローリング板張り、キッチンは渦巻のコンロが一つ備え付けられ、風呂場はトイレと一緒だった。
あまりの生活に、晴臣は涙が堪えきれずに頬を伝う。
核心に触れるまでは……金を払った客である限りは滅多なことでは会えなくはならない。だが、兄の晴臣であるということを話してしまえば、最悪会えなくなる可能性もあるとおもって言えずにいた。
真実を告げることをずるずると先延ばしにした結果がこれだ。
しぶとく亜季を、運命の番を探し出すと心に決める。
「どんなことをしてでも亜季を探してくれ」
今度こそ会えた暁にはすべての真実を語ると晴臣は誓った。
今回は前回より早く見つけることができた。
そして、興信所の書類に添付された疲れ切った表情で赤ん坊を抱く末っ子の写真──。
「な……」
晴臣は言葉を失った。
やっとの思いで見つけた亜季は……、自分の番は子供を産んでいた。
誰の子供だ!?
晴臣の腑が煮え繰り返る。
亜季の幸せのためなら、身を引く覚悟はあった。だが、こんな疲れ切った顔をさせるような他のアルファには絶対にやらない!
今度こそ絶対に逃がさない──。
自分を好きになってほしいなどと甘ったれたことはもう言わない。何が何でも自分の番にする。
書類の中を確認すると車で三時間ほど離れた見たこともない町の住所が書かれている。晴臣は亜季を連れ戻しに向かった。
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